看護師の夜勤の働き方とは?勤務体制やメリット・デメリットを解説
看護師は夜勤が多い職種であり、特に病院勤務の方にとっては避けられない働き方です。
夜勤ではどのように過ごすのか、休憩時間はどうなるのかなど、イメージがつかない方もいるでしょう。
この記事では、看護師の夜勤の働き方について、勤務体制や仕事の流れ、メリット・デメリットを解説します。
夜勤の全体像を把握して、不安の解消につなげてください。
看護師の勤務体制
看護師の勤務体制には、大きく分けて2交代制と3交代制があります。
日本医療労働組合連合会の「2023年度夜勤実態調査結果」によると、2023年6月時点で2交代制を採用している病棟の割合は48.4%と過去最多となりました。
16時間以上の長時間夜勤は48.1%となっており、前年の43.1%より増加しています。
2交代制と3交代制は、勤務時間や労働負担が異なります。
それぞれの特徴を把握し、どちらが自分に適しているか考えてみましょう。
2交代制
2交代制は、日勤と夜勤の2つの勤務時間でシフトが組まれる勤務体制です。
勤務形態 | 勤務時間 |
日勤 | 8:00~17:00(休憩1時間) |
夜勤 | 16:30~9:00(休憩2~3時間) |
夜勤の勤務時間は病院によって異なりますが、多くの場合、16時間程度の勤務で2~3時間の休憩時間が設けられています。
2交代制の場合、夜勤明け後に帰宅し、翌日休みになるケースが多く、プライベートの時間を確保しやすくなります。
ただし、勤務時間が長いため、体力的に負担が大きくなりやすい勤務体制です。
体力に自信がない人は、勤務体制を慎重に検討したほうがよいでしょう。
3交代制
3交代制は、日勤・準夜勤・深夜勤の3つの勤務時間でシフトが組まれる勤務体制です。
勤務形態 | 勤務時間 |
日勤 | 8:00~17:00(休憩1時間) |
準夜勤 | 16:30~1:00(休憩1時間) |
深夜勤 | 0:30~9:00(休憩1時間) |
3交代制は1回の勤務時間が8時間程度と短く、体力的な負担は少ないものの、勤務サイクルが早いため、生活リズムが崩れやすくなります。
自宅から就業先が遠い場合などには、通勤にかかる負担が大きくなる可能性もあります。
看護師夜勤の仕事内容
夜勤の看護師は、日勤の看護師より少ない人数で、入院しているすべての患者さまに対応します。
病院や病棟によっても異なりますが、夜勤中に行う主な仕事内容は以下のとおりです。
- ナースコールの対応
- バイタルチェック
- 食事の配膳、介助、食前後の与薬、口腔ケア
- 点滴交換、採血、検査出し
- 寝たきりの患者さまの体位交換
- トイレ介助やおむつ交換、排泄量のチェック、尿破棄
- 緊急入院や急変の対応
- 患者さまの無断外出や徘徊、点滴自己抜去などへのトラブル対応
- 病棟巡視
患者さまの対応や採血、点滴交換、バイタルチェックなどのルーティンワークは、基本的に日勤業務と同じです。
ただし、夜勤は看護師の人数が限られているため、より的確に判断し、状況に応じて対処していかなければなりません。
また、夜勤中は1~2時間ごとに病室を回り、患者さまがよく眠れているか、体調が悪くなっていないかなど、状態を確認する巡視業務を行います。
夜間せん妄や急変、点滴やドレーンの自己抜去などのトラブルが発生したときには、適切な処置を行ったり、必要に応じて医師に連絡をしたりと、状況を見極めた判断と行動が求められます。
看護師夜勤のタイムスケジュール
ここでは、一般的な夜勤のタイムスケジュール例を紹介します。
病院によっても看護師の夜勤の進め方は異なりますが、具体的な流れを把握してイメージを掴んでおきましょう。
2交代制の夜勤
2交代制の夜勤のタイムスケジュール例は、以下のとおりです。
時間 | 業務内容 |
16:30 | 業務開始 |
16:40 | 日勤者からの申し送り、患者さまの情報収集 |
16:45 | 配薬と点滴の確認・準備 |
17:00 | 患者さまへ挨拶 |
17:30 | 血糖測定、処置、食事準備 |
18:00 | 配膳、食事介助、配薬 |
19:00 | 交代で食事休憩 |
19:30 | 検温、処置、イブニングケア |
20:00 | 眠前薬準備、配薬 |
21:00 | 消灯、不眠の患者さまへの対応、排泄介助 |
22:00 | 巡視 |
24:00 | 巡視 |
1:00 | 深夜に行う点滴確認 |
2:00 | 巡視、日勤で行う検査や処置などの確認と準備 |
3:00 | 交代で仮眠休憩 |
4:00 | 巡視、日勤で行う検査や処置などの確認・準備 |
6:00 | モーニングケア、検温、経管栄養 |
7:00 | 血糖測定、処置 |
7:30 | 食事準備 |
8:00 | 配膳、食事介助、配薬 |
8:30 | 日勤者へ申し送り |
9:00 | 業務終了 |
基本的には上記の流れで動きますが、緊急入院や急変などがある場合には、リーダーの指示のもと、臨機応変に対応します。
3交代制の準夜勤
3交代制では、準夜勤と深夜勤に分けられます。
そのうち、準夜勤のタイムスケジュール例は以下のとおりです。
時間 | 業務内容 |
16:30 | 業務開始 |
16:40 | 日勤者からの申し送り、患者さまの情報収集 |
16:45 | 夜間の配薬と点滴の確認・準備 |
17:00 | 患者さまへ挨拶 |
17:30 | 血糖測定、処置、食事準備 |
18:00 | 配膳、食事介助、配薬 |
19:00 | 交代で休憩 |
19:30 | 検温、処置、イブニングケア |
20:00 | 眠前薬準備、配薬 |
21:00 | 消灯、不眠の患者さまへの対応、排泄介助 |
22:00 | 巡視 |
24:00 | 巡視、申し送り準備 |
0:40 | 深夜勤者へ申し送り |
1:00 | 業務終了 |
準夜勤では、夕方から日付が変わる頃まで勤務します。
病棟によっても異なりますが、3交替制の場合、日中に手術を受けた患者さまなどの対応で、深夜勤より準夜勤のほうが、処置が多くなる傾向があります。
3交代制の深夜勤
3交代制の深夜勤は、以下の流れで業務を進めます。
時間 | 業務内容 |
0:30 | 業務開始 |
0:40 | 準夜勤者からの申し送り、患者さまの情報収集 |
1:00 | 深夜に行う点滴確認 |
2:00 | 巡視、日勤で行う検査や処置などの確認と準備 |
3:00 | 交代で休憩 |
4:00 | 巡視、日勤で行う検査や処置などの確認・準備 |
6:00 | モーニングケア、検温、経管栄養 |
7:00 | 血糖測定、処置 |
7:30 | 食事準備 |
8:00 | 配膳、食事介助、配薬 |
8:30 | 日勤者へ申し送り |
9:00 | 業務終了 |
深夜勤は、日付が変わった頃から朝方まで就業します。
患者さまが休めるよう環境を整えながら、急変や緊急入院などがあった際にはその対応も行います。
看護師夜勤の休憩時間
休憩時間については、労働基準法で「労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩時間を、労働時間の途中に与えなければいけない」と定められています。
この休憩時間は、仮眠や食事など、労働者が業務を離れて自由に過ごせる時間を指します。
しかし、看護師の夜勤は、急患対応などで休憩時間が取得できない、または中断されるケースも少なくありません。
労働時間内に休憩を確保するために、病院側がどのような対応をしているのか、事前に就業規則や勤務体制を確認しておくとよいでしょう。
参照元:労働基準法 第34条
夜勤看護師のメリット
看護師の夜勤は、手当がつく、日中にまとまった時間が作れるなどのメリットがあります。
それぞれ解説します。
手当がつく
夜勤手当の支給は、看護師の収入を左右する要素の一つであり、夜勤の大きなメリットといえます。
日本看護協会の「2023年病院看護実態調査」によると、夜勤手当の平均額は以下のとおりです。
勤務体制 | 平均夜勤手当 |
3交代制(準夜勤) | 4,234円 |
3交代制(深夜勤) | 5,199円 |
2交代制 | 11,368円 |
たとえば、2交代制で月4回の夜勤を行う場合、1カ月で約45,000円の夜勤手当が支給されます。
ただし、上記はあくまでも全国平均であり、就業先の規模や地域、個人の経験年数などによっても金額は異なるでしょう。
日中のまとまった時間が作れる
夜勤は日勤と違い、日中に自由な時間を確保しやすくなります。
そのため、以下のように、平日の日中にしかできない予定も立てやすくなります。
- 銀行や役所の手続き
- 病院受診
- 美容院やエステ、習い事
- ショッピングやレジャー
自分の時間を大切にしたい方や、ワークライフバランスを重視する方にとって、夜勤はプライベートの時間を有効に活用できる働き方だといえるでしょう。
夜勤看護師のデメリット
夜勤は手当の支給や日中の時間の確保ができる一方で、普段は寝ている時間に就業するため、生活リズムが崩れやすくなるデメリットがあります。
また、家族や友人と予定が合わせづらくなる可能性もあるでしょう。
デメリットをそれぞれ解説します。
生活リズムが崩れやすい
夜勤は、人間の自然な睡眠覚醒サイクルを逆転させるため、生活リズムの乱れを引き起こしやすくなります。
夜勤による生活リズムの乱れは、以下のような体の不調につながりやすくなるでしょう。
- 睡眠障害(なかなか寝付けない、眠りが浅い)
- 自律神経の乱れ(めまい、立ちくらみ)
- 食欲不振、胃もたれ
- 情緒の不安定さ(イライラしやすくなる、不安感が強くなる)
これらの症状は、仕事のパフォーマンスや日常生活にも影響を及ぼす可能性があります。
家族や友人と予定が合わせづらい
夜勤をしている看護師は、家族や友人と生活リズムが合わず、予定が合わせづらい悩みも生じやすくなります。
「一緒に食事を取れない」「ゆっくり会話をする時間がない」など、家族とのすれ違いが気になっていくケースもあるでしょう。
友人とも休日が合わず、疎遠になってしまう場合もあるようです。
看護師夜勤の72時間ルールとは
看護師夜勤の72時間ルールとは、入院基本料を算定する病棟において、看護師の夜勤時間を、月平均72時間以内にするという要件です。
2006年より、看護師の夜勤における就業時間は「夜間勤務等看護加算」として、診療報酬で評価されるようになりました。
72時間を超えてしまうと、診療報酬が下げられる仕組みになっているため、病院側はこれを超えないよう管理しています。
参照元:日本看護協会|入院基本料の通則「看護職員の月平均夜勤時間72時間要件」について
夜勤明けに日勤はある?
基本的には、2交代の夜勤終了後に、続けて日勤をすることはないでしょう。
しかし、労働基準法では、夜勤明け後の勤務について明記されていません。
連続勤務は看護師の負担が大きくなり、サービスの質の低下や医療安全リスクにつながりやすくなります。
そのため、日本看護協会では、患者さまの安全を確保しつつ、看護師が健康で働き続けられるよう、以下2点を推奨しています。
- 3交代(1勤務8時間)では月8回以内の夜勤とする
- 勤務間インターバル11 時間以上の確保を目指す
参照元:日本看護協会|看護職員の夜勤負担に関する調査研究報告会 提言
就業先がどのように配慮しているか、就業規則を確認するとよいでしょう。
まとめ
看護師の勤務体制には、2交代制と3交代制があります。
2交代制は夜勤の勤務時間が長いため、体力的な負担が大きい一方で、夜勤回数が少なく、プライベートの時間を確保しやすくなるでしょう。
対して、3交代制は1回の勤務時間が8時間程度と短く、体力的な負担は少ないものの、勤務サイクルが早いため、生活リズムが崩れやすくなる可能性があります。
夜勤は、手当が支給され、日中にまとまった時間を確保できる働き方です。
どちらの勤務体制が適しているかは、体力や就業先への距離など、自分の状況に当てはめて検討するとよいでしょう。
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