献血看護師になるには?すぐに辞める6つの理由や給料、デメリットも解説

公開日:2025/05/12 更新日:2025/05/12
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献血看護師は、夜勤なしで働ける魅力的な看護職です。

しかし、思っていた条件ではなかったり、実際の業務とのギャップを感じたりしてすぐに辞めるケースも少なくありません。

この記事では、献血看護師の仕事内容や給料事情のほかに、すぐに辞めてしまう理由を解説します。献血看護師という働き方を深く理解し、自分に合った選択ができるでしょう。

献血看護師になるには?

献血看護師になるには、まず看護師免許を取得し、献血事業をおこなう日本赤十字社団体の採用試験に応募します。ここでは、次の3つのポイントについて紹介します。

  • 献血看護師が働く場所
  • 献血看護師の給料事情
  • 献血看護師に必要な資格

それぞれを詳しく見ていきましょう。

献血看護師が働く場所

献血看護師のおもな勤務先は、献血ルームや献血バス、血液センターです。​

働く場所ポイント
献血ルーム都市部の駅周辺や商業施設内などに設置されている
献血バス企業や学校、イベント会場などを巡回し、献血を実施する
血液センター採取された血液の検査や保存、製剤化などをおこなう

献血ルームでは、定時勤務が多い傾向です。献血バスは、巡回して献血をおこなうため出張や早朝勤務の場合もあります。

勤務先によって、勤務時間や業務内容が異なるため、事前に確認が必要です。

献血看護師の給料事情

病院勤務の看護師と比べると、献血看護師の給料はやや低めの傾向です。

というのも、献血看護師は夜勤や残業が少ない働き方が一般的であり、その分夜勤手当や残業手当などが支給されないからです。

​厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は519万7,000円です。一方で、献血看護師の給料は、この金額よりも低い水準になることが多いと考えられます。

2025年4月の東京都赤十字センターの求人情報を見てみると、常勤委託職員は月給24万5,000円~35万2,000円(経験による加算あり)、非常勤委託職員は時給1,800円となっています。

献血看護師に必要な資格

献血看護師に必要な資格は、看護師免許のみです。​

採血業務が中心であり採血のスキルが求められるため、病院での実務経験があると採用されやすいといわれています。

ただし、採用後に研修があるため、ブランクのある方や経験が浅い方でも安心して働けるでしょう。​

献血看護師の仕事内容とスケジュール

献血看護師のおもな仕事内容は、献血に来られた方の受付対応や問診、健康状態の確認、採血、献血後のフォローなどです。1日のスケジュールは次のとおりです。

時間業務内容
9:00~出勤、朝礼、備品の点検、清掃と消毒
9:30~献血受付開始、問診、バイタルサインの測定、血液検査
10:00~採血開始
12:00~交代で休憩
13:00~午後の献血受付開始、問診、バイタルサインの測定、血液検査
13:30~採血開始
16:30~献血終了、備品の整理、記録業務、片付け
17:30~退勤

これはあくまで一例であり、勤務する施設や曜日によってスケジュールは変わります。血液検査では、ヘモグロビン濃度をチェックして、献血ができるかどうか確認しなければなりません。献血看護師は、献血者の対応だけでなく、血液製剤に関する業務に携わることもあります。

献血看護師がすぐに辞める6つの理由

献血看護師の仕事は、社会貢献度が高く、やりがいを感じられる一方で、人にとってはストレスを強く感じる場面もあります。ここでは、献血看護師がすぐに辞めてしまう理由としてよく挙げられる6つを解説します。

  • 夜勤手当がなく給料が思ったよりも低かった
  • 人間関係に悩んだ
  • ルーチンワークに物足りなさを感じた
  • 土日出勤が多く育児との両立が難しかった
  • キャリアアップする機会が少なかった
  • 採血業務が苦手でプレッシャーを感じた
  • 働く場所が限られる

それぞれの理由を見て、献血看護師に転職した際に後悔しないようにしましょう。

夜勤手当がなく給料が思ったよりも低かった

病院勤務の看護師と比較して、給料が低くなりがちです。

とくに、病院での夜勤経験を経て献血看護師に転職した場合、収入のギャップを感じてしまうことがあります。

また、昇給のペースや賞与の額も、病院と比較して緩やかな傾向があるため、仕事に収入を求める看護師にとっては、物足りなさを感じるかもしれません。

関連記事:看護師の病院以外の職場・職種20選

人間関係に悩んだ

献血ルームや献血バスのようなところの場合、働いているスタッフが少人数です。

相性が合わずトラブルが発生すると、精神的な負担が大きくなる恐れがあります。また、幅広い年齢層のスタッフが働いているため、世代間ギャップに悩み早期の退職につながるケースもあります。

ルーチンワークに物足りなさを感じた

基本的に、献血看護師の業務は問診と採血が中心となるため、同じ作業の繰り返しになりがちです。

献血者の体調の変化に気づき、適切に対応することは重要ですが、病院のような急変の場面に立ち会う機会が少なく、成長を感じにくいと思う看護師もいるようです。

土日出勤が多く育児との両立が難しかった

献血ルームは、土日や祝日も営業しており平日休みが基本となるシフト制のため、子どもの学校行事や家族の予定に合わせにくいケースもあります。

また、献血バスでの勤務は、早朝出勤や遠方への移動も発生します。

土日出勤が想定よりも多かったり、勤務時間に融通が効かなかったりする場合は、仕事と育児の両立が難しくなるでしょう。

これらの事情から、すぐに辞めて転職する方もいます。

キャリアアップする機会が少なかった

献血看護師はスペシャリストとしての道が限られており、キャリアアップの機会が少ないと感じる方がいます。

病院では認定看護師や専門看護師などの資格取得を目指せますが、献血の現場で働いている場合、それらの受験資格を得られず、専門性を活かす場が限られがちです。

日本赤十字社内での研修制度や、別の部署に異動する可能性もありますが、病院と比較するとキャリアアップが限られていると感じるかもしれません。

臨床のスキルが徐々に失われていくことに不安になり、将来のキャリア展望を描きにくいという理由から退職する看護師もいます。

採血業務が苦手でプレッシャーを感じた

献血看護師のおもな業務は採血であるため、採血スキルが重要視されます。

病院での採血とは異なり、献血専用の針を使用するため、技術的な難しさがあります。失敗すると献血者さまに負担をかけるだけでなく、貴重な血液を無駄にしてしまうため、プレッシャーが強くなる傾向です。

採血に苦手意識があるとストレスになり、早期退職につながるケースもあります。

働く場所が限られる

献血看護師として働ける場所は、基本的に日本赤十字社の血液センターや献血ルームに限定されます。

全国にネットワークはありますが、地方では施設数が少なく、自宅から通える範囲に職場がないこともあります。

関連記事:看護師資格が使える珍しい求人25選!自宅でできる仕事やメリット 

献血看護師に転職するメリット

献血看護師への転職には、多くのメリットがあります。

  • 夜勤なしで働くことができる
  • 残業が少なく休みを取りやすい
  • 病院よりも身体的な負担を感じにくい
  • 日本赤十字社の社員のため待遇が良く安定している
  • パートやバイトから正社員になれる可能性もある

夜勤がなく規則正しい生活を送れることや、残業が少なく休みを取りやすい点が魅力です。 また、病院勤務と比べて身体的な負担が少なく、働きやすい環境といえます。

夜勤なしで働くことができる

献血看護師は、夜勤がなく規則正しい生活リズムを維持しやすいことがメリットです。

とくに、夜勤による体調不良や家庭との両立に悩んでいた看護師にとっては、献血看護師への転職は健康的な働き方につながるでしょう。

残業が少なく休みを取りやすい

献血ルームは営業時間が決まっているため、残業は少ない傾向にあります。

また、有給休暇も取得しやすいといわれているため、ワークライフバランスを重視する看護師にとっては働きやすい環境です。

事前に計画を立てておくと、家族の用事を優先できるでしょう。

病院よりも身体的な負担を感じにくい

献血看護師は、患者さまの体位変換や入浴介助などの重労働がないため、病院勤務の看護師と比べると、身体的な負担を感じにくいというメリットがあります。

また、基本的に健康な献血者を対象であり、献血後の症状の観察やケアが中心となるため、急変対応にともなう精神的ストレスも軽減されます。

体力的な不安を感じていた看護師にとって、献血看護師は心身ともに負担の少ない魅力的な選択肢になるでしょう。

日本赤十字社の社員のため待遇が良く安定している

献血看護師は日本赤十字社の職員として働くため、待遇が良く安定しています。

公益法人である日本赤十字社は長い歴史と実績があり、雇用の安定性が高いといわれているためです。

福利厚生があり、長期的なキャリアプランを立てやすい環境です。災害時の派遣といった赤十字ならではの社会貢献活動に参加できる機会もあります。

非常勤嘱託職員や常勤嘱託職員から正社員になれる可能性もある

東京都赤十字センターでは、年に2回、常勤嘱託職員から正職員への登用試験を実施しているようです。

家庭の事情でフルタイム勤務が難しい時期に常勤嘱託職員として働き始め、条件が整ったタイミングで正職員を目指すことも可能です。

業務内容を確認してから正社員を検討できるのはメリットです。また、パートやバイトの段階でも研修を受けられるため、スキルアップできるでしょう。

献血看護師に転職するデメリット

献血看護師への転職にメリットがある一方で、いくつかデメリットがあります。

  • 土日に働かなければならない
  • すぐ辞める人が多く人間関係を築くのが難しい
  • 医療処置やケアのスキルアップが限定的である
  • 病院よりも接遇スキルが求められる

それぞれを詳しく見ていきましょう。

土日に働かなければならない

献血看護師には、平日だけでなく土日の勤務が求められます。

土日は献血者が多くなるため、業務量も増えやすいです。土日休みを重視する看護師は、応募前に勤務条件をしっかりと確認することが大切です。

休みが取りやすく、プライベート重視で働きたい方は、訪問看護師を検討してみてはいかがでしょうか。「NsPaceCareer」は訪問看護業界に特化した求人サイトです。あなたの希望に合った職場を見つけられるでしょう。

すぐ辞める人が多く人間関係を築くのが難しい

献血看護師は、理想と現実のギャップから早期退職する人が少なくありません。

そのため、職場によっては人の入れ替わりが激しく、人間関係を築けない場合もあり、チームワークの乱れが業務効率に影響します。

人間関係を重視する方や、長く同じ職場で働きたい方は、転職前に職場の雰囲気や離職率について情報収集することをおすすめします。

医療処置やケアのスキルアップが限定的である

献血看護師として働く場合、病院でおこなう多様な医療行為やケアの経験を積むことが難しいため、看護技術が偏り、スキルアップに不安を感じる看護師もいます。献血看護師は、次のような業務をおこないます。

  • 採血
  • 問診の聴取
  • 採血後の体調不良者への対応

急性期病院での経験が長い看護師は、スキルの幅が狭まることにフラストレーションを感じることもあるかもしれません。

また、将来的に病院に戻りたいと考えている看護師にとっては、スキルの低下が懸念されます。キャリアを重視してさまざまな看護技術を磨きたい看護師にとっては、物足りなさを感じる可能性があります。

病院よりも接遇スキルが求められる

献血ルームや献血バスに来る人は、ボランティアとして血液を提供しに来ているため、病院以上に接遇スキルが求められます。

接遇の質が献血者の再来につながるきっかけにもなるため、高いレベルのサービスが求められます。接客が苦手な方や、医療技術を中心に仕事をしたい方にとっては、この点がストレスになるでしょう。

献血看護師に向いている人

献血看護師に向いている人の特徴は次のとおりです。

  • 採血技術に自信がある人
  • 接客対応が得意な人
  • 夜勤なしの働き方を希望する人
  • 規則正しい生活リズムを大切にしたい人
  • 社会貢献に意義を感じられる人
  • 採血以外の看護業務に未練がない人

こういった特徴がある人は、献血看護師として長く勤められるでしょう。

献血看護師の体験談

実際に献血看護師として働いていた人々の体験談を紹介します。現場の生の声から、献血看護師の現状を知ることができます。体験談を参考にして、献血看護師が自分に合うかどうか判断する材料にしてください。

体験談1:夜勤から解放されて体調が安定しました

病院で7年間働いた後、体調不良が続いて献血看護師に転職しました。最初は給料が減ってしまって不安でしたが、夜勤がなくなったことで睡眠の質が上がり、体調が大幅に改善しました。

体験談2:採血業務に不安がありましたが先輩看護師が教えてくれました

採血業務には不安がありましたが、先輩看護師が丁寧に教えてくれたので、すぐに慣れることができました。献血者の方々は、社会貢献のために協力してくださっているので、気持ち良く接することができます。献血の社会的意義は大きく、輸血を必要とする患者さまの命を支える重要な仕事だと確信できるのは大きなやりがいです。

体験談3:キャリアアップについて考えております

献血看護師として3年働いていますが、このままで良いのか心配になります。看護師としてのスキルアップを考えると、このままでは臨床能力が低下してしまうのではないかという不安があります。また、献血ルームでの昇進の道も限られており、将来のキャリアパスが見えにくいです。ただ、生活リズムが安定し、体力的な負担が少ないため、長く働き続けられる環境だとも感じています。献血の社会的意義を考えると誇りを持って取り組めますが、看護師としての専門性を高めたい気持ちとの葛藤があります。

「すぐ辞める」を避けて献血看護師の求人を探すコツ

献血看護師として長く働くためには、自分に合った職場を見つけることが重要です。

  • 求人サイトやエージェントを活用する
  • バイトやパートから始められる求人を探す
  • 体験談や口コミを参考にして求人を探す

それぞれの求人を探すコツを押さえていきましょう。

求人サイトやエージェントを活用する

献血看護師の求人を探す際は、看護師専門の求人サイトや転職エージェントを活用するのがおすすめです。

非公開求人や、職場の内部情報に詳しい場合もあるため、自分で探すよりも効率的に情報収集できます。勤務時間や休日数のほかに、次のような情報を教えてもらえる可能性があります。

  • 残業時間
  • 業務内容
  • 有給休暇の取得率

気になるポイントを事前に確認できるのはメリットです。面接や履歴書の添削対策などのサポートも受けられるため、転職の成功率が高まるでしょう。

バイトやパートから始められる求人を探す

いきなり正職員として転職するのではなく、パートやアルバイトとして働いてみるのもひとつの方法です。

短時間の勤務から始めることで、仕事と家庭の両立もしやすく、自分のペースで慣れていけます。バイトやパートから始められる求人を探してみましょう。

体験談や口コミを参考にして求人を探す

献血看護師の体験談や口コミは貴重な情報源です。

看護師向けのSNSやブログ、転職サイトの口コミなどを参考にすることで、求人票だけではわからない職場の様子を伺うことができるでしょう。

ただし、個人の主観も含まれるため、いくつかの情報源から判断することが大切です。可能であれば、実際に献血ルームに足を運んで雰囲気を確認したり、現職の看護師に話を聞く機会を設けたりすることもおすすめです。

まとめ:献血看護師のすぐ辞める理由を押さえて自分らしい働き方を実現しよう!

献血看護師の仕事は、輸血を必要とする患者さまの命を支える重要な社会貢献であり、その意義を実感できる方には大きなやりがいとなります。

また、生活リズムが安定し、身体の負担も少ない魅力的な職場です。

しかし、給料面での不満や人間関係の難しさ、キャリアアップの限界などから早期退職する人も少なくありません。

転職前に「給与条件」「勤務シフト」「職場の雰囲気」などをしっかり確認して、すぐに辞めるリスクを減らすことが大切です。自分の価値観やライフスタイルに合った働き方を選び、長く続けられる職場環境を見つけましょう。

<参考サイト・文献>

令和6年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

採用情報|日本赤十字社 東京都赤十字センター

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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