看護師の人間関係が重要な理由!よくある悩みと良い職場を見分けるコツ5つ

公開日:2024/12/06 更新日:2024/12/06
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看護師の方にとって、人間関係は働きやすさや仕事の質に大きく影響します。職場での良好な人間関係は、患者さまのケアの質向上やスタッフのメンタルヘルスの保護につながります。

しかし、実際は人間関係に悩む看護師の方は多く、孤立感やストレスに苦しむこともあります。

この記事では、看護師の方が直面しやすい人間関係の問題と、その解決策や良い職場の特徴について詳しく解説します。

看護師の人間関係が重要な理由

看護師の方はチームで患者さまのケアをおこなうため、スタッフ同士の協力が欠かせません。

たとえば、次のようにほかのスタッフと一緒に仕事をします。

  • ペアでおむつ交換や体位変換をおこなう
  • 看護師2名で患者さまをベッドのまま検査室まで搬送する
  • 多職種と連携してリハビリテーションを支援する

職場内での人間関係が良好であることは、円滑なコミュニケーションと仕事の効率化につながります。一方で、人間関係が良くないと、スムーズに協力できず業務に支障をきたす恐れがあります。

職場でのストレスも溜まり、看護師の方のメンタルヘルスが害されるかもしれません。

そのため、看護師の方の人間関係は、業務効率だけでなく職場の雰囲気やスタッフの健康にも影響を与えるといえます。

人間関係を苦に退職する看護師は多い

看護師の方のなかには、人間関係に悩み退職する方が少なくありません。

退職理由割合
出産・育児のため22.1%
結婚のため17.7%
他施設への興味15.1%
人間関係がよくないから12.8%
超過勤務が多いため10.5%

参考:看護職員就業状況等実態調査結結果|厚生労働省(理由3つまでの複数回答) 

いじめや派閥争いなど職場内でのトラブルが原因で働く意欲を失ってしまうケースもあり、人間関係が原因で職場を去ることがあるのです。

退職後も同じ業界で働き続けることに不安を感じる方も多く、転職先を選ぶことに慎重になる状況も見受けられます。

看護師の人間関係に関するよくある悩みと事例

ここでは、看護師の方が抱えるよくある人間関係の悩みについて、具体的な事例を交えながら解説します。

  • 先輩看護師からいじめを受けて孤立した
  • ドロドロとした派閥に疲れた
  • パワハラを受けて精神的にきつい

自分だけが人間関係に悩んでいるわけではないと感じていただければ幸いです。看護師として働くなかで、人間関係の悩みは避けられない課題のひとつといえるでしょう。

先輩看護師からいじめを受けて孤立した

先輩からのいじめで孤立し、業務が苦痛になるケースがあります。

たとえば、新人看護師の方が業務中にわからないことを質問した際に冷たくあしらわれたり、わざと指示を遅らせて業務を難しくしたりするケースです。これにより、職場での居心地が悪くなり、孤立感を深めることになります。

信頼できる同僚や上司に相談して周囲に助けを求めることで、解決の糸口が見つかることもあります。

ドロドロとした派閥に疲れた

職場のドロドロとした派閥争いに巻き込まれて、精神的に疲れることもあります。

派閥の存在により、業務中でも特定のグループの負担が少ないような偏った指示が出されたり、患者さまのパーソナルな情報が共有されずトラブルになったりする事例です。

このような事象が起きると、通常の業務に影響が出るのはもちろん看護師の方が精神的に疲弊し、最悪の場合眠れないなどの体調不良になるかもしれません。

パワハラを受けて精神的にきつい

上司からのパワハラにより、精神的に追い詰められることがあります。

たとえば、過度な叱責や無視など、精神的なプレッシャーを感じさせる行為が繰り返されることがあります。

このような状況では、上司への信頼が失われ、仕事へのモチベーションが大きく低下することになります。労働組合や相談窓口に相談することや、職場内のサポート体制を利用することが必要です。

看護師の人間関係が悪化する原因

看護師の方が人間関係に悩む背景には、病院やクリニックという特殊な環境や忙しさがかかわっています。以下のような原因があります。

  • 人手不足であり忙しい
  • 閉鎖的な環境である
  • 命に係わる業務である

ストレスが多く余裕がない

慢性的な忙しさやストレスなどが、職場の人間関係にも影響します。

人手不足であり忙しい

看護師の方の人間関係が悪化する理由は、人手不足であり忙しいことが挙げられます。

厚生労働省の調査によると、2020年の看護師の有効求人倍率は2.2倍である一方で、全職種の有効求人倍率は1.19倍です。

そのため、看護業界は人手不足の状況であり、一人ひとりの負担が大きくなりがちです。忙しい業務のなかで、余裕を持ってほかのスタッフとコミュニケーションを取ることが難しくなるため、誤解や不満が生まれやすくなります。

また、業務の過密さから体力的にも精神的にも余裕がなくなり、他者への配慮が難しくなってしまいます。この忙しさが人間関係を悪化させる要因のひとつです。

閉鎖的な環境である

病院は、その構造や機能の特徴から院外のスタッフと交流が少なく、ストレスが溜まることからお互いの悪いところが目立ちやすくなる場合もあります。また、限られたメンバーで長期間過ごすことが多いため、次のようなトラブルに発展しやすいです。

  • 管理職者からのパワハラ
  • いじめや嫌がらせによる周囲からの孤立
  • 特定のベテラン看護師が独裁的な状況

こうした環境のなかで、お互いを尊重し合う意識が大切です。職場外でのリフレッシュや他部署との交流の機会を作ることも効果的といえます。

命にかかわる業務である

看護師の方の業務は、患者さまの生命の危機に関わることが多く、ちょっとしたミスが大きな影響を及ぼします。また、早番や夜勤などシフト制の交代勤務で身体的負担も大きいです。これらの精神的緊張感や、身体的負担はストレスにも影響するでしょう。

患者さまの命に向き合い、精神的な緊張感があるということを改めて認識し、休みの日に仕事から離れてゆっくり休み、リフレッシュする工夫が大切です。

ストレスが多く余裕がない

先述した通り看護師の方は、ひとつのミスが患者さまの生命にかかわる可能性があるため、その責任の重さからストレスやプレッシャーを感じやすいです。

少しのミスも許されないというプレッシャーが、余裕のなさにつながり、周囲とのトラブルに発展します。たとえば、ミスに対して過度に叱責したり、同僚にきつい態度を取ってしまったりすることがあります。

そのため、趣味やリラクゼーションの時間を作ってストレスを発散することが重要です。

看護師の人間関係に関する悩みへの対処法

職場での人間関係に悩むことは、看護師の方にとってストレスのひとつです。そんなとき、どのように対応すれば少しでも心が軽くなるのかを知ることは、仕事を続けるうえで大切です。

  • 信頼できる上司に悩みを相談する
  • ネガティブで批判的な態度・発言を控える
  • 価値観が違うことを受け入れる
  • 自分からコミュニケーションを取る
  • 中立の立場を維持する
  • 看護師の人間関係が良い職場へ転職を検討する

これらの対処法を実践することで、働きやすい環境を作る手助けになるでしょう。

信頼できる上司に悩みを相談する

信頼できる上司がいる場合、相談してアドバイスを求めることが人間関係の悩みを解決するために必要です。

上司は経験豊富なため、適切な対処方法を提案してくれる場合があるためです。また、相談することで気持ちがラクになり、業務に前向きに取り組めます。

ただし、信頼できる上司がいない場合は、同僚や外部の相談窓口を利用するのも良いでしょう。相談がきっかけで、職場の全体的な改善にもつながる可能性があります。

ネガティブで批判的な態度・発言を控える

看護師として職場の人間関係の悩みを解決するためには、否定的で批判的な態度や発言を控えることが重要です。自分自身がポジティブな態度を心がけることで、職場全体の雰囲気がよくなり、人間関係が改善される可能性があります。

たとえば、誰か攻撃するような発言を控え、良いところに目を向けるように努めると、周囲の反応も変わることがあります。ポジティブな姿勢で前向きな発言を増やすことで、自分の気持ちも明るくなるでしょう。

価値観が違うことを受け入れる

同僚との価値観の違いを受け入れることは、人間関係の悩みを解消するための大切な一歩です。

職場には新人から20年以上のベテランまで、幅広い年齢層の看護師が働いており、それぞれ異なる価値観や考え方を持っています。

このような違いを理解し、相手の意見を尊重する姿勢が求められます。相手を理解しようとする姿勢であると信頼関係を築きやすくなります。

また、異なる視点を受け入れることで、自分がスキルアップできる機会にもなるでしょう。

自分からコミュニケーションを取る

看護師として職場の人間関係の悩みを解決するためには、自分から積極的にコミュニケーションをとることが有効です。

とくに、普段はあまり話さない同僚に対して自分から声をかけることで、新たなつながりが生まれ、より深い信頼関係を築くきっかけとなります。お互いを理解しやすくなるため、仕事でも協力しやすくなります。

ちょっとしたあいさつや気遣いを心がけることも、信頼を築くためには重要です。

中立の立場を維持する

看護師の人間関係の悩みを解消するためには、中立の立場を保つことが大切です。

中立の立場を維持することで、誰とでも公平に接することができます。また、自分の立場をはっきりとしないことで、派閥の争いに巻き込まれるリスクを減らせます。

中立でいることは、職場での信頼を得るための重要な戦略です

看護師の人間関係が良い職場へ転職を検討する

これまで紹介した対処法を実践しても、人間関係の改善が難しい場合は、人間関係が良好な職場への転職も選択肢のひとつです。

転職を検討する際には、ホームページや求人情報だけでなく、病院見学やインターンシップに参加して、その職場の雰囲気や実際の働きやすさについて見ておくと良いでしょう。

看護師の方にとって働きやすい環境を見つけることが、長期的なキャリア形成においても重要です。転職は大きな決断ですが、職場環境の改善につながることもあります。

関連記事:看護師が転職で抱えやすい悩みとは?その解決策と職場の選び方を紹介 

看護師の人間関係が良い職場の見分けるコツ

看護師の人間関係が良い職場を見つけることは、看護師の方が長く安心して働けるために欠かせない要素です。とくに、次のような協力し合える職場環境は、日々の業務をスムーズに進めるための大きな助けになります。

ではどんな視点で見分けるのが良いのでしょうか。

  • コミュニケーションが活発である
  • 看護師同士で協力して業務をおこなっている
  • 管理者のマネジメント能力が高い職場である
  • 教育体制がしっかりしている
  • 有給消化率が高い・時間外勤務が短い
  • 看護師の年齢の割合がバランス良い
  • 病院見学やインターンシップに参加する

ここでは、人間関係が良好な職場を見つけるためのコツをいくつかご紹介します。これらのコツを参考に、働きやすい職場を見つけるためのヒントにしてください。

コミュニケーションが活発である

看護師の人間関係が良い職場か見分けるためには、職場で活発にコミュニケーションを取っているか確認することが大事です。

コミュニケーションが活発であれば、問題が起きたときにもすぐに話し合って解決できるため、人間関係のトラブルが起きにくいです。

定期的なミーティングが開催されている職場や、スタッフ同士が自由に意見交換できる環境は良好な職場の特徴です。情報共有もスムーズにおこなわれることで、業務効率も向上します。

看護師同士で協力して業務をおこなっている

協力体制が整っている職場は、お互いの負担が減り心に余裕ができるため、人間関係が良好な傾向にあります。

たとえば、清潔ケアが多いスタッフを手伝ったり、時間内に業務が終わりそうにない場合に業務を振り分けたりできる職場は、看護師の方にとって働きやすいです。

また、助け合いの精神がある職場は、安心感を得ながら働けるでしょう。

管理者のマネジメント能力が高い職場である

管理者のマネジメント能力が高い職場であると、看護師の方の人間関係も円滑になります。

管理者がスタッフ一人ひとりの意見をしっかりと聞き入れ、公平な対応をしている職場は、働きやすい環境です。

また、管理者が職場の問題を早期に発見し、適切に対処することで、人間関係の悪化を未然に防げます。

教育体制がしっかりしている

教育体制が整っている職場は、先輩と後輩の関係も良く働きやすいです。

教育体制が整っていると、新人看護師の方や中途で採用された看護師の方も安心して業務を進められ、先輩看護師の方とのコミュニケーションもスムーズになります。

具体的には、教育プログラムが充実しており、学びやすい環境がある職場は、看護師として成長を実感しやすく、モチベーションを保ちやすいです。

教育体制やサポートの充実度に注目することが、看護師の方の人間関係が良い職場を見つけるための重要なポイントです。

有給消化率が高い・時間外勤務が短い

有給消化率が高く、時間外勤務が少ない職場は働きやすいです。

有給休暇が取りやすい環境は、スタッフ間の配慮や業務の分担が適切におこなわれている証拠です。これにより、スタッフ間での負担が偏ることなく、安心して休暇を取得できるため、働きやすささが向上します。

日本看護協会が調査した「看護師の有給休暇の取得率」は、次のとおりです。

取得率割合
10%未満0.9%
10~20%未満1.8%
20~30%未満2.4%
30~40%未満4.6%
40~50%未満9.3%
50~60%未満13.2%
60~70%未満16.1%
70~80%未満16.7%
80~90%未満15.2%
90%以上16.0%
無回答・不明3.8%

参考:2023年病院看護実態調査報告|日本看護協会

看護師の方(正規雇用の看護職員)の年次休暇取得率は平均67.7%であるため、職場の有給休暇の取得率をチェックするときはこの数値を基準とすると良いでしょう。

また、時間外勤務が少ない職場は、業務が効率的に進められているため、余裕を持って働けることが多いです。こうした職場環境は、看護師の心身の健康を守るためにも重要です。

看護師の年齢の割合がバランス良い

人間関係が良い職場を見つけるためには、年齢層のバランスにも注目しましょう。

というのも、若手ばかりの職場やベテランばかりの職場であると、人間関係が原因でいずれかの世代が定着できていない恐れがあるからです。

年齢層のバランスが良い職場は、お互いの立場を尊重しながら働けるため、安心感を得られます。

病院見学やインターンシップに参加する

病院見学やインターンシップに参加することは、人間関係の良い職場を見つけるコツです。

実際に見学することで、スタッフ同士の関係性や職場の雰囲気を感じられるためです。とくに、インターンシップに参加すると、実際の業務内容を体験できるため、どのような環境で働くことになるのかイメージしやすくなります。

また、見学や体験を通じて、管理者や同僚とのかかわり方も感じ取れるため、自分に合った職場を見つける手助けになります。

まとめ:看護師の人間関係が良い職場を探している方は訪問看護ステーションも一手

看護師の方は人間関係で悩みやすく、人間関係がきっかけで退職する方も少なくありません。

人間関係が悪化する原因には、人手不足で忙しいことや患者さまの命にかかわるかもしれないというプレッシャーなど看護師ならではの問題もあるようです。

人間関係に悩んでいる看護師の方は、転職するにも有効です。コミュニケーションが活発であるのか、教育体制はしっかりしているのかなどの視点で職場を探すと、人間関係に悩まなくて済むでしょう。

訪問看護ステーションは基本的にひとりで行動することが多いため、人間関係に悩みにくいです。「NsPaceCareer」を活用すると、人間関係が良好で、自分に合った訪問看護ステーションを見つけられます。まずは気軽に登録して、求人情報を探してみましょう。

<参考サイト・文献>

看護職員就業状況等実態調査結果|厚生労働省

看護師等(看護職員)の確保を巡る状況|厚生労働省

2023年病院看護実態調査報告|日本看護協会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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