認定看護師の更新における4つの不合格理由!再認定や延長審査の流れ

「認定看護師の更新時期になったけど、審査が通らないってことあるの?」「もし、更新審査が不合格だったらどうしたら良いの?」
認定看護師の更新を控えて、このような疑問や不安を感じていませんか。
活動し続けるためには、定期的な更新手続きが不可欠です。しかし、更新審査で不合格となるケースも存在します。
この記事では、認定看護師の更新で不合格となるおもな理由や手順、再認定審査と延長審査の流れを解説します。更新を控えている方や、今後、認定看護師を目指す方は、更新審査の漠然とした不安がなくなり、長期的なキャリアプランを描けるようになるでしょう。
認定看護師の更新手順とスケジュール
認定看護師の資格を保持し続ける続けるためには、5年ごとに更新しなければなりません。更新手続きは、次の5ステップで進められます。
- オンラインで審査申請をおこなう
- 審査料を振り込む
- 審査書類をオンラインで提出する
- 審査書類を郵送する
- 審査結果を確認する
申請期間や提出期限を守ることが重要です。オンライン、郵送する審査書類はそれぞれ異なるため確認してください。また、審査料の振込先や提出書類の内容もチェックしておきましょう。
認定看護師の更新における4つの不合格理由
認定看護師の更新では、次のような理由から不合格になるケースがあります。
- 更新の基準を満たしていない
- 書類の内容や提出方法に不備がある
- 「研修実績及び研究業績等申告表」の実績が認められない
- 不正行為がある
更新審査をパスできなければ、資格を失うことになるため活動できなくなります。
これは、個人的な理由にとどまらず、院内でのスタッフの教育や地域での公演活動などに影響するリスクがあります。
そのため、これらの理由を把握し、事前に対策を講じることで、合格率を高めなければなりません。
更新の基準を満たしていない
認定看護師の更新を申請する際には、次の2つの条件をクリアすることが求められます。
- 認定看護師であること
- 自己研鑽等の実績が過去5年間に50点以上あること
休職・離職中であっても、上記2つの項目を満たすと申請できます。なお、2025年度から看護実践の実績は問われなくなりました。
書類の内容や提出方法の不備がある
書類の記載ミスや提出方法の誤りは、不合格の原因となります。
たとえば、必要な項目の記入漏れや送付方法の間違い、指定されたフォーマットを使用していない場合などが該当します。期日までに、審査料3万800円(税込)を振り込んでいない場合にも、不合格となるようです。
郵送によるトラブルを防ぐために、簡易書留や特定記録郵便など配達の記録が残る方法で送付することをおすすめします。また、提出前に勝利に不備がないか再度チェックしておきましょう。
「研修実績及び研究業績等申告表」の内容が認められない
認定看護師は、常に自身の専門性を高め続けなければならないため、更新審査では「研修実績及び研究業績等申告表」の提出が必要です。
これは「Ⅰ群:実践活動等」と「Ⅱ群:学会・研究会発表等」の2つの項目にわかれており、日本看護協会の定める基準に達していない場合、不合格になる場合があります。
群 | 種類 | 内容 |
Ⅰ群 実践活動 | 実践活動 (社会活動) | ・学会や自治体、看護協会の委員会活動 ・所属施設外の一般市民への指導 ・認定看護師教育課程の研修者への実習指導 |
講師等 | ・認定看護師教育課程の主任教員・専任教員 ・認定看護師教育としての講義、看護学生講義 ・院内教育・研修プログラムの担当・指導 | |
研修等への参加 | ・特定行為研修の修了 ・認定看護分野に関する最新の情報・知識・スキル修得のための研修プログラムへの参加 ・学会への一般参加 | |
Ⅱ群 学会・研究会発表 | 学会・研究会発表 | ・研究発表 筆頭者 ・共同研究者 ・特別・基調講演の講師、シンポジスト |
論文発表・ 専門誌の執筆 | ・筆頭執筆者 ・共著者 |
Ⅰ群内・Ⅱ群内で、1つの項目に偏らないよう、それぞれ10点以上の申告が望ましいとされています。
この報告書の内容が、ふさわしい実践を示せていないと判断された場合、不合格となることがあります。
たとえば、報告内容が具体性に欠けていたり、専門性が十分に示されていなかったり、倫理的な配慮が不足していたりするケースです。
日々の看護実践を記録し、客観的な視点を取り入れながら、分かりやすく報告書を作成することが重要です。
不正行為がある
提出書類に虚偽の記載や、他者の報告書を盗用などの不正行為が発覚した場合、認定資格の取り消しや再認定の制限など、厳しい処分が科される恐れがあります。ただしく、誠実な対応を心がけましょう。
認定看護師の更新のポイント
認定看護師の更新のポイントは次の4つです。
- 更新審査は5年毎におこなわれる
- 更新審査の目的は認定看護師の能力の維持向上を図る
- 2025年度から看護実践の実績は問われない
- 休職・離職中でも条件を満たすと申請できる
更新期間を過ぎると資格を失効してしまうため、スケジュール管理が重要です。計画的に研修や記録を準備しておくことで、スムーズに更新できるでしょう。
更新審査は5年毎におこなわれる
認定看護師の資格を維持するためには、5年ごとの更新が義務づけられており、資格を失効する前に更新審査に合格しなければなりません。
更新時期が近づくと、日本看護協会から案内が送られてきますが、最終的な更新手続きの責任は本人にあります。
更新時期を逃すと一旦資格が失効し、復活させるには再認定審査という別のプロセスを踏まなければなりません。そのため、自分の認定期間を把握し、計画的に準備することが大切です。
更新審査の目的は認定看護師の能力の維持向上を図る
更新審査は単なる形式ではなく、認定看護師としての能力が維持・向上しているかを確認するためのものです。医療チームでリーダーシップを発揮して、患者さまにより良いケアをするためには専門知識の更新や実践能力の向上が欠かせません。
医療環境や看護技術は常に進化するため、認定看護師も継続的な学習と実践が必要です。
このような目的を理解し、専門性を高める意識を持って日々の看護実践に取り組まなければなりません。
2025年度から看護実践の実績は問われない
2025年度からの制度改定により、看護実践の実績評価が廃止され、自己研鑽評価のみとなりました。制度改定の背景には、多様な働き方をサポートする狙いがあります。
2024年12月末時点で認定看護師2万4,941名います。日本看護協会の調査による、それぞれの就業場所を次の表にまとめました。
就業場所 | 人数(名) |
病院 | 2万1,474 |
訪問看護ステーション | 1,163 |
クリニック・診療所 | 441 |
介護保険施設等 | 281 |
学校・大学 | 371 |
認定看護師教育機関 | 47 |
会社 | 79 |
看護協会 | 41 |
その他 | 184 |
看護系の大学や看護協会、会社など臨床を離れて活動している認定看護師も少なくありません。
これまで、看護実践の実績を問われていたため、看護学生に指導していたり、会社員として働いていたりしている認定看護師には、更新のハードルが高いという問題がありました。
この改正により、現場を離れて活躍している方も更新しやすくなるでしょう。
休職・離職中でも条件を満たすと申請できる
出産や育児、介護などの理由で休職・離職中でも、自己研鑽の基準を満たせば更新申請が可能です。場合によっては、延長審査制度を利用することもできます。
休職中は研修参加などが難しくなるため、オンライン研修や学習など、自分の状況に合わせたスキルアップの方法を選ぶと良いでしょう。
また、復帰後に更新に必要なポイントを集中的に獲得する計画を立てておくことも有効です。日本看護協会に相談すると、個別の状況に応じたアドバイスをもらえるでしょう。
認定看護師で更新できず延長審査と再認定審査を受けるまでの流れ
認定看護師の資格更新ができなかったとしても、延長審査や再認定審査という制度を利用することで、認定看護師として再び活動できる可能性があります。ここでは、それぞれの審査を受けるまでの具体的な流れを詳しく見ていきましょう。
延長審査を受けるまでの流れ
通常の更新が難しい、やむを得ない事情がある場合に利用できます。この審査を受けるには、次の2つの条件を満たす必要があります。
- 現在、認定看護師の資格を有していること
- 病気など、更新が難しい正当な理由が存在すること
「認定看護師 認定期間延長審査申請書」と、その理由を証明する書類を準備して申請します。審査に通れば、原則として1年間の期間延長が認められます。
さらに、期間延長が必要な場合は、1年後の延長審査の申請期間内に再度申請をおこなう必要があります。ただし、認定期間の延長は3回まで、最長3年間と定められています。
再認定審査を受けるまでの流れ
資格の有効期限が過ぎてしまった場合でも、再認定審査を受けることで、資格を得られる可能性があります。
ただし、申し込むためには、次の2つの要件を満たしている必要があります。
- 過去に認定看護師として登録されていた経験があること
- 過去5年間に、自己研鑽などで50点以上の実績がある、または24時間以上の研修を修了していること
通常の更新審査とは異なり、筆記試験や面接は実施されません。過去5年間の自己研鑽などの実績に関する書類審査のみで合否が決定します。
一般的に、再認定審査は通常の更新審査より厳しいといわれています。したがって、可能な限り有効期限内に更新手続きを完了することをおすすめします。
認定看護師を更新しない理由
認定看護師のなかには、認定審査を受けずに資格を喪失する場合もあります。次のような理由が考えられます。
- 業務内容や待遇などが不十分である
- 将来性や方向性に不安がある
業務負担の割に待遇面での評価が低いと感じる看護師が少なくありません。
日本看護協会の調査によると「資格手当がない」と回答した認定看護師は58.8%という現状です。資格手当の詳細は、次のとおりです。
資格手当の支払い方法 | 割合 | 平均の支給額 |
毎月支払われる | 92.2% | 8,530円 |
賞与時に支払われる | 1.0% | 5万4,059円 |
資格取得時に一時金として支払われる | 0.3% | 23万8,125円 |
認定看護師の資格を取るまでに、6ヶ月間くらい教育機関に通う必要があります。住んでいる地域によっては、近くに教育機関がなく、住宅費や交通費がかさむ場合があります。
また、認定看護師は通常業務に加えてスタッフの教育や相談業務も担うため、負担が大きい割に、手当が十分でないと感じることがあります。
さらに、異動や人事制度の関係で専門性を活かせない部署で働いたり、特定行為研修制度によって自身の役割がはっきりしなかったりと不満を感じたりする方もいます。その結果、認定看護師の自身の位置づけに不透明さを感じる方もいるようです。
キャリアパスの不確実性から、将来のビジョンが描きにくく、更新を見送る認定看護師もいるでしょう。
認定看護師の更新における不合格理由を把握してしっかりと更新準備を進めよう!
認定看護師の資格更新では、書類の不備や評価基準の未達などの理由で合格できないケースがあります。不合格理由を理解し、計画的に準備することが成功へのカギです。
認定期間中から継続的に学習に取り組み、記録をしっかりと残しておくことが重要です。
また、更新申請の1年前からは準備を始め、書類作成にも十分な時間をかけましょう。
不明点があれば日本看護協会に早めに相談することで、スムーズに手続きを進められます。認定看護師としての専門性を維持・向上させるためにも、プロセスを前向きに捉えてみてください。
<参考サイト・文献>
2025 年度第24回認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き|日本看護協会
認定看護師認定更新・再認定審査における研修実績及び研究業績等申告表|日本看護協会
2025 年度認定看護師(CN)延長審査審査・申請の手引き|日本看護協会

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