ブランクのある看護師が感じやすい不安!4つの準備とおすすめの勉強法

「ブランクがあるけど復帰したい!」「子育てが落ち着いたから看護師に戻りたいけど、どのように復帰すればいいの?」
看護師として働いていたものの、育児や介護などが理由でキャリアにブランクがある方は少なくありません。
ブランクのある看護師の方が復帰を考えるとき、さまざまな不安を感じるのは当然といえます。医療現場は常に進化しており、スキルや知識のアップデートが必要であるからです。
また、家庭の事情で現場を離れていた場合、仕事と家庭の両立への不安もあるでしょう。
そのような不安を解消し、安心して復帰するための準備とおすすめの勉強法を紹介します。この記事がブランクから一歩踏み出すきっかけになれれば幸いです。
ブランクのある看護師が感じやすい不安
ブランクのある看護師の方が感じる不安はさまざまです。ここでは、とくに多く聞かれる不安について、具体的な例を交えながら解説します。
- 急変対応の怖さ
- 医療処置スキルの低下への不安
- 夜勤ができないかもしれないという心配
- 慣れない配属先になるかもしれないという悩み
- 人間関係になじめるか不安
- 子どもを預けて働くことへの葛藤
それぞれみていきましょう。
急変対応の怖さ
久しぶりの現場で、患者さまの容態が急に変わったとき、適切に対応できるか心配になる看護師の方は多いです。
ブランク明けは特に「患者さま急変したらうまく動けないかもしれない」「患者さまのわずかな変化に気づけなかったらどうしよう」といった不安を感じやすいでしょう。
心肺蘇生の手順を忘れてしまっていないか、最新のガイドラインに沿った対応ができるかなど、具体的な場面を想像するとどうしても怖いと感じてしまうかもしれません。
これは、看護師の方が責任感を持って仕事に取り組んでいるからこそ感じる自然な感情です。
医療処置スキルの低下への不安
ブランク期間中に技術が鈍っていないか、以前のようにスムーズに処置ができるか、自信をなくしてしまう看護師の方もいます。
たとえば、点滴の留置や採血に手間取るのではないかと心配になるかもしれません。以前は自信を持っておこなっていた処置が、ブランクによって不安要素に変わってしまうのは多くの看護師の方が経験することです。
夜勤ができないかもしれないという心配
体力面や家庭の事情で夜勤ができないのではないかと、心配になる看護師の方もいます。
夜勤は、看護師の仕事において避けられない部分もあります。もし夜勤が難しくなった場合、パートや時短勤務への変更を考えたり、希望しない部署への異動を打診されたりするのではないかと不安に感じるかもしれません。
とくに、育児中の看護師の方にとっては、子どもの預け先や子どもの体調管理など、夜勤をするうえで多くの課題があります。「自分は体調が良いのに、子どもが熱を出してしまって夜勤に行けない」という声は子育て中の看護師の方にとって切実な悩みです。
また、年齢を重ねるにつれて、若い頃のように無理がきかなくなり、体力的に夜勤が厳しくなるのではないかと不安を感じる看護師の方もいるでしょう。
慣れない配属先になるかもしれないという悩み
ブランク明けで復帰する際、病院や施設の都合によっては、希望していた部署とは違う場所に配属される可能性もあります。
馴染のある部署や経験のある診療科に配属されれば、勝手を知っている場所であるため、比較的スムーズに復帰できるかもしれません。
ただし、新しい環境となると人間関係や業務内容、医療機器の操作などあらゆる面で不安やストレスを強く感じてしまうものです。
「スタッフとうまくコミュニケーションを取れるのか」「以前の部署とは違う業務フローに戸惑ってしまうのではないか」など悩みが尽きないでしょう。
人間関係になじめるか不安
新しい環境で周りのスタッフとうまくやっていけるか、同僚と良好な関係を築けるだろうかなど、職場の人間関係は誰にとっても気になるものです。
ブランクが長い場合は、その不安はさらに大きくなるかもしれません。
以前とは職場の雰囲気や人間関係が変わっている可能性もあり「スタッフに受け入れてもらえるのか」「孤立してしまうのではないか」など、心配になるでしょう。
子どもを預けて働くことへの葛藤
仕事と育児の両立は、多くの親にとって大きな課題です。
とくに、看護師としての責務を果たしたいと考えている方にとっては、その葛藤はより深いものとなるでしょう。子どもを預けて働くことは、親として、どうしても罪悪感を覚えてしまう瞬間があるかもしれません。
「もっと一緒にいてあげたい」「成長を見守ってあげたい」という気持ちと「キャリアも大切にしたい」「社会に貢献したい」という気持ちの間で、心が揺れ動くのは当然のことです。
子どもが小さい場合は、体調を崩しやすい時期でもあり、心配は尽きません。仕事と育児の両立は、体力的にハードな面もあり、精神的な負担も大きいですが、それは、大切な子どもと仕事の両方を大切にしたいという強い思いの表れです。
ブランクのある看護師が復帰するための準備
ブランクのある看護師の方がスムーズに復帰するためには、事前の準備が大切です。ここでは、具体的な準備の方法について、詳しく解説します。
- ブランクのある看護師を対象とした研修に参加する
- ブランクのある看護師に向けた復職支援制度を活用する
- 復職時の希望事項を洗い出す
- 家族の協力が得られるように相談する
それぞれをみていきましょう。
ブランクのある看護師を対象とした研修に参加する
ブランクのある看護師を対象とした研修は、知識やスキルの再確認ができ、復帰への不安の軽減につながるためおすすめです。実際の研修では、次のような現場の業務で必要となる知識やスキルを学べます。
- 最新の医療情報や技術
- 採血や注射などの手技
- 医療機器の取り扱い
- 感染症対策
また、研修を通してほかの受講者と交流することで、同じような悩みを持つ仲間と出会い、情報交換できることもメリットです。
研修を選ぶ際には、自分のブランク期間や復帰希望の診療科に合った内容のものを選ぶと効果的です。たとえば、小児科への復帰を考えている場合は、小児看護に関する研修を受講すると良いでしょう。
ブランクのある看護師に向けた復職支援制度を活用する
自治体や病院、日本看護協会などが提供する復職支援制度を活用することで、スムーズな復帰につながる可能性があります。
これらの制度では、研修費用の補助だけではなく、職場体験の機会提供や復職後の相談窓口の設置など、さまざまな支援が受けられます。
日本看護協会が開催している「e-ナースセンター」は、各都道府県に設置されており、研修や看護技術の演習、病院での実習など実践的な内容で復職を支援しています。さらに、就職のサポートもおこなっているため、求人をスムーズに見つけられるでしょう。
復職支援制度を利用する際には、まずはお近くのe-ナースセンターや自治体の担当窓口に問い合わせて、自分の状況や希望を伝えることで、より適切な支援を受けられます。
復職時の希望事項を洗い出す
復職を考えるときには、勤務形態や給与、社会保険など、自分がどのような働き方や仕事内容を希望するのかを明らかにしておくことが大切です。自分に合った職場を見つけやすくなるでしょう。たとえば、勤務形態の希望については、次のように具体的に整理しておくことが大切です。
- 日勤のみの希望
- 時短勤務の希望
- 土日祝休みの希望
また、通勤時間や職場の雰囲気、福利厚生などの要件も考慮に入れると良いでしょう。希望事項を整理する際には、家族とよく話し合い、家事や育児の分担といった協力体制を築くことも大事です。
家族の協力が得られるように相談する
看護師として復帰した後の生活をスムーズに送るためには、家族の理解と協力が不可欠です。
家事や育児の分担についてしっかりと話し合い、協力体制を築いておくなど家族の協力を得ることで、安心して仕事に取り組めます。
たとえば、夕食の準備は夫が担当する、保育園の送迎は交代でおこなうなど、具体的な役割分担を決めておくと復帰後の生活がスムーズになります。
また急な残業や子どもの病気などイレギュラーな事態への対応についても話し合っておくといざというときに慌てずに済みます。
ブランクのある看護師のおすすめ勉強法
復帰に向けて勉強することは、自信につながります。ここでは、おすすめの勉強法を、具体的な方法を交えて紹介します。
- 最新の医療について研修で勉強する
- アプリやセミナーで勉強する
- 参考書で勉強する
それぞれを見ておくことで、スムーズに復帰できるでしょう。
最新の医療について研修で勉強する
ブランクを経て現場に復帰する看護師の方にとって、最新の医療について知識をアップデートすることは、自信をもって働くために重要です。
研修では、ガイドラインの変更点や新しい治療法、新しい医療機器の使用方法など現場で役立つ実践的な知識やスキルを習得できます。
アプリやセミナーで勉強する
アプリやオンラインセミナーは、場所や時間を選ばずに手軽に学習できる便利なツールです。隙間時間を活用して効率的に勉強を進められるため、忙しい方にとって心強い味方となるでしょう。
たとえば、移動時間や休憩時間などを活用して、アプリで医療用語を復習したり、オンラインセミナーでケアの方法を学んだりできます。
アプリによっては、クイズ形式で楽しく学べるものや苦手な分野を重点的に復習できる機能を持つものもあります。オンラインセミナーでは、専門家の講義を自宅で受講できるだけでなく、質疑応答の時間を通して直接質問できるかもしれません。
アプリやセミナーは、費用が比較的安く、気軽に自分のペースで学習できるため、子育てや介護などで時間がない方におすすめです。
参考書で勉強する
基礎的な知識を復習するには、参考書が役立ちます。
とくに、現場から離れていた期間が長い方は、以前学んだ内容を思い出すのに苦労するかもしれません。
そのようなときには、解剖生理学や薬理学など基礎科目の参考書を読み返すことで、知識の土台をしっかりと固められます。使い慣れている参考書であると、学習もスムーズに進められるでしょう。
ブランクのある看護師が復帰するのにおすすめの求人
ブランクから復帰する際「どのような職場であると働きやすいのだろうか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。ブランクのある看護師の方が働きやすい職場は次のとおりです。
- 訪問看護ステーションの求人
- クリニックの求人
- 介護施設の求人
- 健診センターの求人
- 「ブランクOK」「ブランク可」と書かれている求人
ここでは、おすすめの求人を、それぞれの特徴と合わせて紹介します。
訪問看護ステーションの求人
訪問看護ステーションは、土日祝が休みのところもあり、利用者さまの状態も落ち着いていることが多いです。
病院勤務と比べて、利用者さまと向き合う時間が取れるため、コミュニケーションを重視したい方や、一人ひとりの状態に合わせたケアをしたい方に向いています。
オンコールがない事業所を選ぶと、求人の選択肢は狭まるものの、身体的・精神的な負担も軽減できるでしょう。
クリニックの求人
クリニックは比較的落ち着いた環境で働けることが多いです。患者さまとじっくり向き合う時間を取りやすいため、ブランクのある看護師の方にとって復帰しやすい環境といえるでしょう。
専門分野が明確なクリニックであれば、特定の知識やスキルを活かせます。たとえば、内科クリニックや小児科クリニックなどであると、さまざまな診療科がある病院と比べ、ある程度スキルや作業範囲を絞れます。
そのため、クリニックに就業すると、自分の知識やスキルに不安がある方も安心できるでしょう。
介護施設の求人
ブランク明けで職場復帰を考えている方で、比較的落ち着いた環境で働きたいと考えている方は、介護施設も視野に入れて求人情報を探してみましょう。
介護施設では、高齢者の方の健康状態の観察や服薬管理、応急処置など、看護師としての基本的なスキルを活かせます。
また、介護度が低い介護施設であると、身体的な負担も軽減できます。
健診センターの求人
健診センターは、日勤のみの勤務が中心で、比較的規則正しい生活を送りたい看護師の方にとって、復職の選択肢のひとつとして検討できます。
基本的に、健診は予約制でおこなわれるため、急患対応のようなイレギュラーな業務やそれにともなう残業は少ない傾向です。
しかし、健診センターにも種類があり、大規模な健診センターでは、繁忙期には残業が発生する場合もあります。また、企業や自治体などに出向く巡回健診の場合は、早朝出勤や移動時間が発生することもあります。
健診センターでの看護師の主な業務は身体測定や血圧測定、採血などであり、基本的な看護スキルを活かせるものが多く、ブランク明けの方でもスムーズに業務ができるでしょう。
「ブランクOK」「ブランク可」と書かれている求人
求人情報に「ブランクOK」「ブランク可」と記載されている職場は、ブランクのある看護師の方を歓迎しているため、安心して応募できるでしょう。
しかし「ブランクOK」と書かれているからといって、応募すれば採用されるというわけではありません。
求人情報を見る際には、「ブランクOK」という文言だけでなく、具体的な支援内容や研修制度についても確認することが大切です。
- ブランク明け研修あり
- プリセプター制度あり
- OJT制度充実
このような記載があれば、復職後のサポート体制が整っている可能性が高いといえるでしょう。
ブランクのある看護師に関するQ&A
ここでは、ブランクのある看護師に関するよくある質問とその回答を紹介します。悩みや不安をなくして、復帰する際に役立ててください。
Q1:看護師でブランクがあっても就職できますか?
看護師でブランクがあっても就職できます。
研修への参加や、独学での勉強で知識やスキルをアップデートすれば、自信をもって復帰できるでしょう。
また、ブランクをプラスに捉え、職場を離れた感じたことや新たな視点を職場に持ち込めるとなどを就職の面接や履歴書の志望動機などでアピールすることも大切です。
Q2:50代の看護師で20年ブランクがあっても復帰できますか?
50代で20年間のブランクがあっても復帰できます。実際に、このようなブランクがあっても復帰している看護師の方はいます。
年齢やブランクの期間を気にせず、積極的にチャレンジしてみましょう。経験豊富な50代の看護師の方は、若い世代にはない知識や経験を持っています。それを強みとして活かすことが大切です。
Q3:潜在看護師が復帰しない理由はなんですか?
厚生労働省の「潜在看護職員数の推計」によると、潜在看護師は51万8,153 人で、潜在率は28.37%であることが明らかになりました。
潜在看護師の方が復帰しない理由はさまざまです。
- 知識やスキルへの不安
- 体力への不安
- 家庭との両立への不安
ブランク明けの看護師の方は、これらの不安を解消したうえで復帰すると良いでしょう。
ブランクのある看護師が復帰するときは研修やアプリで勉強して不安を解消しよう
ブランクのある看護師の方が復帰を考える際に、不安を感じるのは自然なことです。
しかし、適切な準備と勉強をすることで、不安を解消し、自信をもって復帰できるでしょう。具体的には、復職を支援する研修に参加したり、アプリや参考書で学習したりすることが大切です。
家族と相談して、安心して復帰できるよう準備を進めましょう。
ブランク明けで訪問看護ステーションへの復帰や転職を考えている看護師の方は「NsPaceCareer」を活用してみてはいかがでしょうか。多くの事業所からあなたの希望にあった事業所を選ぶことができます。無料で登録できるため、まずは登録してみてください。
<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。