NICUの看護師に向いている人の特徴9つ!NICUの看護師になる方法とやりがい

「どのような人がNICUの看護師に向いているの?」「NICUの看護師のやりがいってなに?」
このように悩んだり不安を感じたりしていませんか。
NICU(新生児集中治療室)では、超低出生体重児をはじめハイリスクな状態にある赤ちゃんのケアをおこないます。
厚生労働省の「低出生体重児 保健指導マニュアル」によると、出生数は減少しているものの、出生数に占める低出生体重児の割合は増加傾向です。
そのため、今後NICUの看護師の役割はますます重要になってくることが予想され、看護師の方には特別なスキルと心構えが求められます。
ここでは、NICUの看護師に向いている人の特徴を9つ紹介します。NICUについて理解を深めたい看護師の方は、ぜひ参考にしてください。
NICUの看護師に向いている人の特徴9つ!
ここでは、NICUの看護師に向いている人の特徴を紹介します。
- ストレスに耐えられる人
- 体力に自信がある人
- 細かい作業が得意な人
- 看護師としての使命感がある人
- 冷静に対応できる人
- リーダーシップを発揮できる人
- 赤ちゃんに携わる仕事がしたい人
- 新しい知識やスキルを自ら学べる人
- コミュニケーションスキルが高い人
それぞれを具体的にみていきましょう。
ストレスに耐えられる人
NICUは、緊張感の高い現場であるため、ストレスに耐えられる看護師の方が向いています。具体的には、次のようなストレスがかかります。
- 小さな命を預かる責任の重さ
- 容態の急変や死に向き合うつらさ
- ご家族の不安
未熟児や重篤な病気がある場合、容態が不安定なことが多く、一生懸命向き合っても助けられないこともあります。なかには、赤ちゃんの状態が不安定であり、恐怖や悲しさが強く関わることが難しいご家族もいるでしょう。
そのため、自分の心が折れないように気持ちを保ったり、気持ちを切り替えたりできるなどストレスに耐えられる人がNICUの看護師に向いているといえます。
体力に自信がある人
NICUでは、24時間体制で細心の注意を払いながら、集中力を維持しなければならないため、体力に自信がある看護師の方が向いています。
夜勤や長時間勤務など交替勤務も多く、心身ともに疲れが溜まりやすいため、精神力とともに体力も必要です。
細かい作業が得意な人
NICUでは、早産児や低出生体重児など小さな赤ちゃんに点滴や注射、呼吸器の管理などをおこなわなければなりません。
たとえば、薬剤の投与量が非常に少なかったり、赤ちゃんに装着されているチューブは細かくミリ単位の正確さが求められたりします。
そのため、手先が器用で、細かい作業が得意な方がNICUの看護師に向いています。
看護師としての使命感がある人
NICUに入院している赤ちゃんは特別なケアを必要とするため、命を支えるという使命感を持つ方が、この仕事に向いています。
ただし、命が助からず、つらさを強く感じるケースもあります。このため「赤ちゃんが好きだから」「小さい子どものケアに興味があるから」などという気持ちだけでは働き続けられないでしょう。
冷静に対応できる人
NICUでは、赤ちゃんの容態が急変する場合があります。そのような状況でも、慌てずに冷静に対応しなければなりません。
心拍数や呼吸の変化、SpO2の低下などわずかな変化をすぐに見つけ、ケアをしたり医師に報告したりなど素早い対応が必要です。
状況を的確に判断し、適切な処置をおこなわなければばらないため、NICUで働くためには冷静さが不可欠です。
リーダーシップを発揮できる人
NICUでは、次のようにさまざまな職種がチームとしてケアをします。
- 医師
- 薬剤師
- 臨床工学技士
- 理学療法士
- 栄養士
看護師の方は、24時間体制でサポートしておりそばにいる時間が長く、状態の変化をいち早く察知できる立場にあります。
また、看護師の方はご両親にとって身近な存在です。そのため、赤ちゃんの状態をチームで共有したり、ご両親の想いや希望をチームに伝えたりするなど、リーダーシップを発揮し、チームをまとめていく役割が求められます。
赤ちゃんに携わる仕事がしたい人
赤ちゃんが好きで成長を間近で見守りたいという気持ちを持つ看護師の方が、この仕事にやりがいを感じられるでしょう。
NICUの看護師の方は、次のようなかかわりを通して、成長を間近で見守ることができます。その成長をサポートすることに、大きな喜びを感じられます。
- 日々のケア:おむつ交換や沐浴、体位交換など、赤ちゃんの日常生活を支える
- 観察:呼吸や心拍、体温を観察し異常を発見することで赤ちゃんの命を守る
- 発達支援:赤ちゃんの発達段階に合わせたケアを提供して成長と発達を促す
- 医療処置の補助:医師がおこなう点滴や注射、検査などを補助する
しかし、喜びと同時に、小さな命と向き合う責任の重さや、厳しい現実と向き合う場面も少なくありません。
そのような状況に立ち会うことは、精神的な負担となります。一方で、NICUでの治療を終えGCU(新生児回復室)に移ったり、無事に退院していく姿を見送ったりすることは、何物にも代えがたい喜びとなります。
強い責任感と使命感、そして精神的な強さも求められることを理解しておきましょう。
新しい知識やスキルを自ら学べる人
NICUでは、高度な医療機器や最新の治療法がおこなわれるため、さまざまな医療機器を操作する知識とスキルが必要です。
また、最新の治療法やケア方法も常にアップデートされています。
そのため、新しい知識やスキルを学ぶ意欲がある方が、NICUの看護師に向いています。
コミュニケーションスキルが高い人
ご家族の気持ちに寄り添い、赤ちゃんの状態を分かりやすく説明したり、不安な気持ちに丁寧に耳を傾けたりする高いコミュニケーションスキルが求められます。
出産という喜びに加えて、赤ちゃんへの心配や不安を抱えていたり、入院によるストレスを感じていたりするご家族にとって、看護師の方の言葉は大きな支えとなるからです。
たとえば、赤ちゃんの状態は専門用語を使わずに説明したり「何かご心配なことはありませんか?」と積極的に声をかけて、ご家族の質問や不安に丁寧に答えたりするなどが大事です。
NICUの看護師の方には、ご家族が安心して赤ちゃんを任せられるような温かいコミュニケーションが求められます。
NICUの看護師になるには
ここでは、NICUの看護師になるための方法を紹介します。
- 看護師の資格があると働ける
- NICUで働くためのケアや知識を身につける
- NICUがある病院の求人を探す
- 求人サイトや転職サイトを活用する
それぞれを詳しくみていきましょう。
看護師の資格があると働ける
看護師の資格があると、NICUで働くことができます。
専門的な知識やスキルが必要ですが、看護師以外の特別な資格はいりません。
看護師1年目ですぐにNICUに配属される場合もあれば、ほかの病棟で経験を積んだあとでNICUに異動するケースもあります。
NICUで働くためのケアや知識を身につける
NICUで働くためには、ハイリスクな状態にある赤ちゃんについての専門的な知識や技術を身につけることが望ましいです。
NICUでは、赤ちゃんの生理機能や病気、医療機器の操作方法などを知っておかなければならないため、専門書を読んだり研修に参加したりなど、自主的に学習することが大切です。
また、NICU配属後の研修制度が整っているところもあるため、そのような病院を選ぶと必要な知識や技術を学びやすいでしょう。
NICUがある病院の求人を探す
NICUがある病院は限られています。
厚生労働省の「医療施設調査 令和2年医療施設(静態・動態)調査」によると、2022年時点でNICUがある病院は全国に352施設であり、大学病院や総合病院などに設置されています。
そのため、病院のホームページや求人サイトなどで情報収集することがポイントです。
求人サイトや転職サイトを活用する
求人サイトや転職サイトを活用すると、効率的にNICUの求人情報を探せるでしょう。
医療系の求人情報に特化したサイトがおすすめです。求人サイトでは、給与や待遇、勤務時間などの条件のほかに、NICUの規模や仕事内容、教育体制なども確認できます。
NICUの看護師のやりがい
NICUの看護師は、赤ちゃんの死に立ち会ったり、非常に細かい作業が求められたりなど大変な仕事ですが、やりがいを感じられる仕事でもあります。
- 赤ちゃんの成長に喜びを感じられる
- 生命にかかわる仕事であり責任を実感できる
- 専門性の高い知識やスキルが身につく
- ご家族と深い関係を築くことができる
小さな命の成長を支えることは責任を感じる一方で、やりがいや喜びが大きいものです。
NICUの看護師の方がやりがいを感じられる場面については、下記の記事をご覧ください。
関連記事:NICU看護師の本音とは?やりがいや辛さ、向いてる人を紹介
NICUの看護師としてキャリアアップに役立つ資格
ここでは、NICUの看護師の方がキャリアアップする際に役立つ代表的な資格を紹介します。
- 助産師
- 小児プライマリケア認定看護師
- 小児看護専門看護師
自身のキャリアプランに合わせて資格取得を検討することで、専門性の高いケアを提供できるようになり、キャリアの選択肢も広がるでしょう。
助産師
助産師の資格を取得することで、赤ちゃんだけでなく、出産前後の母体も含めたケアができるため、より幅広い知識とスキルを身につけられます。
具体的には、出産直後の母子ケアやNICU退院後の育児相談などでサポートできます。
助産師の受験資格を得るためには、看護師資格を取得後、助産師の養成課程(大学院・助産学科のある大学・助産師養成所など)を修了しなければなりません。
助産師の資格を取得することで、周産期医療に貢献できる人材として、キャリアアップできるでしょう。
小児プライマリケア認定看護師
小児プライマリケア認定看護師の方は、成長発達を支援する専門的な資格のひとつです。
この資格を取得することで、退院後の継続的なケアを通して健やかな成長を長期的にサポートできます。さらに、ご家族への育児支援や相談対応など、より深くかかわることで、ご家族の不安軽減にかかわることもできます。
小児看護専門看護師
小児看護専門看護師の方は、高度な専門知識とスキルがあり、健康問題に対してケアをおこないます。NICUにおける専門性をさらに深めたい方におすすめの資格です。
小児看護専門看護師の資格を持つことで、NICUにおける高度な医療ケアだけでなく、倫理的な問題や多職種との連携などといった複雑な課題にも対応できます。
また、NICUの看護師の育成や研究活動などにも携わることで、NICUの質の向上に貢献できるでしょう。
NICUの看護師に関するQ&A
NICUの看護師に関して、よくある質問をまとめました。NICUで働くことを考えている方、NICUについてもっと知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
Q1:看護師1年目でもNICUで働けるの?
病院によって異なりますが、新人看護師の方でもNICUに配属されるケースはあります。
ただし、十分な研修や教育体制が整っている病院を選ぶことが大切です。NICUは特殊な環境であるため、新人看護師の方にとっては学ぶことが非常に多いです。
その一方で、十分なフォローを受けられなければ呼吸器をうまく扱うことができなかったり、適切な薬剤の投与量が分からなかったりなどインシデントを起こす恐れがあります。ときには、命を危険にさらす可能性もあるでしょう。
プリセプター制度があると、マンツーマンで先輩看護師の方から指導を受けられるため、ICUの看護師としての成長が期待できます。また、勉強会や研修などが充実している病院を選ぶこともスキルアップには欠かせません。
Q2:NICUで働くにはどんな能力が必要ですか?
NICUの看護師の方には、専門知識やスキルはもちろんのこと、責任感や集中力、冷静さなどが求められます。ほかにも、変化も見逃さないアセスメント能力や迅速な判断力、正確な手技などが必要です。
また、ご家族の不安を受け止め、丁寧に説明するコミュニケーション能力も不可欠です。これらの能力は、経験を積むことで徐々に身につくものでもあるため、焦らず働きながら習得していきましょう。
Q3:NICUで働く看護師の年収は?
一般の病棟勤務の看護師の方と比べて、夜勤手当や特殊業務手当などが加算されるため、NICUの看護師の年収は高くなる傾向にあります。
ただし、病院や経験年数によって異なります。また、認定看護師や専門看護師などの資格を取得することで資格手当がつく場合もあり、給与アップが見込めるでしょう。
NICUの看護師というやりがいある現場で専門性を発揮しよう
NICUは大変な現場ですが、かけがえのない経験と大きなやりがいを得られる場所です。
緊張感のある現場でプレッシャーに潰れないような心の強さや、緊急時に迅速に対応できる冷静さが不可欠です。
NICUで働くためには、看護師以外の資格は必要ありません。
ただし、専門的なスキルが求められるため、助産師や小児プライマリケア認定看護師の資格取得を目指したり、積極的に研修に参加したりなど行動することが重要です。
さらに、研修制度やフォロー体制が充実している病院を選ぶことで、キャリアアップにつながるでしょう。
<参考サイト・文献>

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