潜在看護師とは?人数と復職しない理由5つ、復職支援を詳しく紹介

看護師の資格を持ちながらも、現場で働いていない「潜在看護師」と呼ばれる方たちがいます。
不安を感じ復職をためらう看護師の方が多い一方で、医療現場では人材不足が深刻化している現状です。
潜在看護師の方が安心して働けるように、さまざまな復職支援が進められています。
この記事では、潜在看護師の現状や復職しない理由、復職を支援する制度を詳しく解説します。この記事を読むことで、潜在看護師の方が抱える悩みや不安を解消し、復職への第一歩を踏み出すきっかけにしていただければ幸いです。
潜在看護師とは?
潜在看護師とは、看護師免許を持っているものの、現在は看護師として働いていない人のことを指します。ここでは、潜在看護師の具体的な人数や離職する理由を紹介します。
潜在看護師の人数と割合
厚生労働省の調査をもとにした潜在看護師の人数は、69万5,461人(2018年度、65歳未満)です。2012年度の調査と比較すると、その人数は約3%減少していました。また、潜在看護師の年齢ごとの割合は次のとおりです。
年代 | 潜在看護師の割合(%) |
全年代の平均 | 28.37 |
25歳未満 | 13.02 |
25~29歳 | 25.00 |
30~34歳 | 25.84 |
35~39歳 | 34.15 |
40~44歳 | 22.24 |
45~49歳 | 24.70 |
50~54歳 | 14.92 |
55~59歳 | 28.48 |
60~64歳 | 49.18 |
65歳以上 | 65.65 |
潜在看護師の年齢層は幅広く、20代から60代以上までさまざまで、とくに、30代から40代の育児世代の女性が多いのが特徴です。
「看護師等の人材確保の促進に関する法律」にもとづきナースセンターが設置されました。ここで、夜勤の軽減策や多様な働き方の推進など、働きやすい職場環境を作っていることもあり、潜在看護師の人数は減少傾向です。
看護師が離職する理由
そもそも看護師が離職するおもな理由には、次のようなものが挙げられます。
- 結婚や出産、育児
- 介護
- 病気や怪我
- キャリアチェンジ
- 人間関係の悩み
- 労働環境への不満
これらの理由により、看護師を続けられなくなり、潜在看護師となる方が多くいます。
潜在看護師が復職しない理由5つ
厚生労働省の調査によると、潜在看護師の19.6%が「看護職員以外として働きたい」、17.5%が「就業希望なし」と回答しています。つまり、潜在看護師の約40%が働きたくないと考えています。その理由は次のとおりです。
- 人間関係が気がかり
- 新しい医療スキルに適応する自信のなさ
- 子育て・介護と仕事との両立が不安
- 夜勤に耐えられるか心配
- 病院の受け入れ体制への危惧
それぞれの理由を詳しく解説します。
人間関係が気がかり
看護師の職場は、人間関係が複雑です。
患者さまやその家族とのコミュニケーションはもちろん、医師やほかの看護師、コメディカルスタッフとの連携も必要です。人間関係で悩みを抱え、離職した経験がある方は「また同じような悩みを抱えるのではないか」という不安を感じるでしょう。
医療現場は、チームワークが重要であるため、人間関係がうまくいかないと、仕事がスムーズに進まなかったり、精神的な負担が大きくなったりします。
人間関係の悩みは、看護師として復職しない理由のひとつといえます。
新しい医療スキルに適応する自信のなさ
ブランクが長くなれば「私の経験やスキルは通用しない」と、自信を失ってしまう看護師の方は少なくありません。その期間が長くなるほど、知識やスキルへの不安は大きくなり、復帰へのハードルが高くなります。
厚生労働省の調査では「看護業務から離れていたことによる不安がある」ことが理由で、看護師以外として働きたいと考えている方の割合は22.3%に達することが明らかになりました。
看護師としてのスキルや知識に自信がないことに加え、新しい医療機器やシステムを使いこなせるかどうか心配している場合、医療事故を起こすリスクが高まります。このようなリスクへの不安が看護業務に戻らない要因です。
子育て・介護と仕事との両立が不安
看護師には夜勤や残業があるため、子育てや介護と仕事の両立は簡単ではありません。
子育て中の場合は、子どもの急な発熱や学校行事など、予測できない事態に対応しなければなりません。また、介護中の場合は、介護度の変化や急な入院など、介護状況に合わせた柔軟な働き方が求められます。
厚生労働省の調査では「家事・育児のため仕事が続けられそうにない」ため、看護師に復帰するかどうか決められない方が22.2%いることが明らかになりました。
この結果からも、子育てや介護が潜在看護師の復帰を阻む要因となっていることがわかります。
夜勤に耐えられるか心配
潜在看護師が復帰しない理由に、夜勤業務への不安が挙げられます。
とくに、ブランクが長い方の場合、体力面で自信がないという方もいるでしょう。また、夜勤帯は人手が少ないため、一人ひとりにかかる責任やプレッシャーが重くなりがちです。
潜在看護師のなかには「体力的に自信がない」「生活リズムが不規則になることに抵抗がある」といった理由で、復帰をためらっている方もいるでしょう。
病院の受け入れ体制への危惧
潜在看護師のなかには、「ブランクがある自分を受け入れてくれるのだろうか」という不安を感じる方もいます。
復職しても周りのスタッフに迷惑をかけることや、十分なフォローが受けられるのかという疑問が、現場に復帰しない理由のひとつです。
スムーズに復職するためにすべきこと
復職に向けてしっかりと準備をすれば、スムーズな復職が可能です。次のポイントに沿って準備を進めてみてください。
- 復職する条件や課題を洗い出す
- スキマ時間で知識を身につける
- 家族や周囲の人の理解を得る
- 気になる職場の情報収集をする
- 復職支援の研修に参加する
それぞれを詳しく見ていきましょう。
復職する条件や課題を洗い出す
復職する前に、まずは次のような条件や課題など自身の状況を整理することで、復職に向けて具体的に何をすべきか明らかになります。
- 復職したい理由
- 復職する上で不安に感じていること
- 復職する上でクリアしなければならない課題
復職するうえでの不安をはっきりさせることで、具体的な対策を立てられます。たとえば、介護と仕事の両立に課題がある場合、家族の協力を得たり、介護サービスを活用したりなどの行動に移せます。
復職したい理由を言葉にすることで、復職へのモチベーションを高められるでしょう。
スキマ時間で知識を身につける
インターネットや書籍を利用すると、最新の医療情報や看護技術を学べます。
また、看護協会が実施している研修は、オンラインで開催されているものもあり、潜在看護師の方の悩みや課題に沿った内容であるため効果的です。
これらを活用することで、スキマ時間を使い自宅で学習できるため、復職への不安を軽減できるでしょう。
家族や周囲の人の理解を得る
復職には、家族や周囲の人の理解と協力が不可欠です。
とくに、子育て中の看護師の方にとって、家族の協力は重要です。夜勤や残業があることを理解してもらい、家事や育児の分担について話し合っておきましょう。
また、周囲の人に復職することを伝えることで、悩んだり困ったりしたときに精神的なサポートを得られます。
気になる職場の情報収集をする
復職先の候補となる職場の情報を集めましょう。
- どのような条件であれば働けるか
- 託児所はあるか
- 復職支援制度はあるか
ホームページや求人情報、看護協会の相談窓口などを活用して、情報収集をおこなうことが効率的です。
実際に、職場見学に行ったり、インターンシップに参加したりすることもおすすめです。職場の雰囲気やスタッフの様子などを知れるため、復職の悩みを解消できるでしょう。
復職支援の研修に参加する
多くの医療機関や看護協会では、潜在看護師に向け復職支援の研修を実施しています。これらの研修に参加するメリットは、次のとおりです。
- 知識やスキルの再確認
- 最新情報の習得
- 同じ悩みを持つ仲間との交流
研修内容は、医療知識や看護技術の再確認、最新の医療情報の提供、医療機器の操作方法、コミュニケーションスキルなど、多岐にわたります。座学だけではなく、実技演習やグループワークなどで、実践的なスキルを身につけられます。
研修の情報は、医療機関や看護協会のホームページで確認できるため、興味のある研修を見つけて積極的に参加してみましょう。
潜在看護師の復職支援
潜在看護師の復職の支援は、国や各自治体、医療機関、看護協会などがおこなっています。ここでは、ナースセンターとナースプラザの復職支援を詳しく解説します。
ナースセンターの復職支援
「看護師等の人材確保の促進に関する法律」にもとづき、ナースセンターは設置されています。
厚生労働省や都道府県から指定を受けて運営されており、潜在看護師の復職を支援するために、次のような事業をおこなっています。
- 再就業の相談
- 職業紹介
- 再就業の支援研修
- 交流会
再就業の相談では、復職に関する悩みや不安を相談できたり、職業紹介では自分に合った職場を紹介してもらったりできます。
お住まいの都道府県のナースセンターは、インターネットで検索できます。復職に不安を感じている方は、ぜひ相談してみてください。
ナースプラザの復職支援
ナースプラザは都道府県が運営しており、東京都の施設の場合は次のような復職支援を受けられます。
- 学校に戻って体験コース
- 病院体験コース
- 施設体験コース
これらのコースを受講することで、実際に職場で働く体験ができます。たとえば、病院体験コースでは、3日間もしくは5日間のコースにわかれており、9:00~16:00まで現場の看護師の指導を受けながら処置やケアを実施できます。
就業相談にも応じているため、復職前に活用してみてください。
潜在看護師が復職する際におすすめの職場の特徴
潜在看護師が復職しやすい職場の特徴としては、次のものが挙げられます。
- 「ブランク歓迎」の職場
- パートで働ける職場
- 託児所が完備されている職場
- 復職に向けた研修制度が整っている職場
それぞれを詳しく見ていきましょう。
「ブランク歓迎」の職場
ブランクがあることを理解し、受け入れてくれる職場は、安心して復職できます。
「ブランク歓迎」としている職場は、潜在看護師の復職を積極的に支援する体制が整っていることが多いからです。
- 復職者向けの研修プログラム
- OJT制度
- メンター制度
ブランクへの偏見がなく、温かい雰囲気の職場であることも重要です。面接の際に、ブランクへの理解や復職支援体制などを確認しておくと良いでしょう。
パートで働ける職場
フルタイムで働くことに不安を感じる場合は、まずはパートで働き始め、徐々に仕事に慣れていくのも有効な方法です。パート勤務であれば、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選べるからです。
- 短時間勤務
- 残業なし
- 週休2日
また、パート勤務からスタートすることで、体力面の負担を軽減し、家庭と両立できるなどのメリットがあります。
パート勤務からスタートし、徐々にフルタイム勤務に移行していくことも可能です。
託児所が完備されている職場
子育て中の看護師にとって、託児所の有無は職場選びの重要なポイントです。
託児所が完備されている職場であれば、次のメリットがあります。
- 保育園を探す手間が省ける
- 子供を預けながら安心して働ける
- 仕事と育児の両立がしやすい
院内託児所が職場にあれば、子供の急な体調不良時にも対応しやすく、子供と一緒に通勤できるといった利点もあります。
託児所の利用条件や料金なども事前に確認しておきましょう。
復職に向けた研修制度が整っている職場
復職後の研修制度が整っている職場であれば、安心して仕事に取り組めます。
研修制度が整っている職場であれば、ブランクによる不安を解消でき、職場にスムーズに復帰できるといったメリットがあります。
研修制度の内容や期間などもチェックしておきましょう。
潜在看護師が復職しやすいおもな職場
潜在看護師が復職しやすいおもな職場は次のとおりです。
- 訪問看護ステーション
- クリニック
- 介護施設
それぞれの職場の特徴を見ていきましょう。
訪問看護ステーション
潜在看護師が復帰しやすい職場のひとつとして、訪問看護ステーションが挙げられます。その理由は次のとおりです。
- 勤務時間や働き方に柔軟性がある
- ライフスタイルに合わせた働き方を選択できる
- オンコールなしの事業所だと夜間対応がない
利用者さまの生活をサポートし、ご家族との信頼関係をじっくり築くことで、訪問看護の魅力を感じられるでしょう。
訪問看護ステーションでの復帰を検討している方や介護と両立したい方、自分のペースで働きたい方は「NsPaceCareer」に登録して復帰を検討してみてください。
クリニック
潜在看護師がクリニックに復帰しやすい理由は、次のとおりです。
- 夜勤に比べて落ち着いて働ける環境
- 日勤のみの勤務であり生活が規則的
- 予約制であり残業が少ない
病院に比べて患者数が少ないため、比較的落ち着いて働けます。時間に追われることなく、患者さま一人ひとりに丁寧なケアを提供したい方におすすめです。
介護施設
介護施設が潜在看護師にとって復帰しやすい理由は次のとおりです。
- ブランクがあっても働きやすい
- 看護師の知識や経験を活かせる
- アットホームな雰囲気で働ける
利用者さまにとって生活の場であるため、アットホームな雰囲気のなかで働けます。また、介護施設は、病院に比べて業務内容が比較的落ち着いているため、ブランクがあっても働きやすいといわれています。
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復職支援制度をうまく活用して、自分に合った職場で働こう
潜在看護師で復職に難しさを感じている方もいるでしょう。
しかし、自治体や医療機関、看護協会などが提供する復職支援制度をうまく活用することで、復職へのハードルを下げられます。
まずは、自分自身の状況を整理し、復職に向けて具体的に何をすべきかを明らかにしましょう。情報収集をおこない、自分に合った職場を見つけてください。
<参考サイト・文献>

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