看護師の手取りは平均いくら?増やす4つの方法や手取りが高い職場

公開日:2024/12/05 更新日:2025/01/15
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「看護師の給与が少ないから困っている」「手取り額を増やすにはどうしたらいいの?」

手取り額をもう少し増やしたいと考えている看護師の方は少なくありません。年齢や性別、地域など、さまざまな要因によって手取り額は変動します。

この記事では、看護師の手取り額アップのための具体的な方法をご紹介します。参考にして手取りがアップするきっかけになれれば幸いです。

看護師の手取り平均は約28万1,680円

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると看護師の方の手取り金額は平均で約28万1,680円です。ここでは、看護師の方の手取りを年齢や性別などにわけて詳しく紹介します。

看護師の手取り平均【年齢別】

年齢によって看護師の方の手取り額には差があります。年齢別の給与は下記の表のとおりです。なお、以降の手取り額については令和5年賃金構造基本統計調査のデータをもとにしており「きまって支給する現金給与額×0.8」で算出しました。(ボーナス額は含まない)

年齢平均手取り額
~19歳データなし
20〜24歳約23万6,720円
25〜29歳約26万7,040円
30〜34歳約27万80円
35〜39歳約26万9,360円
40〜44歳約28万6,160円
45〜49歳約29万9,760円
50〜54歳約31万560円
55〜59歳約31万5,920円
60〜64歳約26万8,160円
65〜69歳約26万4,240円
70歳〜約24万1,840円

参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

年齢による手取り額の違いには、以下のような要因があります。

  • 経験年数に応じた基本給のアップ
  • 役職手当による手取り額のアップ

毎年昇給がある職場では、経験年数に合わせて基本給が上がります。経験年数が上がるにつれ、若手との手取り額の差が大きくなるでしょう。また、経験が増えると主任や係長といった役職につき、手当がつくことで手取り額も増えます。

看護師の手取り平均【性別】

看護師の平均手取り額は、男性が約29万2,080円、女性が約28万480円です。男女差は約1万円です。男女差が生まれる理由は、以下のような要因が考えられます。

  • キャリアパスの違い
  • 役割の違い
  • ライフイベントの違い

男性の看護師と比べて、女性の看護師は、結婚や出産により職場を離れる場合があります。

また、男性の看護師は、家計を支えるため収入を意識して働いている場合があるかもしれません。これらの理由により、手取り額に男女差が生じている可能性があります。

看護師の手取り平均【地域別】

看護師の方の手取り額は、地域によって月5万円ほどの差が生まれるケースがあります。

東京都や大阪府などの都市部は生活費が地方より「約2割増し」といわれることがあります。生活費が高い都市部では、給与を高く設定している医療機関が多い傾向です。

都市部の医療機関の規模は地方よりも大きい場合があり、業務量の差が手取り額の地域差が生じている理由のひとつになるでしょう。

看護師の手取り年収【施設規模別】

施設規模による看護師の方の手取り額は次の表のとおりです。

施設規模平均手取り額
職員10~99人約25万6,880円
職員100~999人約27万3,840円
職員1000人以上約30万1,200円

参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

施設規模別では職員の数が多いほど手取り額が多くなります。経営が安定している大規模な施設では、患者数が多く業務量も増えやすいです。

その分、夜勤や時間外勤務も増え、手当の増額によって手取り額が上がるといえます。

看護師の手取り平均【設置主体別】

設置主体による看護師の方の手取り額は、次の表のとおりです。なお、表の平均手取り金額は「平均税込給与総額×0.8」で算出しました。

設置主体平均手取り額
国立約27万9,868円
公立約27万7,206円
日本赤十字約28万3,529円
済生会約27万1,471円
厚生連約25万9,200円
その他の公的医療機関約25万5,042円
社会保険関係団体約28万4,906円
公益法人約26万1,576円
私立学校法人約29万5,372円
医療法人約25万1,201円
社会福祉法人約26万7,562円
医療生協約25万9,914円
会社約29万1,720円
その他の法人約25万9,381円
個人約24万7,011円
無回答・不明約26万395円

参考:日本看護協会|2023年病院看護実態調査報告書

私立学校法人の病院や国立病院は、規模が大きく財政状況が安定しており、看護師の業務量が多くなるため、給与水準が高くなる傾向です。

転職する場合は、表の金額と比較してみるのもいいでしょう。

看護師の手取り平均【職種別】

職種別の平均の手取り額は以下の表をご覧ください。

職種平均手取り額
看護師約28万1,680円
保健師約25万320円
助産師約31万6,640円
准看護師約22万9,440円

参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

看護師の手取り額に対して、助産師の方が多いことがわかります。

この手取り額の差は、資格取得の難易度や責任範囲の広さに比例していると考えられます。

一方で、資格が取りやすい准看護師、行政機関で働くことが多く夜勤手当がない保健師の手取り額は、看護師と比べて低い傾向です。これから看護職を目指す方や転職を検討する方は、職種ごとの収入の違いを知っておきましょう。

関連記事:看護師のリアルな年収は高すぎる?割に合わないと感じる理由も紹介 

看護師の手取りを増やす4つの方法

手取り額を増やすために、以下の4つの方法を解説します。

  • 控除額を減らす
  • 管理職を目指す
  • 専門な資格を取得する
  • 高待遇な職場に転職する

それぞれの方法には、メリットとデメリットがあります。自分に合った方法を選んで手取り額を増やしましょう。

控除額を減らす

控除額を減らすことで手取り額を増やせる可能性があります。控除とは「差し引く」という意味で、税金から一定の金額を差し引くことを指します。代表的な控除対象が以下の5つです。

  • 基礎控除
  • 扶養控除
  • 配偶者控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除

ほかにも、医療費控除や住宅ローン控除などがあり、これらの控除を受けるためには年末調整や確定申告での申請などが必要です。自分が活用できる控除を把握しておきましょう。

管理職を目指す

一般職の看護師に比べ、管理職になると手取り額が数万円ほど増える可能性があります。なぜなら、業務の責任が重く、これまでの経験を活かして部下の看護師の方を教育しながら業務をこなすからです。

管理職になるためには、日々の業務を責任持っておこなうことです。看護師としてのスキルと磨き、ほかの看護師の手本となるような業務の遂行が求められます。

専門的な資格を取得する

認定看護師・専門看護師を取得すると、その方にしかできない業務が任されるため待遇がよくなります。たとえば、認知症の認定看護師の方の場合、認知症患者へのケアが一般看護師よりも専門性を持って取り組めるでしょう。具体的には、次の表のような資格手当が支給されます。

毎月支払われる賞与時に支払われる資格取得時に一時金としてその他
専門看護師89.5%1.6%0.4%9.7%
1万1,279円1万4,000円51万7,000円不明
認定看護師92.2%1.0%0.3%7.4%
8,530円5万4,059円23万8,125円不明

参考:日本看護協会|2023年病院看護実態調査報告書 

しかし、専門看護師の65.4%、認定看護師の58.8%は資格手当がないと回答しています。そのため、資格手当による給与アップを期待している看護師の方は、資格取得を目指す前に資格手当の有無を上司や人事課に尋ねてみましょう。

高待遇な職場へ転職する

転職は手取り額を増やすために有効な手段です。

たとえば、経営が不安定な施設では給与が平均よりも安く設定されている可能性があります。その場合、スキルを身につけたり、資格を取得したりしても昇給額が少なく、手取り額が増えない場合があります。

経営が安定した高待遇な施設への転職を検討することも大切です。転職を検討する場合には、複数の施設を比較し、転職サイトを利用するのもいいでしょう。

看護師の手取りが高い職場の特徴

看護師の方の手取りが高い職場の特徴は以下のとおりです。

  • 夜勤手当が高い職場
  • 規模が大きな職場
  • 高度な医療を提供している職場
  • 自由診療の職場

手取りを増やしたい場合は、この4つを頭に入れておくといいでしょう

夜勤手当が高い職場

看護師の方の夜勤には、2種類の賃金が支払われることがあります。

  • 深夜割増賃金(夜遅く働くための特別な割増料金)
  • 夜勤手当(夜勤をしたことへの手当)

また「日本看護協会」の調査によると、病院によって以下のお金の払い方が違います。

  • 深夜割増賃金と夜勤手当を一緒にした金額を支払う:51%
  • 深夜割増賃金と夜勤手当を別々に支払う:31.3%

このように、病院によって夜勤手当の支払い方はさまざまであり、その金額も異なります。病院のホームページや求人情報で夜勤手当について確認しましょう。

規模が大きい職場

施設の規模が大きい職場は給与が高く設定されている可能性があります。とくに、病床数が多い国立病院では、業務内容が多岐にわたるため給与水準が高めに設定される傾向です。

しかし、規模の小さい職場が必ず給与が低いわけではありません。とくに、訪問看護ステーションは、規模は小さいものの、需要が高まってきています。さらに、小児科専門、精神科専門などの訪問看護ステーションもあり、専門性の高さから手取りアップが期待できます。

そのため、単に施設の規模だけで判断せず、業務内容や施設の専門性も考慮して判断しましょう。

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高度な医療を提供している職場

高度な医療を提供する病院では、専門性が求められるため給与が高くなる可能性があります。

たとえば、がんセンターや集中治療を専門とする病院では、より高いレベルの看護スキルが必要です。そのため、一般の病院と比べ給与が高く手取り額が増えるケースもあります。

自由診療の職場

医療保険の保険診療とは異なり、自由診療の医療機関では、診療報酬で得られない料金設定が可能です。

そのため、医療機関の収益が高くなる傾向があり、看護師の給与も高水準に設定されていることが特徴です。自由診療の職場の例として以下があります。

  • 美容クリニック
  • 健診センター
  • 予防医療施設

たとえば、美容医療では美容注射やレーザー治療など、一回あたりの治療単価が数万円から数十万円と高額です。看護師は施術の補助や患者さまのカウンセリングなど、重要な役割を担うため、基本給に加えて歩合給や業績手当が充実している職場があります。

看護師の手取りに関するQ&A

看護師を目指している方が知っておきたいQ&Aを紹介します。

Q1:新卒看護師の初任給の手取りはいくらくらいですか?

新卒看護師の初任給の手取り額は次のとおりです。なお、金額は「平均税込給与総額×0.8」で算出しました。

  • 高卒+3年課程の新卒:約21万3,246円
  • 大卒:約21万9,801円

高卒+3年課程の新卒と大卒では約6,000円の差です。さらに、初任給の詳しい情報について知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

関連記事:20代看護師の平均年収は?初任給の実態と年収を上げる方法を解説! 

 

Q2:看護師の手取りは少ないのですか?

看護師の平均手取り額は約28万1,680円です。一方で、一般労働者の平均手取り額は約25万4,640円です。

そのため、看護師の手取り額は少なくないといえます。

まとめ:転職して看護師の手取りを増やそう

看護師の手取り額は、全職種と比較しても低くありません。手取り額を増やすためには、

夜勤手当の活用や管理職への昇進、高待遇な職場への転職が必要です。

また、急性期病院や大規模病院など、職場によって給与水準は異なります。

ただし、転職を考える際は、給与面だけでなく働きやすさや自己成長の機会なども含めて判断しましょう。

<参考文献>

令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

2023年病院看護実態調査報告書|日本看護協会|

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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