看護師のリーダー業務とは?大切なこと5つやスムーズに進めるためのコツ
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「そろそろリーダー業務が始まりそうだけど、どうしたらいいの?」「リーダー業務をスムーズに進めるためのコツを知りたい」
看護師のリーダー業務には、業務の調整やスタッフのサポート、多職種との連携などがあります。初めてリーダーを任されるときには、不安やプレッシャーを感じることでしょう。
しかし、リーダーの役割をしっかりと理解して対応することで、チーム全体がスムーズに働ける環境を作ることができます。
この記事では、看護師のリーダー業務の具体的な内容や、業務をスムーズに進めるためのコツを解説します。リーダー業務のポイントを押さえ、自信を持って取り組むための参考になれば幸いです。
看護師のリーダー業務とは?
看護師のリーダー業務とは、チーム全体をまとめ、患者さまのケアを円滑に進めることです。具体的には、次のような業務内容が挙げられます。
- 医師への報告と指示受け
- 病棟全体の業務の把握
- カンファレンスの進行役
リーダーの方はチームの指揮を執り、スタッフの方が働きやすい環境を作るために、全体の状況に合わせて指示を出します。
ただし、看護師のリーダー業務は職場によって異なる場合が多いため、具体的な業務は看護師長の方や先輩看護師の方に確認しましょう。
看護師のリーダー業務はいつから
一般的に、リーダー業務は3年目くらいから始まることが多いです。
リーダー業務を始めるタイミングは個人の経験やスキル、病院の方針などによって異なります。
リーダー業務を経験することで、自信を持ってケアができるようになるだけではなく、管理能力や判断力、コミュニケーション能力などのスキルがさらに磨かれるでしょう。
看護師のリーダー業務の役割
看護師のリーダー業務には、次のような3つの役割が求められます。
- スタッフの担当業務の調整
- スタッフのサポート
- 多職種との連携
看護師のリーダーの方がどのように業務を遂行するかが、チームのパフォーマンスや患者さまへのケアの質に影響します。それぞれの役割をしっかり理解して取り組むことが重要です。
看護師の担当業務を調整
看護師のリーダーの方は、スタッフの担当業務をスキルや経験、抱えている業務量などに応じて調整することが役割です。
スタッフが無理なく業務を進められるように振り分け、チームで効率よく患者さまのケアができるようにします。
また、スタッフの能力を最大限に発揮することで、スタッフ同士の連携が強化できチームワークが高まるため、患者ケアの質向上につながるでしょう。
スタッフのサポート
スタッフのサポートに入り、必要に応じて業務を手伝うこともリーダーの役割です。
スタッフが困難な場面に直面したときに、業務が止まったり患者さまが困ったりしないようにサポートします。
- 経験したことのない処置やケアが必要なとき
- 業務が重なったとき
- 患者さまとトラブルが起こったとき
サポートすることでスタッフの心理的な負担を軽減し、働きやすい環境を整えることも大切です。
さらに、リーダーの方はスタッフの成長を促す役割も果たします。未経験のケアや処置などをサポートしながらできるようにして、チームの能力を底上げすることがリーダーの方には求められます。
多職種との連携
医師や薬剤師、リハビリテーションのスタッフとの連携も看護師のリーダーの重要な業務です。
看護師のリーダーの方は、スタッフと多職種のスタッフとの橋渡し役となり、患者さまのケアがスムーズに進むように支援します。
看護師がリーダー業務をおこなうときの1日のスケジュール
次に、リーダーの方のスケジュール例を紹介します。スタッフの業務分担から患者さまのケアの進行状況の確認まで、多岐にわたる業務が含まれます
時間 | 業務内容とポイント |
8:00 | ・出勤 ・連絡事項の確認 ・病棟にいる全ての患者さまの情報収集(特に、重症な患者さまの情報) ・医師の指示の確認 |
8:30 | ・夜勤の看護師からの申し送り ・スタッフに情報共有 ・スタッフの業務調整と指示 |
9:00 | ・医師の指示受け ・退院や入院の対応 ・スタッフの業務のフォロー |
11:00 | 業務量や人員調整をおこない休憩の振り分け |
13:00 | 午前中の業務と同様 |
16:30 | 夜勤の看護師への申し送り |
17:00 | 退勤 |
朝のミーティングで情報を共有して、日中はスタッフの業務の進捗を確認しながら進めます。リーダー業務では、スタッフから協力を求められたり、報告を受けたりなど急な対応になることも多いため、柔軟に対応する能力が不可欠です。
患者さまのニーズに応じたケアを提供するだけでなく、スタッフの負担も把握し、必要に応じて調整することも大事です。
看護師のリーダーに大切なこと5つ
リーダーの方には、業務を遂行するだけでなく、リーダーシップを発揮してスタッフが働きやすい環境を作ることが求められます。
- 目標を達成するためのリーダーシップ
- ケアに関する知識とスキル
- 意思決定をスムーズにするための判断力
- 平等にタスクを振り分けるためのマネジメント力
- 業務をスムーズに進めるためのコミュニケーションスキル
看護師のリーダーの方は重要なポイントそれぞれを理解し、実際の業務に活かすことが大切です。
目標を達成するためのリーダーシップ
目標に向かって全員が同じ方向を向けるように、リーダーシップを発揮することが大切です。
具体的には、スタッフに合ったフィードバックをしてスタッフのモチベーションを維持したり、ミスをしたスタッフの心理的なフォローをしたりします。
スタッフが自分の役割を理解し、達成感を得ながら業務に取り組むことができるよう導くこともリーダーの方の役割です。
ケアに関する知識とスキル
スタッフで対応できない業務にサポート役としてかかわることもあるため、看護師のリーダーの方には深い知識とスキルが必要です。
リーダーの方は現場で的確に判断したり、患者さまに適切なケアを提供したりするために、新しい知識を得る姿勢が求められます。
また、リーダー自身が学び続ける姿勢を示すことで、チーム全体の学習意欲を高める効果も期待できます。
意思決定をスムーズにするための判断力
看護師のリーダーの方は、状況に応じて判断できるように、普段からさまざまなケースを想定しておくことが大切です。
リーダーの判断がチームの動きに影響するため、自信を持って決定できるようにしましょう。
また、判断力を養うためには、ほかのリーダーの経験から学び、自分なりの対応策を考えておくことが役立ちます。ただし、自分ひとりの意見だけではなく、周りの意見を聞き入れる柔軟さも重要です。
平等にタスクを振り分けるためのマネジメント力
看護師のリーダーの方には病棟を見回し、スタッフの業務負担が均等になるようにタスクを振り分ける力が必要です。
たとえば、清潔ケアが多いスタッフの業務をほかのスタッフに振り分けたり、検査室への搬送業務が重なったときに別のスタッフに依頼したりします。
タスクに偏りがあると、スタッフの不平不満が溜まり、関係性が悪化する恐れがあります。実際に、この人間関係を苦に退職する看護師の方は少なくありません。
退職理由 | 割合 |
出産・育児のため | 22.1% |
結婚のため | 17.7% |
他施設への興味 | 15.1% |
人間関係がよくないから | 12.8% |
超過勤務が多いため | 10.5% |
参考:看護職員就業状況等実態調査結結果|厚生労働省(理由3つまでの複数回答)
結婚や出産などポジティブな理由が上位にある一方で、人間関係がよくないから退職をする看護師の方が12.8%います。
チームワークがうまく機能しなければ、スタッフはストレスを感じやすくなります。タスクを平等に振り分け人間関係を良好に保つことは、スタッフが仕事を続けるうえで重要です。
関連記事:看護師の人間関係が重要な理由!よくある悩みと良い職場を見分けるコツ5つ
業務をスムーズに進めるためのコミュニケーションスキル
看護師のリーダーの方は、医師や薬剤師、患者さまとの円滑なコミュニケーションも欠かせません。
オープンな対話によって信頼関係を築き、情報を共有しやすい雰囲気にすることが重要です。というのも、スタッフが「報告しにくいリーダー」と感じた場合、リーダーの方に情報共有されず、結果として患者さまの状態が悪化したり、トラブルに発展したりするためです。
円滑なコミュニケーションは、チームの連携を強化し、患者さまへのケアの質を向上させます。
看護師のリーダー業務をスムーズに進めるコツ
リーダー業務をスムーズに進めるためには、次のコツを抑えることが大事です。
- リーダー業務のチェックリストを確認する
- 優先順位を決めて取り組む
- 周りの看護師に相談しながら進める
- 自分からコミュニケーションを取る
リーダー業務を効率的に進めるための具体的なコツを紹介するため、実際にリーダー業務が始まるときの参考にしてください。
リーダー業務のチェックリストを確認する
リーダー業務に入る前に、まずは病棟にあるリーダー業務のチェックリストを確認してください。
このリストを活用することで、業務の優先順位を明らかにでき、効率よく進められるためです。
さらに、リーダー業務をおこないながらリストに新たな項目を追加できると、オリジナルのチェックリストが完成して、重要な業務を漏らさないでしょう。
優先順位を決めて取り組む
リーダー業務では多くの仕事が発生するため、その都度、優先順位をつけて対応することが重要です。
たとえば、患者さまの「苦しい」「痛い」などの訴えがある場合やバイタルサインに異常がある場合などには最優先で対応しなければなりません。
一方で、患者さまに糖尿病の予防について指導したり、通常のバイタルサインを測定したりする業務は、対応が遅れても問題ないケースもあります。
何を優先すべきか、どの業務は後から実施しても問題ないのかなど緊急度や重要度を見極めるスキルが必要です。
周りの看護師に相談しながら進める
看護師のリーダーの方はひとりで抱え込まないように、スタッフに相談しながら進めることで負担を減らせます。
自分では解決できない問題があったり、スタッフの意見を聞いたほうが良い解決策を考えられたりするケースがあるためです。
たとえば、心臓血管外科病棟でリーダーをする場合、整形外科や消化器外科にかかわる症状の対処は、その領域の経験がある看護師の方に意見を求めたほうが良いでしょう。
また、色々なスタッフに相談して意見を求めることで信頼関係も深まり、チームの連携が強化されます。リーダーの方は相談しやすい雰囲気を作り、どんな時でも協力し合えるチームを目指しましょう。
自分からコミュニケーションを取る
リーダーの方は、自分から積極的にコミュニケーションを取ることが大事です。
休日は看護師長や主任など管理職者が不在のこともあるため、リーダーが病棟の雰囲気を左右することがあります。
スタッフが気軽に相談できる雰囲気にして、情報をスムーズに共有できるように努めましょう。
自分から声をかけることでスタッフの悩みや不安を早めに知るきっかけになるため、サポートにつなげられます。
看護師のリーダー業務ができない・つらいと感じる理由
ここでは、看護師のリーダー業務ができない、つらいと感じる理由を紹介します。
- 責任が重くプレッシャーを感じるため
- 患者ケアをする機会が少なくなるため
- トラブルに対応しなければならないため
- 業務量と時間外勤務が増えるため
それぞれの理由を知って、リーダー業務をする際に役立ててください。
責任が重くプレッシャーを感じるため
リーダー業務では、自分の判断でケアの方針が決まることもあるため、プレッシャーを感じやすいです。
チームのケアの質や患者さまの状態にかかわるため、その責任感から精神的な負担が増えることも少なくありません。
プレッシャーを軽減するためには、スタッフにサポートしてもらったり、意見をもらったりすることが重要です。自分ひとりで解決しようとせず、周りの先輩や上司に相談することも有効です。
サポートを受けることで、心の負担を減らせるため、リーダー業務に集中できるようになります。
患者ケアをする機会が少なくなるため
看護師のリーダーの方は、医師からの指示を受けたり、ほかの看護師に指導したりする時間が増え、患者さまのケアをする機会が少なくなります。
リーダーとして別の形で患者さまに貢献していることを忘れないことが大切です。
たとえば、スタッフが患者さまにより良いケアができるようにサポートすることも、間接的に患者さまのケアに良い影響を与えています。
トラブルに対応しなければならないため
看護師のリーダーの方は、他職種や患者さまとのトラブルに対処する必要があり、ストレスを感じる場合もあります。
リーダーの方はトラブルの仲裁役としての役割を担うことが多く、冷静な対応が求められます。トラブルが起こった際には、まずは状況を正確に把握し、関係者が納得できる解決策を見つけなければなりません。
また、トラブルを未然に防ぐために、スタッフに早めに報告するように伝えたり、病棟内に問題がないか見回ったりなど、工夫することもリーダーの方の重要な役割です。
業務量と時間外勤務が増えるため
看護師のリーダーの方は、スタッフから相談される機会が増えます。
また、リーダー業務を中断して対応することもあるため、業務量が増えたり、時間外勤務が増えたりするケースもあります。
これらが負担となるため、リーダー業務はつらいと感じる看護師の方もいるのが現状です。
看護師のリーダー業務ができない・つらいと感じるときの対処法
看護師のリーダー業務ができない・つらいと感じるときの対処法を紹介します。
- 看護師のリーダー業務のチェックリストを振り返る
- 先輩の看護師に相談する
- 完璧にやろうとしない
- 研修に参加して自己研鑽に励む
- 訪問看護への転職も検討する
それぞれの対処法を知って、できない・つらいと感じる気持ちをスッキリさせましょう。
看護師のリーダー業務のチェックリストを振り返る
看護師のリーダー業務のチェックリストを振り返ることで、解決できる問題があるかもしれません。
チェックリストには、リーダーとしての役割や具体的な対応方法が記載されているため、リーダー業務の悩みや不安を解決できます。
さらに、判断に迷ったときに、チェックリストに記載されていることを知っておくと、自信を持って対応できるようになります。
先輩の看護師に相談する
先輩の看護師に相談することで、問題が解決するだけではなく、サポートを受けられます。
経験をもとにした先輩のアドバイスは貴重であり、リーダー業務を円滑に進めるためのヒントになります。
先輩とのやり取りを通じて新たな視点を得ることができ自分のスキルアップにもつながるため、積極的に相談しましょう。
完璧にやろうとしない
リーダーとして完璧を求めすぎると、つらくなることがあります。
無理をせず、できる範囲でベストを尽くすことが大切です。リーダーでもすべてを完璧にこなすことは難しいため、周囲の協力を得ながら進めましょう。
研修に参加して自己研鑽に励む
リーダー業務に関する勉強会やセミナーに参加することで、スキルアップが期待できます。
新しい知識を身につけることで、自分の判断力や対応力が向上し、業務をより円滑に進められます。
また、研修で得た知識をチームに共有することで、チームのスキル向上にもつながります。学ぶ姿勢を大切にし、リーダーとしての役割を果たしましょう。
訪問看護への転職も検討する
リーダー業務ができない・つらいと感じたら、訪問看護ステーションや施設への転職など自分に合った働き方を見つけることも大事です。
たとえば訪問看護では、利用者さまと一対一で向き合う機会が増え、自分のペースでケアに取り組めます。さらに、生活リズムもつけやすく、ライフワークバランスが整いやすいことが魅力です。病棟とは違った視点でリーダー業務の経験を活かせるでしょう。
新たな環境で働くことで、自分の強みを活かしてキャリアを築くことができます。訪問看護ステーションへの転職に興味のある方は「NsPaceCareer」を利用してみませんか。
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看護師のリーダー業務のポイントを理解して取り組もう
看護師のリーダー業務は責任が重い反面、やりがいも感じられる業務です。
ポイントを押さえて取り組むことで、チームの働きやすさが向上します。自身のペースで経験を積み、リーダー業務に自信を持てるようにすることが大事です。
リーダー業務を通じて得られる経験は、今後のキャリアにも大いに役立ちます。リーダーとしてチームを支えながら、周囲からも支えられていることを感じられると、共に成長できるでしょう。
<参考サイト・文献>
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