クリニック看護師の仕事内容4つ!診療科別の仕事内容とメリットを紹介

クリニックで働く看護師の仕事は、病院とは少し異なる専門性があります。
この記事では、クリニック看護師のおもな仕事内容を4つにまとめ、さらに診療科別にどのような仕事をするのかを詳しく解説します。クリニック看護師の仕事内容を知ることは、あなたのキャリアプランを考えるうえで役立つでしょう。
クリニック看護師の仕事内容4つ!
クリニック看護師の仕事は多岐にわたりますが、ここでは重要な4つの仕事内容について解説します。
- 医師の診療の補助
- 患者さまの病状の把握
- 受付や電話対応
- 器具の消毒と管理
それぞれを詳しく見ていきましょう。
医師の診療の補助
診療のスムーズな進行をサポートするがクリニック看護師の重要な役割です。
医師の指示に従って、処置の補助や医療器具の準備をおこないます。たとえば、次のような業務を担当します。
- 注射や点滴の準備や実施
- バイタルサイン測定
- 処置室の準備や片付け
クリニックの診療科によっては、専門的な医療機器の操作も求められることがあります。
患者さまの病状の把握
患者さまの症状を正確に把握し、医師に伝えたり、適切なケアを提供したりすることは、クリニック看護師の大切な仕事です。
というのも、患者さまの訴えや症状の変化を把握することで、医師は診断でき、治療方針を決められるからです。
具体的には、看護師は患者さまから体調の変化や気になる症状などを丁寧に聞き取り、その内容をカルテに記録したり、医師に口頭で伝えたりします。検査後には、患者さまの状態を観察し、異常がないかを確認します。
患者さまの小さな変化に気づき、適切に対応することで、患者さまが安心して治療を受けられるように努めます。
受付や電話対応
クリニックでは、予約の管理や患者さまの案内、電話での問い合わせ対応など、看護師が事務的な業務も担当する場合があります。
とくに、小規模なクリニックでは、看護業務以外の業務をこなす必要があるのです。これにより、クリニックの運営がスムーズになり、患者さまの満足度の向上が期待できます。
器具の消毒と管理
感染予防のため、使用した医療器具の洗浄や滅菌、在庫の確認、発注などを看護師がおこないます。
診察室や処置室の清掃・整備、薬品や備品の在庫管理も看護師の重要な役割です。
とくに、これらは感染症対策や医療安全につながるため、患者さまの安全を守るために気をつけなければなりません。
診療科別のクリニック看護師の仕事内容
クリニック看護師の仕事内容は、診療科によって異なります。ここでは、いくつかの診療科を例に、具体的な仕事内容を紹介します。
- 精神科クリニック
- 小児科クリニック
- 内科クリニック
- 眼科クリニック
- 耳鼻科クリニック
- 皮膚科クリニック
- 整形外科クリニック
それぞれの仕事内容を知って、自分に合った診療科に転職しましょう。
精神科のクリニック看護師の仕事内容
精神科クリニックでは、患者さまの心理的なサポートをすることが看護師の仕事です。おもな内容は次のとおりです。
- 問診での情報収集
- 症状の観察・記録
- 服薬指導
- 生活指導
- 心理テストの実施補助
患者さまの話をじっくり聴く姿勢が重要です。また、患者さまの些細な変化を、医師に報告することで患者さまの回復を支援し、病状の悪化を防ぎます。
小児科のクリニック看護師の仕事内容
小児科クリニックでは、子どもの特性を理解したうえでのケアと保護者への対応が求められます。
- 予防接種の準備と補助
- 成長発達のチェック
- 保護者への指導
子どもが治療や検査を怖がらないように優しく声をかけたり、遊びを取り入れたりする工夫が不可欠です。また、保護者に対して病状や治療の内容、ケアの方法などを分かりやすく説明し、不安な気持ちを軽減することも大切な役割です。
内科のクリニック看護師の仕事内容
内科のクリニック看護師の仕事内容は、慢性疾患の管理や健康診断の補助が中心です。具体的には、次の業務をおこないます。
- バイタルサインの測定
- 採血や検査の準備
- 生活習慣の指導
高血圧や糖尿病などの生活習慣病の患者さまに対して、食事療法や運動療法などの生活指導をおこない、自己管理できるようにサポートします。
眼科のクリニック看護師の仕事内容
眼科クリニックにおける看護師は、特殊な検査補助がおもな業務です。
- 視力検査
- 眼圧測定
- 視野検査
検査のほかに、点眼薬の指導や患者さまへの説明などもクリニック看護師が担います。
また、白内障手術といった日帰り手術をおこなうクリニックでは、手術の準備や術後のケアをおこなうことで、患者さまの視力回復をサポートします。
耳鼻科のクリニック看護師の仕事内容
耳鼻科のクリニック看護師のおもな仕事内容は次のとおりです。
- 聴力検査
- 鼻腔内の処置補助
- アレルギー検査
ほかにも、点鼻薬の指導やネブライザーの処置、患者さまへの説明などもおこないます。また、めまいや発作性難聴などの急性症状への対応も必要になります。
季節性アレルギーの時期や感染症が流行する時期には患者さまが増加するため、診療補助を効率的に進めなければなりません。
皮膚科のクリニック看護師の仕事内容
皮膚科クリニックにおいて、看護師の業務内容は次のとおりです。
- 皮膚の観察
- 軟膏塗布や処置
- スキンケアの指導
アトピー生皮膚炎や乾癬(かんせん)などの慢性的な皮膚疾患が多いため、継続的なサポートが求められます。
美容皮膚科では、レーザー治療やケミカルピーリングなどの美容施術の補助をおこなうこともあります。
整形外科のクリニック看護師の仕事内容
整形外科のクリニック看護師は次の業務を担います。
- レントゲン撮影の準備
- ギプスやシーネの装着補助
- リハビリテーションの指導
また、骨粗鬆症や関節リウマチなどの慢性疾患の管理もおこないます。高齢者やケガをした患者さまが多いため、安全への配慮や転倒予防の指導も必要です。
クリニック看護師の1日のスケジュール
一般的なクリニック看護師の1日のスケジュール例をご紹介します。
時間 | 仕事内容 |
8:30 | 出勤 |
8:45~ | 開院の準備・カルテや器具の準備 |
9:00~ | 午前診療の開始 患者さまの対応・バイタルサインの測定・診療の補助 |
12:30~ | 交代で休憩 |
14:00~ | 午後診療開始 患者さまの対応・バイタルサインの測定・診療の補助 |
18:00~ | 診察終了 診察室の清掃と準備・器具の消毒 |
19:00 | 退勤 |
このスケジュールは、クリニックの規模や診療科などによって変わるため、あくまでも参考としてください。
病院とは異なり、クリニックによっては12:00頃に一旦締まり、14:00頃に開くこともあります。この時間は、看護師が休憩したり、器具の消毒をしたり、午後からの診療の準備をしたりします。
クリニック看護師のメリット・デメリット
クリニック看護師として働くことには、さまざまなメリットとデメリットがあります。自分のライフスタイルや希望に合った働き方を選ぶために、それぞれを理解しておきましょう。
クリニック看護師は楽しい・メリット
規則的な勤務時間で働けるのがクリニック看護師のメリットです。
ほとんどのクリニックでは夜勤がなく、土日祝日が休みというところも多いため、プライベートの時間を確保しやすいでしょう。
また、患者さまと長期的な関係を築けるのも魅力です。患者さまの生活背景を深く理解したケアができるため、やりがいや楽しさを感じることもあります。さらに、クリニック看護師のメリットを下記の記事で解説しているため、ぜひ参考にしてください。
関連記事:クリニック看護師のメリット・デメリットとは?どんな人が向いている?
クリニック看護師はつらい・デメリット
クリニック看護師として働く際、次のようなデメリットが考えられます。
- 業務範囲が広い
- 人間関係の悩み
- スキルアップの機会が少ない
少人数体制のため、看護業務以外にも受付や清掃などの雑務をこなす必要があるため、つらさを感じることもあります。スタッフの入れ替わりが少なく、職場の人間関係が変わらないため、一度関係が悪化すると居心地が悪くなるかもしれません。
また、クリニックは病院と比べて、勉強会や研修は少ないといわれているため、専門性を高めにくい環境です。
クリニックでの勤務を検討する際には、自身のキャリアプランや働き方の希望と照らし合わせて判断することが重要です。
このようなところがデメリットであると感じている方は、訪問看護への転職を考えてみませんか。訪問看護の分野では、さまざまなケアや医療処置を経験できるため、看護師としてスキルアップできるでしょう。
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関連記事:クリニック看護師がつらいと思う理由は?対処法から退職手順まで解説
クリニック看護師になるために必要なスキル
クリニックで求められるスキルは、次のとおりです。
- 基本的な看護技術:採血、注射、点滴などの基本的な手技
- コミュニケーション能力:患者さまとの円滑なコミュニケーション
- 臨機応変な対応力:少人数体制のため状況に応じて柔軟に対応する力
- 責任感:スタッフ一人ひとりが多様な役割を担うため、責任をもって業務に取り組む姿勢
これらのスキルを身につけることで、クリニックでの業務を楽しいと感じられるでしょう。
クリニック看護師に向いている人の特徴
クリニック看護師として長く活躍するために、自分の適性を理解することが大切です。次のような特徴がある人は、クリニック看護師に向いています。
- 診療科の専門的な知識やスキルがある人
- 地域医療に貢献したい人
- 看護師業務ではない業務にも取り組める人
- 給料は低くてもワークライフバランスを重視した人
それぞれの特徴を見ていきましょう。
診療科の専門的な知識やスキルがある人
特定の診療科に関する深い知識や経験がある看護師は、専門クリニックで活躍できます。
たとえば、眼科での経験は、眼科クリニックで特殊な検査をおこなう際に専門性を活かせます。小児科での経験は、うまくケアを進められるように遊びを取り入れるといった工夫ができるでしょう。
説明や指導もしっかりできるため、患者さまの満足度も高まるでしょう。
地域医療に貢献したい人
クリニックは地域の健康を支える重要な存在といえます。
患者さまとの距離が近く、継続的な関わりを通して信頼関係を築けるため、地域医療に貢献したい人にぴったりです。
一人ひとりに寄り添ったケアを実践できるのも魅力です。
看護師業務ではない業務にも取り組める人
多様な仕事に臨機応変に対応できる柔軟性のある人は、クリニックで働くことに向いています。
クリニックでは看護業務だけでなく、受付や会計、清掃などさまざまな業務を担当する場合があるからです。
事務作業が苦にならない人や、患者さまとの対話を大切にしたい人にも適性があります。また、経営的な視点を持って業務改善に取り組める人は、クリニックの運営に貢献できます。

給料は低くてもワークライフバランスを重視した人
病院と比較した、クリニックの給料を次の表にまとめました。
施設 | 平均基本給額 | 平均税込給与総額 |
クリニック | 25万9,062円 | 35万4,563円 |
病院 | 27万7,696円 | 38万6,046円 |
このように、クリニックと病院では、平均の基本給額に1万8,634円の差があります。
ただし、クリニックは夜勤がなく、土日祝日が休みというところが多いため、プライベートの時間を確保しやすい傾向です。そのため、給料は低くても、ワークライフバランスを重視したい人にもクリニック看護師が向いているといえます。
クリニック看護師の求人を探すコツ
看護クリニックの求人を探す際は、次のポイントに注目してください。
探すコツ | ポイント |
診療科を絞って探す | 自分の経験や興味がある診療科を明確にする |
勤務条件を確認する | 勤務時間や休日、残業の有無などを事前に確認する |
複数の求人サイトを活用する | 看護師専門の求人サイトを複数活用する |
クリニックの規模や特色を調べる | 診療内容や患者さまの層によって業務内容が変わる |
面接で業務内容を質問する | 看護業務以外の仕事についても確認する |
それぞれのポイントを押さえられると、自分の希望や条件に沿った転職を実現できるでしょう。
クリニック看護師に関するQ&A
クリニック看護師についてのよくある質問とその答えを紹介します。
Q1:採血ができなくてもクリニック看護師になれますか?
採血ができなくてもクリニック看護師として働ける可能性があります。
診療科によっては採血が必要ない場所もあります。とくに、精神科や皮膚科、眼科などでは採血の機会が少ない傾向です。
また、入職後に先輩看護師から採血の技術を教えてもらえることもあるため、採血のスキルがなくても看護師として働くことができるでしょう。
Q2:クリニックで働く看護師の時給はいくらですか?
クリニック看護師の平均時給は1,400円~1,600円が相場とされています。
この時給は、地域や診療科、経験などによって異なります。クリニックへの転職を検討している看護師は、美容クリニックや歯科クリニックなど、自由診療をおこなっているところを選ぶと、高時給になる傾向があります。
まとめ:クリニック看護師の仕事内容は診療科によって変わる!働き方を理解してキャリアの選択肢を広げよう
クリニック看護師の仕事内容は、医師の診療補助や患者さまの状態把握、受付業務、医療器具の管理などを担当します。
規則的な勤務時間で働けることや、地域医療に貢献できることなどがメリットとして挙げられます。
病棟とは異なる環境で、専門性を発揮したケアを提供することで、新たなやりがいを見つけられるでしょう。クリニックへの転職を考えている看護師は、診療科の仕事内容や、ご自身のスキル、適性を慎重に検討し、自分に合った働き方を見つけてください。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。