看護師はブラック・やめとけといわれる理由は?ブラックな職場の見分け方

「看護師の仕事がブラックって本当?」「看護師はやめとけっていわれたけど何で?」
このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
看護師の仕事は、患者さまの命と健康を守る責任のある仕事です。人の役に立ちたい、困っている人を助けたいという気持ちの方が活躍しています。
しかし、その一方で、働く環境が厳しいために退職を考えている看護師の方が多いのも事実です。
この記事では、なぜ辞めたいという声があがるのか、その背景を解説します。ブラック病院を避ける方法も紹介しているため、つらい環境から抜け出したい看護師はぜひ参考にしてください。
看護師は非常にやりがいのある仕事
看護師は、病気や治療に不安を抱える患者さまの心の支えとなり、療養生活や回復をサポートする非常にやりがいのある仕事です。
人の命にかかわる責任の重さがあるからこそ、患者さまが回復していく姿や笑顔が見られるときには、ほかにはない喜びと達成感を得られます。
また、医療従事者と協力しながら、患者さまへ最善のケアを提供していくことに充実感も味わえるため、看護師は価値のある仕事といえます。
看護師はブラックすぎ・やめとけといわれる7つの特徴
看護師はやりがいのある仕事です。しかし、働く環境によっては「ブラックすぎる」「やめとけ」といわざるを得ない状況も存在します。日本医療労働組合連合会の調査によると、看護師の79.2%が仕事を辞めたいと考えています。
- 勤務体制が不規則できつい
- 有給休暇が取得しづらい
- いじめやパワハラに巻き込まれることもある
- 教育体制が不十分である
- 残業代が支払われない
- 休日に研修や学会への参加を求められる
- 病院独自の風習がある
もしあなたが、これらの特徴に当てはまる職場で苦しんでいるなら、決して一人で悩まないでください。それぞれを詳しく見ていきましょう。
勤務体制が不規則できつい
看護師の不規則な勤務体制は、心身の負担となり「きつい」と感じる要因となっています。
生活リズムが乱れやすく、慢性的な睡眠不足や疲労につながるからです。具体例として、日勤や夜勤など短いスパンで勤務時間が変わることで、体内時計をうまく調整できず、体調不良を起こしやすくなります。
また、患者さまの急変の対応や緊急入院の受け入れなどで予定外の残業が発生することも多く、プライベートな時間を確保しにくい状況です。
このような不規則で過酷な勤務体制は、看護師が離職を考えるきっかけになります。
有給休暇が取得しづらい
看護師は人手不足のため、有給休暇を取得しにくい状況にあります。
厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」の調査による、2022年度の有効求人倍率は次のとおりです。
- 全職業:1.19倍
- 看護職員(看護師・准看護師):2.20倍
人員の少ない職場では、誰かが休むとほかの看護師に負担がかかってしまうと考えてしまいがちです。
具体例として「先輩が忙しそうだから」「自分が休むとに迷惑がかかる」といった理由で、有給休暇の申請をためらってしまう看護師も多い現状です。
いじめやパワハラに巻き込まれることもある
看護師の職場では、いじめやパワハラが起こることがあります。
というのも、病院という閉鎖的な環境や、厳しい上下関係が存在する職場があるからです。
実際に、先輩看護師からの陰湿な嫌がらせや無視、理不尽な叱責などを受けた経験があるといった声もあります。また、患者さまやその家族からの暴言やハラスメントに苦しむケースも少なくありません。
これらの行為により、被害を受けた看護師が精神的な健康を損なうことで、仕事を続けられなくなります。
教育体制が不十分である
職場によっては、教育体制が十分に整っていない場合があります。
慢性的な人手不足により、教育に時間を割く余裕がなかったり、研修制度が整っていなかったりするからです。
十分な教育を受けられないまま現場で働くことは、医療ミスのリスクを高める可能性があります。そのため「看護師はやめとけ」といわれることがあります。
残業代が支払われない
ほとんどの病院や施設で、残業代は適切に支払われています。
しかし、一部の職場では、サービス残業が当たり前になっており、残業代が支払われないという問題が依然として存在します。
人件費を抑えたいという病院側の意向や、時間管理がずさんであることなどが考えられるからです。
具体例として、残業をしているにもかかわらず、上司の指示によって残業時間を少なく記録しているケースもあるようです。
このような状況から「看護師はブラックすぎる」といわれることもあります。
休日に研修や学会への参加を求められる
看護師の職場によっては、休日にもかかわらず研修や学会への参加が求められる場合があります。
たとえば、仕事終わりの院内研修や休日に開催される遠方の学会などへの参加が求められ、参加しないと評価に影響が出るケースもあるようです。
自発的な学習意欲は重要ですが、休日に参加を強いられるのは、ワークライフバランスを損なうかもしれません。
病院独自の風習がある
病院には、時代に合わない病院独自の風習が残っていることがあります。たとえば、次のような事例です。
- 先輩看護師より先に帰ってはいけない
- リーダー看護師は休憩時間にも医師からの呼び出しに対応しなくてはいけない
- 先輩看護師が担当する患者さまのケアを後輩がすることは当然
このように、職場によっては看護師の負担になるようなルールが存在します。このような風習は、新しいスタッフが馴染みにくく、離職の原因となることがあります。
今の病院がブラック・ホワイトか見分けるポイント
あなたが「もしかしてここはブラック病院なのでは?」と感じている場合、いくつかのポイントを確認してみましょう。
- 労働条件が聞いていた話と異なる
- 新しい看護師がどんどん辞めていく
- 設備が古く職場環境が悪い
客観的に自分の状況を把握することで、今後の行動を考えるきっかけになるはずです。
労働条件が聞いていた話と異なる
入職前に提示された労働条件と実際の労働条件が異なる場合は、その病院がブラックである可能性が高いです。
労働契約は、病院と看護師との約束であり、その内容が守られないことは信頼関係を損なうからです。具体例として「残業はほとんどない」といわれていたのに実際には毎日数時間の残業がある、給与や手当の金額が求人票と異なる、休日数が違うなどが挙げられます。
このような状況は、病院側が意図的に情報を隠していたか、管理体制が整っていないことを示唆します。職場の労働条件の食い違いに不満を感じている場合は、専門機関に相談したり、転職したりすることを検討しましょう。
新しい看護師がどんどん辞めていく
新たに採用された看護師が短期間で次々と辞めていく職場は、ブラック病院の恐れがあります。
早期離職が多いことは、次のような問題が存在するサインだからです。
- 過酷な労働条件
- 劣悪な人間関係
- 不十分な教育体制
もしあなたが転職を検討している病院で、新卒や入職した看護師の離職が多いという情報を得た場合は、慎重に検討する必要があります。
設備が古く職場環境が悪い
医療設備が老朽化していたり、職場環境が整備さえていなかったりする病院は、ブラック病院の可能性があります。
患者さまへの安全な医療提供を妨げるだけでなく、働く看護師のモチベーションを低下させるからです。具体例として、次の状況が挙げられます。
- 不具合のある医療機器を使い続ける
- 必要な材料が不足している
- 休憩室が狭く汚れている
- 感染対策が不十分である
こういった職場環境は、看護師のストレスにつながります。転職先を決めるうえで、職場環境を重視する場合、病院見学やインターンシップで職場の状況を確認することをおすすめします。
関連記事:看護師がホワイト病院に転職する方法!特徴9つとブラック病院を見分けるコツ
看護師がブラック病院を辞めた方が良い理由
あなたの職場がブラック病院の特徴に当てはまり、働くことがつらいと感じている場合、その環境から抜け出すことを検討すべきです。無理して働き続けることは、心身に深刻な影響を与えるリスクがあります。
- 心身ともに疲弊する可能性がある
- スキルアップする時間が確保できない
- ほかの看護師ばかりを気にして患者さまに目を向けられない
- より良い転職先はたくさんある
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
心身ともに疲弊する可能性がある
ブラック病院で働き続けると、心身ともに深刻なダメージを受ける恐れがあります。
慢性的な睡眠不足による集中力低下や抑うつ気分、原因不明の体調不良などが現れることがあります。
心身の不調を感じている場合、無理して働くことで、看護師人生に悪影響を及ぼすため転職や退職などを検討してください。
スキルアップする時間が確保できない
ブラック病院では、日々の業務に追われ、学習する時間や研修に参加する余裕がないため、スキルアップのための時間を確保しづらい傾向です。
また、職場によっては、自己学習や研修への参加が推奨されない場合もあります。
キャリアアップを考えている看護師は、転職を含めてさまざまな環境で働く選択肢を持つことが大切です。
ほかの看護師ばかりを気にして患者さまに目を向けられない
ブラック病院では、職場の人間関係を気にするあまり、患者さまへのケアに集中できない状況になる可能性があります。
先輩看護師に気を遣いすぎて患者さまとのコミュニケーションが不足したり、先輩看護師が担当する患者さまのケアを優先して自身の患者さまのケアを見落としたりするかもしれません。
医療ミスにつながるリスクがあるため、我慢せずに転職も視野に入れると良いでしょう。
より良い転職先はたくさんある
少子高齢化が進む現代において、看護師は需要の高い職種であるため、より良い労働条件や人間関係の職場を見つけやすい傾向です。
実際に、多くの病院や介護施設、訪問看護ステーションなどが、好条件を提示して、優秀な看護師を求めています。求人サイトや転職エージェントを利用すると、非公開の求人情報や職場の詳細な情報も得られます。
今の職場に不満を感じている場合、積極的に情報収集をおこない、自分にとってより良い環境を探しましょう。
転職するときにブラック病院を避ける方法
せっかく転職するなら、二度とブラック病院に入りたくないですよね。次のポイントに注意してみてください。
- 病院の離職率や年齢層をリサーチする
- 残業の実態と支払いを確認する
- 看護提供体制を把握する
- 病院の教育体制を確認する
- 病院見学やインターンシップに参加する
- 求人サイトに登録する
ここでは、転職活動の際にブラック病院を避けるための具体的な方法を紹介します。
病院の離職率や年齢層をリサーチする
転職を検討している病院の離職率や看護師の年齢層を事前にリサーチすることは、ブラック病院を避けるための重要な手段です。
これらの情報は、職場の環境や人間関係を示唆するからです。
具体例として、離職率が異常に高い病院や特定の年齢層に極端に偏っている病院は、労働環境や人間関係に問題を抱えている可能性があるかもしれません。
病院のホームページや転職サイトの口コミなどから情報を集めて、ブラック病院であるかどうかを判断しましょう。離職率についての情報が見当たらない場合は、面接官に質問することも有効です。
残業の実態と支払いを確認する
転職先の病院における残業の実態と残業代の支払い確認することは、ブラック病院を避けるために不可欠です。具体的には、面接時に次のような質問をすることで確認できます。
- 平均的な残業時間
- 残業代の計算方法
- 残業代の有無
面接官が曖昧な返答をしたり、はっきりと回答しても残業時間に見合わない手当であったりする場合は注意が必要です。
看護提供体制を把握する
転職先の病院の看護提供体制を把握することは、働きやすさを知るうえで重要です。
看護師一人当たりの負担が大きい体制であると、質の高いケアを提供できないだけでなく、 看護師の疲弊につながるからです。
受け持ち患者さまの人数や看護師の配置人数だけではなく、チームナーシングやプライマリーナーシングなどの看護方式も確認しましょう。
病院の教育体制を確認する
転職先の病院の教育体制が充実しているかどうかを確認することは、キャリア形成において大切です。
教育体制が整っている病院は、看護師の育成に積極的であり、成長をサポートする環境である可能性が高いからです。
プリセプター制度や研修プログラムの内容、資格取得の支援制度などを確認してください。これらの支援が充実しているところであると、看護師としてスキルアップできるでしょう。
病院見学やインターンシップに参加する
転職を検討している病院がある場合は、病院見学やインターンシップにできる限り参加することをおすすめします。
実際に職場の雰囲気を肌で感じ、看護師が働く様子を見られるからです。インターンシップに参加できれば、実際の業務を体験し、患者さまとコミュニケーションを取ることで、職場の状況を深く理解できます。
求人サイトに登録する
看護師専門の求人サイトに登録し、幅広い情報を収集することは、ブラック病院を避けるためにおすすめの方法です。
求人サイトに掲載されている求人情報だけでなく、口コミや評判、コンサルタントからの情報も参考にしてください。コンサルタントは、病院の内情に詳しい場合があり、求人票だけではわからない情報を提供してくれることがあります。
さらに、複数のサイトに登録することで、自分に合った求人を見つけやすくなるでしょう。
まとめ:ブラック病院の特徴を把握して、ホワイト病院に転職しよう
看護師の仕事はやりがいがある一方で、働く環境によっては「ブラック」「やめとけ」と言われる実態があります。
その背景には、不規則な勤務体制や有給休暇の取得しづらさ、いじめやパワハラ、不十分な教育体制などが挙げられます。
ブラック病院を見分けるには、労働条件の相違や高い離職率、劣悪な職場環境に注意が必要です。
転職の際は、離職率や残業の実態、教育体制などを事前にリサーチし、病院見学や求人サイトの活用が有効です。つらい環境から抜け出し、より良い労働条件のホワイト病院への転職を検討しましょう。
<参考サイト・文献>

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