透析看護師に向き不向きな人の特徴!不向きな人のキャリアアップのコツ4つ

透析看護師は、患者さまの生命を支える重要な役割を担っています。
しかし、透析看護師の仕事内容や役割は特殊であり、病棟看護師とは違った専門性が求められるため、向き不向きが気になる人もいるでしょう。
この記事では、透析看護師の向き不向きを解説します。向いている人の特徴だけでなく、不向きな人がキャリアアップするためのコツも紹介します。透析看護師を目指している人や、透析看護師のキャリアに悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
透析看護師に向いている人の特徴
- 透析で専門性を高めたい人
- 急変時の際にすぐに対応できる人
- ルーチンワークが得意な人
- 患者さまと長期的に関わりケアがしたい人
- プライベートも充実したい人
透析で専門性を高めたい人
透析看護師は、透析に関する専門的な知識やスキルを身につけられます。
透析患者さまは、次のような合併症のリスクが高く、全身状態も複雑です。
- 不均衡症候群
- 高血圧・低血圧
- 貧血
- 感染症
- 二次性副甲状腺機能障害
- アミロイド骨関節症
- 高カリウム血症
さらに、透析の機械の操作といった病棟では経験できないスキルが必要となります。
そのため、透析看護師は、幅広い知識と高度なスキルが求められます。透析看護の分野で専門性を高めたい人にとって、透析看護師はやりがいを感じられる仕事です。
専門性を深めることで、患者さまに質の高いケアを提供し、信頼される看護師を目指せるでしょう。
関連記事:透析看護師とは?5つの仕事内容や向いている人、給与事情まで徹底解説
急変時の際にすぐに対応できる人
透析中は、患者さまの容態が急変する可能性もあります。透析治療は、患者さまの血液を体外循環させるため、さまざまなリスクがあります。
急変する場合もあり、このときの対応は、患者さまの命に関わる重要な業務です。日頃から、急変時の対応について学び、シミュレーション訓練をおこない、スキルを磨いておくことが大切です。
そのため、緊急時にも落ち着いて行動できる人は、透析看護師として活躍できるでしょう。
ルーチンワークが得意な人
透析看護師の仕事は、比較的ルーチンワークが多い傾向です。透析治療は、次のように一定の手順に従っておこなわれるため、毎日同じような業務を繰り返しがちです。
業務 | 内容 |
透析患者さまの受け入れ | ・体重測定 ・バイタルサインのチェック ・体調の確認 |
透析開始の操作 | ・シャント部位の消毒と穿刺 ・透析機械の操作 |
透析中のケア | ・定期的にバイタルサインのチェック ・症状の確認 ・透析機械のチェック |
透析終了の操作 | ・抜針 ・機械の操作 |
そのため、透析看護師はルーチンワークが得意な人や、コツコツと作業を進めるのが好きな人に向いています。
また、ルーチンワークの中で、患者さまのわずかな変化に気づき、適切な対応をおこなうことも重要です。日々の業務を確実に実施すると患者さまの安全と安心を守れるでしょう。
患者さまと長期的に関わりケアがしたい人
透析患者さまは、定期的に透析治療を受ける必要があります。
透析治療は、週に数回、数時間かけておこなわれるため、患者さまと接する時間が長くなりやすいです。患者さまの生活背景や思いを理解し、寄り添うことで、より良いケアを提供できます。
また、長期的にケアして、患者さまの成長や変化を間近で見守ることも、透析看護師の大きなやりがいです。
そのため、患者さまと長期的な信頼関係を築きながら、じっくりとケアがしたい人には透析看護師が向いています。
プライベートも充実したい人
透析看護師は、比較的残業が少なく、夜勤がない職場も多い傾向です。
基本的に、透析治療は日中におこなわれるため勤務時間が規則的であり、夜勤の業務が発生しにくいからです。
ただし、透析専門クリニックによっては、会社員が仕事終わりに通うところもあり、夜間の透析に対応しなければならないため、職場を選ぶ際には求人情報をチェックしましょう。
ワークライフバランスを重視したい人にとって、透析看護師は魅力的な選択肢です。趣味や家族との時間を大切にしながら、看護師として活躍できます。仕事後の時間を有効活用し、自己啓発やリフレッシュに充てることも可能です。
透析看護師に向いていない人の特徴
透析看護師に向いている人がいる一方で、向いていない人がいるのも事実です。
- オープンフロアが苦痛な人
- シャントへの穿刺に苦手意識が強い人
- 医療機器の操作に難しさを感じている人
- 給料が高い職場で働きたい人
向いていない人の特徴を知ることで、ミスマッチを防ぎ、自分に合ったキャリアを選択できるでしょう。
オープンフロアが苦痛な人
多くの透析室は、開放的なオープンフロアで複数の患者さまが同時に透析を受けています。
オープンフロアでは、患者さまやスタッフの話し声、医療機器の作動音などが常に聞こえます。閉鎖的な空間で集中して業務に取り組みたい人や、音や人の動きに敏感な人には不向きです。オープンフロアであると、ほかの看護師からの視線が気になり落ち着かない人もいるでしょう。
また、多くの患者さまが同時に治療を受けているため、人の動きも頻繁です。これらの環境が、集中力を妨げたり、ストレスになったりする可能性があります。
シャントへの穿刺に苦手意識が強い人
臨床工学技士がシャントへの穿刺をおこなうことが一般的ですが、配属先によっては、透析看護師がその役割を担うところもあります。
穿刺への苦手意識が強い人や、プレッシャーを感じやすい人は、透析看護師の仕事にストレスを感じるかもしれません。
患者さまの苦痛をともなう可能性があるため、正確かつ迅速におこなわなければならず、穿刺部位の感染や出血などの合併症にも注意が必要です。また、透析患者さまはこの穿刺に慣れているため、手際が悪いとクレームの原因になるリスクがあります。
そのため、シャントへの穿刺に苦手意識が強い人は透析看護師が不向きといえます。
医療機器の操作に難しさを感じている人
透析機械は、血液を浄化し、体内の水分や電解質のバランスを調整する、複雑な医療機器であるため高度なスキルが求められます。
医療機器の操作に苦手意識がある人や、新しい機器の操作を覚えるのが苦手な人は、透析看護師の仕事に苦労するかもしれません。
また、透析中のアラーム発生時や、透析を開始・終了するときは、透析機械の特殊な操作が必要です。医療機器の操作に難しさを感じている人は、透析看護師に向かないかもしれません。
給料が高い職場で働きたい人
透析看護師の給料は、ほかの看護師と比較して平均的か、やや低い傾向にあります。
その理由は、透析看護師で働く場合、夜勤手当がないケースが多く、病院と比較して透析クリニックは規模が小さく、経営状況もさまざまであるからです。
具体的には、厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師全体の平均年収は約508万円です。一方で、透析看護師の平均年収は約430万円とするデータもあります。
そのため、透析看護師の給料水準は、病院や大規模な医療機関と比較して低い場合があるため、高い給料を求める人には不向きです。
透析看護師に不向きな人がキャリアアップするコツ4つ
透析看護師の仕事に不向きだと感じても、キャリアアップの道は開けます。
- 透析看護について改めて学習する
- 透析室や透析センターで管理職を目指す
- 新たな資格を取得してスキルアップする
- 透析看護師の経験を別の分野で活かす
自分に合った目標を見つけ、スキルアップを目指してください。
透析看護について改めて学習する
透析看護に関する知識やスキルを改めて学習し、専門性を高めることで、自信を持って仕事に取り組めるようになります。
透析看護の分野は、常に新しい知識や技術が生まれているため、日々の学習が欠かせません。学会や研修会などに積極的に参加し、最新情報を収集することが重要です。
また、透析の研修や、先輩看護師のフォロー体制がある職場を選ぶと、スキルアップしやすいでしょう。
関連記事:「透析療法」の知識&注意点【訪問看護師の疾患学び直し】
透析室や透析センターで管理職を目指す
透析室や透析センターで管理職を目指すことも、キャリアアップの選択肢のひとつです。
管理職として、チームをまとめたり、業務改善に取り組んだりすると、新たなやりがいを見つけられるでしょう。
管理職は、スタッフの教育や指導、業務の効率化、患者さまへのサービス向上など、幅広い業務を担当します。そのため、リーダーシップやマネジメント能力が求められます。
管理職を目指す場合は、日頃からリーダーシップを発揮し、マネジメントに関する知識やスキルを習得しておくことが大切です。
新たな資格を取得してスキルアップする
透析看護に関連する資格の取得で、専門性を高め、キャリアアップにつなげられます。たとえば、次のような資格があります。
- 腎不全看護認定看護師
- 透析技術認定士
- 慢性腎臓病療養指導看護師
これらの資格は、透析看護の専門的な知識やスキルを証明するものです。専門性を高められ、患者さまに質の高いケアを提供できるようになります。
また、資格手当が支給される場合や昇給・昇進の際に有利になる場合もあります。自分のキャリアプランに合わせて、必要な資格取得を目指しましょう。
透析看護師の経験を別の分野で活かす
透析看護師として培った経験は、ほかの医療分野でも活かせます。
たとえば、慢性疾患看護や地域包括ケアなどの分野で、透析看護の経験を活かせるでしょう。
透析看護師は、患者さまの全身状態を把握し、合併症を予防するための知識を持っています。これらは、慢性疾患を抱える患者さまのケアに役立ちます。また、地域で生活しながら治療を続けているため、地域包括ケアの分野でも、透析看護師の経験を活かせるでしょう。
自分の興味や関心に合わせて、新たなキャリアに挑戦してください。
透析看護師への転職を成功させるポイント
透析看護師への転職を考えている人は、次の項目を押さえて、転職活動を成功させましょう。
- 透析看護師になる理由を明らかにする
- 教育体制が整っている職場を選ぶ
- 透析看護師に関する新しい資格を取得する
- 給料が下がる可能性があることを知っておく
- 転職サイトを活用する
それぞれを見ていきましょう。
透析看護師になる理由を明らかにする
なぜ透析看護師になりたいのか、その理由を明確にしましょう。
転職理由を明らかにすると、転職活動の軸が定まり、自分に合った職場を選びやすくなるからです。透析看護師の仕事は、患者さまの生命を支える重要な役割を担っています。
そのため、やりがいを感じられる一方で、責任も重大です。転職理由をはっきりとできると、仕事へのモチベーションを維持し、長く活躍できる職場を見つけられます。また、面接で転職理由を聞かれた際にも、自信を持って答えられるでしょう。
教育体制が整っている職場を選ぶ
透析看護の未経験者や経験が浅い人は、教育体制が整っている職場を選びましょう。教育体制が整っている職場では、安心してスキルアップを目指せます。
透析看護師は、専門性の高い知識や技術が求められます。そのため、未経験や経験が浅い人は、教育体制が整っている職場で、しっかりと基礎を学ぶことが大切です。
教育体制が整っている職場では、先輩看護師の指導や研修制度などを受けると、必要な知識や技術を習得できます。
透析看護師に関する新しい資格を取得する
透析看護に関する資格を取得することで、転職活動を有利に進められます。
腎不全看護認定看護師や透析技術認定士といった資格を持っていると、透析看護の専門的な知識やスキルの証明になり、採用担当者にアピールできるからです。
ただし、資格取得には一定の要件があり、時間がかかるケースもあるため、事前に確認してください。
給料が下がる可能性があることを知っておく
透析看護師の給料は、ほかの看護師と比較して平均的か、やや低い傾向にあります。
転職前に、給料が下がる可能性があることを理解しておかなければ、転職を後悔するかもしれません。
しかし、透析看護師は、ワークライフバランスが取りやすく、専門性を高められるという魅力もあります。給料だけでなく、仕事内容や働きやすさなど、総合的に判断して職場を選ぶことが大切です。
転職サイトを活用する
転職サイトには、透析看護師の求人情報が豊富に掲載されています。転職サイトを活用すると、効率的に情報収集や応募ができます。
転職サイトには、希望条件に合った求人情報を絞り込む機能やキャリアアドバイザーによるサポートなど、便利な機能やサービスが充実しています。
これらの機能の活用により、効率的に転職活動を進められます。また、転職サイトには、一般には公開されていない非公開求人情報も掲載されている場合があります。転職サイトを有効活用して、理想の職場を見つけましょう。
透析看護師の向き不向きに関するQ&A
透析看護師の向き不向きに関して質問とその回答を見てみましょう。
Q1:未経験では透析看護師になるのは難しいですか?
未経験でも透析看護師になることは可能です。
未経験者向けの研修や教育制度を実施している職場があるからです。未経験からでもしっかりと学べる環境が整っています。
研修では、透析に関する基礎知識や技術、患者さまへの対応方法などを学べます。また、先輩看護師の指導で、実践的なスキルを習得できます。
未経験から透析看護師を目指す場合は、教育体制が整っている職場を選び、積極的に学ぶ姿勢を持つことが不可欠です。
Q2:透析看護師ではいじめが起こりやすいですか?
すべての職場でいじめが起こるわけではありません。
医療現場は、チームで協力して患者さまをケアする場所であるため、コミュニケーション不足や価値観の違いなどから、人間関係のトラブルが起こる可能性があります。
これは透析看護師に限った話ではありません。
多くの職場では、スタッフ間のコミュニケーションを促進したり、悩みの相談窓口を設けたりするなど、人間関係のトラブルを防止するための取り組みをおこなっています。もし、いじめに遭ってしまった場合は、ひとりで悩まずに、上司や相談窓口に相談しましょう。
Q3:透析看護師に転職して後悔することはありますか?
透析看護師に転職して後悔するケースはあります。
というのも、透析看護師の仕事には向き不向きがあり、転職した後で「自分にはこの職場が合わない」と感じることもあるからです。
しかし、自分に合った職場を選び、スキルアップを続けることで、やりがいを感じられるでしょう。
透析看護師には向き不向きがあるが、不向きな人でもキャリアアップできる
透析看護師には向き不向きがありますが、向いていないと感じても、キャリアアップの道は開けます。
自分の強みや興味を活かせる分野を見つけ、積極的にスキルアップを目指してください。透析看護師の経験は、ほかの医療分野でも活かせます。
また、透析看護の分野で専門性を高めたり、管理職を目指したりすることも可能です。自分に合ったキャリアプランを見つけ、積極的に行動すると、透析看護師として長く活躍できるでしょう。
<参考サイト・文献>

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