看護師に人気の科5選!大変な科や人気の科に転職するための方法を解説
「看護師に人気の科ってどこ?」「人気の科への転職ってできる?」など疑問がある看護師の方はいませんか。
希望どおりの配属は意欲やモチベーションをアップさせますが、人気の科は倍率が高くなりやすく、別の科に配属されることも。
理想の働き方を実現するためには、転職時の配属先は重要なものです。
この記事では、看護師に人気の科を年代別やタイプ別に紹介します。自分に合った科を知るコツや人気の科へ転職する方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
看護師に人気の科
はじめに、看護師に人気の科5選を紹介します。
- 小児科
- 内科
- 整形外科
- 救急科
- 産婦人科
それぞれの業務内容やケア方法に特徴がありますが、人気の理由はなんでしょうか。
小児科
小児科は、子どもとかかわりたい看護師に人気の科です。小児特有の疾患が多く、成長・発達段階を踏まえながら、子どもの健康をサポートします。
感情を言葉であらわすことが難しい子どもに対し、遊びを交えながらスムーズに治療を進めるかかわりが求められます。
内科
内服や点滴での治療がメインとなる内科は、比較的ゆったりと患者さまとかかわりを持てます。
慢性的な疾患も多く、在宅療養も含めた長期的なケアが求められます。患者さまと信頼関係を築き、悩みに寄り添うケアが実践できる科です。
整形外科
周術期から回復期までスピード感のあるケアができるのが整形外科の特徴です。クリ二カルパスも導入されている傾向にあり、統一感のある業務内容が人気の理由です。
リハビリテーションを通して患者さまが回復していく過程を見られることが、整形外科の魅力といえるでしょう。
救急科
さまざまな疾患・年齢・重症度の患者さまが搬送されてくる救急科は、幅広い知識や技術が求められる科です。
患者さまは緊急性が高い状態にあるため、先を見越したアセスメント力が必要です。自分の知識や技術により治療がスムーズにいったときには、やりがいを感じられるでしょう。
産婦人科
新しい命の誕生にかかわる産婦人科も人気の科の一つです。産前の管理から産後のケアまで、お産の全体をサポートします。新生児のケアや母親へのかかわりは、その家族がこれから新しい生活の基盤を作るための重要な役割を担っています。
また、看護師から助産師へ転身し、専門性を高めることも可能です。
看護師に人気の科【年代別】
つぎに、看護師に人気の科を各年代別に紹介していきます。
- 20代看護師
- 30代看護師
- 40代看護師
- 50代以降の看護師
看護師の方に人気の科は、年代別でどのような違いがあるのでしょうか。
20代看護師に人気の科
20代看護師の方は、新たな知識やスキルを吸収し成長していきたいと考える方が多い年代です。
処置や手術など、スキルアップを狙える機会が多い科は人気があります。なかでも、急性期に代表される、救命救急センターや集中治療室(ICU)、外科などが人気です
30代看護師に人気の科
チームの中心的な存在となる30代は、キャリアアップ志向が強まり、専門性や重症度の高い科が人気を集めます。
一方で、結婚や出産、育児などライフスタイルの変化も30代の特徴です。日本看護協会の調査で、30代看護師の離職理由には次の表のように子育てや転居などが上位にあることがわかっています。
【就業している30代看護師の方の退職したい理由】
退職したい理由 | 30~34歳 | 割合(%) | 35~39歳 | 割合(%) |
第1位 | 看護職の他の職場への興味 | 17.2 | 看護職の他の職場への興味 | 16.8 |
第2位 | 転居 | 12.2 | 子育て | 16.6 |
第3位 | 子育て | 10.5 | 転居 | 8.6 |
第4位 | 夜勤の負担が大きい | 10.3 | 勤務時間が長い・超過勤務が多い | 8.5 |
第5位 | 結婚 | 10.1 | 家事と両立しない | 7.8 |
出典:2022年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」 結果|日本看護協会
短時間勤務や夜勤免除といった働き方を希望する30代看護師も多く、外来や内視鏡室の人気が高まります。
40代看護師に人気の科
40代看護師は、後輩指導や管理職への挑戦など、スタッフをまとめる役割を担うことが求められる年代です。これまでの経験から判断力が求められる場面も増えていくでしょう。
また、豊富な経験が患者さまからの信頼につながり、緩和ケアや訪問看護の場においても重宝される存在です。
50代以降の看護師に人気の科
さまざまな経験を積み、幅広い知識や経験を手に入れている50代以降は、臨機応変さや判断力が必要な科で求められるでしょう。
一方で、次の表からわかるように、ハードな勤務による健康への不安や親の介護で離職を選ぶ人も増加します。
【就業している50代看護師の方の退職したい理由】
退職したい理由 | 50~54歳 | 割合(%) | 55~59歳 | 割合(%) |
第1位 | 看護職の他の職場への興味 | 12.9 | 親族の健康・介護 | 10.7 |
第2位 | 結婚 | 9.2 | 看護職の他の職場への興味 | 8.6 |
第3位 | 親族の健康・介護 | 8.8 | 転居 | 8.2 |
第4位 | 自分の健康(主に身体的理由) | 8.7 | 結婚 | 8.2 |
第5位 | 子育て | 8.3 | 自分の健康(主に身体的理由) | 7.9 |
出典:2022年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」 結果|日本看護協会
夜勤のない働き方が選択できる訪問看護ステーションや透析クリニックなどに人気が集まる傾向にあります。
看護師に人気の科【タイプ別】
看護観や理想の働き方は人それぞれです。
- 看護師としてバリバリ働きたい方
- 患者さまにじっくりと向き合いたい方
- 専門性を高めたい方
- 緊張やプレッシャーが少ない職場で働きたい方
- 子どもが好きな方・子育て経験を活かしたい方
これらのタイプ別に人気の科を紹介していきます。
看護師としてバリバリ働きたい方におすすめの科
幅広い知識や難易度の高い技術を身につけたい方には、次の科がおすすめです。
- 救急科
- 集中治療室
- 循環器内科
- 脳神経外科
呼吸器や循環動態にかかわる医療機器や薬剤投与、複数のドレーン管理などが同時におこなわれるケースも多く、さまざまなケアを実践できます。
患者さまにじっくり向き合いたい方におすすめの科
比較的ケアや処置が少なく、業務に追われにくい精神科や緩和ケア、訪問看護はじっくりと患者さまと向き合える科といえます。
コミュニケーションを通して患者さまを理解して、信頼関係を築くことが大切です。患者さまにとっても、自分を理解し深くかかわれる看護師は心強い存在です。
専門性を高めたい方におすすめの科
「小児科」「産婦人科」「手術室」は、患者さまとかかわる期間が限定されるという特徴があります。
また、これらの科で対象とする疾患や処置も特有であるため、ほかの科では学べないことばかりです。このため、専門性を高めたい看護師の方におすすめです。
緊張やプレッシャーが少ない職場で働きたい方におすすめの科
回復期病棟やリハビリテーション科では全身状態が安定した方が多いため、ゆったりとした気持ちで、患者さまと深くかかわりたい方におすすめです。
これらの科は、医療機器の管理や薬剤の投与などに緊張やプレッシャーを感じる方に向いているでしょう。
子どもが好きな方・子育て経験を活かしたい方におすすめの科
子どもが好きな看護師の方には、小児科や産婦人科がおすすめです。
保育園や小児訪問看護などの科であれば、子育ての経験を活かすことができるため、働き方の選択肢を増やせるでしょう。
また、子どもを対象とした科では、親へのケアも大切な役割です。悩みを抱える親にとって、看護師のリアルな経験は心の負担を減らす手助けとなるかもしれません。
看護師にとって大変な科
ここからは、大変そうなイメージをもたれる科を紹介していきます。
- 循環器内科
- 脳神経外科
- 精神科・心療内科
- 手術室
- 集中治療室
大変そうなイメージをもたれる理由もあわせて解説します。
循環器内科
心臓の動きを測定する心電図。循環器科を大変と感じる方は、心電図に苦手意識があるのではないでしょうか。
循環器内科は急変リスクの高い疾患が多く、心電図波形の解読は欠かせません。不整脈を起こした場合は、緊急処置が必要となり、素早い対応が求められます。
脳神経外科
脳神経外科は、バイタルサインや神経所見のわずかな変化を見抜くアセスメント力が必要な科です。
ミリ単位の瞳孔所見や、わずかな力の入り具合を察知する能力が求められ、小さなミスが急変へつながることもあります。
また、これらの科では、麻痺の症状により手足を自由に動かせない患者さまが多いです。体位変換や清潔ケアなど身体への負担も大きくなるため、心身ともに疲れてしまう看護師の方もいるでしょう。
精神科・心療内科
精神科や心療内科は、患者さまのちょっとした変化を敏感に感じとり、患者さまに合った接し方を模索していく必要があります。
その一方で、急性期には暴言・暴力など攻撃的な症状があらわれる疾患もあり、危険を伴うことがあるのも事実です。
こういった状況に怖さを感じることが「大変そうだな」というイメージにつながります。
手術室
患者さまや医師のサポートが中心となる手術室は、特殊な部門のひとつです。
解剖生理や手術の流れ、機器の使い方を理解し、手術がスムーズに進行するよう先読みした介助が求められます。
とくに、長時間に及ぶ場合やリスクが高い場合の手術では気力と体力が必要です。緊張感が続くなかで仕事を続けなければならないことに、難しさを感じる方もいるでしょう。
集中治療室
重症患者の全身管理が必要な集中治療室は、緊急性が高く忙しい科です。たとえば、次のような患者さまが入室しています。
- 手術直後の患者さま
- 院内で急変した患者さま
- 救急搬送された患者さま
重症な患者さまばかりであるため、昼夜問わず綿密なモニタリングが必要です。そのため、幅広い知識と高い集中力が求められます。
家族へのケアも重要な役割のひとつであり、精神的にも負担が大きい科です。
看護師の配属先はどうやって決まるの?
多くの病院では、履歴書や採用面接での情報をもとに本人の希望や適性を判断して配属先が決定します。
多くの病院では人事部と看護部で話し合われ、最終的に院長が配属先を決定します。配属先のバランスも考慮されるため、病院側の事情に左右されやすいです。
希望の科に配属されないこともありますが、就職した後に上司との面談で異動希望を伝えると、希望が叶う可能性もあります。
自分に合った科を知るためのコツ
自分に合った科を知るためには自己分析が欠かせません。以下の項目について考えてみてください。
- どのような看護ケアをしたいのか考える
- 将来のキャリアについて考える
- どのような職場で働きたいか考える
コツを抑えて自己分析すると、どのような科が自分に合うのかを具体的にイメージしやすくなります。
どのような看護ケアをしたいのか考える
「ゆっくりと患者さまとかかわりたい」「急変対応に強くなりたい」など理想の働き方は人それぞれです。
これまでの経験や働き方によっても異なるでしょう。自分がおこないたいケアをよく考えたうえで科を選ぶことが大切です。
将来のキャリアについて考える
将来のキャリアについて考えることも、自分に合った科を知るためには重要です。
看護師がキャリアアップする方法はさまざまです。たとえば、看護師長や看護部長といった管理職を目指す場合や、専門看護師や認定看護師など新たな資格取得を目指す場合などがあります。
ほかにも、産業看護師として一般企業で働いたり、美容クリニックで施術をおこなったりするなど看護師のキャリア形成は幅広いです。
自分の年齢やライフスタイルも考えて将来のキャリアをイメージすると、挑戦すべき科がみえてくるでしょう。
どのような職場で働きたいか考える
病院の規則や雰囲気は、長く勤めるうえで重要なポイントです。
- アットホームな雰囲気
- スキルアップに熱心
- 福利厚生が手厚い
上記のように重きを置くポイントを決めておけば、働きたい職場が定まっていきますよ。
看護師が人気の科に転職するための方法
ここでは、看護師の方が人気の科に転職するための方法を紹介します。
- 専門の病院を選ぶ
- 配属先が決まっている求人を選ぶ
- 面接のときに交渉する
- 求人サイトや転職サイトを活用する
人気の科は倍率が高いため、希望が通りやすくなる方法をおさえておきましょう。
専門の病院を選ぶ
専門の病院を選ぶと、人気の科に転職しやすいです。
具体的には、小児科を専門とする子ども病院や循環器科を専門とするハートセンターなど、特定の科に特化した病院があります。
疾患が限られるため、専門性のあるケアを実践できキャリアアップできます。
配属先が決まっている求人を選ぶ
配属先が決まっている求人であると、希望がとおりやすいです。
このような求人は、大手の病院やクリニックの採用でみられます。
面接では、なぜその科で働きたいのかを具体的に伝えると、採用担当者に良い印象を考えることができます
面接のときに交渉する
履歴書の本人希望欄に、希望する科を記入しておきます。さらに面接では、希望する理由を採用担当にアピールしましょう。
熱意が伝われば、希望の科へ配属される可能性が高まります。
求人サイトや転職サイトを活用する
求人サイトや転職サイトは、希望を絞り込んで検索できたり、担当のアドバイザーが一緒に理想の病院を探してくれたりします。
看護師の転職に特化しているからこそ、リアルな情報やクローズドな求人情報を持っているかもしれません。転職を希望するときは、ぜひ活用してみてください。
看護師に人気の科に関するよくある質問
ここでは、よくある質問に回答します。ぜひ回答を参考にしてみてください。
Q1:看護師に人気のない科はどこですか?
人気のない科のひとつとして泌尿器科が挙げられます。なぜなら、泌尿器科は男性特有の疾患を扱うためです。
厚生労働省の統計によると、看護師の91.4%は女性です。男性特有の疾患への理解や苦痛に共感する難しさが、人気が得にくい理由となっているのかもしれません。
Q2:看護師は何科が1番稼げますか?
看護師の給与には夜勤手当や特殊手当など、複数の手当が存在します。ほかの科と比べて、集中治療室や救命救急センターなどの科は夜勤回数が多くなったり、時間外勤務が出たりしやすいです。
そのため、こういった科は稼げるといえるでしょう。
まとめ
看護師に人気の科は、年代やタイプによってさまざまです。どの科も特色があり、やりがいがあります。
転職は看護師としての自分を見つめ直す貴重な機会です。自己分析を重ね、看護観やキャリア、働き方をじっくりと考えていきます。
新しい職場で働く自分がイメージできれば、人気の科への転職もきっと叶えられるでしょう。
参考サイト・文献
クリニカルパスの普及・体制の現状と課題|日本クリニカルパス学会
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。