看護師の夜勤の働き方とは?勤務体制やメリット・デメリットを解説

公開日:2024/10/29 更新日:2024/10/29
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看護師は夜勤が多い職種であり、特に病院勤務の方にとっては避けられない働き方です。

夜勤ではどのように過ごすのか、休憩時間はどうなるのかなど、イメージがつかない方もいるでしょう。

この記事では、看護師の夜勤の働き方について、勤務体制や仕事の流れ、メリット・デメリットを解説します。

夜勤の全体像を把握して、不安の解消につなげてください。

看護師の勤務体制

看護師の勤務体制には、大きく分けて2交代制と3交代制があります。

日本医療労働組合連合会の「2023年度夜勤実態調査結果」によると、2023年6月時点で2交代制を採用している病棟の割合は48.4%と過去最多となりました。

16時間以上の長時間夜勤は48.1%となっており、前年の43.1%より増加しています。

2交代制と3交代制は、勤務時間や労働負担が異なります。

それぞれの特徴を把握し、どちらが自分に適しているか考えてみましょう。

2交代制

2交代制は、日勤と夜勤の2つの勤務時間でシフトが組まれる勤務体制です。

勤務形態勤務時間
日勤8:00~17:00(休憩1時間)
夜勤16:30~9:00(休憩2~3時間)

夜勤の勤務時間は病院によって異なりますが、多くの場合、16時間程度の勤務で2~3時間の休憩時間が設けられています。

2交代制の場合、夜勤明け後に帰宅し、翌日休みになるケースが多く、プライベートの時間を確保しやすくなります。

ただし、勤務時間が長いため、体力的に負担が大きくなりやすい勤務体制です。

体力に自信がない人は、勤務体制を慎重に検討したほうがよいでしょう。

3交代制

3交代制は、日勤・準夜勤・深夜勤の3つの勤務時間でシフトが組まれる勤務体制です。

勤務形態勤務時間
日勤8:00~17:00(休憩1時間)
準夜勤16:30~1:00(休憩1時間)
深夜勤0:30~9:00(休憩1時間)

3交代制は1回の勤務時間が8時間程度と短く、体力的な負担は少ないものの、勤務サイクルが早いため、生活リズムが崩れやすくなります。

自宅から就業先が遠い場合などには、通勤にかかる負担が大きくなる可能性もあります。

看護師夜勤の仕事内容

夜勤の看護師は、日勤の看護師より少ない人数で、入院しているすべての患者さまに対応します。

病院や病棟によっても異なりますが、夜勤中に行う主な仕事内容は以下のとおりです。

  • ナースコールの対応
  • バイタルチェック
  • 食事の配膳、介助、食前後の与薬、口腔ケア
  • 点滴交換、採血、検査出し
  • 寝たきりの患者さまの体位交換
  • トイレ介助やおむつ交換、排泄量のチェック、尿破棄
  • 緊急入院や急変の対応
  • 患者さまの無断外出や徘徊、点滴自己抜去などへのトラブル対応
  • 病棟巡視

患者さまの対応や採血、点滴交換、バイタルチェックなどのルーティンワークは、基本的に日勤業務と同じです。

ただし、夜勤は看護師の人数が限られているため、より的確に判断し、状況に応じて対処していかなければなりません。

また、夜勤中は1~2時間ごとに病室を回り、患者さまがよく眠れているか、体調が悪くなっていないかなど、状態を確認する巡視業務を行います。

夜間せん妄や急変、点滴やドレーンの自己抜去などのトラブルが発生したときには、適切な処置を行ったり、必要に応じて医師に連絡をしたりと、状況を見極めた判断と行動が求められます。

看護師夜勤のタイムスケジュール

ここでは、一般的な夜勤のタイムスケジュール例を紹介します。

病院によっても看護師の夜勤の進め方は異なりますが、具体的な流れを把握してイメージを掴んでおきましょう。

2交代制の夜勤

2交代制の夜勤のタイムスケジュール例は、以下のとおりです。

時間業務内容
16:30業務開始
16:40日勤者からの申し送り、患者さまの情報収集
16:45配薬と点滴の確認・準備
17:00患者さまへ挨拶
17:30血糖測定、処置、食事準備
18:00配膳、食事介助、配薬
19:00交代で食事休憩
19:30検温、処置、イブニングケア
20:00眠前薬準備、配薬
21:00消灯、不眠の患者さまへの対応、排泄介助
22:00巡視
24:00巡視
1:00深夜に行う点滴確認
2:00巡視、日勤で行う検査や処置などの確認と準備
3:00交代で仮眠休憩
4:00巡視、日勤で行う検査や処置などの確認・準備
6:00モーニングケア、検温、経管栄養
7:00血糖測定、処置
7:30食事準備
8:00配膳、食事介助、配薬
8:30日勤者へ申し送り
9:00業務終了

基本的には上記の流れで動きますが、緊急入院や急変などがある場合には、リーダーの指示のもと、臨機応変に対応します。

3交代制の準夜勤

3交代制では、準夜勤と深夜勤に分けられます。

そのうち、準夜勤のタイムスケジュール例は以下のとおりです。

時間業務内容
16:30業務開始
16:40日勤者からの申し送り、患者さまの情報収集
16:45夜間の配薬と点滴の確認・準備
17:00患者さまへ挨拶
17:30血糖測定、処置、食事準備
18:00配膳、食事介助、配薬
19:00交代で休憩
19:30検温、処置、イブニングケア
20:00眠前薬準備、配薬
21:00消灯、不眠の患者さまへの対応、排泄介助
22:00巡視
24:00巡視、申し送り準備
0:40深夜勤者へ申し送り
1:00業務終了

準夜勤では、夕方から日付が変わる頃まで勤務します。

病棟によっても異なりますが、3交替制の場合、日中に手術を受けた患者さまなどの対応で、深夜勤より準夜勤のほうが、処置が多くなる傾向があります。

3交代制の深夜勤

3交代制の深夜勤は、以下の流れで業務を進めます。

時間業務内容
0:30業務開始
0:40準夜勤者からの申し送り、患者さまの情報収集
1:00深夜に行う点滴確認
2:00巡視、日勤で行う検査や処置などの確認と準備
3:00交代で休憩
4:00巡視、日勤で行う検査や処置などの確認・準備
6:00モーニングケア、検温、経管栄養
7:00血糖測定、処置
7:30食事準備
8:00配膳、食事介助、配薬
8:30日勤者へ申し送り
9:00業務終了

深夜勤は、日付が変わった頃から朝方まで就業します。

患者さまが休めるよう環境を整えながら、急変や緊急入院などがあった際にはその対応も行います。

看護師夜勤の休憩時間

休憩時間については、労働基準法で「労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩時間を、労働時間の途中に与えなければいけない」と定められています。

この休憩時間は、仮眠や食事など、労働者が業務を離れて自由に過ごせる時間を指します。

しかし、看護師の夜勤は、急患対応などで休憩時間が取得できない、または中断されるケースも少なくありません。

労働時間内に休憩を確保するために、病院側がどのような対応をしているのか、事前に就業規則や勤務体制を確認しておくとよいでしょう。

参照元:労働基準法 第34条

夜勤看護師のメリット

看護師の夜勤は、手当がつく、日中にまとまった時間が作れるなどのメリットがあります。

それぞれ解説します。

手当がつく

夜勤手当の支給は、看護師の収入を左右する要素の一つであり、夜勤の大きなメリットといえます。

日本看護協会の「2023年病院看護実態調査」によると、夜勤手当の平均額は以下のとおりです。

勤務体制平均夜勤手当
3交代制(準夜勤)4,234円
3交代制(深夜勤)5,199円
2交代制11,368円

参照:日本看護協会|2023年病院看護実態調査 p.43

たとえば、2交代制で月4回の夜勤を行う場合、1カ月で約45,000円の夜勤手当が支給されます。

ただし、上記はあくまでも全国平均であり、就業先の規模や地域、個人の経験年数などによっても金額は異なるでしょう。

日中のまとまった時間が作れる

夜勤は日勤と違い、日中に自由な時間を確保しやすくなります。

そのため、以下のように、平日の日中にしかできない予定も立てやすくなります。

  • 銀行や役所の手続き
  • 病院受診
  • 美容院やエステ、習い事
  • ショッピングやレジャー

自分の時間を大切にしたい方や、ワークライフバランスを重視する方にとって、夜勤はプライベートの時間を有効に活用できる働き方だといえるでしょう。

夜勤看護師のデメリット

夜勤は手当の支給や日中の時間の確保ができる一方で、普段は寝ている時間に就業するため、生活リズムが崩れやすくなるデメリットがあります。

また、家族や友人と予定が合わせづらくなる可能性もあるでしょう。

デメリットをそれぞれ解説します。

生活リズムが崩れやすい

夜勤は、人間の自然な睡眠覚醒サイクルを逆転させるため、生活リズムの乱れを引き起こしやすくなります。

夜勤による生活リズムの乱れは、以下のような体の不調につながりやすくなるでしょう。

  • 睡眠障害(なかなか寝付けない、眠りが浅い)
  • 自律神経の乱れ(めまい、立ちくらみ)
  • 食欲不振、胃もたれ
  • 情緒の不安定さ(イライラしやすくなる、不安感が強くなる)

これらの症状は、仕事のパフォーマンスや日常生活にも影響を及ぼす可能性があります。

家族や友人と予定が合わせづらい

夜勤をしている看護師は、家族や友人と生活リズムが合わず、予定が合わせづらい悩みも生じやすくなります。

「一緒に食事を取れない」「ゆっくり会話をする時間がない」など、家族とのすれ違いが気になっていくケースもあるでしょう。

友人とも休日が合わず、疎遠になってしまう場合もあるようです。

看護師夜勤の72時間ルールとは

看護師夜勤の72時間ルールとは、入院基本料を算定する病棟において、看護師の夜勤時間を、月平均72時間以内にするという要件です。

2006年より、看護師の夜勤における就業時間は「夜間勤務等看護加算」として、診療報酬で評価されるようになりました。

72時間を超えてしまうと、診療報酬が下げられる仕組みになっているため、病院側はこれを超えないよう管理しています。

参照元:日本看護協会|入院基本料の通則「看護職員の月平均夜勤時間72時間要件」について

夜勤明けに日勤はある?

基本的には、2交代の夜勤終了後に、続けて日勤をすることはないでしょう。

しかし、労働基準法では、夜勤明け後の勤務について明記されていません。

連続勤務は看護師の負担が大きくなり、サービスの質の低下や医療安全リスクにつながりやすくなります。

そのため、日本看護協会では、患者さまの安全を確保しつつ、看護師が健康で働き続けられるよう、以下2点を推奨しています。

  • 3交代(1勤務8時間)では月8回以内の夜勤とする
  • 勤務間インターバル11 時間以上の確保を目指す

参照元:日本看護協会|看護職員の夜勤負担に関する調査研究報告会 提言

就業先がどのように配慮しているか、就業規則を確認するとよいでしょう。

まとめ

看護師の勤務体制には、2交代制と3交代制があります。

2交代制は夜勤の勤務時間が長いため、体力的な負担が大きい一方で、夜勤回数が少なく、プライベートの時間を確保しやすくなるでしょう。

対して、3交代制は1回の勤務時間が8時間程度と短く、体力的な負担は少ないものの、勤務サイクルが早いため、生活リズムが崩れやすくなる可能性があります。

夜勤は、手当が支給され、日中にまとまった時間を確保できる働き方です。

どちらの勤務体制が適しているかは、体力や就業先への距離など、自分の状況に当てはめて検討するとよいでしょう。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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