公務員看護師とは?5つのメリット・デメリットや年収を詳しく紹介

公開日:2024/09/19 更新日:2024/09/19
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「看護師って公務員になれるの?」「公務員看護師のメリットやデメリットを知りたい!」

公務員看護師は、給与や雇用が安定しているというイメージがあり、魅力を感じている看護師の方も多いでしょう。

ただし、公務員看護師になるメリットがあれば、デメリットや公務員看護師しかわからない苦労もあります。

この記事では、公務員看護師の概要やメリット・デメリット、年収事情について詳しく紹介します。公務員看護師に興味があるものの、実態がわからない方の悩みが解消できれば幸いです。

公務員看護師とは?

公務員看護師とは、国や市区町村が管轄する職場(国立病院や公立病院など)で働いている看護師の方のことです。ここでは、次の3つの種類にわけて解説します。

  • 国家公務員の看護師
  • 地方公務員の看護師
  • 準公務員(みなし公務員)の看護師

それぞれの特徴をみていきましょう。

国家公務員の看護師

国家公務員の看護師とは、国が管轄している病院や行政機関で働く看護師のことです。具体的には、次のような職場があります。

運営元職場
宮内庁宮内庁病院
防衛省自衛隊地区の病院、陸上自衛隊衛生部隊
法務省少年刑務所、刑務所、医療刑務所
厚生労働省国立病ハンセン病療養所、看護系技官(厚生労働省内)、検疫官(検疫所)

国家公務員の看護師には、国家公務員法によって勤務時間や給与、人事評価など守らなければならない規定があることを知っておきましょう。

国家公務員の看護師が病院で働く場合の仕事内容は、一般的な病院の看護師と同じです。

ただし、看護系技官や自衛隊で働くケースでは業務内容が異なるため、初めての業務に戸惑う方も少なくありません。

また、働くことができる職場は限られており求人数も少ないため、国家公務員の看護師は狭き問といえるでしょう。

地方公務員の看護師

地方公務員の看護師とは、地区町村が管轄する行政機関や病院、学校などで働く看護師のことです。具体的には、次のような職場があります。

  • 市役所の保健課
  • 都道府県や市区町村の病院・診療所
  • 保健所
  • 児童相談所
  • 精神保健福祉センター
  • 都道府県や市区町村の保育園や看護学校

公立病院のなかには、運営元が別の団体に委託したり県立病院機構という法人を設立して運営したりする場合もあります。

この運営元の職場で働く看護師の方は、次の見出しで解説する「準公務員の看護師」になります。

準公務員(みなし公務員)の看護師

公益法人や独立行政法人などが運営する病院で勤務する場合は、準公務員(みなし公務員)としての扱いになります。具体的には、次のような職場があります。

  • 国公立の大学病院
  • 国立(県立)病院機構の病院
  • 独立行政法人の病院
  • 赤十字病院
  • 済生会病院
  • JCHO病院
  • 労災病院

準公務員は、制度上は公務員ではありません。

公務員法により公務員に課されている義務(公務員がその職の信用を傷つける行為や政治的な行為など)は課されないのが一般的です。

ただし、準公務員の看護師の給与や福利厚生などは充実しているため、公務員と大きな差はないと感じる方もいるでしょう。

公務員看護師になるには?

ここでは、公務員看護師になるためのポイントを紹介します。

  • 公務員試験は必要ない
  • 年1回の一括採用のケースが多い
  • 求人サイトを活用するのがおすすめ

それぞれのポイントを把握して、公務員看護師を目指すときに役立ててくださいね。

公務員試験は必要ない

公務員看護師には、公務員試験は必要ありません。

官公庁や厚生労働省の採用情報によると、看護師としての経験やスキルを重視しており、採用面接や書類選考のみで採用が決まる場合もあります。

たとえば、厚生労働技官(係長級)の場合は「看護師経験7年以上」を条件としていたり、国立病院機構の場合は面接や小論文を試験内容としていたりします。

ただし、募集の条件は自治体や施設ごとに異なるため、求人情報やホームページで詳細を確認することが重要です。

年1回の一括採用のケースが多い

一般的に、公務員看護師の方の採用試験は、年1回のみの実施であり、そのときに一括採用するため、募集時期に合わせた準備が欠かせません。

この一括採用は、特定の時期に集中して募集がおこなわれる傾向があるため、採用人数や競争率がその年によって変動します。

さらに、応募期間が短いこともあるため、年度末や年度始めにホームページを確認して各自治体や施設の募集スケジュールをチェックしましょう。早めの情報収集を心がけてくださいね。

求人サイトを活用するのがおすすめ

公務員看護師の求人を効率よく見つけるには、求人サイトの活用がおすすめです。

というのも、自治体や病院、それぞれの情報をその都度確認しても、情報を十分にキャッチできない恐れがあるからです。

たとえば、気づいたら応募期間が過ぎていたり、勤務が忙しくて情報収集に時間を割けなかったりします。

求人サイトでは、募集情報が定期的に更新されており、最新の求人情報を一発で確認できます。

また、求人サイトによっては、希望する勤務地や勤務条件を指定して検索できる機能があるため、自分が希望する条件に沿った職場を見つけやすいです。

さらに、求人サイトでは非公開求人やエージェントサービスなどサイト独自のサービスが提供されており、自分では見つけられない求人情報を得られる可能性があります。

転職を考えている看護師の方にとって、求人サイトは欠かせないツールです。

公務員看護師の年収とは

次に、公務員看護師の方の年収について「月給」「ボーナス(賞与)」にわけて紹介します。それぞれを詳しくみていきましょう。

公務員看護師の月給

日本看護協会の調査によると、公務員看護師の月給は次のとおりです。

設置主体平均基本給与額平均税込給与総額
国立26万737円34万1,930円
公立26万8,189円34万863円
看護師の平均24万6,770円32万4,446円

参考:2022 年病院看護・助産実態調査 報告書|日本看護協会(勤続 10 年、31~32 歳、非管理職の看護師の月額給与)

看護師全体の平均税込給与総額と比べると、国立病院の看護師は1万7,484円、公立の看護師は1万6,417円それぞれ高い傾向です。

公務員看護師のボーナス

公務員看護師の方のボーナスは、官公庁からは公表されておりません。

それぞれの求人情報を調査した結果は次のとおりです。

  • 国立ハンセン病療養所(4大卒):年間で約110万700円
  • 静岡県立病院機構(4大卒):年間107万8,229円

年間のボーナスは100万円を超えるケースもあります。

ただし、所属する病院や条件などによってボーナスは異なるため、気になる勤務先がある方は求人情報やボームページで確認してみてください。

公務員看護師と民間の看護師との違い

公務員看護師と民間の看護師の違いは、次のとおりです。

  • 雇用の安定性
  • 福利厚生の充実度

雇用の安定性が公務員看護師の方の大きな特徴です。なぜなら、公務員看護師の方は、法律で守られており、解雇されにくいという状況はあるからです。

この雇用の安定性を求めて就職したり、安心感を得たりする看護師の方もいるでしょう。

また、福利厚生が充実しており、年金や休暇制度が整っているため、長期的なキャリアプランを立てやすいのも魅力です。

これらの違いを理解し、自分に合ったキャリアを選ぶことが大切です。

公務員看護師のメリット

ここでは、公務員看護師の方のメリットを紹介します。

  • 毎年昇給が見込める
  • 研修や教育体制が整っている
  • ボーナスや退職金が期待できる
  • 福利厚生が充実している
  • 休日が取りやすい

それぞれのメリットを知って、公務員看護師を目指すときの参考としてください。

毎年昇給が見込める

公務員看護師の方は法律に基づいた給与制度があり、年功序列により定期的に昇給がおこなわれます。

これにより、長期間勤務することで安定した収入の増加が期待できるため、将来の生活設計が立てやすくなります。

また、民間の看護師と比べても、給与が安定している傾向であるため、景気に左右されにくいのが特徴です。

たとえば、パートナーや子どもを養っている看護師の方や、安定した収入を希望する看護師の方にとって、公務員看護師は魅力的な選択肢となるでしょう。

研修や教育体制が整っている

公的な医療機関では研修プログラムが充実しており、定期的に研修や勉強会が開催されている傾向があります。

最新の医療知識やスキルを習得できる環境が整っており、看護師としてキャリアを積むうえで有利に働きます。

また、教育体制がしっかりしているため、経験が浅い看護師でも安心して成長できる環境があります。

サポート体制が整っていることで、キャリア形成が見込めるでしょう。

ボーナスや退職金が期待できる

民間に比べて、公務員看護師の方はボーナス支給が安定しているといわれています。

通常、年に2回(6月・12月)ボーナスが支給され一定額が保証されやすいため、家計が安定しやすいです。

また、退職金制度も充実しており、長期間働くことで高額な退職金を受け取れるでしょう。

こうした金銭面での安定がメリットであり、将来を見据えたキャリア選択として公務員看護師は有益です。

福利厚生が充実している

福利厚生の充実度も公務員看護師の方のメリットです。

たとえば、福岡県の公務員看護師は住宅手当や通勤手当のほかに、人間ドックやがん検診の補助を受けられたり、庁内の保育所を利用できたりします。

さらに、旅行やレジャーなどの幅広いメニューを割引価格で利用できます。

育児や介護に関する制度が充実しているため、家庭と仕事の両立がしやすく、長く働き続けられる環境が整っているといえるでしょう。

また、休暇制度も充実しており、有給休暇が取りやすいことや特別休暇が付与される機会が多いです。

こうした手厚い福利厚生は、働きやすさを支える重要な要素であり、公務員看護師としての魅力をさらに高めています。

休日が取りやすい

公務員看護師の方のメリットとして、休日が取りやすい点が挙げられます。

年次有給休暇だけでなく、特別休暇(夏季、結婚、不妊治療のための休暇など)やリフレッシュ休暇なども充実しており、心身のリフレッシュが図れる環境です。

これにより、ワークライフバランスを保ちながら働くことができ、家庭やプライベートの時間を大切にしたい看護師の方にとって大きな魅力となるでしょう。

公務員看護師のデメリット

ここでは、公務員看護師のデメリットをいくつか紹介します。

  • 失業しても失業保険がもらえない
  • 年功序列の雇用制度のところが多い
  • 副業やアルバイトが禁止されている
  • 設備が古いところがある         
  • 転勤の可能性がある

それぞれを押さえて転職したときに「転職しなければよかった…」「前の職場のほうが良かった…」などと後悔しないようにしましょう。

失業しても失業保険がもらえない

一般的に、公務員は雇用保険の対象外であるため、退職や解雇によって失業した場合でも、失業保険を受け取れません。これは、職務が安定しており、失業するリスクが低いとされているためです。

ただし、退職や転職を考える際には、この点が大きな負担となる場合があります。退職後に次の職を探す期間が長くなるケースでは、経済的な負担と不安が増すかもしれません。

こうした点を理解したうえでキャリアを検討することが重要です。

年功序列の雇用制度のところが多い

公務員の多くは、年齢や勤続年数にもとづいて昇進や給与が決まるため、能力や成果よりも経験年数が重視される傾向です。

このため、短期間での昇進や給与アップが難しい場合があり、成果を上げても昇進が遅れることがあります。

とくに、キャリアアップやスキルアップを望む方にとっては、モチベーションが低下する要因となることがあります。

キャリアアップを考える際には、こうした雇用制度の特性を理解し、長期的な視点で検討することが大事です。

副業やアルバイトが禁止されている

公務員は、規定により副業やアルバイトが基本的に認められていません。これにより、収入の増加が難しくなる場合があります。

給与が安定している一方で、経済的な余裕を求める看護師の方にとっては不便です。

たとえば、家計の補填や特別な支出がある場合でも副業を考えることができず、臨時でアルバイトに励むこともできません。

公務員看護師として働く際には、給与以外の収入源がないことを前提に、生活設計をしっかりとおこなうことが必要です。

設備が古いところがある

公務員看護師の方のデメリットには、設備が古いところがある点が挙げられます。

公立の医療機関では、予算の制約や建物の老朽化によって最新の医療機器や設備が導入されていなかったり、建物が建て替えていなかったりする場合があります。

このため、患者さまのケアやほかの業務において不便さを感じることがあるかもしれません。とくに、高性能な機器や新しい技術を活用したい看護師の方にとっては、キャリアの成長に影響を与えるでしょう。

公務員看護師としてのキャリアを考えるときには、設備の状態を確認して必要なサポートが得られる環境であるかどうかを見極めることが重要です。

転勤の可能性がある

公務員として勤務する場合は配属先が全国にあるため、転勤のリスクがあります。

また、地方の医療機関や公立病院で勤務する場合は、地域内での異動が繰り返しおこなわれることがあります。

このため、長期間同じ勤務地で働くことが難しく、生活の基盤を変える必要がある場合があります。人間関係を最初から築き、システムを覚え直すなどしなければなりません。

さらに、転勤にともなう生活環境の変化に家族がストレスを感じることもあります。

キャリアを考える際には、転勤の可能性について理解し、自分のライフスタイルや家族の想いに合わせて対応策を検討することが重要です。

まとめ

公務員看護師とは、国立病院や公立病院などの公的機関で働く看護師の方で、安定した給与と福利厚生が特徴です。

公務員看護師になるには、採用面接や書類選考、小論文などを通じて採用されることが多く、年1回の一括採用が一般的です。

月給とボーナスが安定しており、民間と比較しても充実した福利厚生が魅力ですが、失業保険の対象外や転勤の可能性も考えなければなりません。

興味がある看護師の方は、自分のキャリアに合った選択をするために、しっかりと情報を収集することが重要です。

参考サイト・文献

「公共サービス改革法」における民間事業者の義務等について|政府の行政改革 

採用情報・業務説明会|厚生労働省   

看護師・助産師|独立行政法人 国立病院機構 関東信越グループ 

国立ハンセン病療養所|厚生労働省 

Q 国家公務員を退職した場合、失業給付を受けることができますか。|国家公務員共済組合連合会  

公務員における副業・兼業の現状と課題|公益財団法人 東京市町村自治調査会 

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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