産婦人科看護師とは?仕事内容や助産師との違い、求人の探し方を解説

「産婦人科で働くのは楽しいって聞いたけど本当?」「産婦人科看護師になるにはどうしたらいいの?」
新しい命の誕生に立ち会え、小さな赤ちゃんと触れ合える産婦人科看護師の仕事は「楽しそう」と感じる方も多いでしょう。
しかし、産婦人科に通う患者さまのなかには、子どもができずに悩んだり子宮頸がんになったりなど精神的に不安定になりやすい方もおり、明るいことばかりではありません。
この記事では、産婦人科看護師が果たす役割や産婦人科看護師になる方法、求人の探し方など詳しく解説します。
最後までお読みいただくと、メリット・デメリットが把握でき、自分が産婦人科で働くイメージがわきやすくなるでしょう。産婦人科看護師になりたい方、産婦人科への転職を考えている方などはぜひ参考にしてください。
産婦人科看護師とは
産婦人科看護師は、妊娠や出産、婦人科の疾患や悩みにかかわるケアを担当する看護師です。
おもに産婦人科病棟や産科外来、婦人科外来などで勤務し、出産を控えた女性、婦人科の病気になった女性のサポートをおこないます。
なかには、産婦人科に勤めたいと考える男性看護師の方もいるでしょう。助産師と異なり、看護師の資格を取得すれば男性でも産婦人科看護師として働くことは可能です。
しかし、産婦人科は女性の患者さまが多く、センシティブなケアが多いため、男性看護師が採用されることはシビアであると考えた方がよいでしょう。
産婦人科看護師の5つの役割
ここでは、産婦人科看護師の役割を紹介します。
患者さまの精神的サポート
婦人科の患者さまのケア
不妊・避妊相談と不妊治療の介助
分娩前のアセスメントとサポート
手術前後のケアと分娩の間接的介助
1.患者さまの精神的サポート
産婦人科看護師の役割のなかでもっとも大切といっても過言ではないのが「精神的サポート」です。
妊産婦の方や、婦人科の疾患を抱える患者さまは不安を感じやすいため、その不安を早期に気づき適切にサポートすることが求められます。
たとえば「うつ病」は、女性は男性の2倍かかりやすいといわれており、妊娠期や産後はとくに発症頻度が高いとされています。
産婦人科はデリケートな問題を扱うため他者に相談しづらいケースも珍しくありません。そのため、産婦人科看護師の「いつでも相談してほしい」という雰囲気づくりが大切です。
2.婦人科の患者さまのケア
産婦人科看護師は、婦人科病棟や外来などにおいて子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮がん、卵巣がんなどを抱える患者さまのケアをおこないます。
手術が必要な場合、手術前のオリエンテーションや手術室への移送、手術後の迎えも看護師の役割です。
周術期のケアだけでなく、抗がん剤治療や化学療法などを受ける患者さまへの支援も重要な業務のひとつです。
3.不妊・避妊相談と不妊治療の介助
婦人科外来では、不妊治療を受ける患者さまのケアや相談対応をおこないます。患者さまの検査をサポートし、医師とともに人工受精前後の生活指導をすることもあります。
とくに、不妊治療中の患者さまは、プレッシャーや焦りから精神的な負担を感じやすく不安になりがちです。
安心感を与える声かけや、根拠にもとづいた説明によって、患者さまが不安を感じずに治療を進められるようなサポートが求められます。
4.分娩前のアセスメントとサポート
産婦人科看護師は、出産時の助産行為は認められていませんが、分娩前の妊婦さんの状態を観察し、お産がスムーズに進むようサポートします。
なかには陣痛促進剤を使いながら出産にのぞむ妊婦さんもおり、分娩の進行具合や薬剤の効果を常に確認します。
安心して出産できる環境づくりも欠かせません。とくに、初産の方は出産の流れをイメージしづらく、不安を感じやすい傾向です。
そのため「これからこう進んでいきますよ」「そばにいるので大丈夫ですよ」などの声がけがリラックスにつながり、スムーズなお産を助けます。
分娩のときには器械や医療機器の準備をおこない、妊婦さんのバイタルサインをチェックすることも産婦人科看護師の大切な役割です。
5.手術前後のケアと分娩の間接的介助
帝王切開術や婦人科の疾患に対する手術をおこなう場合、産婦人科看護師が手術前の処置やオリエンテーションを担当して、患者さまの不安な心に寄り添います。
また、手術中の安心できるかかわりも産婦人科看護師の大切な役割です。
たとえば、帝王切開術をおこなうとき、直接的な介助は医師や助産師が担いますが、産婦人科看護師は患者さまに精神的な安心が得られる環境づくりをします。
出産という喜ばしい場面であっても手術を受けることに不安を感じるものです。声をかける、進行状況を伝える、不安が強い患者さまの手を握るなど、小さな気配りが安心感につながります。
産婦人科看護師の仕事内容
産婦人科看護師の仕事内容は、診療科ごとに異なります。それぞれ見ていきましょう。
産科
産科で勤務する看護師のおもな業務は、妊婦さんへの産前・産後のケアと支援です。
おもな仕事内容は、以下のとおりです。
- 採血の実施
- 妊婦のメンタルケア
- 妊婦健診や産後1か月健診の介助
- 産後の褥婦や新生児の検温・採血
- 入院中の妊婦の検温・点滴管理・身の回りのケア
- 産前・産後の妊婦のケアとサポート
- 帝王切開や中絶手術の補助
産婦人科看護師は、産前から産後までのケアを提供し、母子の健康を支えます。
婦人科
婦人科で働く看護師の仕事内容は、おもに以下があげられます。
- 各種検査や診察、処置のサポート
- 患者さまの検温や処置の介助
- 服薬管理、服薬指導
- 術前指導、術後の流れの説明のフォロー
- 患者さまの精神的ケア
- 不妊治療中の患者さま・パートナーの相談対応
- 身体的・精神的な苦痛を理解したサポート
産婦人科看護師は、女性の一生に寄り添い、患者さまの不安を安心へと導くやりがいのある仕事です。
また、自身もライフステージごとのからだの変化に対応できる知識が身につくため、キャリアを通じて成長し続けられる魅力があります。

産婦人科看護師と助産師との違い|役割・資格・年収
産婦人科で働く看護師と助産師の違いは、以下のとおりです。
項目 | 産婦人科看護師 | 助産師 |
役割 | 診察や検査のサポート、入院中のケアをおこない、心身の健康を支える | 妊娠期から出産、育児にかけて母子の健やかな成長をサポートする |
助産行為 | 医師の指示があっても実施できない | 普通分娩は医師の指示なしで可能 |
必要な資格 | 看護師 | 看護師・助産師 |
年収 | 508万1,700円 | 566万9,500円 |
助産師は産科領域に特化した職種であるため、おもに母子の身体的・精神的な健康をサポートします。一方、産婦人科看護師は産科領域にとどまらず、子宮の病気や女性特有の身体の変化にともなう悩みにも寄り添います。
助産師は、看護師と助産師の2つの資格があり専門性も高いため、産婦人科看護師よりも年収が多い傾向です。
また、助産師は法律によって女性に限定されていることも大きな違いです。
産婦人科看護師がやりがいを感じる瞬間3選
産婦人科看護師のやりがいは、新しい生命誕生のシーンに立ち会うことだけではありません。
- 生命の誕生に立ち会うとき
- 患者さまのケアが成功したとき
- 女性としての経験を活かせる瞬間
産婦人科看護師が「やっててよかった」と感じる瞬間を紹介します。
生命の誕生に立ち会うとき
出産の瞬間に立ち会い、新しい命の誕生を見届けられることは、何度経験しても感動的です。
新生児のケアをするなかで、赤ちゃんの生命力を間近で感じられるのも産婦人科看護師の魅力のひとつでしょう。
また、妊娠期間中もエコー検査で赤ちゃんの成長を患者さまと一緒に喜べる点も、産婦人科看護師ならではのメリットです。
患者さまのケアが成功したとき
授乳介助や沐浴指導をおこない、褥婦が実践できるようになったときに、大きな達成感を覚えます。
また、適切な声がけや説明によって褥婦の不安が軽減された瞬間、安心感や喜びを得られるでしょう。
女性としての経験を活かせる瞬間
産婦人科には、妊娠中の方や出産を間近に控えた方、女性特有の病気がある方が多く訪れます。
そのため、自身の妊娠・出産経験や、女性ならではの悩みを理解できることが、患者さまのサポートに役立つ場面もあります。
ただし、自身の経験が押しつけにならないよう、言葉選びには注意しましょう。
産婦人科看護師がきついといわれる理由
産婦人科看護師はやりがいの多い仕事ですが、一方で「きつい」と感じる場面も少なくありません。
勤務時間と労働負担が大きい
精神的な負担を感じる場面が多い
それぞれをくわしく解説します。
勤務時間と労働負担が大きい
産婦人科では、予測が難しい分娩や緊急手術が発生することがあり、長時間の勤務が必要になることもあります。とくに、夜勤が長くなりがちで、一般病棟と比べて負担に感じる看護師も少なくありません。
また、大規模な病院や産科専門のクリニックでは、夜間に複数の分娩を担当する場合もあり、これが疲労や睡眠不足につながってつらいと感じることもあります。
精神的な負担を感じる場面が多い
産婦人科では、不妊治療中の患者さまや、流産・死産を経験したご家族の心情に配慮したケアが必要です。精神的に繊細な場面も多くあります。
看護師自身も感情をコントロールしながら寄り添う力が求められるため、精神的な負担を感じることがあるでしょう。
そのため、メンタルケアができる産業医やカウンセラーなどに相談できる職場のサポート体制を確認したり、休日のリフレッシュや趣味を満喫するなど自分自身でメンタルケアに努めたりすることも重要です。
高度な専門知識と技術が要求される
産婦人科看護師には、母体と胎児の管理や女性特有の病気に関する専門的な知識が求められます。
たとえば以下のような知識やスキルが必要です。
- 婦人科疾患への理解
- 妊娠高血圧症候群への対応
- 胎児心拍モニタリングの解釈
- 新生児蘇生法をはじめとする高度なスキル
忙しい日々に追われながら高度な知識や技術を学ばなければならないことに、負担を感じる看護師も少なくありません。
はじめから完璧を求めるのではなく、着実にひとつずつ学んでいく姿勢が大切です。先輩看護師や医師と積極的にコミュニケーションをとりながら、不安な点は相談しましょう。
産婦人科看護師に向いている人
産婦人科看護師に向いているのは、以下の特徴がある人です。
- 赤ちゃんや子どもが好きな人
- コミュニケーション能力が高い人
- 体力があり精神的な強さをもっている人
自分にあてはまるか確認しながら読み進めていきましょう。
赤ちゃんや子どもが好きな人
産婦人科看護師にとって、赤ちゃんや子どもが好きであることは重要な要素です。
とくに産科では、赤ちゃんが泣いていてもイライラせず、小さな命を大切にできる心構えが必要です。
実際に働いている産婦人科看護師も、純粋に赤ちゃんが好きな方が多く、分娩を通して家族の一員としてかかわることにやりがいを感じる方もいます。
コミュニケーション能力が高い人
産婦人科看護師は、患者さまやご家族と良好な関係を築き、小さな変化に気づけるよう日頃からコミュニケーションをとることが不可欠です。
とくに、妊婦さんや不妊治療を受ける患者さまは、ホルモンの影響で気持ちが不安定になることもあるため、細やかな心遣いと観察力が求められます。
患者さまの悩みに共感し、医師と連携を取りながらサポートをおこなう能力も欠かせません。
こうした状況を把握しなければならないため、相談を受ける機会が多かったり、コミュニケーションをとることに長けていたりする方は産婦人科看護師に向いているでしょう。
体力があり精神的な強さをもっている人
産婦人科看護師は分娩が予定どおりに進まない場合の長時間勤務や、急な呼び出し、残業などに対応するため、体力と精神力が求められます。
また、望まない妊娠や死産、治療がうまくいかないときなど、精神的にきつい状況にも直面することがあるのが現状です。
このような状況下でも、自身の感情をコントロールし、患者さまに寄り添える精神的な強さを持つ人は産婦人科看護師に向いています。
産婦人科看護師になるには
産婦人科看護師になる方法は、以下のとおりです。
- 産婦人科病棟に異動する
- 産婦人科専門のクリニックに転職する
ひとつずつ見ていきましょう。
産婦人科病棟に異動する
すでに総合病院で働いている場合、病院内で産婦人科病棟への異動希望が通れば、産婦人科看護師として働けます。
ただし、院内異動するために「経験年数〇年以上」と条件がある場合や、希望を出してもすぐに通らない場合もあります。
できるだけ早く異動したいなら、思い立った時点で条件を確認して上司に掛け合ってみましょう。助産師や新生児集中ケア認定看護師など新たな資格を取得するのも一手です。
産婦人科専門のクリニックに転職する
ご自身が「産科で働きたい」「婦人科に通う患者さまの助けになりたい」などの希望があるときは、それぞれの専門クリニックへの転職をおすすめします。転職先として、以下があげられます。
- 産科クリニック
- レディースクリニック
- 不妊治療専門クリニック
クリニックによって特徴が異なるため、どの分野でキャリアを築いていきたいか考えてから転職活動をおこなうと良いでしょう。
また、院内異動の希望がなかなか通らない方も、転職を視野に入れると異動するより早く産婦人科看護師になれるかもしれません。まずはお住まいの近くで求人を探してみるのも方法のひとつです。
産婦人科看護師を知り自身のキャリアプランのヒントを得ましょう
産婦人科看護師は、妊娠や出産、婦人科の疾患や悩みを抱えた患者さまを支えるやりがいのある仕事です。
精神的なケアから医療サポートまで幅広い役割を担い、助産師とは異なる視点で母子や女性の健康を支えます。
産婦人科看護師の仕事内容や求められるスキル、やりがいなどから魅力を感じた方は、ぜひ自身へのキャリアアップに向けて一歩踏み出してみてください。
<参考サイト・文献>

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