看護師がメンタル不調で休む2つの理由!うつ病によるSOSも解説

公開日:2025/05/02 更新日:2025/05/02
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「メンタルの不調で看護師の仕事を休みたい」「休んだあとはどうなるのだろうか」と悩んでいる方はいませんか。

看護師の仕事はやりがいのある一方で、患者さまの急変の対応や不規則な勤務など、精神的・身体的な負担が大きいのも事実です。なかでもメンタルの不調は、見て見ぬふりをしている看護師もいるのではないでしょうか。

しかし、メンタルの不調を放っておくと、うつ病や適応障害などの精神疾患の発症につながる恐れがあります。

この記事では、看護師がメンタルに不調を抱える理由や仕事を休むときに大切なポイントを解説します。メンタルの不調をそのままにせず、自分を大切にしながら働くきっかけになれば幸いです。

看護師がメンタル不調で休む2つの理由

2022年の日本看護協会の調査では、40.6%の看護師が「メンタルの不調で休んだり治療を受けていたりするスタッフがいる職場」で働いていることがわかっています。看護師のメンタルの不調は、決して特別なことではなく、誰にでも起こり得る身近な問題です。

看護師がメンタルの不調で休む理由には「職場の環境に関する要因」と「看護師としての心理的な要因」が考えられます。内容を詳しく見ていきましょう。

職場の環境に関する要因

メンタルの不調に影響する職場の環境の要因は次のとおりです。

職場環境要因
仕事量の多さ看護業界は慢性的な人手不足といわれており、看護師ひとりにかかる負担が大きくなる
仕事量の変化緊急入院や患者さまの急変など、日によって業務量が変化することにストレスを感じる
不規則な労働環境時間外勤務や夜勤により勤務が不規則になる
仕事内容による緊張感患者さまの命に関わるため、常に緊張感がある
チーム医療に関するストレスほかの職種の看護師に対する理解不足により連携が難しいことがある
感情労働としての側面自分の感情を抑えて患者さまをケアする必要がある
患者さま・ご家族との関係のストレス患者さまやご家族によっては、無理な要求や威圧的な態度を取られ、ストレスを感じる
参考:メンタルヘルスケア|日本看護協会

2022年の看護協会の調査によると「慢性的な人員不足による医療現場の忙しさ」や「交替制勤務による疲労の蓄積」など職場の環境が医療事故につながる要因となっています。

仕事でミスをすると、メンタルの不調がさらに悪化する恐れもあります。

看護師としての心理的な要因

看護師の仕事に対する考え方の風習や、心理的側面もメンタルの不調に影響する要因のひとつと考えられます。たとえば、次のような要因が挙げられます。

  • 責任感の強さ
  • 共感力を求められるが故の感情的な疲れ
  • 自身の不調を認識することへの抵抗
  • 「出勤当日に、いきなり休んだら迷惑がかかる」という罪悪感

これらの要因から、メンタルに不調を感じ「しばらく休みたい」と思いつつも「やっぱり休めない」という方もいるのではないでしょうか。

メンタル不調をきたした看護師のうつ病のSOS

2024年度の労働安全衛生研究の報告によると、医師・看護師が精神疾患を発症する割合が増えています。精神疾患のなかでも約50%を占めているのがうつ病といわれています。

うつ病は放っておくと症状が悪化したり長引いたりするため、早期発見・早期対応が大切です。

日本うつ病学会 うつ病看護ガイドラインによると、次のような心身の変化は、すべてのうつ病患者さまが当てはまるわけではありませんが、うつ病患者さまの特徴として、早期発見の手がかりになるとされています。

精神的なサイン・罪責感
・意欲の低下
・自尊心の低下
・自己の無価値感
・抑うつ気分
・不安
・以前は楽しんでいたことが楽しめない
・怒り
・失意
身体的なサイン・疼痛(腹痛、腰痛、胸痛など)
・食欲不振
・過食
・めまい
・便秘
・倦怠感
・疲労感
・不眠
・生理不順
参考:日本うつ病学会 うつ病看護ガイドライン

うつ病に関するある研究の報告では、うつ病の患者さまが休職にいたる前に生じるサインについて、気分・覚醒度への影響と身体面への影響が50%以上を占めるとされています。

具体的には「笑顔の減少」や「口数が少なくなる」などの気分・覚醒度への影響と「倦怠感」「疲労感」などの身体面への影響です。

「なにかいつもと調子がちがうな」と感じたら、上記のサインが出ていないか確認してみてください。また、複数に当てはまる場合は、身体がSOSを求めているサインかもしれません。精神科や心療内科などがある病院の受診を検討しましょう。

看護師がメンタル不調で休むときに大切なこと

メンタルの不調で休みたいときには、欠勤の手続きを進める必要があります。次のポイントを押さえておきましょう。

  • 自分の心身の状態を専門の医師から判断してもらう
  • 職場の相談窓口や上司に相談する
  • 家族や信頼できる人に相談する

専門医による診断や上司・家族への相談などは、体調不良を周囲に正しく理解してもらうためにも重要です。しっかりと休養してメンタルを回復させるために、自分の身体や心の状況と悩みなどをきちんと伝えてください。

休職の手続きや休職中の過ごし方については、こちらの記事をご参照ください。

関連記事:看護師が休職するおもな理由とは?休職前の確認事項3つや手続きの方法 | NsPace Career(ナースペース キャリア)

看護師がメンタル不調で仕事を休んだあとのポイント

仕事を休んで心身の調子を取り戻しても、仕事への復帰は段階を踏んで進めることが大切です。なぜなら、復帰後すぐに元のペースで働くと、つい無理をしてしまい、また体調を崩してしまうリスクがあるからです。

仕事への復帰に向けて押さえておきたいポイントを見ていきましょう。

復職前の準備

メンタルの不調で仕事を休んだ後、復帰する段階まで体調が回復したら、次のような準備を進めます。

  1. 主治医への相談と復職許可の依頼
  2. 職場への復職意向の伝達
  3. リハビリ出勤や短時間勤務などの段階的な復職プランの検討
  4. 復職後の業務内容や労働環境についての職場との話し合い

「自分が無理なくできる仕事内容」や「どのようなサポートが必要か」など、復帰した際の希望を職場に電話連絡する際に伝えておくと周囲の理解も得やすいです。主治医や職場と相談しながら、無理のないペースで進めましょう。

復職後の注意点

無事に復職できた後も、元のペースを取り戻すためには時間が必要です。次のポイントを心がけてみてください。

  • 無理のない範囲で業務に取り組む
  • 体調の変化に注意し、不安や不調を感じたら相談の上で休息を取る
  • 周囲のサポート(同僚・上司・産業医など)を頼る
  • 必要に応じてカウンセリングを受ける

周囲のサポートを受けながら働き、負担をひとりで抱え込まないようにしましょう。

自分でできるメンタルヘルスケア

メンタルを良好に保つためには、セルフケアも重要です。普段の生活のなかで、次のようなことを意識してみてください。

セルフケアポイント
休息・休養・睡眠をとる・仕事のオンとオフを分けること
・仕事中でも軽いストレッチや、飲み物を飲むなど、疲れが溜まる前に意識して短い休憩を取ること
趣味・楽しみを見つける・自分の楽しみを見つけ、好きなことに打ち込む時間を持つこと
・1週間に1時間程度でも自分の時間を取り入れること
リラックスする習慣をもつ・ストレッチや瞑想、音楽鑑賞などリラックスできる習慣を持つこと
・家族や親しい友人との会話など、リラックスできる時間を持つこと
参考:メンタルヘルスケア:個人での対応(セルフケア)|日本看護協会

自分を大切にする時間をとるように心がけてみましょう。満足感が得られ、ストレスの軽減につながります。

復帰後もメンタルの不調が続くときに考えること

復帰後に無理のないペースで仕事を続けていても、メンタルの不調が続いたり悪化したりするかもしれません。

そのような場合、仕事内容や職場の環境が原因となっている可能性があります。ひとりで抱え込まず、主治医や看護師長、信頼できる家族や友人に相談しましょう。

また、メンタルの不調をきっかけに、自分のキャリアややりたい看護を見つめ直すのもいいかもしれません。なかには退職や転職して、メンタルの不調とうまく付き合いながら、看護師として新たな環境で活躍している方もいます。

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自分を大切にしながら無理なく働こう

看護師のメンタルの不調は、誰にでも起こり得るものです。ただ、放っておくと、不調が長引いたり、悪化したりする恐れがあります。

メンタルの不調を感じたら、今回紹介したうつ病のチェックリストを活用してみたり、セルフケア方法を試してみたりしてください。また、ひとりで抱え込まず周囲に相談することも大切です。

看護師として生き生きと働き続けるために、まずは自分を大切にすることから始めましょう。

<参考サイト・文献>

2022 年看護職員の労働実態調査 記者発表資料|日本看護協会

メンタルヘルスケア|日本看護協会

令和5年度労災疾病臨床研究事業費補助金「過労死等の実態解明と防止対策に関する総合的な労働安全衛生研究」分担研究報告書(事案研究)| 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センター

うつ病を知る|厚生労働省

うつ病等で休職に至る警告サインの明確化|日本精神保健看護学会誌2020 年29巻1号

メンタルヘルスケア:個人での対応(セルフケア)|日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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