外科看護師とは?7つの仕事内容と向いている人、おすすめの資格を紹介

「外科看護師の仕事に関心があるけれど、どんな仕事をするの?」「外科看護師は自分に向いているのかわからない」
このような疑問や不安を感じている看護師の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、外科看護師の仕事内容から、向いている人の特徴、求人の探し方までを解説します。この記事を読むことで、外科看護師の仕事への理解が深まり、あなたのキャリアプランを考えるうえで役立つでしょう。
外科看護師とは?
外科看護師とは、手術を受ける患者さまやケガをした患者さまのケアを専門とする看護師のことです。
手術前から手術後、そして退院後の生活まで、患者さまが安心して治療を受けられるようにサポートします。ここでは、外科看護師のおもな職場や年収事情を見ていきましょう。
外科看護師のおもな職場
外科看護師のおもな職場は、総合病院や大学病院などの次のような病棟や外来です。
- 心臓血管外科
- 消化器外科
- 呼吸器外科
- ICU(集中治療室)
- 手術室
- 外科外来
これらの施設では、さまざまな手術がおこなわれており、術前後の患者さまのケアや緊急手術への対応など、専門的な知識とスキルが求められます。
また、クリニックの手術室や外来でも、病院と比べると小規模にはなるものの手術や処置がおこなわれています。外科看護師は、医師のサポートや術後の経過観察などを担当します。
外科病棟では、さまざまな病気の患者さまに対応するため、キャリアプランや興味に合わせて、働く場所を選ぶことが大切です。

外科看護師の平均年収は519万7,000円
外科看護師の平均年収は519万7,000円(令和6年看護師の年収)と推測できます。
というのも、外科看護師と一般の看護師の平均年収には差がないと考えられるからです。
ただし、一般の看護師と同じように、外科看護師の年収は、勤務する病院の規模や種類、経験年数など差があります。
基本的に、規模の大きい病院や大学病院では、給与水準が高い傾向にあります。また、専門的な知識やスキルを持つ看護師の方は、給与面で優遇されるでしょう。
外科看護師の7つの仕事内容
外科看護師の仕事内容は、患者さまのケアを中心に、外来での対応から入院中のケア、退院後のサポートまで、患者さまの回復を支える役割を担います。ここでは、外来と病棟、2つにわけて外科看護師の仕事内容を解説します。
外来の外科看護師の仕事内容
外来の外科看護師は、おもに手術前の患者さまや、術後の経過観察で来院される患者さまに対応します。
- 診察の案内
- 医師の診察の補助
外来は、患者さまが最初にスタッフと接する場所であり、患者さまの病院への第一印象を左右します。それぞれを詳しく見ていきましょう。
診察の案内
外来を受診された患者さまを、診察室へ案内することは外科看護師の仕事です。
患者さまの氏名を確認し、丁寧な言葉遣いで案内しましょう。問診票の記入をお願いしたり、症状を確認したりして、診察がスムーズにできるようにサポートします。
また、症状が重い患者さまが来院したときには、優先順位を判断して診察室に案内することも、外来の外科看護師の重要な仕事です。
医師の診察の補助
医師の診察が円滑に進むように、さまざまな面からサポートすることが外来の外科看護師の仕事です。
たとえば、診察に必要な器具を準備したり、患者さまの体位を調整したりします。
また、医師の指示に従って、検査や処置の準備、記録などもおこないます。医師と積極的にコミュニケーションをとり、安全な医療を提供できるように努めることが大切です。
病棟の外科看護師の仕事内容
病棟の外科看護師は、入院中の患者さまに次のようなケアをおこないます。
- 術前後のケア
- 全身状態の観察と管理
- 検査や処置の介助
- 入院生活のケア
- 患者と家族の精神的なケア
安心して治療を受けられるように、患者さまの心身のサポートも必要です。病棟は、患者さまが治療を受けながら生活する場であり、療養できる環境を整えることが重要です。それぞれの仕事内容を見ていきましょう。
術前後のケア
病棟の外科看護師は、手術を受ける患者さまが安心して手術に臨めるように、術前のオリエンテーションや説明をおこないます。
手術の内容や流れ、術後の注意点などをパンフレットでわかりやすく説明し、患者さまの不安を軽減することが不可欠です。
手術後は、患者さまを観察し、合併症の予防や早期発見に努めます。痛みのコントロールや創部のケアなども、患者さまの回復を促すために大切なケアです。
全身状態の観察と管理
入院中の患者さまの全身状態を把握するために、バイタルサインを定期的に測定したり、患者さまの表情や訴えにも注意を払ったりします。異常が見られた場合は、速やかに医師に報告し、適切に対応します。
とくに、手術直後の患者さまは、バイタルサインが不安定になりやすいため、頻回な測定と観察が必要です。
患者さまの顔色や呼吸の様子、意識レベルの変化など、わずかな変化も見逃さないように観察することで重篤な状態を回避できる可能性があります。
検査や処置の介助
病棟の外科看護師は、検査や処置の介助において、患者さまの安全と安心を確保するうえで不可欠な役割を担っています。
外科看護師による適切な準備と介助は、合併症のリスクを抑えられるからです。
たとえば、処置前の浣腸や剃毛といった準備では、患者さまの感染のリスクを軽減できる可能性があります。
患者さまが不安なく検査や処置を受けられるよう、丁寧に声をかけ、わかりやすく説明することも、外科看護師の重要な役割です。
入院生活のケア
病棟の外科看護師は、患者さまの日常生活を援助することも業務のひとつです。
たとえば、手術後の患者さまは、倦怠感や痛みなどあるため、食事や排泄、更衣などに介助が必要となる場合があります。
また、患者さまの訴えに耳を傾け、心配事や困っていることを把握し、アドバイスやサポートをおこなうことも大切です。
患者と家族の精神的なケア
患者さまとご家族の精神的なケアをおこなうことも、病棟の外科看護師の業務には欠かせません。
なぜなら、病気や手術に対する不安や心配は、患者さまやご家族にとって心理的な負担となり、治療への意欲に影響するリスクがあるからです。
たとえば、手術前に不安を訴える患者さまに、外科看護師は時間をかけて話を聞き、共感の気持ちを示しながら励ましの言葉をかけます。手術の内容や流れなどの疑問に丁寧に答えることで、患者さまやご家族は安心して治療に臨めるようになります。
状況に応じて、医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーなどの専門職と連携することで、患者さまとご家族、双方にとって安心できる療養環境を整えられるでしょう。
外科看護師の1日のスケジュール例
外科看護師の1日のスケジュール例を紹介します。勤務する病院や病棟、日勤か夜勤かによって異なります。
時刻 | 業務内容 |
8:00 | 業務開始 ・情報収集 ・夜勤看護師からの申し送 ・病棟内、チーム内での情報共有 |
8:30 | 回診の補助 |
9:00 | 清潔ケアと日常生活の援助 ・清拭、洗髪、シャワー介助 ・おむつ交換やトイレ介助 ・リハビリテーションのサポート ラウンドやオペ出し ・バイタルサインの測定と全身状態の観察 ・手術前の準備と手術室への搬送 ICUからの患者受け入れ ・バイタルサインの測定と全身状態の観察 ・必要なケアと処置 ・点滴の投与 |
12:00 | 昼食の準備 ・配膳 ・食事介助 ・口腔ケア ・配薬 |
12:30 | 交代で休憩 |
13:00 | ラウンドやオペの迎え ・術後の患者さまの受け入れ準備 ・バイタルサインの測定と全身状態の観察 ・点滴や処置 清潔ケアと日常生活の援助 ・清拭、洗髪、シャワー介助 ・おむつ交換やトイレ介助 ・リハビリテーションのサポート |
15:00 | カンファレンス |
16:30 | 夜勤看護師への申し送り |
17:00 | 業務終了 |
外科病棟では、オペ出し・迎えや回診の補助、処置などが多くなることが特徴です。ICUがある病院では、ICUからの受け入れにも対応しなければなりません。
患者さまの状況によっては、バイタルサインの測定や状態の観察を1日に何度もおこない、患者さまの異常の早期発見に努め、回復をサポートします。
外科看護師に向いている人の特徴
外科看護師は、患者さまの命にかかわる場面に立ち会うことも多く、責任感と冷静な判断力が求められる仕事です。ここでは、外科看護師に向いている人の特徴を解説します。
- 急性期看護を勉強したい人
- マルチタスクが得意な性格の人
- ケアよりも処置にやりがいを感じる人
- テキパキと機敏に行動できる人
- 気持ちの切り替えが早い人
これらの特徴がある人は、外科看護師として、患者さまの回復を力強くサポートし、やりがいを感じながら働けるでしょう。
急性期看護を勉強したい人
外科の現場では、急性期の患者さまの対応が求められるため、急性期看護を学びたい、スキルアップしたい人は、やりがいを感じられるでしょう。
たとえば、手術後の患者さまは、呼吸や循環、意識状態などが不安定になることがあり、適切な対応が求められます。
最新の医療知識やスキルを学び続ける向上心も、外科看護師にとって重要な資質です。
マルチタスクが得意な性格の人
外科病棟では、複数のタスクを効率的にこなし、優先順位をつけて行動できる能力が求められます。
多くの患者さまの状態を同時に把握し、さまざまなケアや処置を並行しておこなう必要があるからです。
たとえば、複数の患者さまに同じ時間帯で点滴管理や創部処置、バイタルサインの測定をしたり、何人かの患者さまを担当しながらICUからの受け入れに対応したりしなればなりません。
そのため、多重業務に混乱することなく、冷静に状況を判断し、臨機応変に対応できる人は、外科看護師として活躍できるでしょう。
ケアよりも処置にやりがいを感じる人
外科看護師の方の仕事は、患者さまへのケアも重要である一方、医療処置に特化した業務にやりがいを感じる人にとって、魅力的な選択肢となります。
外科の現場では、創部の処置や点滴、医療機器の管理といった医療処置が多く、これらの業務を正確におこなうことが、患者さまの安全につながるからです。
また、生命維持に不可欠な医療機器を正確に操作・管理することは、患者さまの容態を安定させ予期せぬ事態を防げる可能性があるため、責任感と達成感を得られます。
テキパキと機敏に行動できる人
外科看護師は、常に変化する患者さまに対応し、迅速かつ的確に行動できる能力が不可欠です。
手術室や病棟といった外科の現場では、患者さまの状態が急変したり、合併症が発生したりすることが比較的多いからです。
このような場面では、医師の指示を待つのではなく、すぐにバイタルサインを測定し、酸素投与の準備を開始するなどの初期対応が求められます。
したがって、外科看護師には、状況を把握したうえで優先順位を判断し、テキパキと行動する能力が必要です。
気持ちの切り替えが早い人
外科看護師は、感情に左右されず、速やかに気持ちを切り替えられる人が向いています。
患者さまの死や合併症が起こった場面では、悲しさを受け止めつつも、冷静さを保ち、別の患者さまのケアや業務に取り組む必要があるからです。
懸命な治療にもかかわらず患者さまが亡くなられた直後であっても、ほかの患者さまがケアを必要としている場合、気持ちを切り替え、そのケアに集中しなければなりません。
また、気持ちの切り替えは、看護師の精神的な健康を維持するためにも重要です。
ただし、外科看護師の仕事がきついと感じる方は、訪問看護師へ転職することも一手です。訪問看護の場面では、利用者さまの生活を大切にし、一人ひとりにじっくり向き合ってケアができます。
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外科看護師におすすめの資格
外科看護師として専門性を高め、キャリアアップを目指すうえで、資格取得は有効な手段です。「クリティカルケア認定看護師」や「急性・重症患者看護専門看護師」の資格は、自信につながるだけでなく、患者さまや同僚からの信頼を得ることにもつながります。
クリティカルケア認定看護師
外科看護師の方が専門性を追求するうえで、クリティカルケア認定看護師の資格取得はおすすめです。
重篤な状態にある患者さまに、集中的なケアを提供でき、手術後の全身状態が不安定な患者さまのケアにおいて、その専門性とスキルが早期回復と社会復帰に貢献できるからです。
クリティカルケア認定看護師は、生命維持に不可欠な領域の知識を習得しており、手術後の患者さまのわずかな異常を早期に発見し、適切に対応できます。また、医療チームで中心的な役割を担うことも期待されます。
将来的なキャリアアップを目指すのであれば、クリティカルケア認定看護師の資格取得が、その目標を達成するための有効な手段といえるでしょう。
急性・重症患者看護専門看護師
外科看護師の方が、患者さまの救命と機能回復に貢献したいと考える場合、急性・重症患者看護専門看護師の資格取得は効果的な選択肢となります。
手術の影響や合併症の発生により重症化する患者さまに、専門知識と卓越した実践能力で貢献できるからです。
具体的には、ショックや多臓器不全といった生命の危機にある患者さまに、フィジカルアセスメント能力と病態理解にもとづき、専門的なケアを提供できます。
これにより、患者さまの救命率の向上や早期の回復につながる可能性があります。また、患者さまやご家族が抱える精神的な不安や倫理的な問題にもサポートできるでしょう。
外科看護師の求人を探すコツ
外科看護師の求人を探す際には、ポイントを押さえておくことで、希望に合った職場を見つけやすくなります。自分のスキルや経験、キャリアプランを明らかにしたうえで、情報収集をおこなうことが大切です。
外科看護師に転職する志望理由や目標を明らかにする
外科看護師への転職を成功させるためには、なぜ外科看護師として働きたいのか、将来どのような目標を持っているのか、など志望理由や目標を掘り下げて考えることが重要です。
数多くの求人から自分に合った職場を選ぶ際の明確な軸となるからです。面接の場面においても、採用担当者に熱意やキャリアビジョンをはっきりと伝えられるため、採用率アップが期待できます。
たとえば「内科の経験を通じて、急性期のケアに関心を持ったため、急性期看護に携わりたい」と志望理由が明らかになると、急性期医療に力を入れている病院の求人に焦点を定めることができます。
また「手術看護の知識やスキルを習得し、術後の早期回復に貢献したい」という目標があると、手術室のある病院や手術件数の多い病院を中心に求人を探すことが効果的です。
これまでのスキルや経験、キャリアプランを見据えて明確な志望理由と目標を持つことが、外科看護師への転職を成功させるための重要なステップとなるでしょう。
求人サイトや転職エージェントを活用する
外科看護師の求職活動を効率的に進め、理想の職場を見つけるためには、看護師専門の求人サイトや転職エージェントを積極的に活用することが不可欠です。
沢山の求人の中から、より自分にあった求人を選べるよう、非公開求人の紹介や応募書類の作成支援といった、転職活動のサポートを提供しています。
複数の看護師専門求人サイトに登録することで、さまざまな病院やクリニックの外科看護師の情報を集められ、勤務地や給与、福利厚生などの条件を比較検討できます。
したがって、新たなキャリアを築きたい方は、看護師専門の求人サイトへの登録と、エージェントへの相談をおこなうことが、転職成功への鍵となるでしょう。
外科看護師に関するQ&A
外科看護師の仕事について、よくある疑問とその回答をまとめました。これらのQ&Aを通じて、外科看護師の仕事に対する理解をさらに深めていただければ幸いです。
Q1:外科看護師で働くためには資格が必要ですか?
外科看護師として働くためには、看護師の国家資格が必要です。ただし、ほかの資格や特別なスキルは必要ありません。。
Q2:外科と内科、看護師はどっちが大変ですか?
外科と内科のどちらが大変かは、看護師の方個人の適性や価値観によって異なります。
外科は、手術後の集中的なケアや、急な容体変化への対応が求められるため、体力的な負担や精神的なプレッシャーが大きいと感じる看護師の方もいます。
一方で、内科は、慢性疾患がある患者さまの長期的なケアや、多岐にわたる疾患の知識が必要となるため、学習意欲やコミュニケーション能力が求められるでしょう。
どちらが大変かは一概にはいえず、興味や得意な分野、働き方に合った職場を選ぶことが大切です。
Q3:外科看護師には新卒でもなれますか?
新卒でも外科看護師になれます。
多くの病院では、新卒の看護師を採用し、教育制度を整えて育成しています。外科も例外ではなく、新卒の看護師が配属されることがあります。
新卒で外科看護師として働けますが、先輩看護師の指導を仰ぎながら、積極的に学ぶ姿勢が大切です。
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まとめ:外科看護師は術前後や外傷をケアする看護師のこと!仕事内容を知って理想の働き方を実現しよう
外科看護師は、手術を受ける患者さまやケガをされた患者さまに対して、手術前から手術後、そして退院後の生活まで、幅広いケアを提供する専門職です。
おもな仕事内容は、全身状態の観察と管理、検査や処置の介助、入院生活のケアなど多岐にわたります。
求人を探す際は、自分の志望理由や目標を明らかにしたうえで、求人サイトや転職エージェントを活用することをおすすめします。外科看護師の仕事内容を深く理解し、あなたの理想の働き方を実現しましょう。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。