デイケアの看護師の役割9つ!給料事情や向いている人の特徴を紹介

「デイケアの看護師はどんなことをしているの?」「デイケアに興味はあるけど、向いているのかな?」
デイケア(通所リハビリテーション)の看護師に興味がある方は、このような疑問をもっているのではないでしょうか。
デイケアは、リハビリテーションの機能を備え、利用者さまのご自宅での生活を支える施設です。看護師はさまざまな役割を担っており、実情を知らないまま転職すると「思っていた仕事と違う」と後悔してしまうかもしれません。
この記事では、デイケアの看護師の業務や給料、向いている人の特徴を解説します。デイケアの看護師の役割を知ってから慎重に転職活動をしたい方は、ぜひ参考にしてください。
デイケアの看護師の配置基準
デイケアでは、看護師の配置は義務付けられていません。
ただし、利用者さま10名に対して1名以上のスタッフの配置が必要です。この配置基準の対象となる職種は、次のとおりです。
- 看護師
- 准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 介護職員
利用者さまが15名の場合は、いずれかのスタッフを2名以上配置する必要があります。
デイケアの看護師の役割9つ
デイケアの看護師の役割は、おもに以下のとおりです。
- リハビリテーションのサポート
- バイタルチェックや健康状態の確認
- 日常生活の援助
- 服薬管理
- 医師の指示にもとづく医療処置
- 急変時の対応・判断
- 多職種との連携・情報共有
- 感染症対策
- ご家族への対応や日常生活上のアドバイス
ひとつずつ見ていきましょう。
1.リハビリテーションのサポート
デイケアはリハビリテーションを目的に通う利用者さまが多く、看護師は医師やリハビリテーションスタッフと協力して利用者さまをサポートします。
たとえば、体調管理をおこなってリハビリテーションが安全に実施できるか確かめたり、異変があればすぐに対応したりと、利用者さまが安心して取り組めるようにします。
2.バイタルチェックや健康状態の確認
デイケアに来た利用者さまの体調を把握するために、かならず体温や血圧などのバイタルサインをチェックします。
前回のデータとの比較や、本人の訴えにも耳を傾け、わずかな体調の変化も見逃さないよう努めます。
3.日常生活の援助
デイケアでは、排泄・入浴・食事などの援助は介護スタッフと協力しながら看護師も担います。
一人ひとりの身体状態や生活習慣に合わせて支援し、利用者さまのプライバシーを守りながら快適に過ごせるようサポートします。
4.服薬管理
デイケアに通所しているときに薬を飲まなければならない利用者さまには、医師の指示や処方内容を確認のうえ、決められた時間・量を守って服薬できるよう支援します。
また、服薬後の体調変化や副作用にも注意して、必要に応じて医師に報告することもデイケアの看護師の役割です。
5.医師の指示にもとづく医療処置
医療的な処置が必要な場合には、看護師が医師の指示のもとで対応します。
- インスリン注射
- 褥瘡の処置
- ストーマ管理
医療行為の頻度は病院ほど多くありませんが、利用者さまが安心できるように適切におこなわなければなりません。
6.急変時の対応・判断
デイケアでは、持病がある高齢の利用者さまが多く、体調が悪化する恐れがあるため、万が一に備えるのも看護師の役割です。
意識の消失や転倒、呼吸困難など緊急事態に迅速に対応できる能力が求められます。
また、初期対応と状況判断をおこない、必要に応じて救急車を手配したり、ご家族・医師に連絡したりします。
7.多職種との連携・情報共有
デイケアは看護師だけでなく、リハビリテーションスタッフや介護職員など、多職種でチームを組んでいます。
デイケアという場所は、利用者さまにとって生活の一部であることから、様々な連携が重要です。
看護師は、利用者さまの健康状態やリハビリテーションについての情報を共有し、利用者さまにより良い支援が提供できるよう調整役としても活躍します。
8.感染症対策
デイケアは人が集まる施設であり、持病のある高齢者もいるため、次のような感染症対策が欠かせません。
- 手指衛生やマスクの着用
- 備品の消毒
- 感染症の兆候がある利用者さまの早期発見と対応
たとえば、発熱や咳、下痢などの感染症が疑われる症状が見られた場合は、状態をすぐに確認し対応します。
ほかの利用者さまとの接触を避けるために隔離したり、施設内での感染拡大を防ぐために環境整備をしたり、スタッフに注意喚起したりすることなども看護師の役割です。
9.ご家族への対応や日常生活上のアドバイス
デイケアの看護師は、利用者さまのご家族に対して、健康状態やリハビリテーションの進み具合を伝えます。
在宅介護の相談に乗ったり、生活上の注意点をアドバイスしたりと、看護師は利用者さまとご家族のご自宅での生活を支える存在でもあります。
ご家族の不安をやわらげ、ご自宅で安心して生活できるようにサポートすることも、看護師の大切な役割です。
デイケアの看護師のスケジュール例
デイケアの看護師の一日の流れは、おおまかに以下のとおりです。
時間 | スケジュール |
8:00 | ・出勤 ・スタッフミーティング |
9:00 | ・利用者さま宅へ迎えまたは施設にて出迎え ・バイタルサインの測定、健康状態のチェック |
9:30 | ・入浴介助、入浴後の処置 ・リハビリテーションのサポート |
11:30 | ・食前薬の配布、場合によって服薬援助 ・血糖測定 ・インスリン注射 |
12:00 | ・食事の見守り、必要に応じて介助 ・昼食後薬の配布、服薬援助 ・食後の口腔ケア |
13:00 | ・昼休憩 |
14:00 | ・レクリエーションやリハビリテーションのサポート |
15:00 | ・利用者さまとのコミュニケーション ・連絡帳の記入 |
16:00 | ・施設で見送りまたは車で利用者さま宅へ送り |
16:30 | ・看護記録の記入 ・片付け、翌日の準備 |
17:00 | ・業務終了 |
上記はあくまでも一例であり、施設によっては半日ごとに利用者さまが入れ替わる場合もあります。
見学や面接時に1日のおおまかな流れを聞いておくと、具体的にイメージできるでしょう。

デイケアの看護師の給料事情
デイケアで働く看護師の給料は、「令和4年度介護事業経営概況調査」によると平均42万7,175円です。つまり、年収は512万6,100円と推測できます。
「令和4年賃金構造基本統計調査」では、看護師の平均年収が508万1,300円とされていることから、デイケアの看護師はやや高い給料をもらえる可能性があります。
ただし、デイケアの経営元や地域などによって月収や賞与、手当などは異なるため、あくまでも目安としてとらえておきましょう。
デイケアの看護師のやりがい・つらいこと
デイケアで働く看護師は、利用者さまの回復や成長を支える喜びを感じられる一方で、職場によっては負担を感じることもあります。
やりがいやつらさを知っておくことで、自分に合った働き方を見つけやすくなるでしょう。
デイケアの看護師のやりがい
デイケアで働く看護師は、以下のようなやりがいを感じやすい傾向です。
- 利用者さまの「できることが増える」過程にかかわれる
- リハビリテーションについての学びを深められる
- 病院とは異なる看護が学べる
たとえば、利用者さまが安定して歩けるようになったり、自分で食事を食べられるようになったりなどの変化に立ち会えるのは、デイケアならではのやりがいでしょう。
治療がメインとなる病院とは違った「生活を支えるケア」に関心のある看護師にとって、学びの多い環境といえます。
デイケアの看護師のつらいこと
デイケアの看護師がつらいと感じる理由は、次のとおりです。
- デイケア以外の職場で働くケースがある
- 医療処置の機会が少なく物足りなさを感じる可能性がある
施設によってはデイケア専任ではなく、併設されているデイサービスやショートステイ、訪問看護などと兼務になるケースがあります。
想定していた業務と異なる仕事を任される場合もあるため、事前に勤務形態や担当業務の範囲を確認しておくことが大切です。
また、デイケアの利用者さまは比較的状態が安定している方が多く、医療処置の機会は限られます。
バイタルサインの測定や服薬管理が中心になることが多く「もっと医療技術を活かしたい」と考える看護師にとっては、物足りなさを感じてつらくなるかもしれません。
関連記事:デイサービスの看護師はどんな仕事?給料や働くメリットデメリットを紹介
デイケアの看護師に向いている人
デイケアの看護師に向いている人は、次のとおりです。
- ブランクがあって病院勤務に不安がある人
- ワークライフバランスを重視したい人
- 利用者さまとゆっくりかかわりたい人
- 地域医療に関心がある人
それぞれをくわしく解説します。
ブランクがあって病院勤務に不安がある人
デイケアの看護師は、ブランクがあることに不安を感じる方に向いています。
デイケアはリハビリテーションが目的の施設であるため、比較的自立している方や状態が安定している方が多い特徴です。
高度な医療処置をする機会も少ないため、ブランクがあり看護技術に不安な看護師でも働きやすい環境といえます。
関連記事:ブランクのある看護師が感じやすい不安!4つの準備とおすすめの勉強法
ワークライフバランスを重視したい人
デイケアは日中のみの営業で夜勤がなく、残業も少ない傾向であるため、プライベートを大切にしたい看護師に適しています。
決まった時間に帰宅できる職場環境は、家庭と仕事の両立を望む看護師や、プライベートの時間を確保したい看護師におすすめです。
オンとオフのメリハリをつけやすく、無理のない働き方を実現できます。
ワークライフバランスを重視して働きたい看護師は、訪問看護の分野を検討してはいかがでしょうか。「NsPaceCareer」では、訪問看護の求人を取り揃えております。あなたの希望や条件に合った求人を見つけられるでしょう。
利用者さまとゆっくりかかわりたい人
デイケアでは、利用者さまとゆっくり向き合える時間があります。
バイタルサインの確認や服薬の管理だけでなく、日常会話やリハビリテーションのサポートを通じて信頼関係を築けることが魅力です。
「一人ひとりの生活に寄り添いたい」と考える看護師に向いている職場です。
地域医療に関心がある人
デイケアは在宅生活を支える医療・介護サービスのひとつであるため、地域医療に興味のある看護師は、デイケアで働くのに向いているといえます。
医師やセラピスト、介護職などと連携しながら、地域で暮らす高齢者の生活を支える役割を担っています。
「地域に根ざした医療にかかわりたい」「住み慣れた場所で安心して暮らせるようサポートしたい」と思う看護師には、やりがいを感じやすい環境です。
関連記事:在宅看護で大切なこと9つ!特徴と在宅看護のメリット・デメリットを解説
デイケアの看護師求人の見つけ方
設の公式サイトをチェックしたり、看護師専門の求人サイトを活用したりする方法でデイケアの看護師求人を見つけられます。
- 気になるデイケアのホームページから求人情報を確かめる
- 働きたいデイケアに直接電話して看護師の募集について聞く
- 看護師専門の求人サイトを活用する
それぞれの方法を見ていきましょう。
気になるデイケアのホームページから求人情報を確かめる
働きたいデイケアがある場合、施設のホームページをチェックしてみましょう。
施設によっては「採用情報」や「求人案内」のページが設けられており、募集状況を確認できます。
応募前に施設の理念や利用者さまの様子を知れるため、自分に合う職場かどうかを見極める手がかりにもなるでしょう。
働きたいデイケアに直接電話して看護師の募集について聞く
ホームページに求人情報が掲載されていない場合でも、電話で問い合わせてみるのがおすすめです。
施設によっては、看護師が必要でも求人を出していないケースがあります。
電話での対応を通して、職場の雰囲気やスタッフの印象も知れるため、応募前の情報収集として有効な方法のひとつです。
看護師専門の求人サイトを活用する
デイケアに応募したり、問い合わせたりすることにハードルを感じる看護師も少なくありません。そんなときは、看護師専門の求人サイトを活用しましょう。
求人サイトでは「通所リハビリ」「日勤のみ」「ブランクOK」など、希望条件で絞り込んで検索できます。
たとえば「地域名+デイケア+看護師」と検索すると、勤務地や給与、勤務時間といった詳細情報が一覧で表示され、自分に合った職場が見つけやすくなります。
また、キャリアアドバイザーによる無料相談を利用できるサイトも多く、求人検索から面接対策までサポートしてくれるのも心強いポイントです。
デイケアの看護師に関するQ&A
デイケアの看護師に関するよくある質問にお答えします。現場での具体的な役割のイメージをつかみ、自分に合っているかの判断材料にしましょう。
Q1:精神科デイケアの看護師の役割と仕事内容は何ですか?
精神科デイケアの看護師の役割は、次のとおりです。
- 利用者さまの回復のサポート
- 社会復帰へ向けた支援
- 多職種連携の橋渡し
心の病によって日常生活に不安や困難を抱える利用者さまに対し、それぞれの目標に沿ったケアをおこないます。
医療行為はほとんどなく、社会生活を円滑に送るためのアドバイスやプログラムのサポートが中心です。
働きながら通所している利用者さまもいることから、夜間帯にサービスを提供しているところもあるので、勤務時間を事前に確認しておくことをおすすめします。
Q2:看護師経験が浅くてもデイケアで働けますか?
看護師の経験が浅くても、デイケアで働けます。
デイケアでは、経験よりもコミュニケーション力や利用者さまとのかかわりを大切にできる姿勢が重視されるためです。
未経験であっても丁寧に教えてくれる施設もあるため「経験があまりないから」と諦めず、まずは求人情報を確かめましょう。
デイケアでの看護師の役割を知って、自分らしい働き方を検討しましょう
デイケアで働く看護師は、医療処置だけでなく、リハビリの支援や利用者さまの生活を支える役割も担っています。
病院とは異なるやりがいや学びがあり、ブランクのある方やワークライフバランスを重視したい方にも向いている職場です。
自分に合った働き方を考えるうえで、デイケアでの看護の魅力や特徴を知っておくことは大きなヒントになるでしょう。
<参考サイト・文献>
通所リハビリテーション|厚生労働省
令和4年度介護事業経営概況調査結果|厚生労働省
令和4年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

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