看護師の一日のリアルとは?業務の流れを解説

公開日:2025/03/24 更新日:2025/03/24
記事サムネイル画像

看護師の仕事に「忙しそう」「大変そう」というイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。

実際に看護師は、日勤・準夜・深夜と交代しながら多様な業務を担当します。患者さまのバイタルサインの測定や服薬管理、食事介助だけでなく、医師の診療補助、ご家族への対応、記録の作成など、一日を通してさまざまな仕事を行っているのです。

この記事では、看護師の一日の業務の流れを時間帯ごとに詳しく解説します。一日のリアルな流れを知ることで、看護師の仕事についての理解をより深めていただくヒントになれば幸いです。

看護師の一日の業務の流れ・朝【日勤帯】

主に、病棟看護師の業務の場合を紹介します。

まずは、日勤の看護師が出勤してからの流れです。

情報収集

出勤したら、まずは自分の受け持ち患者さまや役割を確認し、情報収集を始めます。具体的には、カルテを見て、以下の情報を確認します。

  • 患者さまの基本情報
  • 症状や治療内容
  • 医師からの指示
  • 本日の予定 など

同時に、その日の日勤帯で使用する点滴や内服薬の準備も行います。情報収集をしっかり行ったあとで、その日の仕事の流れを組み立てていきます。

夜勤スタッフからの申し送り

夜勤のスタッフから夜間の様子や変化などの申し送りを受けます。職場によっては、リーダー経由で全体の申し送りをするところもあるでしょう。

また、この時間帯に全体ミーティングを実施し、その日の入院予定や患者さまについての情報共有を行うこともあります。

朝食の片付け・食事介助

患者さまの朝食は、深夜帯で終了していることが多いでしょう。しかし、なかには食事のペースがゆっくりであるために、食べ終わっていない患者さまもいます。その場合は早番や日勤の看護師が介助したり、服薬、口腔ケア、下膳までを担当したりすることもあります。

食事量や摂取状況をチェックし、栄養状態を把握することも看護師の重要な業務のひとつです。

患者のバイタルサイン測定

患者さま一人ひとりのベッドサイドを訪問し、午前中の検温、日常生活の介助などを行います。同時に、随時鳴るナースコールに対応していきます。

バイタルサイン測定は、看護師にとって、患者さまとの信頼関係を築く大切な機会のひとつです。血圧・体温・脈拍などの基本的な項目や、疾患や治療によって生じる症状の確認を行います。患者さまとコミュニケーションをとり、体調や精神面のヒアリングも実施していきます。

服薬管理・点滴管理

点滴や服薬の管理も看護師の重要な仕事です。

内服薬の中には、食直後ではなく「食事の2時間後に服用」などと服用時間が決まっているものもあります。また点滴は、24時間持続点滴をしている方、時間が決まっている方など、医師からの指示にそれぞれ違いがあるため、何度も確認しながら実施することが大切です。

抗がん剤治療や検査・手術ための点滴なども日勤帯で実施することが多くなります。

清拭・口腔ケア・排泄介助

患者さま一人ひとりのADL(日常生活動作)に合わせた日常生活援助を行います。自分では動くことがむずかしい患者さまの場合、看護師複数名で入浴介助や清拭を行うこともあります。

患者さまの尊厳を守りながら、身体的・精神的な苦痛を軽減するようなケアを心がけることが重要です。

検査や処置の準備・補助

医師の指示による検査や処置を患者さまがスムーズに受けられるよう、準備や補助を行うことも看護師の仕事です。たとえば、採血や静脈内点滴ルートの確保、創部の処置、各種検査室への移動介助など、多岐にわたる業務を担当します。

行われる処置や検査の種類は、病棟の診療科や患者さまの疾患によって大きく異なります。

看護師の一日の業務の流れ・昼【日勤帯】

看護師の方の仕事は、午後も盛りだくさんです。ここからは、日勤帯の午後からの仕事内容を紹介します。

昼食の配膳・食事介助

配膳や食事の介助も、看護師の重要な仕事のひとつです。

朝食時と同様、自力で摂取できない患者さまの食事の介助や、内服薬の投与を行います。嚥下訓練中の患者さまに対しては、栄養士や言語聴覚士(ST)と共に摂取状況を確認することもあります。

また、この時間帯には看護師も交代で休憩を取ります。

ミーティング

職場によって異なりますが、看護師らが昼休みを終えたタイミングでミーティングを行うところが多いでしょう。

テーマを決めて患者さまの看護の振り返りをしたり、対応が難しい患者さまへのアプローチをスタッフ全員で考えたり、新たな知識を周知したりするなど、内容はさまざまです。ミーティングを通してチーム全体で情報共有することは、ケアの質向上につながります。

服薬管理・点滴管理

午前中に引き続き、服薬管理や点滴管理を行います。

また、医師から新たな指示が出た場合には、迅速に対応することが求められます。患者さまの反応や副作用の有無をしっかりと観察し、安全に治療が行われるよう配慮することが大切です。

傷の処置やドレーン管理

褥瘡などの傷やドレーンが入っている患者さまの挿入部の処置・観察などを行います。これらの処置は午前中に行うこともありますが、患者さまの状態や病棟の業務の流れによって午後に実施することもあるでしょう。

傷の状態に変化があったり、ドレーンのトラブルなどがあったりすると医師や認定看護師などに相談し、適切な対応をとります。

リハビリや日常生活介助(施設による)

リハビリ中の患者さまの付き添いをしたり、介助の必要な患者さまを車椅子に移乗したりすることもあります。

入院生活で寝たきり状態が続くと刺激が少なく、1日のリズムも崩れがちです。患者さまの体調に合わせ、可能な範囲で離床を促すことも看護師の重要な役割のひとつです。

理学療法士や作業療法士などのリハビリ担当者と協力しながら、患者さまの回復をサポートします。

患者さまやご家族の対応

ナースコールは勤務中、常時対応します。また、ご家族が面会に来た場合には、その対応も看護師の方の大切な業務です。

コロナ禍で面会の制限が厳しくなった病院も多く、荷物の受け渡しのみ可能としているところもあります。そのような状況下でも、入院中の患者さまとご家族の橋渡し役として、双方の不安や要望に寄り添った対応を心がけることが大切です。

記録・申し送りの準備

患者さま対応に余裕ができたタイミングで、カルテ記載を行います。現在は多くの医療機関で電子カルテが普及しており、日々の観察事項や実施したケア内容をパソコン上で詳細に記録できます。

また、夜勤担当看護師への申し送りに向けて、情報をまとめたり指示を確認したりしておくことも重要です。

夜勤スタッフへの申し送り

夜勤スタッフへの申し送りは、日勤帯での重要な業務のひとつです。

カルテ記載が完了していないところや、急変などの大きなイベント、医師からの指示、ご家族からの伝言など、次の勤務者がスムーズに仕事ができるように簡潔に必要事項をまとめて申し送ります。

病院によっては、夜勤担当者に直接申し送るのではなく、日勤帯の看護師それぞれがリーダー看護師に報告し、リーダー看護師から次勤務者に情報共有を行う仕組みになっているところもあります。

終業後の勉強会

終業後、勉強会のある職場も多いでしょう。新しい薬の情報共有や、テーマを決めて疾患の勉強をするなど、勉強会の内容はさまざまです。また、終業後の時間に、病棟業務についての会議が行われることもあります。

勉強会までにカルテ記載が終わっていなければ、勉強会の終了後に再度記録の時間をとることもあります。

看護師の一日の業務の流れ・夕方【準夜帯】

ここからは、準夜帯の看護師の仕事を紹介します。

夜勤は、日勤・準夜・深夜の3交替制、または日勤と夜勤(準夜・深夜を含む)の2交替制があります。勤務体制によって業務内容や時間配分は異なりますが、患者さまのケアや看護師の仕事内容に大きな変わりはありません。

夕食の配膳・食事介助

夜勤の看護師は、日勤帯からの申し送りや担当患者への挨拶などが終わったら、食事の配膳を行います。

夜勤の勤務者は人数が少ないため、食事介助に手が回らないことも少なくありません。遅出の看護師が介助に入ったり、日勤帯の看護師が残業をして食事の介助までを行ったりと、スタッフ間で協力し合っている職場もあります。

服薬管理・点滴交換

夜勤帯は看護師数が減り、一人あたりの受け持ち患者数は日勤帯よりも多くなります。服薬管理や点滴交換も多くなるため、効率よく確実に進めていく必要があります。確認作業をしっかりと行い、患者さまの安全を守ることは看護師の方の重要な役割です。

患者の就寝準備(清拭・オムツ交換など)

夕食や夜間のバイタルサイン測定、服薬などが終われば、就寝準備をすすめていきます。看護師は、更衣やおむつ交換、眠前薬の服用介助などを行い、患者さまが安心して眠れる環境を整えます。

夜間の点滴管理やモニタリング

消灯後も、心電図や酸素飽和度モニターなどを装着している患者さまのモニタリング、点滴の管理が続きます。また、ナースコールがあればその都度、迅速な対応が必要です。

看護師は定期的にベッドサイドを巡視し、患者さまの状態に変化がないか、点滴やドレーン類にトラブルが起こっていないかを確認します。

記録の整理

消灯後、一息ついたところで観察したこと・起こったことについてカルテ記載を行います。この時間帯に余裕があれば、委員会活動の資料作成や整理などをすすめる場合もあります。静かな夜間は、日中にできなかった業務の整理をする貴重な時間となるのです。

2交代制の病棟では、交代しながら仮眠休憩を取ります。

看護師の一日の業務の流れ・夜(深夜)

3交代制の場合、0〜1時ごろに前勤務者(準夜勤)と交代し、深夜勤務が始まります。ここからは、深夜帯の仕事を紹介します。

夜間のバイタル測定・巡回

深夜帯も定期的な巡視を行い、患者さまの状態を確認します。また、必要に応じてバイタルサインの測定を行います。

また、患者さまの状態をモニタリングしている場合は、ナースステーションにて状態を見ながら必要時ベッドサイドに行って、観察や対応をします。

夜間に患者さまの容態が変化していないか、わずかな変化も見逃さないよう注意深く観察することが重要です。

点滴・カテーテル管理

点滴やカテーテルの廃液量、尿量などを定期的にチェックします。とくに水分出納のチェックが必要な患者さまは、一定時間ごとの点滴量や尿量測定が欠かせません。

点滴の交換や速度調整も、医師の指示に従って適切に行います。

排泄介助・体位交換

おむつを使用している全介助の患者さまのおむつ交換を適宜行います。また、褥瘡予防のための体位変換も定期的に実施します。ナースコールがあれば、夜中の排泄介助にも対応します。

患者さまの安眠を妨げないよう配慮しながら、必要なケアを確実に提供することが求められます。

救急対応・急変時の対応

夜中に緊急入院の対応が必要となることもあります。緊急入院の対応をする際には、他の患者さまをできるだけ起こさないように配慮しながら、スムーズに患者さまの受け入れをします。

また、入院中の患者さまに急変が起こった場合は、迅速な対応が必要です。夜間は看護師の人数が少ないため、急変時は日勤帯以上に判断力と行動力が求められます。

朝の検査準備・採血

検査の準備や採血は、まだ暗い早朝から始める職場が多いでしょう。手分けをしながらベッドサイドに訪問し、患者さまの負担を最小限に留められるよう意識しながら採血を実施します。

朝食の配膳・介助

患者さまが徐々に起床するため、排泄の介助なども多くなり、ナースコールが頻繁に鳴ります。深夜帯の看護師は、朝のケアやナースコール対応を行いながら、朝食の配膳や食事介助、内服介助までを行います。

早番(日勤)スタッフへの申し送り

夜勤の勤務帯が終了する頃、日勤帯への申し送りを行います。夜間の患者さまの状態や特記事項、当日の予定などを正確に伝えることが目的です。

病棟によっては、夜勤のリーダー看護師に全員が申し送り、リーダー経由で情報伝達が行われることもあります。申し送りを終えたら、最後に看護記録を行い、次の勤務者に引き継ぎます。

まとめ

この記事では、看護師の一日の業務の流れを日勤帯、準夜帯、深夜帯に分けて詳しく解説しました。

看護師の仕事は時間帯によって業務内容が大きく変わります。しかし、どの時間帯でも患者さまの安全と健康を守るという使命は変わりません。

看護師の業務内容は多岐にわたるため、体力的にも精神的にも大変なことが多いでしょう。ですが、患者さまの回復や笑顔を間近で見られる、大きなやりがいのある仕事です。常に患者さま中心の医療・看護を提供するという原点を忘れず、チーム医療の一員として日々の業務に取り組んでいきましょう。

SNSシェア

  • LINEアイコン
  • facebookアイコン
  • Xアイコン
記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

関連する記事

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像左 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左

NsPaceCareerとは

訪問看護・在宅看護に特化した
求人情報検索・応募のほか、
現役の訪問看護師や在宅経験者への無料相談や、
事業所への事前見学申し込みが可能です。

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像右 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左