看護師の役割とは?勤務先別の役割とチーム医療で求められるものを紹介
「看護師に求められる役割は何?」
このように悩んでいる看護師の方はいらっしゃいませんか。
看護師の方にどのような役割があるか知っておくことは、職場の看護師の方向性を合わせたり、自身の理想の看護師像を明らかにしたりするために重要です。
この記事では、勤務先や役職における看護師の方の役割を解説します。チーム医療で求められるものを知って、患者さまケアに活かしましょう。
看護師の役割【国際看護師協会における定義】
まずは、国際看護師協会をもとにした看護師の役割を解説します。
- 健康の増進
- 疾病の予防
- 健康の回復
- 苦痛の緩和
それぞれを詳しくみていきましょう。
健康の増進
看護師の方は、患者さまが健康な状態を維持し、その方らしい生活が送れるよう支援することが役割です。
患者さま一人ひとりの生活スタイルや環境に合わせた支援をおこなうため、健康に関する知識を伝えるだけでなく、実践につなげるためにアドバイスしなければなりません。
健康的な生活を続けるための習慣づくりを患者さまと一緒に考え、患者さまが継続して健康を保てるようサポートすることが大切です。
疾病の予防
生活習慣や食生活を改善して、患者さまが病気を予防できるような取り組みをサポートすることも看護師の方の役割です。
看護師の方は生活指導をおこなったり、患者さまが自分の変化に気づけるように健康診断を勧めたりします。さらに、病気に対する知識を持つことで、患者さまが自ら予防行動を取れるように支援します。
健康の回復
看護師の方の役割は、患者さまの意思を尊重しながら、健康状態の回復を促すことです。
具体的には、患者さまが自分らしい生活を取り戻せるよう、リハビリテーションや生活サポートを提供します。
健康の回復までの過程では、患者さま自身の努力が重要であり、看護師の方はその努力をサポートする存在です。患者さまの目標に合わせたプランを立て、回復に向けて一緒に取り組むことで、安心感を与えられるでしょう。
苦痛の緩和
身体的・精神的な苦痛を和らげるために、看護師の方は患者さまのケアを担います。
症状の軽減や心のケアを通じて、患者さまが少しでも安心して過ごせる環境を整えることが重要です。たとえば、痛みに対して医師に痛み止めの薬の使用を確認したり、マッサージをおこなったりすることで、患者さまの負担を軽減することを目指します。
患者さまが抱える心の苦痛にも寄り添い、話をよく聞くことも大切です。また、看護師の方は患者さまやそのご家族が望む治療やケアを受けられるように医師や医療スタッフに働きかける役割も担います。
看護師の役割【勤務先】
勤務先によって看護師の方の役割は異なりますが、どの現場でも重要なのは、患者さまに寄り添い、適切なケアを提供することです。
- クリニックの看護師の役割
- 病棟の看護師の役割
- 訪問看護ステーションの看護師の役割
- 一般企業の看護師の役割
- 保育園・幼稚園の看護師の役割
それぞれの勤務先での役割を理解することで、自分に合った働き方を見つけるヒントになるでしょう
クリニックの看護師の役割
クリニックの看護師の役割は、患者さまにとって身近な相談者としての役割を果たすことです。
具体的には、健康相談や予防接種などを通じて、地域医療のサポートをします。クリニックでは、患者さまが気軽に受診できる場所でもあります。患者さまとの距離が近いため、日常的な健康問題についても気軽に相談できる環境作りをすることも大事です。
また、医師と連携して、必要な情報を患者さまに分かりやすく伝えることで、不安を軽減し、治療に対する理解を深めてもらいましょう。
病棟の看護師の役割
日常生活のケアや生活のサポートを通じて、患者さまが快適に療養できるよう努めることが病棟の看護師の役割です。
たとえば、ベッド周囲を整理整頓して療養環境を整えたり、入浴介助や清潔ケアをおこなったりします。
入院中の不安を和らげ、治療に集中できる環境を整えることも、患者さまやご家族とって大切です。看護師の方は、患者さまの心身のケアを通じて、患者さまが安心して療養生活を送れるよう支援します。
訪問看護ステーションの看護師の役割
訪問看護師の役割は、利用者さまのご自宅で日常生活を支援することです。
実際には、利用者さまがその人らしく生活できるように、利用者さまのご自宅で入浴介助や排泄ケアをしてサポートします。ほかにも、バイタルサインの測定や薬の管理を行います。利用者さまのプライバシーを守り、生活の場にはいるという謙虚さをもって、できるだけその人の生活に合わせ工夫したケアを提供します。
ご自宅での療養は、利用者さまにとって安心感を与えますが、その分看護師の観察力や判断力が重要です。
産業看護師の看護師の役割
企業において看護師の方は、従業員の健康管理や労働環境の整備をおこなう「産業看護」が役割です。
たとえば、職場での健康診断や健康相談をおこなって従業員が安心して働ける環境を作ります。また、企業内で働く看護師の方は従業員のストレスケアやメンタルヘルスのサポートにも力を入れています。
健康で快適な職場を作ることは、従業員の生産性の向上にもつながります。従業員が健康であることは企業の成長にかかわるため、看護師の方の役割は重要です。
保育園・幼稚園の看護師の役割
保育園や幼稚園で働く看護師の方の役割は、子どもたちの健康管理をおこなって健全な成長を見守ることです。
体調不良のときの対応や健康指導などを保育士の方におこない、子どもたちが元気に過ごせるよう支援します。看護師の方は、保育士の方と連携し、子どもたちの健康状態を見守り、体調の変化に早く気づけるようにしています。
さらに、保護者に健康に関するアドバイスをおこない、家庭と園が一体となって子どもたちの成長を見守れるようにすることも看護師の方の大切な役割です。
看護師の役割【業務上】
看護師の方の業務における役割は診療の補助と療養上の世話が中心です。これに加え、患者さまの状態を観察し、変化に応じて対応することも大切な役割です。
- 医師の診療の補助
- 患者さまのケアや生活支援
- 患者さまやご家族との橋渡し
- チーム医療の一員
看護師の方々は、これらの業務を通じて患者さまの安心と安全を支える重要な存在として働いています。
医師の診療の補助
看護師の方の役割は、医師の診療の補助です。
必要な器具の準備や診察時の処置のサポートをすることで、医師が患者さまに集中して診療できるようにします。診療の補助は、医師と看護師の連携が重要であり、看護師の方の的確な対応が医療の質を左右します。
患者さまのケアや生活支援
看護師の方は清潔ケアや排泄介助など、日常生活のサポートを通じて入院生活を支えることが役割です。
患者さまが快適に過ごせるよう、細やかなケアを提供します。身体的なケアだけでなく、患者さまが抱える不安や孤独感に寄り添い、信頼関係を築くなど患者さまの心のケアも重要です。
患者さまやご家族との橋渡し
看護師の方は患者さまやご家族の意見を意思決定の場で「橋渡し」する役割も担います。
患者さまには「看護師さんには言えるけど、ほかの人にはちょっと言いにくい」というケースがあり、本当の想いを伝えられないことがあるかもしれません。
とくに、患者さまの意思決定が求められる場面では、医師やほかの医療スタッフに言いにくいことでも、看護師の方が間に立つことで、想いに寄り添った治療やケアができます。
看護師の方は、できるだけ患者さま自身が意思表明できるようにサポートし、場合によっては代弁することもあります。
患者さまが感じている不安や疑問を、主体的に伝えられるように患者さまの話を日頃から良く聞いておくことも重要です。
チーム医療の一員
看護師の方には、チーム医療の一員としてほかの医療スタッフと連携しながら、患者さまのケアに携わる役割があります。
看護師の方が患者さまの状態を身近なところで観察し、その情報をチーム内で共有することがより良いケアには欠かせません。
医師やリハビリテーションのスタッフ、薬剤師などと連携することで、患者さま中心の医療を実現するために重要な役割を果たしています。
看護師の役割【役職別】
看護師における管理職者の割合は、次のとおりです。
役職 | 割合 |
非管理職 | 73.0% |
中間管理職(主任や看護師長) | 22.8% |
管理職(看護部長や訪問看護ステーションの所長) | 4.2% |
ここでは、看護主任や看護師長、看護部長、訪問看護の管理者の役職の役割を解説します。それぞれの役割を詳しくみていきましょう。
看護主任の役割
看護主任の方には、スタッフの指導や育成をおこない、看護の質を保つ役割があります。
具体的には、マニュアルを作成したり未経験のケアについて指導したりしてスタッフのスキルアップを図ります。
また、現場での調整役として、チームの連携を支えます。現場の業務がスムーズに進むように調整してスタッフ一人ひとりが力を発揮できる環境づくりをおこないます。
看護師長の役割
看護師長の方は、病棟全体の管理やスタッフを指導することが役割です。
看護の質を向上させるために、スタッフのサポートや業務の調整をおこないます。病棟全体を統括する立場として、看護師長はスタッフ一人ひとりの状況を把握し、適切なサポートを提供します。
看護師長のリーダーシップが、病棟全体の働きやすさと患者さまへのケアの質を左右するといえるでしょう。
関連記事:看護師長の役割と求められる資質は?身につけ方やめざす方法について解説
看護部長の役割
看護部長の方は、病院全体の看護業務を統括することが役割です。
看護部門全体を見渡して、看護体制の整備や教育計画の実施、スタッフの育成などによって看護の質が維持・向上されるように組織を導きます。
また、病院の経営方針にもとづいて看護部の方向性を示し、目標達成に向けてリーダーシップを発揮します。
訪問看護の管理者の役割
訪問看護の管理者は、訪問看護の運営やスタッフの指導をおこなうことが役割です。
たとえば、利用者さまが安心してサービスを受けられるように体制を整備したり、訪問看護師の育成のために教育支援をしたりします。
また、利用者さまやそのご家族との信頼関係を築くために、スタッフと利用者さまの間に立ち、最善のサービスが提供されるよう努めます。
関連記事:【完全版】訪問看護の管理者の役割とは?管理者になるための4つの条件解説
まとめ:看護師に求められる役割は職場や状況によって異なる
看護師の役割は、国際看護師協会による「健康の増進」「疾病予防」「健康回復」「苦痛緩和」に加え、勤務先や役職に応じたさまざまなものがあります。
クリニックや病棟、訪問看護など、それぞれの環境で患者さまに寄り添い、適切なケアを提供することが求められます。また、看護主任や看護部長などの役職によって、現場の質を高める指導や管理も重要な役割です。
これらの役割を理解することで、自身のキャリアをより明確にし、理想的な看護師像に近づくことができるでしょう。
<参考サイト・文献>
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。