看護師の診療科の選び方!5ステップと人気診療科別のおすすめの看護師

看護師にとって、どの診療科を選ぶかは、キャリアを左右する重要な決断です。自分の興味や働きやすい診療科を選ぶことで、やりがいを感じて長く活躍できます。
この記事では、後悔しない診療科選びのための5ステップや、人気の診療科の特徴などをまとめました。自分らしい看護師のキャリアを見つけましょう。
看護師の診療科の選びが大切な理由
看護師が自分に合った診療科を選ぶことは、長期的なキャリアの満足度と成長に不可欠です。
なぜなら仕事内容や必要なスキル、患者さまとのかかわり方などが診療科によって異なるからです。
もし自分にあわない診療科であれば、早期の離職やキャリアの停滞につながるかもしれません。たとえば、急性期医療に興味がある看護師が慢性期病棟に配属された場合、モチベーションを維持できないでしょう。
逆に、じっくりと患者さまと向き合いたい看護師が、ICUに配属されると、こころの負担が大きくなる可能性があります。
自己分析をしっかりおこない、自身の特徴を理解したうえで診療科を選ぶことが、充実した看護師人生を送るために重要です。
看護師が診療科を選ぶための5ステップ
看護師の方が後悔しないための診療科の選び方は、自分を理解することから始まり、次のステップで実現できます。
- 「何科で働きたいか」理由を考える
- 情報収集をおこなう
- 気になる診療科を見学・体験する
- 複数の選択肢から比較する
- 診療科を決定する
これらのステップに沿って進めることで、自分に合った診療科を見つけられるでしょう。
1.「何科で働きたいか」理由を考える
診療科選びの最初のステップは「何科で働きたいか」という問いに、自分と向き合って、はっきりとした理由を見つけることです。
診療科のイメージや人気だけで選んでしまうと、実際に働き始めてから「思っていたのと違う」「こんなはずではなかった」とミスマッチが発生する可能性があります。
たとえば「緊急度の高い患者さまを救命する、チーム医療に貢献したい」「今までの経験を活かして、ゆったりと患者様に向き合いたい」といった具体的な理由を深掘りすることが大切です。
このように、価値観や看護観をもとに理由を考えることが、後悔のない診療科選びには欠かせません。
2.情報収集をおこなう
診療科のホームページやパンフレットの情報だけでは、業務内容や職場の雰囲気を十分に理解できない場合があります。
そのため、実際に働いている人の声や、看護師向けの求人サイト、口コミサイトなどから次のような情報を集めることでミスマッチを防げるでしょう。
- 残業時間
- 人間関係
- 委員会や勉強会などの活動
- 看護師の1日のスケジュール
ただし、口コミサイトは誰でも書き込めるため、信用できない情報かもしれないことを理解したうえで活用してください。
3.気になる診療科を見学・体験する
興味が出てきた診療科があるなら、病院見学やインターンシップなどに参加してみましょう。
実際に職場を訪れることで、ホームページや資料だけではわからない、その診療科特有の空気感や忙しさ、働くスタッフの様子を肌で感じ取れます。
とくに、病棟での体験は、患者さまとのコミュニケーションの取り方や、看護師が日々どのような業務をおこなっているのかを深く理解できる機会です。
自分の目で見て体験することで「もし自分がここで働いたら」という具体的なイメージを明確に描けるようになります。
その結果、入職後に「こんなはずじゃなかった」というギャップを感じるリスクを減らせるでしょう。
4.複数の選択肢から比較する
それぞれの特徴を知って、比較検討することが、自分に合った診療科を選ぶためには重要です。
ひとつの診療科だけに目を向けてしまうと、ほかの診療科の良さがわからなくなったり「別の科の方が合っていたかもしれない」と感じたりする可能性があるからです。
たとえば、仕事において重視するポイントを次のようにいくつか挙げ、それぞれの診療科を比較してみてください。
- 給与
- 勤務時間
- キャリアアップの機会
- 職場の雰囲気
このように、いくつかの選択肢を比べることで、それぞれのメリットとデメリットが明らかになるため、納得のいく決断ができるでしょう。
5.診療科を決定する
さまざまな比較検討を重ねて、最終的に働きたい診療科を決めます。
長く働くためには、情熱を持てる業務かどうか、充実感があるかどうかが影響するため、理性的な判断だけでなく、自分の直感や「ここで働きたい」という気持ちも大切にしましょう。
【人気診療科別】おすすめの看護師の傾向と特徴
看護師の方に人気の診療科は多岐にわたります。それぞれの特徴と、そこで活躍できる看護師の傾向を理解することで、理想の職場を見つけられるでしょう。
- 精神科:人の話をじっくり聞きたい人
- 小児科:子どもが好きで、明るく優しい人
- 外科:手際が良く、体力のある人
- 内科:観察力があり、じっくり患者と向き合いたい人
- 産婦人科・婦人科:女性特有の健康問題に関心がある人
- 美容外科:美意識が高く、患者さまの希望を理解したい人
- 手術室:集中力があり、チームワークを大切にする人
- 集中治療室:観察力や判断力を兼ね備えた人
- 救命救急:決断力があり、臨機応変に対応できる人
ただし、この特徴に該当しないからといって、診療科に向いていないわけではありません。あくまでも傾向として参考にしてください。
精神科:人の話をじっくり聞きたい人
「話をじっくり聞いてケアをしたい」「患者さんの気持ちに寄り添いたい」と思う看護師の方には、精神科がおすすめです。
精神科では、患者さまの身体のケアだけでなく、不安や悩みを聞いて、信頼できる関係を作ることが大切だからです。
また、厚生労働省の調査によると、全病床の平均在院日数は29.1日である一方で、精神病床は274.7日と長くなっています。この結果から、精神科の患者さまの症状が回復するまでには時間がかかるため、根気強く患者さまにケアできる看護師が求められます。
小児科:子どもが好きで、明るく優しい人
子どもの笑顔に喜びを感じ、明るく対応ができる看護師にとって、小児科は向いている職場です。
小児科の看護師は、病気やケガを治療するだけでなく、子どもたちが心身ともに健やかに成長していく過程を、そばで支えるという役割があります。
たとえば、注射を怖がる子どもには優しく声をかけたり、理解が難しい年齢のため絵本やおもちゃを使って説明したりして、処置をスムーズに進めたりします。
安心感を与えられるコミュニケーション能力がある看護師は、子どもやご家族の心強い味方になるため、小児科は喜びとやりがいを感じられる職場といえます。
外科:手際が良く、体力のある人
外科は、迅速な手技と、長時間の処置や手術が発生する診療科です。これらを乗り切るための体力に自信のある看護師の方におすすめの診療科です。
とくに、患者さまの状態が急変した際には、予測できない状況に冷静に対応して、チームの一員としてスムーズに連携しなければなりません。
このように、外科は、手際の良さと体力に加え、緊急時にも冷静に対応できる判断力とチームワークを活かしたい看護師の方にとって、達成感を得られる診療科といえるでしょう。
内科:観察力があり、じっくり患者と向き合いたい人
内科は、患者さまの小さな変化も見逃さない観察力と、一人ひとりとじっくり向き合い、丁寧なケアを提供したい看護師の方に適しています。
とくに、生活習慣病といった慢性疾患を持つ患者さまには、食事や運動を指導したり、精神的なサポートをしたりと、長い時間をかけて生活を支援していくことが求められます。
患者さまのわずかな変化に気づく観察力と、寄り添う心がある看護師の方にとって、内科は深く患者さまとかかわれる魅力的な職場です。
産婦人科・婦人科:女性特有の健康問題に関心がある人
産婦人科・婦人科は、妊娠や出産、更年期など女性のライフステージにわたる健康問題に関心があり、それぞれに合わせたケアのスキルと共感力がある看護師の方におすすめです。
たとえば、出産を控えた妊婦の総合的なケアをしたり、不妊治療に悩む夫婦のメンタルサポートをしたりします。
このように、女性の健康を生涯にわたって支えたいとい考えている看護師の方にとって、産婦人科・婦人科はやりがいのある分野です.
美容外科:美意識が高く、患者さまの希望を理解したい人
美容外科は、美に対する意識が高く、患者さまの理想の実現をサポートすることに喜びを感じる看護師の方に向いています。
外見の美しさだけでなく、患者さまの心理的な満足度を高めることも重要であり、希望をじっくりとヒアリングする能力が不可欠だからです。
施術前の不安な気持ちに寄り添ったり、日常生活での注意点を説明したりすることが求められます。
このように、患者さまの気持ちに寄り添い、前向きな変化をサポートしたいと考える看護師の方にとって、美容外科は働きがいのある職場といえるでしょう。
手術室:集中力があり、チームワークを大切にする人
手術室は、高い集中力と、多職種と連携して業務を進められる協調性のある看護師の方が、力を発揮できる場所です。
手術室では、次のようなさまざまな専門職が働くなかで、看護師は手術がスムーズに進むようにサポートします。
- 医師
- 麻酔科医
- 臨床工学技士
執刀医の指示を素早く理解し、必要な器械を準備したり、患者さまの容態を観察したりしなければなりません。
そのため、集中力とチームワークを大切にしつつ、自分の役割を果たすことにやりがいを感じる看護師の方に手術室はおすすめの職場です。
集中治療室(ICU):観察力や判断力を兼ね備えた人
観察力と判断力、そして患者さまの命を守りたいという強い意志を持つ看護師の方にとって、集中治療室(ICU)は専門性を深められる場といえます。
患者さまの状態は常に変化しており、わずかな変化も見逃さない鋭い観察力と、緊急時に適切に判断できる能力が、患者さまの予後を左右するほど重要な役割を担うからです。
患者さまの呼吸状態や循環動態の変化を早期に発見し、緊急時には迅速にその場の状況に合わせてケアをおこなうことが求められます。
このように、観察力や判断力、責任感がある看護師の方にとって、ICUは自分の働きが患者さまの回復につながっていると実感できる職場となるでしょう。
救命救急:決断力があり、臨機応変に対応できる人
救命救急センターでは、予測できない状況に臨機応変に対応できる決断力と行動力のある看護師の方が、その能力を発揮できます。
現場では、事故や急病など緊急性の高い患者さまが搬送されるため、刻一刻と変化する状況に合わせて、ケアしなければなりません。
たとえば、複数の重症患者が同じタイミングで搬送される場面でも、優先順位を判断し、ほかの医療スタッフと連携しながら救命処置を進めることが求められます。
このように、決断力、そして予測不能な事態にも臆することなく立ち向かえるタフさを持つ看護師の方にとって、救命救急は充実感のある職場です。
看護師の診療科の選び方における後悔とその対策
看護師が診療科選びで後悔するおもな原因は、次のとおりです。
- イメージとのギャップ
- 人間関係の悩み
- 業務内容とのミスマッチ
- キャリアプランの不明確さ
後悔しないためには、情報をしっかりと集めること、見学や体験を通して現実を理解し、自身の適性や希望と照らし合わせることが重要です。それぞれを詳しく見ていきましょう。
イメージとのギャップ
診療科を選ぶときに、イメージと業務内容や職場の雰囲気にギャップを感じて後悔することがあります。
インターネットや口コミの情報など、一部の情報だけで診療科の良し悪しを判断してしまうと、現実との違いに戸惑い、ストレスを感じやすくなりがちです。
たとえば、慢性期病棟にゆったりしたイメージをもっている場合、認知症やせん妄などの症状からケアがスムーズにできない現実に大変さを感じることがあります。
さまざまな情報源からリアルな情報を選んだり、病院見学会やインターンシップで実際に現場の雰囲気を自分の目で確かめたりすることが重要です。
人間関係の悩み
診療科によっては特有の人間関係の難しさがあり、コミュニケーション不足や意見の衝突などにより後悔につながることがあります。
とくに、緊迫した状況で働くことが多い診療科では、チームの連携がうまくできないと、業務に支障をきたすため精神的な負担になることがあります。
見学や体験の際に、スタッフ間のコミュニケーションの様子を注意深く観察したり、現場の看護師の方に職場の雰囲気を尋ねたりすることが有効です。
業務内容とのミスマッチ
自分の興味や得意なことと、実際に配属された診療科の仕事が合わない場合、仕事のモチベーションが低下する可能性があります。
「患者さまに寄り添いたい」看護師の方が、ルーチンワークの多い病棟に配属されたり「専門的なスキルを身につけたい」看護師の方が、基本的なケアが中心だったりすると、不満を感じがちです。
「やりたいケア」を明らかにしたうえで、ホームページで仕事内容や対象とする患者さまの属性や疾患を確認したり、面接官に質問して業務内容をリサーチしたりすることが重要です。
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キャリアプランの不明確さ
将来のキャリアプランがはっきりとしていないまま診療科を選ぶと、長期的な視点で見た際に後悔する恐れがあります。
「将来、認定看護師を目指したい」という目標がある場合、どの分野の認定看護師を目指すかによって、選択すべき診療科は異なります。異なる分野に所属していると、目標とする認定看護師への道が遠回りになる可能性があります。
早いうちから自分のキャリアプランを考え、目標のキャリアパスに必要な経験やスキルを積める診療科を選ぶことが重要です。
看護師が診療科を選ぶ際のQ&A
ここでは、看護師の方の診療科選びについての代表的な質問とその回答をまとめました。
Q1:看護師の配属先はどうやって決まっているの?
看護師の配属先は、個人の希望だけでなく、病院の状況や看護師の適性など、さまざまな要因で決まります。必ずしも、看護師の方の希望通りになるとは限りません。
新人看護師の場合は、研修期間中にローテーションで複数の診療科を経験し、その後の面談で配属部署の希望を伝える機会が設けられる病院もあるようです。さらに、新人看護師のおすすめの診療科について知りたい方は、下記の記事で詳しく解説しているため参考にしてください。
関連記事:新人看護師におすすめの診療科6つとその理由!タイプ別のおすすめの診療科も紹介
Q2:看護師が「きつい」と感じる診療科は?
看護師が「きつい」と感じる診療科は、個人の価値観や体力、経験によって異なります。一般的には、次のような特徴がある診療科が挙げられます。
- 業務量が多い
- 介護度が高い
- 緊急性の高い対応が求められる
「きつい」と感じるかどうかは、一概には言えませんが、それぞれの診療科の特徴を理解し、自分の適性や希望と照らし合わせて考えることが重要です。
Q3:向いている診療科を見つける方法はありますか?
自分に向いている診療科を見つけるためには、自己分析をおこない、さまざまな情報を集めて体験してみることが有効です。
自分の興味や強み、価値観を理解することで、どのような環境で働くことにやりがいを感じるのか見えてくるからです。
病院のホームページや説明会、インターンシップなどを活用して、実際の職場の雰囲気を肌で感じることで、自分に合った診療科を見つけられます。
また「人と話すことが好き」「細かい作業が得意」「チームで働くことに喜びを感じる」など、適性診断から自分の特性を把握できると、より見つけやすくなるでしょう。
まとめ:自分らしいキャリアを築くために診療科を慎重に選ぼう
看護師として充実したキャリアを築くためには、自分の個性や価値観、将来の目標などをしっかりと見据え、慎重に診療科を選ぶことが大切です。
この記事で紹介した5つのステップや、人気診療科の特徴などを参考に、自分のことを知ったうえで現場を体験すると、自分に合う診療科を見つけられるでしょう。
じっくりと自分と向き合い、納得のいく選択をすることで、あなたらしい看護師としてのキャリアを歩んでください。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。