スポーツ看護師になるには?必要な資格や年収、求人の見つけ方を紹介

公開日:2025/01/22 更新日:2025/01/22
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「スポーツ看護師になるのに特別な資格が必要なの?」「運動に関わる仕事で看護師の資格を活かしたい!」

スポーツ看護師に興味があるものの、必要な資格や転職の方法などがわからず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

スポーツ看護師は、運動を楽しむ一般の方からプロのアスリートまで、幅広い人たちの健康を守る看護師です。

この記事では、スポーツの現場で活躍する看護師になるために、必要な資格や仕事内容、年収や求人の見つけ方までくわしく解説します。最後までお読みいただくと、スポーツ看護師として働く自分を想像でき、転職活動に活かせるでしょう。

スポーツ看護師になるには?

スポーツ看護師とは、スポーツの現場で働く看護師の総称です。

看護職の資格があれば、新たに資格を取得しなくてもスポーツ看護師として働けます。ただし、働く場所によって看護師の役割は異なります。スポーツ看護師になるために知っておきたい基礎知識を一緒に見ていきましょう。

看護職の資格があれば特別な資格は必要ない

スポーツ看護師として働くためには、看護師または准看護師の資格が必要です。

スポーツに関する専門知識、整形外科クリニックや救護室の実務経験などがあると、採用される確率がより高まります。

ただし、これらの分野での実務経験がなくても、学生時代のクラブ活動やスポーツ経験があれば「実践的な知識がある」と一定の評価を受けられるかもしれません。

スポーツ看護師として働く場所

スポーツ看護師は次のような場所に就業しており、さまざまな場面で必要とされています。

  • スポーツ整形外科
  • イベント会場やスポーツ施設の救護室
  • スポーツセンターやスポーツチームに帯同した場所

就業先によってスポーツ看護師の役割が異なるため、環境に応じて自身の経験の活かし方も変わるでしょう。スポーツ看護師としてどのような役割を果たしていきたいかで就業先を検討するのも方法のひとつです。

スポーツ看護師の仕事内容

スポーツに関わる看護師といっても、働く場所ごとに仕事内容は異なります。

  • スポーツ整形外科での仕事内容
  • スポーツイベントでの仕事内容
  • スポーツセンターやスポーツチームでの仕事内容

自分がどの分野に興味があるのか、経歴と照らし合わせて判断するとよいでしょう。

スポーツ整形外科での仕事内容

スポーツ整形外科は、スポーツによる外傷や障害を負った患者さまが通う診療科です。診察内容や検査、手術などは一般的な病院やクリニックの整形外科と同じで、スポーツ看護師の業務も変わりません。

  • 外来診察の補助
  • 術前術後の患者ケア
  • 患者の経過観察と記録
  • 患者の心理的サポート
  • 再発予防のアドバイスや生活指導
  • リハビリテーションのサポート

スポーツ整形外科に魅力を感じている看護師の方は、スポーツで起こりやすいケガや回復の流れなどを学んでおくと、よりスムーズに業務をおこなえるでしょう。

スポーツイベントでの仕事内容

スポーツイベントで働く看護師の方は、次のような業務をおこないます。

  • 医療機関との連携
  • 緊急時の対応
  • 救護室での応急処置
  • 熱中症対策と予防の声がけ

なかでも多いのが救護室での応急処置です。運動するなかでケガや体調不良は避けられず、スポーツ看護師に早急な対応を求められる場面もあります。

救急科や急変の多い科で働いた経験をもつ方は、これまでのスキルや経験を活かせるでしょう。

スポーツセンターやスポーツチームでの仕事内容

スポーツセンターやスポーツチームで働く看護師の方は、それぞれの専属として以下の仕事をおこないます。

  • 怪我の予防と応急処置
  • 選手の日常的な健康管理
  • 栄養管理・感染管理のアドバイス
  • トレーニング、リハビリテーションのサポート

単独で行動することはほとんどなく、チームの一員として監督やコーチと選手のパフォーマンス向上をサポートします。チームや選手が競技でよい結果を出したときに、身近で喜べるやりがいのある仕事です。

スポーツ看護師の年収事情

スポーツ看護師の年収は約400万〜800万円と想定されています。

ただし、勤務先や雇用形態によって異なり、年収を明らかにした調査はありません。

チームへの所属やスポーツ整形外科で働く場合は正職員の雇用もありますが、スポーツ看護師の方の多くはパートや単発のアルバイトの雇用形態です。

時給額は、一般的な看護師と同額といわれており、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」の調査によると、看護師の方の平均時給は1,849円です。

安定した収入が得られるスポーツ看護師を目指すなら、医療機関でスポーツ整形外科に従事する、スポーツチームに正社員として所属するなどがよいでしょう。

スポーツ看護師に役立つ資格

スポーツ看護師に役立つ資格として、以下の3つがあげられます。

  • 健康スポーツナース
  • 運動器看護師(JMSNC)
  • アスレティックトレーナー(JSPO-AT)

こうした資格を取得すると、より専門的な知識を得られ、転職に有利になったり知識を活かしたアドバイスができたりします。

健康スポーツナース

健康スポーツナースとは、あらゆる年代の方が安全で健康的に運動を実践できるようサポートする看護師の方のことです。日本健康運動看護学会が認定する資格で、運動指導や健康管理に強みをもつ看護師として認められます。

最近では、2024年5月に神戸でおこなわれた「KOBE2024世界パラ陸上競技選手権大会」には、17名の健康スポーツナースが医療スタッフとして参加しました。

応急処置はもちろん、熱中症予防のために定期巡回をおこなったり、ボランティアスタッフと連携を図ったりして選手の体調不良の予防に務めました。

健康スポーツナースの資格を得るには、養成講座を受講して認定試験に合格しなければなりません。

養成講座は年4回開催され、それぞれ受験場所が異なります。定員に達すると申し込みができなくなるため、資格取得を検討している看護師の方は早めに申し込みましょう。

運動器看護師(JSMNC)

運動器看護師(JSMNC)は、日本運動器看護学会が認定する資格です。運動器看護での専門的なケアや知識をもつ看護師として評価されます。

活躍の場は病院やクリニックが中心で、ADL向上のためのリハビリプログラムの作成や、地域の健康教室の運営などで専門性を発揮しています。

JSMNCを取得するには、育成講座を受講後、書類審査の通過および認定試験に合格して登録されることが必須条件です。

毎年1回、4月〜5月に募集がはじまります。申し込み忘れのないよう、興味のある方はカレンダーやスマートフォンにメモを残しておきましょう。

アスレティックトレーナー(JSPO-AT)

アスレティックトレーナー(JSPO-AT)は、日本スポーツ協会(JSPO)が認めている資格です。スポーツ中のケガの防止や、選手のコンディションの調整、ケガをしたときの応急処置などをおこなう役割があります。

以下の条件を満たすことでアスレティックトレーナーの受験資格を得られます。

  • JSPOやその関連団体から推薦を受けて、受講者選考基準を満たす者
  • 受講有効期間内に講習の全日程に参加可能である者

2018年に日本スポーツ協会がおこなった調査では、看護職でアスレティックトレーナーとして活躍しているのは5名で、調査対象のわずか0.4%でした。

アスレティックトレーナーは狭き門といえるものの、この資格を取得していれば貴重な存在と判断され、就職に有利になるでしょう。

スポーツ看護師に求められるスキル

スポーツ看護師として活躍するためには、以下のスキルが必要です。

  • 関わるスポーツの基礎知識
  • BLSや外傷の応急処置のスキル
  • コミュニケーション能力
  • スポーツイベントの運営への理解

こうした能力をあらかじめもっていると、転職や就職に有利になります。

自分が身につけるべきスキルはなにがあるのか、一緒に見ていきましょう。

関わるスポーツの基礎知識

担当するスポーツの特性を深く理解することは、スポーツ看護師にとって不可欠です。

スポーツチーム専属の看護師を目指す方は、そのスポーツに関する幅広い知識が求められます。たとえば、テニス肘やゴルフ肘など、スポーツ特有の症状を理解し適切な対策が必要です。大人だけではなく、子どもへのケアが必要となる場面もあるでしょう。

基礎知識をもとに怪我のリスクを減らすための予防策を選手に指導できることも、スポーツ看護師の重要な役割です。

BLSや外傷の応急処置のスキル

緊急事態が発生した際、迅速かつ適切な処置をおこなうためのスキルが求められます。多くの方が参加するスポーツイベントで重宝されるでしょう。

たとえば、呼吸や心臓が停止したときに心肺蘇生法をおこなう場合もあります。

ほかにも屋外イベントでの熱中症対応や試合中のケガへの迅速な処置など、状況に応じた対応力が必要です。

コミュニケーション能力

患者さまやイベント参加者、選手の安全・健康を守るために、コミュニケーションは欠かせません。

スポーツは選手やコーチ、トレーナー、医師などさまざまな方が連携しながらパフォーマンス向上を目指します。スポーツイベントではボランティアスタッフや運営陣、スポーツ整形外科ではほかの医療職など、多職種のスタッフとの連携が必要です。

連携を強化するにはコミュニケーションをとおして情報を共有しなければならず、スポーツ看護師はその中心的存在として役割を果たします。

スポーツイベントの運営への理解

スポーツ看護師には、大会前の準備から試合中のケガの応急処置、大会後の選手のケアまで対応できる知識と技術が求められます。

選手や観客の安全を守るため、イベント全体を通じて積極的にサポートすることが期待されているからです。

とはいえ、はじめから理解するのは難しい部分もあるでしょう。ボランティアスタッフとして一度運営に携わってみて、一連の流れを体感してみることをおすすめします。

スポーツ看護師に向いている人の特徴

スポーツ看護師に向いている人は、以下の特徴があります。

  • 救護室での経験がある看護師
  • バスケットボールやバレーボールなどスポーツの知識がある看護師
  • トレーナーや管理栄養士などの資格がある看護師

これらの経験をもつ看護師の方は、スポーツ現場で即戦力として期待され、転職に有利になりやすいです。

救護室での経験がある看護師

救護室では、競技当日のケガやトラブルへの迅速な対応や判断が必要であるため、即戦力となる看護師が求められる傾向です。

救護室の仕事内容に慣れていたり緊急時に冷静な判断ができたりする方は、スポーツ看護師に向いています。

バスケットボールやバレーボールなどスポーツの知識がある看護師

競技特性を理解していると、起こりうる事態を予測でき、いざというときもスムーズに対応できます。

そのため、スポーツに特化した理解がある看護師の方は、スポーツ看護師に向いているといえるでしょう。

トレーナーや管理栄養士などの資格がある看護師

アスレティックトレーナーや管理栄養士などの資格を持っていると、より専門的な視点から選手をサポートできます。

選手が能力を最大限に発揮するためには、日々の栄養・健康管理はもちろん、アンチドーピングに関する基礎知識が重要です。

これらを総合的にサポートできる看護師はスポーツチームで需要が高く、採用にも有利に働きます。

スポーツ看護師の求人の見つけ方

スポーツ看護師は、病院と異なり採用規模が小さく、転職しにくいといえるでしょう。そのなかでも求人が見つけやすい方法に、以下があげられます。

  • スポーツチームの公式ホームページから探す
  • 競技場の公式ホームページから探す
  • 求人サイトや転職エージェントを活用する

自分が働きたい現場によって検索方法を検討しましょう。

スポーツチームの公式ホームページから探す

プロスポーツチームや実業団チームのホームページに、医療スタッフの募集情報が掲載されていることがあります。まずは、所属したいチームの公式ホームページを定期的にチェックしてみましょう。

気になる団体やスポーツが決まっていなければ、GoogleやYahoo!の検索窓、SNSなどで「スポーツ 看護師 募集」と検索してみると、思いつかなかった団体の募集が見られるかもしれません。ぜひ一度検索してみてください。

競技場の公式ホームページから探す

スポーツ施設やスタジアムのホームページには、イベント時の救護スタッフの募集情報が掲載されている場合があります。

主催団体が記載されていることもあるため、施設や競技場などに募集がなければ主催団体のホームページを確かめてみてください。

求人サイトや転職エージェントを活用する

医療専門の求人サイトや転職エージェントでは、スポーツ医療関連の求人を取り扱っています。

求人サイトの種類特徴
医療専門の転職サイトスポーツクリニックやスポーツチームの求人が掲載
転職エージェント専門のコンサルタントがスキルや希望に合った求人を紹介

自分のペースで探したい、忙しいから探してほしいなど、自分のスタイルにあうサービスを活用しましょう。

スポーツ看護師は看護職の資格があればなれる!スキルを活かして転職しよう

スポーツ看護師は、看護職の資格があればほかの資格は必要ありません。ただし、医療機関と異なり求人数が限られています。

健康スポーツナースや運動器看護師、アスレティックトレーナーなどの資格やスキルを得ておくと、ほかの看護師と差別化が図れ、就職に有利になりやすいです。

スポーツ現場では、これまでの看護師経験が活かされる場面が多くあります。好きなスポーツにたずさわりながら、やりがいのあるスポーツ看護師への転職を検討してみてはいかがでしょうか。

<参考サイト・文献>

令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省   

KOBE2024世界パラ陸上競技選手権大会活動報告 | 日本健康運動看護学会 

JSMNC4期のコメント 田邊 美香(医療法人社団明由会今給黎整形外科クリニック) 

アスレティックトレーナー|JSPO 

第一回 日本のトレーナー実態調査|公益財団法人日本スポーツ協会  

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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