訪問看護は夜勤ではなくオンコールで対応!夜勤なしで働く4つのメリット
病院で夜勤がある勤務で働いているものの、自身の健康や生活リズム、子育ての時間確保のために夜勤なしの勤務を希望する看護師の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
訪問看護ステーションでは夜勤がないものの、オンコール対応がもとめられることが多いです。
この記事では、訪問看護ステーションの夜勤やオンコール事情、夜勤なしで働くメリットなど紹介します。さまざまな事情により夜勤を避けたいと考える看護師の方の悩みを解決できれば幸いです。
オンコールとは? 仕組みと業務内容を解説!
訪問看護ステーションの多くが、ご自宅で過ごす利用者さまの緊急時対応として、「オンコール」制度を導入しています。
病院に入院する患者さまは、夜間帯も看護師がラウンドし、必要時ケアを受けることができます。
一方、訪問看護では、利用者さまに夜間帯の定期的な訪問はせず、日中にまとめて対処して夜間はゆっくり休んで過ごせるようにスケジュールを組んでいます。
たとえば、9~18時が営業時間の訪問看護ステーションでは、18時~翌9時までの時間帯はオンコール対応となります。
オンコールは別名「緊急当番」「コール番」など様々な名前で呼ばれます。
基本的には、持ち回り制で月に複数回担当します。
緊急時用の専用携帯電話、もしくは専用スマホを持ち帰り、オンコール担当者は電話が鳴ったら応対し、必要時速やかに緊急訪問します。
たいていの場合、オンコール担当者は訪問看護ステーションの近隣に住んでおり、自宅で過ごしながら常時、電話をそばにおいて備えています。
訪問看護ステーションによっては、事業所内で寝泊まりができるよう環境を整えている場所もあります。
訪問看護ステーションの多くは夜勤ではなくオンコールで対応!
一般的に、訪問看護ステーションは夜勤ではなくオンコール体制が主流となっています。
先述した通り、多くの訪問看護ステーションでは、夜勤の代わりにオンコールで対応し、急な訪問が必要な際に対応する形です。看護師の方が日中の訪問業務をおこないながら、夜間は自宅で待機し、必要に応じて対応するといった柔軟な働き方を実現しています。
夜勤の業務と比べると、オンコール体制により看護師の方は身体的な負担を軽減でき、生活リズムを崩さずに働けます。
また、家庭との両立もしやすく、ワークライフバランスを整えやすい点が魅力です。
夜勤がある訪問看護師の仕事内容
訪問看護ステーションで「施設内訪問看護」という働き方の場合は夜勤をおこないます。
施設内訪問看護とは、施設で生活する入居者さまにケアをおこなったり、施設内で働くスタッフをサポートしたりする看護師のことです。具体的に、ケアする場所は次のとおりです。
- 住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- 特別養護老人ホーム
- グループホーム
- ケアハウス
一般的な訪問看護師の方とは、訪問先が異なります。施設内訪問看護は施設内に設けられた場所で待機しています。たとえば、1階に居宅介護支援事業所と訪問看護ステーションがあり、2階より上に入居者さまが暮らすスペースがあるというイメージです。
施設内訪問看護の方の仕事内容は、吸引や胃ろうの管理などの医療処置やバイタルサインのチェックなどがあります。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などでは、比較的自立した方が生活していますが、ときには急変時の対応が求められるケースもあります。施設内訪問看護についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
関連記事:施設内訪問看護とは?施設看護との違いや仕事内容について紹介
夜勤なしの訪問看護で働くメリット
ここでは、夜勤なしの訪問看護ステーションで働くメリットについてみていきます。
- 心身の負担が少ない
- 生活リズムが安定する
- 仕事とプライベートが両立しやすい
- 友人や家族との時間が確保できる
それぞれ4つのポイントを知って、転職する際に役立ててくださいね。
心身の負担が少ない
夜勤は生活リズムを崩しやすく、特に不規則なシフトが続くと、身体的な疲労や睡眠不足が積み重なりがちです。
しかし、先ほども紹介したように多くの訪問看護ステーションでは、オンコール対応が主流となっているため、夜勤がないことで精神的なストレスが軽減されます。
また、訪問看護師の方の業務は、利用者さまのご自宅に伺いケアをおこなうため、病棟勤務のようなモニターのアラーム音や、ナースコールがありません。基本的には、利用者さまと看護師の1対1のケアであり、看護師の方にとって落ち着いて看護をしやすい環境です。
心身のバランスを保ちながら、質の高いケアを提供したいと考える看護師の方にとって、訪問看護師は理想的な働き方と言えるでしょう。
生活リズムが安定する
病院での夜勤は昼夜が逆転しがちで、体内時計が乱れやすいです。
日本看護協会「2023 年 病院看護実態調査」によると、二交代制では平均で1回の夜勤で16.2時間(休憩時間を含む)働いていることが明らかにされました。
長時間働き続けることで心身の疲れが溜まりやすく、健康に悪影響を及ぼすことも少なくありません。
夜勤なしの勤務の場合は、看護師自身の生活リズムを整えられ、健康的な生活を送りながらキャリアアップできるでしょう。
仕事とプライベートが両立しやすい
夜勤がないことで、勤務時間が規則的になり、プライベートの予定も立てやすくなります。
とくに、訪問看護ステーションの業務は日中がメインとなるため、子育て中や家庭での時間を確保したい方、趣味や自分の時間を確保したい方にとって魅力的です。
オンコール体制での業務は「お酒が飲めないから飲み会には行けない」といった行動の制限があったり「いつかコールが鳴るかもしれない」と不安を感じたりするかもしれません。
ただし、夜勤をする心身の負担と比べると、オンコール体制は自宅で過ごせて、コールがなければ出勤しないため負担は少ないといえるでしょう。
転職を考える際には、夜勤なしの訪問看護ステーションを選ぶことで、生活の充実度を高められます。
友人や家族との時間が確保できる
訪問看護ステーションでの夜勤がない働き方は、友人や家族との時間をしっかり確保できる点がメリットです。
病院での夜勤勤務は不規則なシフトになりがちで、家族との食事や友人との予定が立てづらくなります。
しかし、訪問看護ステーションでは夜勤がないところが多いため、日中に働きながら夜は自宅で家族と過ごせます。
オンコール待機中でも、呼び出しがなければ自宅でゆっくりできるため、友人や家族とゆっくり過ごせるチャンスが増えます。
また、規則正しい生活リズムが保たれることで、週末や休日のプライベートの計画も立てやすいです。友人や家族との時間を持ちながら、充実した看護師のキャリアを続けたいと考える方に、訪問看護ステーションは最適な選択肢といえるでしょう。
夜勤なしの訪問看護ステーションで働くデメリット
夜勤なしの訪問看護ステーションで働くメリットがある一方で、デメリットもいくつかあります。
- 給料が下がることがある
- 求人の選択肢が少なくなる
それぞれのデメリットを確認して、後悔のない転職を実現させましょう。
給料が下がることがある
病院勤務の看護師の方は、夜勤手当がつくことで収入アップすることが一般的です。
具体的な夜勤手当の額については、次の表で確認してください。
勤務 | 手当の平均額 |
二交代制 | 1万1,368円 |
三交代制(準夜勤) | 4,234円 |
三交代制(深夜勤) | 5,199円 |
訪問看護ステーションの多くは夜勤がないため、夜勤手当がなくなり、その分給料が減る場合があります。たとえば、二交代制の病院では月に4.9回夜勤があるため、夜勤なしの場合は5万5,703円の夜勤手当がなくなります。
一方で、訪問看護ステーションではオンコール手当が支給されるものの、1回あたり1,000~3,000円未満のところが全体の65.2%です。
病院の夜勤と訪問看護ステーションのオンコールを比べると手当に差があるため、夜勤なしの訪問看護ステーションで働くと給料が下がる恐れがあります。
訪問看護ステーションでは日勤のみで働けるメリットがあるため、給料が下がるデメリット以上に働きやすさが魅力と感じられることが多くあります。
収入と働きやすさのバランスを見極めながら、訪問看護ステーションへの転職を検討することが重要です。
求人の選択肢が少なくなる
訪問看護で夜勤なしの働き方を選ぶ場合、デメリットのひとつとして求人の選択肢が少なくなるという点が挙げられます。
すべての訪問看護ステーションが、夜勤なしの体制を採用しているわけではないからです。実際に、夜勤なしの条件で求人を探すと、地域によっては求人が少なくなるリスクがあります。
さらに、夜勤なしで募集している訪問看護ステーションは、人気が高く競争率が上がることも予想されます。
その一方で、日本看護協会の調査によると、訪問看護ステーションの有効求人倍率は3.26倍であり人手不足の状況です。訪問看護ステーションによっては「初心者OK」「未経験者歓迎」として広く募集しているところもあります。
そのため、理想の働き方を追求するには、タイミングや地域を選んで転職活動を進めることが大切です。希望に合う職場を見つけるためには、求人情報を定期的にチェックして応募しましょう。
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夜勤なしの訪問看護ステーションで高収入を目指す方法
ここでは、夜勤なしの訪問看護ステーションで高収入を目指す方法を解説します。
- 手当の対象になる資格を取得する
- 役職を目指す
- 高収入が得られる訪問看護ステーションに転職する
それぞれのポイントを把握して、収入アップを目指しましょう。
手当の対象になる資格を取得する
訪問看護ステーションで夜勤なしでも高収入を目指すためのひとつの方法は、手当の対象になる資格を取得することです。
訪問看護ステーションでは、特定の専門的なスキルや資格を持っていることで、手当が支給される場合があります。なかには、賞与として支給されるところもあります。
たとえば、認定看護師や専門看護師などは、慢性疾患の管理や緩和ケアなどの分野で重要な役割を果たすため、高く評価される資格です。さらに、福祉用具専門相談員や介護支援専門員(ケアマネジャー)などの資格も重宝されるため、これらを取得することで手当が増えるケースもあります。
これらの資格は、夜勤をともなわない働き方でも高収入を実現する手段のひとつといえます。資格を活かして収入を増やすことは、仕事の幅を広げるだけでなく、キャリアのさらなる発展にもつながるでしょう。
訪問看護ステーションで収入アップに役立つ資格については、下記の記事で詳しく解説しているためぜひ参考にしてください。
役職を目指す
訪問看護ステーションで夜勤なしの勤務を選びながらも高収入を目指すには、役職を目指すことが有効な手段です。
訪問看護の現場では、通常の看護業務にくわえてマネジメントやプロジェクトの管理など、さまざまな役職があります。
たとえば、訪問看護ステーションの管理者や主任看護師などの役職は、スタッフの指導や訪問看護ステーションの運営を担当する重要なポジションです。これらの役職に就くことで、より高い給与や手当が得られることが多いです。
役職を目指すためには、経験を積むだけでなく、専門的な知識やリーダーシップスキルを身につけなければなりません。
転職を検討する際には、こうしたキャリアアップの機会も考慮に入れると良いでしょう。
高収入が得られる訪問看護ステーションに転職する
高収入が得られる訪問看護ステーションに転職することも、高収入を目指すに看護師の方には効率的です。
訪問看護ステーションの給料は、事業所の規模や地域、サービスの種類によって異なります。
大規模なステーションや医療機関と提携している訪問看護ステーションは、一般的に高い給与水準である傾向です。また、専門性の高いサービスを提供しているステーションでは、高度なケアや特定の疾患に対応するスキルが評価され、高収入が期待できます。
転職先を選ぶ際には、求人情報や訪問看護ステーションの評判をチェックすることが重要です。具体的には、スタッフの評価や給与の詳細、福利厚生の充実度を調べることで、自分の希望に合った高収入の求人を見つけられます。
また、面接時に業務内容や昇進の機会についても確認し、自分のキャリアプランや要件に合った職場を選ぶことが大切です。
まとめ
多くの訪問看護ステーションでは、夜勤の代わりにオンコール体制を採用しています。
これにより心身の負担を軽減しつつ、生活リズムの安定やプライベートとの両立が図りやすい働き方が可能です。
一方で、夜勤手当がなくなることで給料が下がることや夜勤なしの求人が少ないというデメリットも存在します。
そのため、自身の希望や条件に合った働き方を見つけるために、収入や働きやすさのバランスを検討することが大切です。
「訪問看護に転職して、生活が整った」「友人との旅行が計画しやすくなった」という看護師の方の声もあります。
訪問看護ステーションを見学したり、同行訪問に行ったりできる求人もあるため、気軽に自身の目で確かめてみてはいかがでしょうか。
参考サイト・文献
「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。