看護師の勉強会のテーマは何がいい?選び方と例を解説

公開日:2025/03/12 更新日:2025/03/12
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勉強会による継続的な学習は、看護の質を高めるうえで欠かせません。

効果的にスキルアップを図るためには、適切なテーマ選びが重要です。

この記事では、看護師の勉強会の目的や具体的なテーマ例と選び方について解説します。

看護師の勉強会の目的とは

看護師の勉強会には、主に以下3つの目的があります。

知識・技術の向上

医療は常に進歩しており、新しい治療法や看護技術が出ています。

勉強会を通じて最新の知識や技術を習得すると、患者さまへ、より質の高い看護を提供できます。

特に、医療機器の進化は目覚ましく、適切な使用方法の習得は、患者さまの安全を守るうえでも重要です。

また、定着している技術を見直し、より良い方法を学ぶ機会にもなります。

他病院・他部署との比較、意見交換

他病院・部署の看護師、他職種と意見交換する勉強会へ参加すると、新たな視点や考え方を得られます。

普段の業務では、自身の所属する病院や病棟のやり方に偏りがちです。

多様な意見に触れられると、柔軟な判断力を養えます。

また、他病院の取り組みの共有は、自院の改善点を見つけるきっかけにもなるでしょう。

自信の獲得

看護師は患者さまの命を預かる責任ある仕事であり、常に緊張感をともないます。

勉強会で知識や技術を深められると、業務に対する自信がつきます。

スムーズな看護技術を実施できるようになると、患者さまへの負担を軽減し、安心感を提供できるでしょう。

看護師の勉強会のテーマの選び方

看護師の勉強会には、多くのテーマがあります。

いくつか例を紹介します。

心電図の読み方

心電図は、心臓の状態を評価するために重要な検査です。正しい読み方を習得すると、不整脈の早期発見や適切な治療につなげられます。

しかし、心電図に苦手意識をもつ看護師は多いため、以下のように段階的に設定すると効果的です。

レベル詳細なテーマ
基礎編・心電図の基礎知識
・正常、異常波形の判別
・徐脈性、頻脈性不整脈の波形の見方と看護
中級編・12誘導心電図とモニター心電図の違い
・12誘導心電図の取り方
・症例ごとの波形の見方と看護

座学だけでなく、実際に波形を見ながら学ぶことで、それぞれの波形の特徴や治療、ケアのポイントなど、より実践的な知識を習得できるでしょう。

所属病棟等でよくみる疾患

自分の病棟でよくみる疾患に関する知識・技術を深められると、日常業務や看護の質の向上につながります。

たとえば、以下のようなテーマがあげられます。

  • 病態:疾患の成り立ちや症状
  • 検査:画像・血液検査の結果の見方
  • 治療:薬物療法・手術療法など
  • 看護:日常生活の援助、療養上の世話のポイント、アセスメントや看護計画

実践的な内容であればすぐに現場で活かせるため、学習意欲の向上につながるでしょう。

フィジカルアセスメント

フィジカルアセスメントは救急看護だけでなく、一般病棟や在宅、手術室、クリニックなど、すべての看護現場で必須のスキルです。

勉強会では、以下のテーマを取り上げると、学びを深められます。

  • 身体部位ごとのアセスメント方法(視診・触診・聴診・打診)
  • 異常所見の解釈と対応
  • 具体的な症例検討
  • アセスメントに役立つツールの紹介
  • 経験豊富な看護師によるデモンストレーション

また、特定の分野(呼吸器・循環器・消化器など)に焦点を当てた勉強会も効果的です。

ME機器の扱い方

看護師がME機器を正しく使用することは、医療安全の確保に不可欠です。

誤った使用方法は患者さまに危険を及ぼす可能性があるため、適切な習得が求められます。

まずは、病棟でよく使用される以下のようなME機器を中心に学ぶとよいでしょう。

  • 輸液ポンプ
  • シリンジポンプ
  • ネブライザー
  • 心電図モニター
  • 酸素機器など

医療技術の進化にともない、新しいME機器が次々と登場しています。

新たなME機器を病院や病棟に導入する際は、必ず勉強会を実施することが大切です。

家族看護

病気は患者さま本人だけでなくご家族全体にも影響を与えるため、看護師はご家族の状況や感情、役割の変化を理解し、適切な支援を行うことが重要です。

勉強会のテーマ例は、以下のとおりです。

  • 家族看護の基本:家族看護の目的や意義、倫理的な考え方
  • 家族理解に必要な視点:家族構成、家族の発達段階、役割、人間関係など
  • 家族看護の理論:家族発達理論、家族システム理論、家族ストレス対処理論など
  • 家族看護モデル:カルガリー家族アセスメント/介入モデル、家族看護エンパワーメントモデルなど
  • 家族看護介入:情緒的支援、役割調整、家族関係調整など

参照元:日本家族看護協会|家族看護実践力を伸ばす 研修計画立案に役立つ教育ツールp.3

家族看護の勉強会では、事例検討やロールプレイなども効果的です。

医療安全

看護師にとって、医療安全に関する知識と意識の向上は必須です。

医療事故は、患者さまの生命や健康に重大な影響を与える可能性があるため、リスクを最小限に抑えるための対策が求められます。

勉強会のテーマ例は、以下のとおりです。

  • 医療事故の発生状況
  • 医療事故の防止策
  • 医療安全管理体制の構築
  • 医療事故発生時の対応など

医療安全に関する専門的な知識を深め、現場でリーダーシップを発揮したい場合は、日本看護協会の「医療安全管理者養成研修」の受講がおすすめです。

呼吸リハビリテーション

呼吸リハビリテーションは、COPDなど呼吸器疾患をもつ患者さまの呼吸機能を改善・維持し、悪化を予防するためのリハビリテーションです。

適切な実施により、呼吸困難感の軽減やADL(日常生活動作)の向上が期待できます。

呼吸リハビリテーションの主な内容は、以下のとおりです。

  • 運動療法
  • セルフマネジメント教育
  • 栄養療法
  • 患者さまやご家族への心理的・社会的支援など

看護師は、医師やリハビリテーション専門職と連携しながら、患者さまの状態に合わせた介入を行う必要があります。特に、適切な体位ドレナージや咳嗽訓練・吸引・精神的支援といったスキルを習得し、実践することが大切です。

病棟でよく使用する薬剤

看護師にとって、病棟でよく使用する薬剤の正しい知識と使用方法の習得は、患者さまの安全を守るために必要不可欠です。

不適切な投与や副作用の見逃しを防ぐため、適切な学習が求められます。

薬剤の種類や用法・用量だけでなく、具体的な症例に基づいた勉強会にすると、習得しやすくなります。

たとえば、診療科目ごとに以下のようなテーマがあげられます。

診療科目テーマ例
循環器内科・抗不整脈薬の使い分け、副作用対応 ・心不全治療薬の作用機序と看護 ・抗凝固薬のモニタリングと注意点
呼吸器内科/外科・気管支拡張薬の種類と使用方法 ・吸入ステロイド薬の使用方法と副作用への対応
消化器内科/外科・消化性潰瘍治療薬の作用機序と看護 ・鎮痛薬、制吐薬の使い方と副作用への対応
整形外科・鎮痛薬の種類と使い分け、副作用への対応 ・骨粗鬆症治療薬の種類と投与方法

また、診療科目ごとに起こったインシデント・アクシデントの事例に基づいた薬剤の学習をすると、注意喚起もあわせて実施でき、効果的です。

感染対策・感染管理

感染対策・管理は、患者さまの安全確保だけでなく、看護師自身を守るためにも重要です。

勉強会のテーマ例には、以下があげられます。

  • 標準予防策、PPEの正しい着用方法
  • 感染経路別の予防策
  • 感染症の発生状況など

また、感染症発生時の対応や感染対策チームとの連携についても学べると、より実践的な知識を習得できます。

急変対応

急変対応は、看護師にとって必須スキルといえますが、いつ発生するかわからないため、事前の学習と訓練が重要です。

勉強会では、以下のテーマをとりあげると実践的なスキルが身につきます。

  • 緊急コールのタイミング
  • 発見者、応援者の役割(物品用意・手技・記録)
  • 急変時の他職種連携・コミュニケーションのポイント
  • 実際の事例を用いた対応訓練など

冷静な対応ができるよう、日頃からシミュレーションや訓練を定期的に実施し、現場で即対応できる体制を整えましょう。

検査値データの読み方

検査値データを読み解く能力は、患者さまの状態を正しく把握し、適切な看護の提供に不可欠です。

数値の正常・異常を判断できると、貧血や感染症、出血傾向などの有無、臓器機能の低下などをアセスメントできます。

症例を交えた学習を取り入れると、実践的な判断力が身につき、臨床での対応力向上につながるでしょう。

エンゼルケア

エンゼルケアは、ご遺体の清潔を保つ以外に、ご家族のグリーフケアにもつながります。

看護師が適切なケアを提供できるよう、勉強会では以下の内容をとりあげましょう。

  • エンゼルケアの意義と看護師の役割
  • ご遺体の特徴と適切な処置
  • エンゼルケアの手順や大切なポイント
  • ご家族との関わり方(声かけや対応の仕方)

手順だけでなく、ご遺体の特徴やご家族との関わり方も学べると、より実践的なスキルを習得でき、看護師自身のやりがいにもつながります。

看護師の勉強会のテーマの選び方

効果的な勉強会を開催するためには、いくつかのポイントを考慮する必要があります。

参加者のレベルや学習内容を考慮し、実践に活かせる内容を設定しましょう。

参加するメンバーのレベルに合わせる

勉強会は、参加者の経験年数や知識レベルに応じたテーマ設定が大切です。

適切な内容を選ぶことで、全員が実務にも活かせる学びを得られます。

たとえば、以下のような内容があげられます。

経験年数内容
1~3年目基礎知識の確認、事例紹介、ロールプレイングなど
3~5年目より専門的な知識、応用的な技術、症例検討など
5年以上最新の知見、他部署との連携、リーダーシップ、教育など

参加者のレベルを考慮し、成長を促すテーマを選ぶことが、勉強会の効果を高めるポイントです。

簡単すぎる内容は避ける

勉強会では、簡単すぎる内容は避けなければなりません。

内容が簡単すぎると、参加者のモチベーション低下や時間の無駄につながる可能性があります。

新しい知識や技術の習得、あるいは既存の知識の深堀ができるテーマが望ましいでしょう。

大きすぎるテーマは向かない

大きすぎるテーマでは内容が具体的でなくなり、臨床で活かしにくくなります。

たとえば「循環器疾患について」では範囲が広すぎ、扱うべき情報も膨大になります。

「心電図の読み方」など、具体的で実践的なテーマを選ぶと、学習効果が高まるでしょう。

実務で応用できる内容にする

勉強会のテーマは、実務に活かせる内容にしましょう。

特に、新人看護師は実務経験が少なく、座学で学んだ知識と現場での実践にギャップを感じやすいため、実務に直結する知識やスキルを学ぶことで不安を軽減できます。

バイタルサインの正しい測定方法や医療機器の基本操作など、実践的な内容を取り入れると、即戦力としてのスキル向上にもつながるでしょう。

まとめ

看護師が勉強会で効果的にスキルアップを図るためには、適切なテーマ選びが大切です。

適切なテーマ設定により、知識・技術の向上や自信の獲得を図れます。

勉強会のテーマは、心電図の読み方やME機器の使い方、エンゼルケアなど多岐にわたります。

参加者のレベルを踏まえ、目的を明確化してテーマ設定すると、参加者のモチベーションを維持しつつ有意義な勉強会を開催できるでしょう。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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