保育園看護師の仕事内容9つ!病院との違いや給料、向いている人も紹介

保育園で働く看護師がいることは知っていても、実際にどのような仕事をしているのか、保育園と病院の働き方の違いが何かなど、具体的に把握している方は少ないのではないでしょうか。
保育園看護師は、園児たちの健康と安全を守る、やりがいのある仕事です。
この記事では、保育園看護師の具体的な仕事内容から病院看護師との違い、向いている人の特徴まで詳しく解説します。保育園看護師の仕事への理解が深まり、あなたのキャリアを考えるうえで役立つでしょう。
保育園看護師の仕事内容9つ
保育園看護師の仕事は園児の健康管理だけでなく、保育環境の整備や保護者・スタッフへの支援など幅広い役割を担っているため多岐にわたります。おもに次の9つの内容が含まれます。
- 園児の健康管理・発育発達の把握
- 園児への手洗いとうがいの指導
- 園児の病気・ケガ・アレルギーへの対応
- 保育園で働くスタッフへの教育
- 保育園内外の環境・衛生管理
- 遠足や園外保育などのイベント・行事への同行
- 保護者への情報提供
- 健康診断や歯科健診の対応
- 保育業務のサポート
それぞれ詳しく見ていきましょう。
園児の健康管理・発育発達の把握
園児の健康状態を日々観察し、異変があれば迅速に対応することが保育園看護師の仕事です。園児の年齢によっては、自分の体調をうまく伝えられないため、看護師の観察力が不可欠です。
また、発達障害の早期発見・早期支援により、不登校や暴力などの二次障害の予防をすることも保育園看護師の役割です。
もし気になることがあれば、保育士とすぐに連絡を取り合い、必要に応じて保護者に連絡して医療機関への受診をすすめることも大切です。
園児への手洗いとうがいの指導
保育園看護師は、感染症予防の基本である手洗いやうがいの習慣づけをおこなうことも重要な役割です。
園児が楽しく取り組めるように、手洗いの歌に合わせて指導したり、ばい菌に見立てたスタンプで洗い残しを確認したりするなどの遊びを取り入れると効果的です。
園児の健康を守るため、楽しみながら習慣づけられるように指導を工夫しましょう。
園児の病気・ケガ・アレルギーへの対応
保育中に園児が体調を崩したり、ケガをしたり、アレルギー症状が出たりした場合、保育園看護師は落ち着いて状況を把握して、応急処置をおこないます。
発熱した園児を安静にさせたり、軽い擦り傷を消毒し保護したりします。症状の程度が重い場合は、速やかに保護者へ連絡し、医療機関を受診できるように調整します。
また、アレルギーがある園児には、除去食の確認や誤食防止の対策、アナフィラキシーショックが起きた際の対応など、一人ひとりの状況に応じたサポートが必要です。
園児の安全と健康を守るために、応急処置やアレルギー対応に関する知識とスキルを身につけるようにして、対応できるように備えてください。
保育園で働くスタッフへの教育
保育士やほかのスタッフに対して、感染症予防や衛生管理、救急法の教育をおこないます。スタッフが正しい知識を持つことで、園全体の衛生環境の向上や疾患の早期発見に繋がり、園児の健康を守ることができます。
たとえば、定期的な研修をおこなって最新の感染症の情報や衛生管理のポイントを共有したり、日々の保育のなかで気になることがあればアドバイスしたりします。
園児が安全な環境で過ごせるように、積極的にスタッフと連携し、教育に力を入れましょう。
保育園内外の環境・衛生管理
園児が事故なく安全に過ごせるように保育室や遊具、トイレなど保育園の衛生環境を整えることも大切な役割です。
具体的には、消毒や清掃のチェックや衛生用品の管理、公園などの安全点検をおこないます。とくに、感染症が流行しやすい季節には、定期的な換気や消毒の徹底を呼びかけます。
また、乳幼児突然死症候群(SIDS)のような午睡中の事故を防ぐため、寝具の環境設定や午睡中の観察も大切です。
遠足や園外保育などのイベント・行事への同行
園外の活動時には、保育園看護師が同行し、園児の体調管理をおこないます。
園児は慣れない環境で体調を崩したり、思わぬケガをしたりするリスクがあるため、保育園看護師が同行することで、安心して活動できます。
遠足の際には、救急セットを持参し、移動中や活動中の園児を観察します。事前に、訪問先の近くにある医療機関の情報を把握しておくことが重要です。
園児が安全に活動を楽しめるように、万全の準備を心がけましょう。
保護者への情報提供
園児の健康状態や感染症情報などを、保護者にわかりやすく伝えることも保育園看護師の仕事には欠かせません。
「保健だより」「保育園通信」などを作成し、季節ごとの注意点や流行している病気の情報をお知らせして、家庭でも予防できるようにします。
保護者との信頼関係を築き、連絡を取り合うことで、園児の健康な成長をサポートします。
健康診断や歯科健診の対応
定期的な健康診断や歯科健診の際には、医師のサポートや記録の管理をおこないます。
健診で異常が見つかった場合は、医師と連携をとり、保護者へ医療機関の受診を促します。園児の健康維持のため、丁寧な対応を心がけましょう。
保育業務のサポート
保育園看護師は保育士と連携し、園児の生活全般をサポートします。
とくに、0歳児クラスでは、副担任として食事のお手伝いやおむつ交換、遊びの見守りなど保育に深くかかわることもあります。積極的に保育に参加することにより、園児の小さな変化にも気づきやすくなります。
ただし、看護業務に支障のない範囲で保育に参加しましょう。
保育園看護師の1日のスケジュール
保育園看護師の1日は、保育士と情報を共有して、園児の健康状態を確認することから始まります。具体的なスケジュール例は次のとおりです。
時間 | 業務内容 |
8:00 | 出勤 |
8:15~ | 保育士との情報共有、園児の健康状態の確認(検温、目視など)、薬の管理 |
9:00~ | 保育業務のサポート、園児の遊びの見守り、おむつ交換 |
11:30~ | 手洗い・うがい指導 |
12:00~ | 園児と昼食、与薬 |
13:00~ | 休憩 |
14:00~ | 午睡の準備・観察、衛生管理(おもちゃの消毒など)、記録作成 |
15:00~ | 保育業務のサポート、保護者への連絡、保健日誌の記録、健康だより作成 |
17:00 | 退勤 |
日中は保育補助や健康管理、書類作成、保護者への連絡などをおこない業務を終えます。規則的な勤務時間で、ワークライフバランスが取りやすい職場です。
ただし、このスケジュールは一例であり、園や行事によって、勤務時間や業務内容が異なる場合があります。
保育園看護師と病院看護師の違い
保育園看護師と病院看護師の違いは、次のとおりです。
- 働いている人数
- 医療処置の機会
- 勤務形態
基本的に、保育園看護師は1名体制で勤務します。病院看護師と異なり、医療行為をおこなう機会は少なく、園児の健康管理や保育補助が中心です。
また、保育園での業務では夜勤がなく、勤務時間が安定しているため、家庭と仕事を両立しやすいです。
保育園看護師のメリットとやりがい
保育園看護師として働くことには、多くのメリットとやりがいがあります。
- 園児とかかわる場面が多い
- 勤務が規則的でスケジュールを立てやすい
- 医療行為のプレッシャーが少ない
- 保育園の質向上に貢献できる
病気やケガの対応だけでなく、日々の保育のなかで園児の笑顔に触れ、成長を間近で見守ることができます。子ども好きな看護師にとって、大きな喜びとなるでしょう。
さらに、詳しいメリットを知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
関連記事:保育園看護師とは?給料や5つの仕事内容、求人のポイントを紹介
保育園看護師のデメリットとつらさ
保育園看護師のメリットとやりがいがある一方で、デメリットやつらさを感じることもあります。
- 給料が下がる可能性がある
- 看護師1名で対応しなければならない
- 保育業務を任されることがある
- 医療現場の情報から遠ざかる
すべて一人で対応しなければならないことへのプレッシャーや、専門性を維持することへの不安を強く感じる保育園看護師もいます。
保育園看護師に向いている人
保育園看護師に向いている人の特徴を紹介します。
- 子どもが好きな人
- コミュニケーション能力が高い人
- 1人でもアセスメントして行動できる人
- 小児科や児童福祉施設での経験が豊富な人
それぞれの特徴を知って、保育園看護師の働き方が自分に合っているのかチェックしてください。
子どもが好きな人
保育園看護師は、毎日園児とかかわる仕事であるため、子どもが好きであることは必須条件といえ、子どもの成長を喜び、寄り添える人が向いています。
たとえば、子どもの小さな変化にも気づき、優しく対応できる方が望まれます。また、子どもたちの笑顔を見ることに喜びを感じられる人は、この仕事を通して大きなやりがいを得られるでしょう。
コミュニケーション能力が高い人
保育士や保護者との連携が必要なため、保育園看護師には円滑なコミュニケーションが求められます。相手の立場を理解し、適切な対応ができる人が向いています。
保護者や保育士からの相談に親身になって応じ、より良い信頼関係を築くことで、園児の健やかな成長をサポートしましょう。
1人でもアセスメントして行動できる人
看護師は1名体制のため、緊急時や予期せぬ事態に、迅速に行動できる能力が不可欠です。
園児の急に熱を出したり、転んでケガをした場合、園児に対応しながら保護者へ連絡したり、医療機関の受診を検討したりなどスムーズにおこなえる方が適しています。
小児科や児童福祉施設での経験が豊富な人
小児科や児童福祉施設などでの勤務経験があると、子どもの病気や発達への理解があるため、保育園看護師の仕事に活かしやすいでしょう。
小児科での経験があると、発熱やケガのほかに、アレルギーや感染症などの症状が現れた際に、専門的な知識にもとづいて判断して保育士や保護者にアドバイスできます。
また、児童福祉施設での経験は、虐待のサインに気づいたり、発達の遅れが気になる子どもへの適切な対応を考えたりする際に役立ちます。
保育園看護師の求人を探すコツ
保育園看護師の求人を探す際には、次の点に注目すると良いでしょう
- 保育園看護師の仕事内容
- 保育園の規模と人員体制
- 園児の人数と年齢
- 待遇と福利厚生
それぞれを見ていきましょう。
保育園看護師の仕事内容
保育園看護師の仕事内容は、勤務先により異なります。
そのため、求人情報に記載されている仕事内容を確認し、自分のスキルや経験を活かせるか、興味を持って取り組める内容かなどを確認しましょう。
保育園の規模と人員体制
保育園の規模や人員体制によって、看護師の役割や業務量が異なります。
小規模な保育園では、看護業務以外の幅広い業務を任されることもあります。看護業務に可能な限り専念したいと考えている方は、保育園の規模が大きいところを選びましょう。
園児の人数と年齢
保育園看護師として働くうえで、園児の人数や年齢層は、求められる知識やスキルに影響するため、事前に確認しておくことが重要です。
受け持つ園児の人数が多ければ、一人ひとりの健康状態を把握するために、より効率的な観察力や情報収集能力が求められます。また、年齢層が異なれば、かかりやすい病気や発達段階に応じたケアのポイントも異なるからです。
0歳児から5歳児まで幅広い年齢層を受け入れている保育園もあれば、特定の年齢層に特化したところもあります。
とくに、0歳児クラスのように、まだ言葉で自分のことをうまく伝えられない年齢の園児が多い場合、保育園看護師は体調の変化に敏感に対応することが必要です。
自分の得意な年齢層や経験に合った保育園を選ぶことが、長く働き続けるためのポイントです。
待遇と福利厚生
保育園看護師の給与や福利厚生は、勤務先によって異なります。
一般的に、病院勤務の看護師と比べて給与水準はやや低い傾向があります。
しかし、保育園では夜勤がなく、勤務時間が規則的であるため、ワークライフバランスを重視する方には適しています。
求人情報では、給与だけでなく、交通費の支給や社会保険の有無、育児休暇制度などの福利厚生も確認しましょう。
また、保育園看護師への転職を考えている方はこちらの記事もご参考にしてみてください。
【例文つき】保育園で働く看護師の志望動機!小児科経験なしでも採用される方法4つ – NsPace Career(ナースペース キャリア) – 訪問看護業界に特化した求人サイト
保育園看護師に関するQ&A
保育園看護師に関して、よくある質問とその回答をご紹介します。
Q1:小児科経験なしでも保育園看護師になれますか?
小児科経験がなくても、保育園看護師として働くことは可能です。
保育園では、一般的な健康管理や応急処置がおもな業務となるため、必ずしも小児科での専門的な経験が必須ではありません。
入職後の研修制度が充実している保育園や、先輩看護師のサポート体制が整っている職場を選ぶと、安心して働くことができるでしょう。
Q2:保育園看護師がすぐに辞める理由は何ですか?
保育園看護師が早期に退職するおもな理由として、次の点が挙げられます。
- 給与水準が病院勤務より低いこと
- 看護師が1名体制であるため、責任や負担が大きいこと
- 保育業務への関与が予想以上に多いこと
- 医療現場から離れることでスキルの維持が難しいと感じること
これらを事前に理解し、自身の希望やキャリアプランと照らし合わせて職場を選ぶことが重要です。
Q3:保育園に必ず看護師はいますか?
保育園に必ず看護師がいるとは限りません。日本保育協会の調査による保育園看護師の配置人数の現状を次の表にまとめました。
看護師の配置人数 | 割合 |
0人 | 70.7% |
1人 | 26.3% |
2人 | 2.6% |
3人 | 0.3% |
4人 | 0.1% |
保育園の70.7%は看護師がいません。また、看護師がいても、基本的には1人のみであり、2人以上は看護師がいるところは珍しいようです。
まとめ:保育園看護師のおもな仕事は園児の健康管理!自分の希望に合った求人を見つけよう
保育園看護師は、園児の健康管理や保育業務のサポートを通じて、子どもたちの成長を支える重要な役割を担っています。
勤務時間が規則的で、ワークライフバランスを重視する方に適した職場です。
求人を探す際は、仕事内容や園の規模、待遇などを確認し、自身の経験や希望に合った職場を選びましょう。
保育園看護師としてのキャリアを築くために、情報収集をしっかりおこない、納得のいく転職にしてください。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。