看護師の個人事業主とは?個人事業主の仕事9選とフリーランスとの違い

「看護師として、もっと自由に自分のペースで働きたい」「フリーランスとして働いてみたいけどどうすれば良いの?」
このように考えたことはありませんか。
個人事業主という働き方を選ぶと、時間や場所に縛られず、看護師のスキルを活かす道も開けます。
この記事では、個人事業主としての看護師の働き方やメリット、フリーランスとの違いなどを解説します。ぜひご覧ください。
看護師の個人事業主とは?フリーランス看護師との違いと基本知識
看護師の資格を活かして、会社に雇用されずに働く方法のひとつが個人事業主です。ここでは、個人事業主として働くために知っておくべき基本的な知識について解説します。
- 看護師の個人事業主とは
- 看護師の個人事業主とフリーランス看護師の違い
- 看護師が個人事業主になるための条件と資格
自分らしい働き方を見つけるための第一歩として、これらの基本をしっかりおさえましょう。
看護師の個人事業主とは
看護師の個人事業主とは、医療機関や企業に雇用されるのではなく、自分で事業を営む看護師のことです。
看護師のスキルや経験を活かして、業務委託契約を結び、個人で仕事を受けて報酬を得ます。
たとえば、健康相談やイベントの救護、研修会の講師など働き方は多岐にわたります。自分の専門性を活かし、スケジュールや働き方などを自由に決められる点が特徴です。
看護師の個人事業主とフリーランス看護師の違い
個人事業主とフリーランスは、どちらも組織に属さずに働く点が共通しており、似たような意味で使われることが多いですが、厳密には違いがあります。
個人事業主は、税法上の区分であり、税務署に開業届を提出して事業を営む人のことです。
一方で、フリーランスは働き方を示す言葉であり、企業や団体に所属せず、自由に契約を結んで仕事をする人を指します。
フリーランスの看護師は、個人事業主として活動するケースが一般的ですが、すべての個人事業主がフリーランス看護師とは限りません。
看護師が個人事業主になるための条件と資格
看護師が個人事業主になるためには、特別な資格は必要ありません。
「個人事業の開業・廃業等届出書」という、いわゆる開業届と呼ばれる書類を税務署に提出すると、誰でも個人事業主として活動できます。
ただし、この開業届を出していなくても、実態として事業があれば、個人事業主になれるようです。
看護師が個人事業主になるには?
看護師が個人事業主になるためには、次のステップを踏むことが一般的です。
- スキルや経験を活かせる分野を明確にする
- 市場調査をおこない需要のあるサービスを検討する
- 事業計画を立てて必要な資金や設備を準備する
- 税務署に開業届を提出し、必要な許認可を取得する
- 営業活動をおこない、顧客や取引先を確保する
個人事業主は自分ですべてをおこなう必要があるため、経営や集客に関する知識も求められます。個人事業主になることは容易でも、事業を継続することは難しいといえるでしょう。
看護師が個人事業主になった際の仕事9選
看護師の資格と経験は、個人事業主としてさまざまな分野で活かせます。病院やクリニックなど従来の枠にとらわれず、得意なことや興味のある分野で活躍できるのが個人事業主の魅力です。
- 常勤看護師のヘルプ
- 訪問看護師
- イベント・ツアーナース
- オンラインの健康相談サービス
- 美容クリニック・サロンでの仕事
- 講師・研修・学会活動
- ライター・ブログ・SNS発信業務
- ビジネスパートナーとしてのコンサルや支援
- 看護師経験を活かした起業
これらの例を参考に、スキルやキャリアプランに合った働き方を見つけてみてください。
常勤看護師のヘルプ
個人事業主の看護師としての働き方に、常勤看護師が休む際にヘルプという形で入る方法があります。
慢性的な人手不足に悩む医療機関や介護施設にとって、即戦力となる看護師のサポートは重要です。
厚生労働省の調査によると、令和5年度の看護師の有効求人は2.31倍です。これは、一般職業(1.29倍)と比べて高い水準で、看護師は人手不足の状況であるため、常勤看護師のヘルプの需要はあるといえるでしょう。
また、これらの施設で短期間や単発的に働くことは、臨床スキルを維持・向上させるだけでなく、収入を得るための有効な手段となります。
都合の良い日時を選んで働けるため、ワークライフバランスを重視する方にもおすすめです。
訪問看護師
訪問看護ステーションでは、看護師が常勤している事業所もありますが、登録制で個人事業主の看護師を採用しているところもあるようです。
近年では、在宅医療のニーズが高まっており、個人事業主の看護師は訪問看護の分野でも活躍できます。
地域社会に貢献したいという思いを持つ方にとって、やりがいのある仕事です。
訪問看護師に興味がある方は「NsPaceCareer」を活用してみませんか。訪問看護に特化した求人サイトであり、あなたの希望や条件に合った職場を見つけられるでしょう。
イベント・ツアーナース
イベント・ツアーナースの仕事は、次のようなイベントやツアーに同行したり、救護室で待機したりして、参加者の健康管理や応急処置をおこないます。
- スポーツイベント
- 音楽フェスティバル
- 修学旅行
ケガ人や体調不良者が出た際にケアするため、予期せぬ事態に対応する冷静さや判断力が求められますが、多くの人と出会い、活気ある現場で働けるのが魅力です。
オンラインの健康相談サービス
ビデオ通話やチャットを通じて、健康に関する疑問や不安に対応する仕事です。
現代では、オンラインでの健康相談のニーズも増えているため、自宅にいながら、人々の健康をサポートできます。
具体的には、生活習慣病に関する食事や運動のアドバイス、メンタルヘルス不調の相談、育児や介護に関する相談など、幅広い分野で看護師の知識や経験を活かせます。
対面での相談が難しい方にとって、オンラインでのサポートは心強い存在となるでしょう。
美容クリニック・サロンでの仕事
美容クリニックやエステサロンなどで、レーザー照射の補助や術後のケア、カウンセリングなどをおこないます。
美容医療の分野では、看護師の専門知識や技術が求められており、美容に関心があり、患者さまの美をサポートしたいという看護師におすすめです。
ただし、この分野で個人事業主として働く場合、自分で集客する必要があることや、施術に関する最新の知識やスキルを常にアップデートしていく姿勢が重要になります。
また、顧客との信頼関係を築き、リピーターを増やすためのコミュニケーション能力も求められるでしょう。
講師・研修・学会活動
これまでの臨床経験や専門知識を活かして、看護師向けの研修やセミナーで講師を務めたり、研究成果を学会で発表したりする仕事です。
教育や研究に関心のある看護師にとって、知識や経験を共有することで、看護の質の向上に貢献できるといったやりがいを実感できます。
これらの活動を始めるには、まず得意な分野や伝えたいテーマを明らかにすることが重要です。研修機関や学会の情報を収集し、公募がないかなどを確認してみましょう。また、実績作りのために、小規模なセミナーや勉強会から始めてみるのも良いかもしれません。
ライター・ブログ・SNS発信業務
医療や健康に関する情報を、文章や写真、動画などで発信する仕事です。
正確な知識にもとづいた情報は、多くの人にとって価値があり、社会貢献にもつながります。文章を書くことや情報発信が好きな看護師におすすめです。
ビジネスパートナーとしてのコンサルや支援
医療機関や介護施設、企業などに対して、看護に関する専門的な知識や視点からコンサルティングやアドバイスをおこなう仕事です。
具体的には、次のような支援をおこないます。
- 看護業務の効率化
- 新人看護師の教育プログラム開発
- 患者満足度向上のための施策提案
組織のニーズをしっかりと把握したうえで、専門知識を活かした提案が求められます。
看護師経験を活かした起業
これまでの看護師としての経験や知識、人脈などを活かして、独自のビジネスを立ち上げる道もあります。
- 訪問看護ステーションの開設
- 介護施設の運営
- 健康関連商品の開発
働き方はさまざまであるため、自分の理想とする働き方を追求したい、強い意志を持つ看護師におすすめです。
看護師で個人事業主の年収
個人事業主である看護師の年収は、明らかにされていません。
というのも、会社員のように固定された給与ではなく、個人事業主の看護師の働き方や仕事量、専門性によって年収は異なるからです。
たとえば、訪問看護ステーションを開設したケースであれば、訪問件数や提供するサービス内容によって収入が変わり、オンライン相談であれば、相談件数や単価が収入に影響します。
収入が安定するまでには、ある程度の期間と努力が必要となることも理解しておきましょう。
看護師が個人事業主になるメリット
看護師が個人事業主として働くことには、多くの魅力的なメリットがあります。ここでは、注目すべきメリットを詳しく解説します。
- 在宅で働くことができる
- 人間関係に悩みにくい
- 専門性を活かせる
- 高収入を目指せる
- 事業経費として節税できる
これらのメリットを理解することで、個人事業主という働き方が合っているかどうかを判断する助けになるでしょう
在宅で働くことができる
仕事内容によっては、通勤時間を減らし自宅で働くことが可能です。たとえば、次のような仕事は、インターネット環境があれば場所を選ばないでしょう。
- オンラインでの健康相談
- 医療記事の執筆
- 翻訳
自分のライフスタイルに合わせて、働く場所や時間を選べるのは、個人事業主ならではのメリットです。子育てや介護と両立したい看護師にとって、理想的な働き方といえるでしょう。
人間関係に悩みにくい
病院や施設で働く場合、避けられないのが人間関係の悩みです。
個人事業主として働く場合は、基本的に一人で仕事を進めるため、煩わしい人間関係に悩まされることが少なくなります。
自分のペースで仕事に集中できる環境を自分で作れるため、ストレスを軽減し、より効率的に働けるでしょう。
専門性を活かせる
これまでの看護師としての経験や、特定の分野で培ってきた専門知識を最大限に活かせるのが、個人事業主の魅力のひとつです。
たとえば、特定の疾患に関する知識や、高度な医療技術を持つ看護師は、その専門性を活かしたコンサルティングや研修の講師などの仕事で活躍できます。
自分の強みを活かして社会に貢献できることは、やりがいにつながります。
高収入を目指せる
個人事業主の看護師は、会社員のような固定給ではなく、自分の働き方次第で収入を増やせる可能性があります。
とくに、専門性の高いスキルや実績を持つ看護師は、高単価の案件を獲得しやすく、努力次第で会社員時代よりも高い収入を期待できます。
自分の頑張りが収入に反映されるため、仕事のモチベーションを保てるでしょう。
事業経費として節税できる
個人事業主として事業をおこなう際の必要な経費は、所得から控除できます。
たとえば、仕事で使用するパソコンや書籍、セミナー参加費、通信費、交通費などが該当する可能性があります。
税に関する知識を身につけることも、個人事業主として成功するためには重要です。
看護師が個人事業主になるデメリット
個人事業主としての働き方には多くのメリットがある一方で、注意しておきたいデメリットもあります。
- 収入が不安定になりがち
- 確定申告が必要になる
- 社会的な信用が得られない場合がある
- 休業した際の保障がない
これらのデメリットを理解しておくことで、実際に個人事業主として活動する際に、よりスムーズに対応できるでしょう。
収入が不安定になりがち
個人事業主の看護師は、会社員のように毎月決まった給料が保証されているわけではありません。
仕事の受注状況や自身の体調などによって、収入が大きく変動するリスクがあります。
安定した収入を得るためには、積極的に仕事を探し、自己管理を徹底する必要があります。計画的な貯蓄や、収入が途絶えた場合の備えも重要です。
確定申告が必要になる
病院や施設が代行してくれる年末調整とは異なり、個人事業主は自分で年間の収入と経費を計算し、確定申告をおこなわなければなりません。
簿記の知識が必要になったり、場合によっては税理士に依頼する費用が発生したりすることもあります。
社会的な信用が得られない場合がある
住宅ローンやクレジットカードの審査などにおいて、個人事業主の看護師は、病院勤務の看護師に比べて社会的な信用度が低いとみなされる場合があります。
これは、収入の安定性や勤続年数などが社会的な信用の評価対象となるからです。
日頃から信用情報を意識し、計画的な資金管理をおこなうことが大切です。
休業した際の保障がない
病気やケガで働けなくなった場合、傷病手当金といった公的な保障を受けられない恐れがあります。
収入が途絶えてしまうリスクがあるため、民間の所得補償保険に加入するといったリスク管理が個人事業主には大切です。
看護師で個人事業主に向いている人
看護師が個人事業主として成功するためには、いくつかの資質が求められます。
- 自律心があり自分で考えて行動できる人
- コミュニケーション能力が高い人
- 新しいことにチャレンジする意欲がある人
個人で仕事をする場合は、自律心が欠かせません。仕事量や時間が決められていないため、仕事をせずにだらけてしまうリスクがあるからです。
また、円滑なコミュニケーションは、信頼関係を築き、仕事の幅を広げるうえで重要になります。積極的に新しい知識やスキルを習得しようとする人が、個人事業主として充実した働き方を実現できるでしょう。
看護師の個人事業主についてのQ&A
看護師が個人事業主になることに関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。
Q1:看護師が独立開業できる施設の種類は何ですか?
看護師が独立開業できる施設の種類は多岐にわたります。
- 訪問看護ステーション
- リハビリテーションに特化した施設
- 地域住民の健康相談に応じる健康相談
- カウンセリングを提供するサロン
専門性や興味関心に合わせて、さまざまな形で独立開業が可能です。
Q2:看護師で個人事業主になった際の求人は多いですか?
個人事業主としての働き方は、一般的に「求人」で仕事を探すよりは、スキルやサービスを必要とするクライアントを自ら開拓していくことが中心となります。
しかし、近年では、フリーランスの看護師と医療機関や企業をマッチングするプラットフォームも登場しており、そのようなサービスを利用することもひとつの手段です。
また、これまでの人脈を活かしたり、SNSで活動を発信したりすることも、仕事につながる可能性があります。積極的に情報収集をおこない、自分に合った方法で仕事を見つけることが大切です。
Q3:看護師で個人事業主になった際、社会保険や年金の切り替えは必要ですか?
看護師として病院や施設に雇用されていた方が個人事業主になった場合、国民健康保険と国民年金に加入する手続きが必要になります。
これらは、お住まいの市区町村の役所で手続きできます。健康保険や年金は、万が一の際に自分や家族を守るための大切な制度です。切り替えの手続きを速やかにおこないましょう。
まとめ:看護師で個人事業主になると活躍の幅が広がる!自分に合った働き方を見つけよう
看護師の資格を持つ方が個人事業主として働くことは、時間や場所に縛られない、より自由な働き方を実現するための有効な手段です。
これまでの経験や専門知識を活かし、訪問看護やオンライン相談、イベントナースなど多岐にわたる分野で活躍の場を広げられます。
もちろん、収入の不安定さや確定申告など、会社員とは異なる苦労もありますが、さまざまな魅力が個人事業主という働き方にはあります。
一歩踏み出して、自分に合った働き方を見つけてください。
<参考サイト・文献>

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