看護部長の5つの役割!求められる資質や年収、メリットなどを詳しく解説

公開日:2025/05/02 更新日:2025/05/02
記事サムネイル画像

「看護部長はどのような仕事をしているの?」「そろそろ管理職への昇進を目指していきたい」

看護師のなかには経験年数を重ねて、このように考えている方もいるでしょう。

看護部長には、病院経営から現場の看護師のサポートまで幅広い役割があります。

この記事では、看護部長の役割や求められる資質をお伝えします。年収事情やメリットも詳しく解説するため、マネジメントに興味がある方にとって役立つヒントが見つかるはずです。

看護部長のおもな役割は病院経営と看護現場をつなぐこと

看護部長の大切な役割は、病院の経営方針と、実際に患者さまのケアをおこなう看護師を結びつけることです。この2つがうまく連携することで、患者さまにとってより良い医療が提供できるようになります。

  • 看護部門の統括と管理
  • 病院経営への参画
  • 院長と看護師の意見の調整
  • 看護師の質向上と安全管理
  • 看護師の採用と育成

それぞれの役割について具体的に見ていきましょう。

看護部門の統括と管理

看護部長の重要な役割は、看護師が能力を発揮して働きやすく、患者さまに安全なケアを提供できる働きがいのある環境に整えることです。

看護師が心身ともにストレスのない状態で、業務に集中できる環境があってこそ、患者さま一人ひとりのニーズに応えられるからです。

たとえば、看護師の負担を減らすために、夜勤体制の見直しや記録業務の効率化などを進めます。

その結果、看護師は患者さまに向き合う時間が増えコミュニケーションを取れるようになることが、質の高いケアにつながります。

病院経営への参画

看護部長には、病院の経営に積極的に参加し、看護師の視点から意見を述べることが求められます。

看護師は患者さまの近くでケアをしているため、患者さまの希望や意見などから患者満足度へ反映しやすく、病院経営にとって貴重な情報源となります。

「受診に不慣れな患者さまがいるため外来の予約システムをわかりやすくする」「小児科で付き添っているご家族の負担軽減のために付き添いベッドを新しくする」といった提案をすることがあります。

また、2020年度の診療報酬改定により、在院日数は更なる短縮化が求められています。

看護師は、ベッドコントロールによりベッドの稼働率と回転率を向上することで、入院治療を必要とする患者さまに対して迅速な対応ができるよう日々連携をとっています。

このように、看護部長は病院全体の意思決定にかかわり、効率的なベッドコントロールができるよう連携することで、患者さまを大切にした病院運営に貢献できるのです。

院長と看護師の意見の調整

病院の目標達成には、経営陣と現場の意思疎通が欠かせないため、看護部長は院長の意向を看護師に伝え、また現場の声を院長に伝える、パイプ役としての重要な役割を担います。

具体的には、院長が新しい経営戦略を発表したときに、その内容を看護師にわかりやすく説明し、質問に答えます。

一方で、現場の看護師から「人員不足で業務が回らない」「夜勤業務は過酷であり改善してほしい」といった意見があれば、看護部長が院長に伝え、改善策を話し合います。

このように、看護部長は双方の意見を調整することで、病院のスムーズな運営を支えます。

看護師の質向上と安全管理

看護部長は、患者さまに満足度の高いケアを提供するために、看護師がスキルアップできる機会を作り、実行する責任があります。

ケアの質向上と安全の確保は、患者さまの信頼を得るうえで重要だからです。たとえば、次のような取り組みがあります。

  • 看護部の業務計画の作成
  • 看護師の教育方針の計画と調整
  • 看護師の採用計画の作成

エビデンスに沿ったケアをおこなうため、合併症の予防や早期発見、苦痛の緩和につながります。患者さまは、安心して医療を受けられるようになるのです。

看護師の採用と育成

質の高い医療を将来にわたり提供するためには、優秀な看護師を確保し、その能力を引き出すための育成が不可欠です。

看護部長は求人広告掲載の指示や、合同説明会での病院説明など、さまざまな方法で採用活動をおこないます。

採用面接では、応募者のスキルや経験だけでなく、患者さまへの想いやケアに対する意識、チームワークを重視する姿勢などを見極めます。これは、看護師としてのスキルだけでなく、患者さまに安全にケアを提供できる人材であるのか、そしてチームの一員として機能できる人材であるのかなどを見抜くためです。

採用後は、スムーズに業務に取り組めるように、新人研修や経験年数に応じたキャリアアップ支援プログラムを実施している病院が多くあります。

このように、看護部長は、病院の理念と患者さまのニーズに合致した適切な人材を採用し、それぞれの看護師が自身の能力を最大限に発揮できるようにサポートしているのです。

看護部長に求められる資質

看護部長には、看護の専門知識や経験の取得に加えて、看護師が働きがいのある職場環境の提供や、患者さまの安全な療養に繋げるためのさまざまな能力が求められます。この能力について、日本看護協会では次の6つを挙げています。

  • 組織管理能力
  • 質管理能力
  • 人材育成能力
  • 危機管理能力
  • 政策立案能力
  • 創造する能力

簡単に説明すると、組織をまとめ、ケアの質を高め、看護師を育て、危機に対応し、計画を立て、幅広い視野を持つことを重要としています。

看護部は多様な専門性を持つ人材の集団であり、患者さまの安全を守りながら、質の高いケアを提供しなければなりません。

これらの資質がある看護部長がいることで、看護師は安心して働くことができ、ケアを提供できるでしょう。

関連記事:看護管理者が役割とは?求められる能力6つや課題、やりがいを解説

看護部長になるには臨床経験とマネジメント能力が必要

ここでは、看護部長になる方法を解説します。

  • 臨床経験を積む
  • マネジメント能力を身につける
  • 認定看護管理者の資格を取得する
  • 院内外で人脈を作る
  • 看護部長職に転職する

それぞれのポイントを見ていきましょう。

臨床経験を積む

看護部長になるためには、さまざまな診療科で臨床経験を積むことが重要です。

多様な患者さまのケアを通して、幅広い知識と実践力を身につけることが、患者さまに満足してもらえるケアを提供するための土台となるからです。

内科や外科、小児科などあらゆる診療科で働くと、患者さまのニーズを理解できます。現場での経験は、将来、看護部長として看護部全体をマネジメントする際に役立つでしょう。

マネジメント能力を身につける

看護師長や主任などの管理職を経験する際に、現場の課題を解決する能力を磨くことは看護部長を目指すうえで大切です。

看護部のトップとして、病院の目標を達成するためには、マネジメントスキルが土台となるからです。

OJTを通して部下育成を経験したり、会議を主導して問題を解決したりします。これらの経験を通して、看護部長に必要なコミュニケーション能力や意思決定力も向上します。

認定看護管理者の資格を取得する

認定看護管理者の資格取得は、看護管理の専門知識とスキルの証明になるため、看護部長を目指すうえで有利に働きます。

実際に、認定看護管理者になるためには「看護師の実務経験が通算5年以上と、そのうち通算3年以上の看護師長相当以上の経験があること」に加えて、次のいずれかの要件を満たさなければなりません。

  • 認定看護管理者教育課程サードレベルを修了している者
  • 看護管理に関連する学問の修士以上の学位を取得している者

資格を取得するなかで、組織運営や人材育成、医療安全管理などの知識を学べるため、看護部長になる準備を整えられるでしょう。

院内外で人脈を作る

看護部長になるためには、院内外のスタッフとコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが大切です。

看護師が働きやすくなる病院運営には、地域での情報交換や協力体制の構築が不可欠だからです。

院内の多職種との合同会議に参加したり、学会や研修会でほかの医療機関の看護管理者と交流したりします。

ここでの人脈は、マネジメントの知識を得る機会となり、看護部長としてのリーダーシップを発揮する際に役立つでしょう。

看護部長職に転職する

現在の職場でキャリアアップして看護部長を目指す方法だけでなく、部長職の求人を探し転職することも一手です。

具体的には、大学病院や総合病院のホームページ、看護師専門の転職サイトなどをこまめにチェックし、自身の経験や強みに合った求人に応募します。また、訪問看護ステーションや施設といった病院以外の場で管理職を目指すことも有効です。

ただし、まずは実情を知ることが大切であるため、訪問看護の現場で経験を積んだ後で、キャリアアップを検討してください。訪問看護ステーションの管理職に興味がある方は、ぜひ「NsPaceCareer」を活用しましょう。

看護部長になるメリット・デメリット

看護部長になることには、看護師にとって魅力的なメリットがある一方で、乗り越えるべき課題や、覚悟しておくべきデメリットもあります。これらのメリットとデメリットを理解したうえで、自身のキャリアプランを慎重に考えましょう。

看護部長になるメリット

看護部長になるメリットは、自分の知識や経験を活かして、病院の経営に貢献できることです。

患者さまのニーズに沿った新しい看護サービスの提案や、看護師が働きやすい環境整備を推進します。

また、看護部の代表として取り組めるため、達成感と自己成長を感じられるでしょう。

看護部長になるデメリット

看護部長になるデメリットとして挙げられるのは、看護部の運営や患者さまの安全、看護師の育成などの責任の重さです。

具体的には、次のような問題に対応しなければなりません。

  • 医療事故が発生したときの対応
  • 看護師のメンタルヘルスケア
  • 感染症への対策

病院経営の会議への参加や他部門との連携など、業務が多岐にわたるため、激務になる傾向があります。また、経営層や現場の看護師との板挟みになり、看護部長という立場に精神的な負担を感じる可能性もあります。

看護部長に関するQ&A

ここでは、看護部長の役割についての質問をQ&A形式で回答いたします。悩みや不安を解消させましょう。

Q1:看護部長と看護師長の違いは何ですか?

看護部長と看護師長のおもな違いは、担当する業務の範囲と責任の重さです。

看護師長は外来や病棟など特定の部署の責任者であるのに対し、看護部長は病院全体の看護部門の責任者です。

Q2:看護師のうち看護部長の割合はどのくらいですか?

内閣府男女協働参画局「独立行政法人等女性参画状況調査の結果について」によると、独立行政法人における、看護部長の割合は0.3%です。

通常、看護部長は病院に1名、大規模な病院でも数名程度しか配置されません。この狭き門であるという現実は、看護部長の役職の重さと専門性の高さを物語っています。

まとめ:看護部長の役割は病院経営と看護現場をつなぐこと!転職も視野に入れて検討しよう

看護部長の役割は、病院経営と現場の看護師を結びつけ、患者さまに医療を提供するために不可欠です。

その仕事は多岐にわたりますが、やりがいも大きいキャリアです。これまでの豊富な臨床経験とリーダーシップを活かし、より広い視野で医療に貢献したいと考えている看護師は、看護部長というキャリアパスを考える価値はあるでしょう。

しかし、看護部長になれるのは病院に1名程度です。そのため、現在の職場でキャリアアップすることが難しい場合は、転職も視野に入れて検討してみてください。

<参考サイト・文献>

認定看護管理者|日本看護協会

独立行政法人等女性参画状況調査の結果について|内閣府男女協働参画局

SNSシェア

  • LINEアイコン
  • facebookアイコン
  • Xアイコン
記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

関連する記事

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像左 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左

NsPaceCareerとは

訪問看護・在宅看護に特化した
求人情報検索・応募のほか、
現役の訪問看護師や在宅経験者への無料相談や、
事業所への事前見学申し込みが可能です。

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像右 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左