正看護師は通信制でもとれる!働きながら資格をとるコツ4つと費用を紹介

公開日:2025/03/12 更新日:2025/03/12
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「仕事を続けながら正看護師の資格をとりたい」「できるだけ学費をおさえて正看護師の学校に進学したい」

このようにお悩みの方もいらっしゃるでしょう。

正看護師は通信制学校に通うことでも取得可能です。
※「看護師」が正式名称ですが、便宜上「正看護師」と表現しています。

しかし、通信制の看護学校の入学にはいくつかの条件があり、費用や学習スケジュールも学校によって異なります。

この記事では、通信制で正看護師になるための条件やコツ、費用についてくわしく解説します。働きながら正看護師を目指したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

正看護師は通信制で取得可能だが准看護師の場合に限定

正看護師の資格は通信制でもとれます。ただし「准看護師の資格があること」が必須条件です。

准看護師から正看護師へのキャリアアップは、日本看護協会も後押ししています。日本ではかつて病院の急増にともなう看護師不足が深刻化したため、「准看護師」の条件を中学校卒業者としました。

しかし、医療の進歩により患者ケアが高度になってきたため、専門的な知識と自ら判断して行動できる力が求められています。

こうした背景から、日本看護協会は准看護師の新規育成の停止や正看護師への一本化を推奨しているのです。

とはいえ、准看護師の資格をもっていれば働き続けられ、正看護師への道も開かれています。「准看護師が廃止される」ということも耳にするかもしれませんが、准看護師制度の廃止は決まっておらず、すぐに職を失うわけではありません。

自身のタイミングで看護学校に通い、キャリアの幅を広げていきましょう。

准看護師が正看護師の資格を通信制で取得する条件

正看護師を通信制で取得するには「准看護師としての実務経験7年(84ヶ月)以上」が条件です。

実務経験とは、准看護師として勤務した年数のことであり、就業場所や雇用形態(常勤、非常勤、パートなど)は関係ありません。同じ施設で働き続ける「勤続年数」とは違う点に注意しましょう。計算例は以下を参考にしてください。

【実務経験の計算例】 ・2024年4月1日に入職、2031年5月15日に退職した場合:7年2ヶ月(86ヶ月) ・2024年10月19日に入職し、2025年3月22日に退職した場合:0年6ヶ月(6ヶ月)   准看護師として最初に勤務した日の属する月および最後に勤務を終了した日の属する月は、それぞれ1か月として算定する
参考:看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン|厚生労働省

准看護師の実務経験が7年必要な理由と、5年に短縮される可能性について解説します。

准看護師から正看護師に通信制で取得する場合に、7年以上の実務経験が必要な理由

准看護師が正看護師を通信制で目指す際に実務経験が7年以上必要な理由として、以下が考えられています。

  • 通信制での学習を補完する十分な臨床経験が必要だから
  • 通信制は対面授業に比べて実習や演習の機会が限られているから

もともと准看護師の実務経験は10年でしたが、看護師不足がつづいたことから7年に短縮されました。

7年という実務経験の要件は、通信制で学びながら、質の高い看護技術を身につけるためのバランスをとった結果といえます。

正看護師になるための実務経験が5年以上になるのはいつ?

准看護師が通信制で学ぶための実務経験が5年に短縮される方針ではあるものの、具体的な時期は明らかになっていません。

厚生労働省「看護師養成所2年課程(通信制)の入学要件見直しについて」の発表では、准看護師の方が正看護師の通信制学校に入る要件の見直しについて議論が進められています。

2018年に10年から7年に短縮したときは「対面授業の日数増加」「専任教員の定数の増員」「入学者の業務従事期間の確認ポイントを明示」などに変更がありました。

そのため、5年への短縮でこうした変化がないとは言い切れず、働きながら正看護師の資格を目指している方にとっては対面授業の日数が増えることで、就業日数や収入が減る可能性もゼロではありません。

准看護師から正看護師へのステップアップを考えている方は、進学にかかる費用と適切な助成の活用を計画的に検討しましょう。

正看護師を通信制で取得するときにかかる費用

通信制で正看護師を取得する際にかかるおもな費用は、以下のとおりです。

通信制の看護学校では、放送大学と併用したカリキュラムが組まれていることもあり、その場合は追加で費用がかかります。

内訳内容
学費・入学金
・授業料
・通信費
・教材費
・施設整備費
学費以外・感染症検査料
・ユニフォーム代
・ワクチン接種費〈必要時)
・教科書や教材購入費
・学生保険(1~2年次)
放送大学併用カリキュラムの場合・入学金
・授業料
参考:看護師学校養成所2年課程の進学にかかる費用|日本看護協会

学校によって異なりますが、2年間の通学で90万〜150万円ほどかかるといわれています。

給付金や助成の活用でこれらの費用はおさえられます。特徴や返済条件をしっかり理解して、無理なく返済できるようにしましょう。

正看護師の通信制学校に活用できるおもな給付金

正看護師の通信制学校に通うときに活用できる給付金について解説します。

給付金を利用することで、学費や生活費の負担を軽減しながら学習を進められます。

看護職員修学資金貸与事業

各都道府県が運営する制度で、正看護師の資格をとったあと、一定期間決められた医療機関で働くことで貸与金の返済が免除されるケースがあります。

たとえば、看護師修学資金として、自治体立養成施設であると月3万2,000円、民間立養成施設であると月3万6,000円が貸与されます。また、東京都では、月2万5,000円~10万円の貸与を受けた場合、都内施設や指定施設で勤務すると返済が免除されるそうです。

貸与条件や貸与額は都道府県ごとに異なるため、自分の住む地域の制度を確認しましょう。

看護師学校養成所2年課程(通信制)進学者に対する奨学金

日本看護協会の会員である准看護師の方を対象とした奨学金制度です。

年額36万円または48万円が無利息で貸与されます。返済免除の条件はなく、卒業後に返済が必要です。

教育訓練給付制度(専門実践教育訓練)

雇用保険に加入している方が、厚生労働大臣の指定した講座を受講・修了した場合に、費用の一部が支給される制度です。

受講費用の50%(年間上限40万円)が、6ヶ月ごとに支給されます。

また、資格取得後1年以内に雇用保険で採用された場合、追加で受講費用の20%(年間上限16万円)が支給される仕組みです。

志望校が「教育訓練給付制度(専門実践教育訓練)」の対象講座に指定されている必要があるため、入学前に確認・申請をおこないましょう。

母子家庭自立支援給付金および父子家庭自立支援給付金事業(高等職業訓練促進給付金制度)

ひとり親の方が資格取得を目指して学ぶ際の生活費を支援する制度です。

月額10万円(住民税課税世帯は月額70,500円)が最長4年支給されます。

自治体によって支給条件が異なり事前相談も必要であるため、利用を検討する際は住んでいる地域の役所に問い合わせましょう。

正看護師を通信制でスムーズに取得する4つのコツ

働きながら正看護師をスムーズに取得するコツは、以下のとおりです。

  • 看護学校入学前にとれる単位を取得しておく
  • ライフスタイルに合わせた学習計画を立てる
  • 経済力に合った支援制度を利用する
  • 体調管理を徹底する

入学前に知っておくと、仕事と学習の両立がしやすくなります。

1.看護学校入学前にとれる単位を取得しておく

通信制の看護学校では、放送大学を併用した学習カリキュラムが組まれていることがあります。その場合、准看護師の実務経験年数に関係なく、看護学校入学前に学校指定の単位を取得できます。

あらかじめ入学前にいくつかの単位を取得しておけば、入学したあとに取得すべき単位が少なくすみ、仕事と学業を両立できるでしょう。

【放送大学とは】 国が認可した正規の大学で、入学試験がないのが特徴。 大学卒業資格(学位)の取得を目指すだけでなく、キャリアアップや生涯学習、資格取得など、目的に応じた学び方が可能。
参考:放送大学とは|放送大学ウェブマガジン ON AIR WEB

2.ライフスタイルに合わせた学習計画を立てる

通信制で正看護師を目指す場合、無理のないスケジュールを組んで、継続的に学習を進めやすくする工夫が必要です。

学習計画を立てるポイントは、以下のとおりです。

  • 隙間時間を活用し、学習時間を確保する
  • 実習期間は負担が大きいため、職場や家族の協力を得る
  • 育児や介護などの家庭環境に合わせて無理なく学べる環境を整える
  • 通信制は自主学習が中心のため、毎日のスケジュールに学習時間を組む

モチベーションを維持するために、小さな達成感を積み重ねることも忘れてはいけません。

自分の生活リズムに合わせた計画を立て、無理なく学習を進めましょう。

3.経済力に合った支援制度を利用する

通信制で正看護師を目指す際には、学費や生活費の負担を軽減するために奨学金や給付金制度の利用を検討しましょう。

確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • 返済期限や条件を確認し、無理なく返済できるか
  • 中途退学した場合の返済義務や返済方法、期限の有無はどうか
  • 返済免除の規定がある場合、規定の年限より早く転職した場合の扱いはどうなるか

ただし、進学中の予期せぬ事態や卒業後の生活も考慮し、制度の条件を十分に確認したうえで申し込むことが大切です。

4.体調管理を徹底する

学業と仕事を両立するには、体調管理が欠かせません。

たとえば、実習期間に体調をくずした場合、振り替えるとしても仕事は休まねばならず、学業にも仕事にも影響するしょう。

十分な休息やバランスのとれた食事の摂取は、体調を維持するために必要です。健康を意識した生活が、働きながらスムーズな資格の取得につながります。

准看護師から正看護師になったらできること

准看護師から正看護師にステップアップすると、業務の幅が広がり、より専門的な知識や技術を活かせるようになります。

ここでは、正看護師になってできることを具体的に解説します。

主体的な看護ケアができる

准看護師は「医師や看護師の指示のもとで業務をおこなう」と法律で定められているため、何をするにも指示がなければ行動できません。

しかし、正看護師になると、一定の判断を自らでおこない、主体的に看護ケアを提供できるようになります。

たとえば、患者さまの状態を観察し、必要なケアを自主的に判断したり、緊急時にも対応したりできます。

業務の幅が広がり、より患者さまに寄り添って関わることができるでしょう。

指導や管理職のポジションに就ける

「指導や管理職の立場は正看護師が就くべき」とされているため、管理職のポジションを目指す場合には、正看護師の資格が求められます。

そのため、正看護師の資格を取得すると、新人看護師や准看護師を指導する立場になれます。

病棟の主任や看護師長などの管理職に昇進する道も開かれ、キャリアアップの可能性が広がるでしょう。

給与や待遇が向上する

正看護師になると、月給の上昇やボーナスの増額が期待できます。

項目准看護師正看護師
月給28万6,800円35万2,100円
ボーナス62万9,500円85万6,500円
年収407万1,100円508万1,700円
参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

正看護師と准看護師の給与に明確な差があることが多く、昇給やボーナスの面でも有利になります。

また、資格手当をはじめとする待遇面でも差が出るため、長期的に見ても経済的なメリットがあるといえるでしょう。

キャリアアップや専門分野の資格取得が可能になる

正看護師になると、認定看護師や専門看護師などの資格取得が可能になり、さらに高度な看護分野へ進めます。

たとえば、がん看護、救急看護、訪問看護などの専門資格を取得することで、より専門性の高い役割を務められ、キャリアの選択肢が広がります。

職場の選択肢が広がる

准看護師の場合、職場によっては採用枠が限られることもあります。

正看護師であれば大学病院や総合病院、クリニック、訪問看護ステーションなど、准看護師より資格の壁を感じずに働く場所を検討できます。

訪問看護ステーションや保育園などのワークライフバランスがとりやすい職場への転職もしやすくなるため、自分の理想に近い生活が手に入るかもしれません。

関連:NsPaceCareer

正看護師を通信でとるなら准看護師資格が必要!キャリアの可能性を広げましょう

正看護師を通信制学校で取得するには、7年以上の准看護師の実務経験が必要です。

今後5年に短縮される可能性はありますが、対面授業の増加などの影響も考慮する必要があります。

また、学費は2年間で90万〜150万円程度かかりますが、給付金や助成を活用すれば負担を軽減できます。

キャリアアップを目指すなら、計画的に進学を検討し、正看護師としてさらなる可能性を広げていきましょう。

<参考サイト・文献>

看護師養成所2年課程(通信制)の入学要件見直しについて|厚生労働省

看護師等修学資金の貸与について|厚生労働省

看護師等修学資金貸与事業|東京都保健医療局 

看護師学校養成所2年課程(通信制)進学者に対する奨学金 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会教育訓練給付制度|厚生労働省

看護師学校養成所2年課程の進学にかかる費用|日本看護協会

進学準備|日本看護協会

保健師助産師看護師法 | e-Gov 法令検索 

令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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