有料老人ホームの看護師とは?7つの仕事内容や求人の見つけ方を紹介

公開日:2024/12/27 更新日:2024/12/27
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「有料老人ホームの看護師ってどんなことするの?」「有料老人ホームの看護師って大変?」

有料老人ホームで働く看護師について興味をお持ちではありませんか。

有料老人ホームとは「介護や食事などのサービスを提供する高齢者向けの居住施設」です。

高齢者施設における看護師の仕事は病院勤務とは異なる点が多く、仕事内容や働き方について不安に感じることもあるでしょう。

この記事では、有料老人ホームの看護師の方の仕事内容やメリット・デメリットをくわしく解説します。求人の探し方についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

有料老人ホームの看護師とは?

有料老人ホームにおいて看護師の方は、入居者さまの健康をサポートする大切な役割を担っており、次の3種類にわかれています。

有料老人ホームの種類特徴
介護付有料老人ホーム・生活支援や入浴・排泄介助などの介護サービスを提供 ・介護度が軽い方から重い方、認知症の方を受け入れ
住宅型有料老人ホーム・食事や洗濯などの生活支援を提供 ・介護保険サービスを利用する場合は、訪問介護や訪問看護の事業所と個別に契約して
健康型有料老人ホーム・主に食事やアクティビティを提供 ・自立した高齢者に特化しており、介護が必要になったら退去
参考:有料老人ホームの概要|厚生労働省

有料老人ホームの介護付・住宅型・健康型のうち「介護付」の施設には看護師の配置が義務付けられています。残りの2つは任意での配置となっています。

また、健康型有料老人ホームは施設数が少なく、老人ホームとは異なりますがサービス付き高齢者住宅が多く設置されています。

看護師の方の業務は、おもに入居者さまの日常生活のサポートです。とくに、介護付き有料老人ホームであれば、要介護認定を受けている方も多く入居しており、サポートの範囲は広くなるでしょう。施設の入居者さまによっては医療行為が必要となることもあります。

病院勤務と異なり、有料老人ホームは長期間にわたって入居者さまとかかわることが多く、信頼関係を築きながらケアができる点が魅力です。

有料老人ホームの看護師の仕事内容

有料老人ホームにおいて看護師の方の仕事内容は、多岐にわたります。ここでは、7つの具体的な業務内容を紹介します。

  • 入居者さまの健康管理
  • インスリン注射や吸引などの医療行為
  • 入浴介助やおむつ交換などの日常生活の支援
  • 入院や通院のサポート
  • 施設内の感染対策
  • 外出レクリエーションの同行
  • 看取りケア

それぞれ詳しくみていきましょう。

入居者さまの健康管理

入居者さまの体調を日々観察し、血圧測定や体温測定、薬の管理をします。定期的にチェックして、体調の変化を早期に把握することが大切です。

入居者さまの中には様々な疾患があり、症状の悪化や異変に細やかに注意することが大切です。

医師が常駐していない施設がほとんどであるため、異常がみられた場合はすぐに医師や病院へ連絡し、必要に応じて医療機関への受診や連携するを判断力も必要です。

また、入居者さまの日々の健康状態や服薬状況について、介護スタッフと協働しながら情報共有をおこなうことで、施設全体で健康管理の質を高められます。

インスリン注射や吸引などの医療行為

有料老人ホームでは、次のように医療処置が必要な入居者さまへの対応もおこないます。

  • バイタルサインのチェック
  • インスリン注射
  • 痰の吸引
  • 経管栄養の管理
  • 褥瘡のケア 

そのほか、急変時の対応や医師への報告なども有料老人ホームの看護師が実施します。

入浴介助やおむつ交換などの日常生活の支援

有料老人ホームの看護師の方には医療的ケアだけでなく、入居者さまの日常生活を支える業務も含まれます。

  • 入浴の介助
  • おむつ交換
  • 食事の介助
  • 口腔ケア 

日常生活の支援は介護スタッフがおこなうことが多いですが、看護師の方も状況によっては対応します。

入院や通院のサポート

有料老人ホームの看護師の方は、体調不良や定期受診の際に入居者さまに付き添い、医師へ情報提供したり、施設でのケアの指示を受けたりする役割を担います。

さらに、入院が必要と判断された際には、入院に向けた準備や必要な手続きを進めることもあります。通院や入院に関する情報は、ほかのスタッフとも共有し、施設で一貫したケアを提供することが大切です。

施設のスタッフと連携して、入居者さまの健康を支えることが、有料老人ホームの看護師に求められる役割です。

施設内の感染対策

施設内で感染症が広がらないよう予防策を徹底することも、有料老人ホームの看護師の方が担います。たとえば、次のような業務をおこないます。

  • 手洗いやうがいの徹底
  • 消毒の指導
  • 環境整備の実施

看護師として介護スタッフに指導をしたり、入居者さまに情報を周知したりするスキルが大切です。

また、感染症が発生した場合は速やかに対応し、ホーム長と相談しながら介護スタッフと共に拡大予防に努めます。

外出レクリエーションの同行

有料老人ホームの看護師の方は、外出レクリエーションに同行して、外出時の健康管理や安全確保の役割を担います。

お花見や紅葉狩りといった季節を感じられるイベントや近隣への散歩などがおもな内容です。

暑い日には入居者さまやスタッフの熱中症対策も忘れずにおこないましょう。

看取りケア

人生の最期を迎える入居者さまに寄り添い、苦痛を和らげるために看取りケアをすることも、有料老人ホームの看護師の方が担います。

入居者さまとそのご家族の気持ちに寄り添いながら、穏やかな時間を過ごしていただくためにサポートします。

ただし、どの有料老人ホームでも看取りをおこなっているわけではありません。厚生労働省の調査による看取りの実態は次のとおりです。

「ホームで亡くなりたい」と希望があれば受け入れる原則的に受け入れない無回答
介護付有料老人ホーム79.4%10.3%10.2%
住宅型有料老人ホーム65.2%30.0%4.9%
有料老人ホーム(合計)69.9%23.3%6.8%
参考:平成 28 年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)

高齢者向け住まいにおける認知症ケアや看取り、医療ニーズ等の重度化対応へのあり方に関する調査研究|厚生労働省

看取りのケアについて気になる看護師の方は、就職を希望している施設が看取りをおこなう体制かどうか確認しておくとよいでしょう。

有料老人ホームの看護師のスケジュール

有料老人ホームで働く看護師の方の1日のスケジュールの例をご紹介します。

時間業務内容
8:30・夜勤スタッフからの申し送り ・入居者さまの状態やその日に予定されている処置内容を確認
9:00・居室を訪問しバイタルチェックや健康状態の確認を実施 ・点眼や軟膏の塗布など必要に応じた処置を実施
10:30・胃ろうや吸引など医師の指示に基づく医療処置を実施 ・処置内容や入居者さまの状況を記録
12:00・入居者さまの食事を見守り、必要に応じて食事介助 ・嚥下機能の確認や食事内容の調整
13:00交代で休憩へ
14:00・レクリエーションを実施しながら、健康状態の確認 ・午後の薬の塗布や服薬管理
15:30午前・午後に実施した処置や入居者さまの健康状態の変化を記録
16:30・夕食の準備や見守り ・胃ろう注入や薬の準備
17:00・夜勤スタッフに入居者さまの健康状態や特記事項を申し送り ・物品の片付けや翌日の準備を確認
17:30退勤

このスケジュールは一例であり、施設によって異なります。

そのほかに、訪問診療の付き添いや見学者への対応など多岐にわたります。有料老人ホームの看護師の方は、介護スタッフと協力したり、ご家族に対応したりすることもあります。

有料老人ホームの看護師の給料

厚生労働省の「令和5年度介護事業経営実態調査結果」によると、有料老人ホームで働く看護師の方の給料は次の金額とされています。

職種給料(月額)
看護師(常勤)43万8,206円
看護師(非常勤)41万4,447円
参考:令和5年度介護事業経営実態調査結果|厚生労働省(※特定施設入居者生活介護で働く看護師の給料をもとに作成)

夜勤やオンコールの有無、施設によって給料の差があるため、ホームページや求人情報をよく確認することが重要です。

有料老人ホームの看護師のメリット

ここからは、有料老人ホームで働くメリットについて解説していきます。

  • 夜勤なしで働くこともできる
  • 入居者さまの病状が比較的安定している
  • 有料老人ホームは介護施設のなかでは給料が高め
  • 入居者さまに長期的なケアができる

ひとつずつ詳しくみていきましょう。

夜勤なしで働くこともできる

有料老人ホームでは、看護師の方の夜間配置の義務はないため、施設によっては「日勤のみでOK」または「夜間自宅待機にてオンコール対応」などの働き方が選べます。

子育て中や介護中、夜勤が身体に合わない場合など、日勤のみで働きたい看護師の方にとっては魅力です。

一方で「24時間看護師常駐」としている有料老人ホームもあるため、そういった施設では夜勤の勤務も交代でおこなう必要があります。

入居者さまの病状が比較的安定している

有料老人ホームに入居される方は、病院で治療が必要な状態ではなく、病状が安定しています。

たとえば、慢性的な疾患を抱えている方でも、日常生活を送れる状態である場合がほとんどであるため、緊急対応を求められるケースは少なく、入居者さまにゆっくりと向き合えます。

このような特徴により、急な対応や命にかかわる処置を繰り返す必要が少ないため、精神的な負担が軽減される点がメリットです。

看護師として入居者さまの生活をサポートしつつも、自分の心身の健康を保ちながら働きやすい環境といえるでしょう。

有料老人ホームは介護施設のなかでは給料が高め

介護施設のなかでも、有料老人ホームは給与水準が高い傾向です。

たとえば、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設と比べても、基本給や手当が手厚く設定されているケースがあります。

安定した給料を得ながら、看護師としてのキャリアを積みたい方にとって、有料老人ホームは魅力的な選択肢のひとつです。

入居者さまに長期的なケアができる

有料老人ホームの入居者さまは、基本的に長期間にわたって施設を利用します。

そのため、健康状態や生活スタイルを把握しながら、入居者さまに長く寄り添う形でケアができます。

これは、医療現場や入所期間が短い介護施設では難しいことかもしれません。長く同じ入居者さまとかかわることで、健康状態や性格、価値観などを理解できます。

入居者さまにとってより良いケアの提供ができ、ご家族とも信頼関係を築きやすいです。「入居者さま一人ひとりに丁寧に向き合いたい」「人間関係を深めながら仕事をしたい」という看護師の方にとっては、有料老人ホームはやりがいのある職場といえるでしょう。

有料老人ホームの看護師のデメリット

有料老人ホームで働くメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。

  • 相談できる看護師がいない場合がある
  • 医療処置のスキルアップが難しい
  • オンコールがある
  • 自分の働き方に合った求人を見つけにくい

ここからは、デメリットについて解説していきます。

相談できる看護師がいない場合がある

有料老人ホームでは、看護師の配置人数が少なく、1名だけの配置となることもあるため、同僚に相談できない可能性があります。

また、医師が常駐している施設は少なく、医療的な判断が必要な際には電話やFAXなどで相談しなければなりません。

ただし、多くの施設ではホーム長や管理者といった上司が対応します。

施設によっては、看護師のエリアマネージャーを配置して巡回し相談できる体制があります。職場選びの際には、サポート体制がしっかりしているかを確認しましょう。

医療処置のスキルアップが難しい

病院と比べて、有料老人ホームでは医療処置の機会が限られます。

看護師の方の仕事は、バイタルチェックや服薬管理、軟膏の処置などが中心であり、病院で求められるようなさまざまな医療処置をする機会はあまりないかもしれません。

そのため、看護師としてのスキルを伸ばしたい方には、物足りなく感じることもあるでしょう。医療スキルの向上を優先したい看護師の方は、研修プログラムが充実している施設やさまざまな疾患の入居者さまを対象としている施設を選ぶことが重要です。

さらに、働く前に見学をしたり、インターンシップを受け入れたりする施設もあるため、うまく活用することが自分に合った働き方を見つけるポイントです。

オンコールがある

有料老人ホームの看護師は夜勤がない場合が多いものの、その代わりにオンコール体制をとる施設があります。

オンコールとは、休日や夜間に緊急の連絡を受け、必要に応じて出勤する体制です。

このため「夜勤がない=夜間は仕事ない」というわけではありません。オンコールが頻繁に発生する施設では、心理的な負担が大きくなる可能性があります。

一方で、入居者さまの状態が安定している施設では、オンコール対応がほとんど求められない場合もあります。

有料老人ホームの求人を探す際には、オンコールの有無や具体的な頻度をしっかり確認しておくことが大切です。

自分の働き方に合った求人を見つけにくい

有料老人ホームは看護師の方の配置が義務づけられていない施設もあるため、求人が少ない恐れがあります。

また、条件の良い求人は非公開で募集されるケースも多く、自分に合った条件の職場を見つけるのが難しいでしょう。

そのため、一般的な求人サイトだけでなく、看護師専門の転職エージェントや有料老人ホームに特化した求人情報を提供するサイトの活用がポイントです。

また、働き方やスキルアップの方向性が明らかであれば、それに合った施設を紹介してもらいやすくなります。面接の際には施設の方針やサポート体制を確認し、自分に合った職場かどうかを判断しましょう。

有料老人ホームの求人の見つけ方

実際に有料老人ホームの求人を見つけるにはどうすればよいのでしょうか。

ここからは、自分に合ったやりがいのある職場を見つける方法をご紹介していきます。

  • 介護専門の求人サイトを活用する
  • 有料老人ホームのホームページやSNSで探す

詳しくみていきましょう。

介護専門の求人サイトを活用する

介護専門の求人サイトは、有料老人ホームの求人を効率よく探すための味方です。

これらのサイトでは、施設の規模や仕事内容、勤務条件など詳細な情報が掲載されています。

経験豊富なキャリアアドバイザーからサポートを受けられる点も魅力です。面接対策や給与交渉のアドバイスを受けられるため、転職をスムーズに進められます。

初めて転職を考える方や、忙しくて求人探しに時間をかけられない方におすすめです。

有料老人ホームのホームページやSNSで探す

特定の有料老人ホームで働きたいと考えている場合は、その施設の公式ホームページやSNSをチェックしてみましょう。多くの施設では、公式サイトに採用情報を掲載しており、直接応募が可能なケースもあるためです。

また、最新の求人情報や職場の雰囲気を発信している施設も増えてきています。

とくに、SNSはスタッフの日常やイベントの様子など、施設のリアルな雰囲気を知る手がかりとなります。こまめに情報を確認してみると良いでしょう。

有料老人ホームの看護師の役割や仕事内容を知って転職を成功させよう

有料老人ホームにおける看護師の方には、入居者さまの健康を支える重要な役割があります。また、入居者さまやその家族との信頼関係を築き、寄り添うケアを提供するやりがいのある仕事です。

有料老人ホームへの転職を考える際には、メリットとデメリットをしっかりと理解し、自分のキャリアプランやライフスタイルに合った求人を選ぶことが大切です。

この記事を参考に、自分にぴったりの施設を見つけてみてはいかがでしょうか。

<参考サイト・文献>

特定施設入居者生活介護|厚生労働省

令和5年度介護事業経営実態調査結果|厚生労働省

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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