看護師転職に年齢制限ある?40代・50代が目指すと有利になりやすい職場
「看護師の転職に年齢制限はあるの?」「40代・50代の看護師が転職しやすいところはどこ?」
看護師として転職を考えるときに、気になるのが年齢制限。
看護職に限らず「転職は40代を超えると厳しい」といった声を聞き、不安になっていませんか。
この記事では、看護師転職に年齢制限はあるのか、40代・50代の看護師が目指すと有利になる職場について解説します。看護師転職に年齢が影響するのか不安であり、転職活動をうまく進められないあなたの悩みを解決できれば幸いです。
看護師転職に年齢制限はない
看護師転職に年齢制限はなく、40代・50代でも新たな職場を目指すことは可能といえます。
看護業界では多様な年代が活躍しており、とくに経験豊富な看護師の方は即戦力として高く評価されているためです。日本看護協会の調査では、都道府県ナースセンター(※)における求職就職率は、次のように公表されています。
年代 | 求職就職率 |
24歳以下 | 10.3% |
25~29歳 | 9.9% |
30~34歳 | 10.4% |
35~39歳 | 12.3% |
40~44歳 | 13.2% |
45~49歳 | 12.9% |
50~54歳 | 14.5% |
55~59歳 | 15.2% |
60歳以上 | 22.9% |
参考:2022年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」結果|日本看護協会
求職就職率は「60歳以上」が最も高く22.9%です。20~30代と比べて、40代以降の求職就職率が高いことから、看護師転職に年齢制限はないといえます。
年齢を理由に応募を制限されることはほとんどなく、むしろスキルや知識を活かしやすい場面が多くなります。また、医療現場は慢性的な人手不足が続いているため、キャリアアップや待遇改善を目的とした転職も可能です。
ただし、年齢が上がるにつれて、体力面の負担や職場の環境を考えなければなりません。自分に合った職場で長く働けることが重要です。
※都道府県ナースセンター:都道府県知事からの指定を受け、都道府県の看護協会が運営。看護職の職業紹介や復職支援をしている。
看護師は40代から転職は難しいと言われることもある
「40代からは転職が難しいのでは?」と感じる方は少なくありません。
その理由は、体力の衰えが挙げられるためです。とくに、急性期の病棟や救命救急センターなどハードな勤務が続く現場や多くの夜勤業務が求められるところでは、若手と同じペースで働くことは難しい場合があります。
また、新しい環境への適応が遅れがちになるとの懸念が、採用側にあるかもしれません。
ただし、経験豊富な看護師の方は重宝されたり、管理職や指導的な役割を求められたりすることも多く、今までのキャリアを活かしやすいところもあります。
そのため、40代の看護師の方が転職する際には、体力的な負担が軽い職場を選ぶことがポイントです。年齢による不安を感じる場合は、自分の強みや経験をアピールすることが大切です。
20代・30代の看護師が目指すと有利になりやすい職場
ここでは、20代・30代の看護師の方が目指すと有利になりやすい職場を紹介します。
- 急性期の病院
- 大学病院
- 美容クリニック
- 公立施設や病院(公務員)
- 企業(治験コーディネーター)
20代・30代の看護師の方にとって有利になる理由をそれぞれみていきましょう。
急性期の病院
急性期の病院は、体力と迅速な判断力が求められ、比較的若い看護師が適応しやすいため、20代・30代の看護師にとって有利な職場といえます。
また、急変対応や、検査や治療など学ぶ機会が多く、看護師としての成長を感じやすいでしょう。
急性期の病院では、救急対応や重症患者のケアが日常的におこなわれるため、スピード感を持って働くことが重要です。
さらに、夜勤や多忙な業務に対して柔軟に対応できる体力が必要であるため、これを克服できる若い世代が求められやすいです。
大学病院
大学病院は、20代・30代の看護師の方にとって有利な職場です。
なぜなら、大学病院では高度な医療技術や専門的な治療がおこなわれており、最新の医療知識やスキルを習得する機会が豊富だからです。
さらに、大学病院は研修制度や教育プログラムが充実しており、将来的に専門看護師や認定看護師など新しい分野にチャレンジしたい若い世代にとって理想的な環境です。また、大学病院では、委員会活動や看護研究など通常の業務にくわえてさまざまな活動が求められるため、柔軟に対応できる体力と適応力が求められます。
このため、大学病院は20代・30代の看護師の方が活躍しやすく、転職において有利に働くでしょう。
美容クリック
美容クリニックは、美容への感度が高く、患者さまとの円滑なコミュニケーション力が評価されやすいため、20代・30代の看護師の方にとって魅力的な転職先です。
また、美容クリニックには比較的若い人が訪れる場所でもあるため、患者さまの年齢層に合わせたスタッフが多いです。
ただし、美容クリニックでは注射や点滴、レーザー施術などのスキルが求められ、サービス業の側面もあるため、スキルがなければ採用されないかもしれません。
公立施設や病院(公務員)
公務員として公立施設や病院で働くことは、20代・30代の看護師の方にとって魅力的な転職先のひとつです。
公務員の看護師は給与が安定しており、昇給や手当がしっかりと整備されているため、長期的に働きやすい環境が整っているためです。福利厚生や退職金制度も充実しており、若い看護師にとって将来的な安心感がある職場ともいえます。
また、公務員の看護師の受験資格に年齢制限があり、40歳を超えると応募が少なくなります。実際に、東京都中央区の受験資格は「昭和55年4月2日以降に生まれた方」とされています。
また、公務員の看護師のおもな勤務先は次のとおりです。
- 保健所や福祉センター
- 公立病院
- 公立の保育園や学校の保健室
- 市区町村の役場
- 刑務所内の医療施設
さらに、地域医療に貢献したり行政と連携して健康促進活動をおこなったりする機会が多く、社会的意義を感じながら働ける職場でもあります。
企業(治験コーディネーター)
治験とは、新薬や医療機器の効果と安全性を確認するための臨床試験のことです。治験コーディネーター(CRC)として、看護師の方は患者さまのケアだけでなく、医師や製薬会社との調整、データ管理など業務は多岐にわたります。
看護師の方の医療知識や経験を活かす場面が多いです。
さらに、これらの業務にはコミュニケーション力やマネジメントスキルが求められるため、看護師の方にとって成長の機会となります。
治験業界では基本的に「臨床経験1年以上」を採用の条件としており、できるだけ若いうちから業界に馴染んでもらい、将来的なリーダー業務を任せたいと考えているところもあります。
このように、20代・30代の看護師にとっては、治験業界は有利な選択肢となるでしょう。
40代・50代の看護師が目指すと有利になりやすい職場
次に、40代・50代の看護師が目指すと有利になりやすい職場を紹介します。
- 訪問看護ステーション
- 慢性期の病院
- 精神科の病院
- 介護施設・デイサービス
それぞれ有利になりやすい理由を理解して、実際の転職活動に役立ててください。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションは、40代・50代の看護師の方にとって有利な転職先として注目されています。
訪問看護では、臨床経験やコミュニケーション能力が活かされ、慢性疾患のケアや高齢者への対応において、経験豊富な看護師が求められやすいためです。
具体的には、糖尿病や心疾患、認知症の方へ個別的なケアをおこなうため、利用者さまの生活環境を理解しながら対応することが求められます。これまでのキャリアで多くの経験を積んだ40代・50代の看護師の方は、こうした場面でスキルを発揮しやすいです。
さらに、訪問看護ステーションの多くは夜勤業務がなく、身体への負担が少ないことも40代・50代の看護師の方にとって有利に働くでしょう。
慢性期の病院
慢性期の病院は、40代・50代の看護師の方にとって有利な転職先のひとつです。
急性期の病院と比べて、慢性期の病院の患者さまは病状が安定しているため、急変対応が少なく体力的な負担が軽減されるためです。
たとえば、糖尿病の長期的なケアや脳卒中後のリハビリテーションなど40代・50代の看護師の方は豊富な経験を活かしながら、力を注ぐことができます。
さらに、慢性期の病院でもチーム医療が重要視されており医師や薬剤師、リハビリテーションのスタッフなど多職種との連携が求められます。40代・50代の看護師は、コミュニケーション能力や調整力を活かして、チームの中心的存在として活躍できる場面が多くあります。
このように、慢性期の病院では豊富な経験を活かしながらケアを提供するため、40代・50代の看護師の方にとって、有利な選択肢であるといえるでしょう。
精神科の病院
精神科の病院では、患者さまとのコミュニケーションや信頼関係が重要です。そのため、人生経験の豊かさや対人スキルの高さを活かすことができる40代・50代の看護師の方が重宝されやすいです。
実際に、精神科は長期入院が多く、患者さまにじっくりと向き合う姿勢が求められるため、年齢を重ねた看護師の方の落ち着いた対応が高く評価されます。
また、精神科の病院は身体的な負担が比較的少ないことも、40代・50代にとって魅力です。
おむつ交換や車椅子への移乗などの身体的な介助よりも、心理的なサポートや精神的ケアが求められるため、40代・50代の看護師の方が能力を発揮しやすいです。
介護施設・デイサービス
介護施設やデイサービスは、40代・50代の看護師の方が転職を考える際に有利な選択肢となります。
これらの施設では、高齢者やそのご家族との信頼関係が重要であり、熟練の経験やコミュニケーション能力が活かされるためです。
また、日本看護協会の調査によると「介護保険施設・事業所」で働く看護師の方の割合は「25~29歳」で6.4%、年齢が上がるにつれ徐々に増え「55~59歳」で20.6%になります。
介護施設やデイサービスでは40代・50代の看護師の方が求められているといえます。これらの職場でスキルや知識を活かし、充実したキャリアを築くことができるでしょう。
看護師転職を成功させるポイント
ここでは、看護師の方が転職を成功させるポイントを紹介します。
- 20代の看護師
- 30代の看護師
- 40代の看護師
- 50代の看護師
それぞれのポイントを知って、転職を成功させましょう。
20代の看護師
20代の看護師の方が転職を成功させるためのポイントは、まず自己分析をおこない、自身の強みや興味を明確にすることです。
具体的には、スキルマップを作成したり、信頼できる先輩や同僚からフィードバックを受けたりする方法があります。この年代は柔軟性と適応力が高く、新しい環境への馴染みやすいため、自己理解を深めることで転職活動がよりスムーズに進むでしょう。
ただし、1年目や2年目での転職は、即戦力として採用が難しいため、転職先の選択肢が限られるかもしれません。このため、可能であれば3年目以降の転職を視野に入れて、経験を積むことが重要です。
こうした準備を整えることで、20代の看護師の方が転職を成功させる可能性が高まります。
30代の看護師
30代の看護師の方が転職を成功させるためには、まず自身のこれまでの経験を明らかにすることが重要です。
具体的には、転職支援のキャリアカウンセリングを受けたり、履歴書や職務経歴書を見直したりすることで、自身の経験やスキルを整理できます。「どのような職場環境で働いてきたのか」「将来の目標は何か」などを考えることで、自身の希望に合った転職先を見つけやすくなります。
また、業界動向を把握することも大事です。看護師の需要や新たな医療制度について情報収集するためには、業界関連のホームページをチェックしたり、セミナーに参加したりすることをおすすめします。
これにより、転職先で必要とされるスキルやトレンドを理解でき、自分をアピールする材料を増やせるでしょう。
40代の看護師
40代の看護師の方が転職を成功させるためには、戦略的なアプローチが重要です。
まず、自身の経験とスキルを棚卸しして、どのような職場環境が自分に合っているのかを明確にすることが大切です。具体的には、これまでのキャリアを振り返り、どのような状況で自分の力を発揮できたのか振り返ってみましょう。
次に、年齢を重ねてきたメリットをアピールすることが求められます。
患者さまとのコミュニケーション能力やチームワークのスキルは、若手看護師の方にはない強みです。
これらのスキルは、患者満足度の向上や業務の効率化に影響するため、面接の際に具体的な事例を交えてアピールすることが成功のカギです。
50代の看護師
50代の看護師の方が転職を成功させるためには、豊富な経験を活かすことができる職場選びが不可欠です。たとえば、ある診療科に特化した病院や訪問看護ステーション、あるいは管理職のポジションなどです。
50代ならではの冷静な判断力や後輩看護師の育成の経験といった強みを最大限アピールすることで、満足のいく転職を実現できるでしょう。
40代・50代の看護師が転職するときに注意したいポイント
ここでは、40代・50代の看護師の方が転職するときに注意したいポイントを解説します。
- 習得してきたスキルや経験を伝える
- 年齢を考慮した職場を選ぶ
- 求人サイトを活用する
それぞれのポイントを把握して、後悔のない転職を実現させましょう。
習得してきたスキルや経験を伝える
40代・50代の看護師の方が転職を検討する際には、自身が習得してきたスキルや経験を伝えることが重要です。
長年のキャリアにより、多様な医療現場での知識とスキルを得たことはアピールポイントになるためです。具体的には、次のポイントをおさえておくと良いです。
- 管理職としての経験
- 過去の実績や保有資格
- チーム医療における役割
- 患者さまとの関係構築のエピソード
これらのポイントをもとに、転職先でどのように貢献できるかを説明しましょう。
経験豊富な看護師としての価値を発揮できる職場を見つけることが、成功への第一歩です。
年齢を考慮した職場を選ぶ
40代・50代の看護師の方が転職を成功させるためには、年齢を考慮した職場選びが重要です。というのも、年齢にともう身体や心の変化を知り、自身に合った働き方ができる職場を見つけることが、長く働くためのヒントでもあるからです。
とくに、夜勤や長時間勤務が続き急変対応が多い急性期病院のように職場は体力的に厳しい場合があります。週休二日制やフレキシブルなシフトを導入している施設を選ぶことで、スキルを活かしながら仕事とプライベートのバランスを保つ働き方ができるでしょう。
求人サイトを活用する
40代・50代の看護師の方が転職を考える際、求人サイトの活用は非常に有効です。
自身の条件や希望に合った職場を効率的に見つけられるためです。
また、専任のキャリアアドバイザーに相談することもひとつの手です。年齢に応じたキャリアの積み方や転職で気をつけるべきポイントをアドバイスしてもらえます。
さらに、自身の想いをしっかり伝えることで、より良い求人を提案してもらえるでしょう。
訪問看護ステーションへの転職を希望する方は「NsPaceCareer」をぜひチェックしてみてください。訪問看護業界に特化した求人サイトであり、無料で登録できます。全国の豊富な求人から、あなたの条件にピッタリの職場を見つけられるでしょう。
看護師転職の年齢に関するQ&A
ここでは、よくある質問に回答します。
Q1:看護師で転職するのは何歳が多いですか?
日本看護協会の調査によると、求職者が最も多いのは「45~49歳」であり、その数は14,607名(2022年度)です。
この年代は、職場での経験を積みキャリアの見直しを考える時期とされているため、転職を希望する看護師が多いといえます。
さらに、同じ調査で2020年度と比べた2022年度の求職者数の推移は次のとおりです。
- 40代:1.2倍の増加
- 50代:1.45倍の増加
- 60代:1.6倍の増加
キャリアの多様性や働き方の変化にともない、自身に合った職場環境を求める看護師の方が増えていることを反映していると考えられます。
Q2:看護師は何歳まで就職できますか?
看護師の方の就職に年齢制限は、はっきりとは設けられていません。
多くの医療機関や施設は年齢よりも、スキルや経験、適性を重視して採用しているためです。
ただし、定年の年齢の関係で、雇用時に年齢を考慮した採用結果になる場合があります。
たとえば、定年が60歳の場合だと、雇用時に年齢が59歳では1年しか就業できないことになってしまうため、結果として不採用になるケースがあります。
就職したい求人の定年は何歳なのか、事前に確認し問い合わせてみると良いでしょう。
健康状態を考えながら自身の希望や条件に合った職場を見つけることが重要です。
まとめ
看護師の転職に年齢制限はなく、40代・50代でも新たな職場を目指せます。
60歳以上の求職就職率は最も高く、年齢を理由に応募を制限されることは少ないです。看護業界は慢性的な人手不足で、経験豊富な看護師の方が求められているためです。
ただし、定年の年齢を確認し、体力面や職場環境を考慮した上で自身に合った職場を選ばなければなりません。
そのため、40代・50代の看護師の方が転職を考える際は、管理職や指導的役割を活かしつつ、体力的な負担が軽い職場を選ぶことがポイントです。年齢による不安を抱えている方は、自分の強みや経験をアピールし、より良い職場環境を見つけましょう。
参考サイト・文献
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。