認定看護師の種類一覧とは?19分野の一覧と難易度を詳しく解説

公開日:2024/09/19 更新日:2024/09/19
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「看護師としてキャリアアップしたい」「認定看護師にはどのような専門分野があるの?」

このように考えたり悩んだりしている看護師の方も多いのではないでしょうか。本日はキャリアアップを目指す方のために、認定看護師の種類や専門分野、難易度などについて解説します。

本記事は「認定看護師になるメリット」や「認定看護師の種類」などを解説しているため、あなたの悩みを解決する手助けとなれば幸いです。

認定看護師とは?

認定看護師は「特定の看護分野において、熟練した看護知識とスキルを有する者」と認められた資格です。

医療現場で重要な役割を担っており、この資格を取得するためには一定の条件を満たさなければなりません。

認定看護師になるには

認定看護師になるための条件は以下のとおりです。

  • 看護師免許を所有している
  • 看護師免許を取得した後、通算で5年以上の実務研修を受けている(通算で3年以上は認定を受ける予定の特定の看護分野)
  • 認定看護師の教育機関での学習を修了している

認定看護師の養成機関で学習に必要な期間はおよそ半年〜1年です。また、教育課程を修了したあと「認定看護師認定審査」の筆記試験に合格しなければ資格を取得できません。

詳細は、資格を取得するまでの流れは以下の記事で解説しているのでご覧ください。

関連記事:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説

認定看護師の資格取得者の推移

認定看護師の制度がはじまったとき、専門分野は「救急看護」「創傷・オストミー・失禁(WOC)看護」のふたつでした。日本看護協会によると、当時の認定看護師の数は59人です。資格取得者の過去5年間の推移は、以下のとおりです。

年(西暦)認定看護師の数
2019年21,049人
2020年21,847人
2021年22,577人
2022年23,260人
2023年(12月)24,095人

参考:認定看護師|日本看護教会

現在は、専門分野も増えており2023年12月時点で「24095人」の認定看護師が日本看護教会に登録されています。

認定看護師の役割

認定看護師の方には、特定の分野での高度な知識とスキルがあり、医療現場で以下のような3つの重要な役割を担っています。

役割 詳細
実践 個人や家族などに熟練した看護知識やスキルを用いて質の高いケアをおこなう
指導 現場での実践を通して看護職へ指導をおこなう
相談 看護職などに対しコンサルテーションをおこなう

参考:認定看護師|日本看護教会

認定看護師の役割は、専門知識や技術を用いて患者さまへケアをおこなうだけではありません。

ほかにも看護職に「ケア方法の指導」「研修会や学習会を通して医療の最新知識の共有」「患者さまへの対応の相談」などをおこない、ケアの質の向上を図っています。

認定看護師と専門看護師との違い

認定看護師と専門看護師は、いずれも高度な専門知識を持つ看護職ですが、求められる役割やスキルにはいくつかの違いがあります。以下は主な相違点です。

項目 専門看護師 認定看護師
定義 ・特定の分野において専門的な知識と技術を持つケアの専門家 ・研究、教育など現場以外の活躍を期待 特定の分野における専門的な知識と技術を持つ看護師
役割 実践、相談、調整、倫理調整、教育、研究 実践・指導・相談
専門分野の種類 14分野 19分野(B課程)
受験する資格 ・看護師免許を所有 ・看護系大学院の修士課程を修了した者で、専門看護師における教育課程基準の所定の単位を取得 ・実務研修が通算で5年以上(5年のうち3年間以上は専門看護分野) ・看護師免許を所有 ・看護師免許を取得した後、通算で5年以上の実務研修(5年のうち通算で3年以上は特定の認定看護分野) ・分野ごとの認定看護師の教育機関における教育を修了
履修期間 およそ2年 およそ半年

参考:認定看護師専門看護師|日本看護教会

専門看護師の方には「実践・指導・相談」を含む6つの役割があります。それぞれ専門分野とする領域は異なり、ケアや医療の質向上に貢献しています。

また、日本看護協会の調査によると、それぞれの資格手当(毎月支払われる)は次のとおりです。

  • 専門看護師:11,279円
  • 認定看護師:8,530円

資格手当は、専門看護師の方のほうが高くなる傾向です。

専門看護師の方については以下の記事でも解説していますので、詳細はご確認ください。

参考記事:専門看護師とは?専門分野14個の種類や認定看護師との違いを解説!

認定看護師の種類の一覧

認定看護師の種類は「A課程」「B課程」で異なります。

医療ケアの需要が増大するなか、医師以外にも一定の医療行為を提供することが求められています。それにともない、2019年に認定看護師のカリキュラムが変更されました。

これまでの制度による認定を「A課程」、あたらしい制度に沿ったカリキュラムを「B課程」としています。それぞれの専門分野についてみていきましょう。

A課程の認定看護分野の21分野

これまでの制度であるA課程は、21の専門分野で構成されています。

  • 救急看護
  • 集中ケア
  • 緩和ケア
  • がん性疼痛看護
  • がん化学療法看護
  • 訪問看護
  • 不妊症看護
  • 透析看護
  • 摂食・嚥下障害看護
  • 小児救急看護
  • 脳卒中リハビリテーション看護
  • 慢性呼吸器疾患看護
  • 慢性心不全看護
  • 皮膚・排泄ケア
  • 感染管理
  • 糖尿病看護
  • 新生児集中ケア
  • 手術看護
  • 乳がん看護
  • 認知症看護
  • がん放射線療法看護

A課程においては養成機関による教育や認定審査も、2029年までに終了する予定です。

また、2029年までに従来の認定審査を受けて資格を取得している方は、そのまま資格更新(※)ができます。

※認定看護師は認定後5年ごとに更新審査が実施される

B課程の認定看護分野の19分野

B課程は、これまでのA課程を基準としつつ、医療の複雑化や高度化に対応できるように分野を統合したり、一部の名称を変更したりしました。結果として、以下の19分野となりました。

  • クリティカルケア
  • 緩和ケア
  • がん薬物療法看護
  • 在宅ケア
  • 生殖看護
  • 腎不全看護
  • 摂食嚥下障害看護
  • 小児プラマリケア
  • 脳卒中看護
  • 呼吸器疾患看護
  • 心不全看護
  • 皮膚・排泄ケア
  • 感染管理
  • 糖尿病看護
  • 新生児集中ケア
  • 手術看護
  • 乳がん看護
  • 認知症看護
  • がん放射線療法看護

統合や名称が変更されたのは以下の分野です。

【分野の統合】

変更前変更後
救急看護クリティカルケア
集中ケア
緩和ケア緩和ケア
がん性疼痛看護

【名称の変更】

変更前変更後
がん化学療法看護がん薬物治療法看護
訪問看護在宅ケ
不妊症看護生殖看護
摂食・嚥下障害看護摂食嚥下障害看護
小児救急看護小児プライマリケア
脳卒中リハビリテーション看護脳卒中看護
慢性呼吸器疾患看護呼吸器疾患看護
慢性心不全看護心不全看護

参考:認定看護師|日本看護教会

A課程になり、取得までの学習内容は追加されています。それぞれの違いについては後述します。

A課程とB課程の違いは「特定行為」の有無

A課程とB課程の違いは「特定行為」の有無です。

特定行為とは「特定行為研修」を修了した専門的な知識・スキルを身につけた看護師だけが、医師・歯科医師の手順書をもとに実施できる医療行為のことです。

学習内容も変わっており、A課程とB課程では具体的に以下のような違いがあります。

  A課程(これまでの制度) B課程(あたらしい制度)
教育機関 特定行為研修を考慮していない認定看護師の教育機関 ※2026年度で募集を終了予定 特定行為研修を考慮した認定看護師の教育機関
開講期間 6カ月以上1年以内 1年以内
方法 集合教育 集合教育 (eラーニング(オンライン)を含む)
時間数 600時間以上 ・800時間程度 ・特定行為研修を含む

参考:認定看護師|日本看護教会

なお、A課程を修了した認定看護師の資格を持つ方でも、特定行為にかかわる研修を追加で受講するとB課程の認定看護師として認定されます。

認定看護師の種類の難易度

認定看護師全体の合格率は、80〜90%台となっています。

実施年受験者数合格者数合格率
2019年1,496人1,329人88.8%
2018年1,480人1,293人87.4%
2017年1,671人1,478人88.5%
2016年1,765人1,626人92.1%
2015年1,882人1,763人93.7%

参考:認定看護師|日本資格取得支援 – Japan Qualifications Obtaining Support

具体的な認定分野ごとの合格率や難易度についてもみていきましょう。

A課程とB課程の種類における難易度の変化

A課程、B課程ともに認定看護師認定審査での試験は「筆記試験(マークシート方式・四肢択一)100分」となっています。

出題方式問題数配点出題範囲
問題1 客観式一般問題20問50点共通科目をふくめた各認定看護分野の教育基準カリキュラム
問題2 客観式状況設定問題20問100点
40問150点

参考:認定看護師|日本看護教会

A課程では、学習時間数が「600時間以上」だったことに対して、B課程は「800時間程度」となっています。カリキュラムに沿った出題となるため、難易度はより学習範囲が広いB課程の方が高くなると考えられるでしょう。

認定看護師を取得するメリット

「認定看護師の資格を取得するとどのように働けるようになるの?」「キャリアアップにつながるの?」など実際に周囲に資格取得者がいなければイメージがわきにくいでしょう実。

  • 給料アップが見込める
  • キャリアアップが期待できる
  • 周囲からの信頼が得られることで仕事へのモチベーションアップになる
  • 転職で有利になる可能性がある
  • 日勤での仕事が増えて生活リズムが整いやすくなる

それぞれのメリットをくわしくみていきましょう。

給料アップが見込める

認定看護師を取得することで、資格手当により給与があがる可能性があります。

日本看護協会の調査によると、認定看護師の方が働く41.2%の医療機関で資格手当があることがわかっています。資格手当の支給方法は病院ごとに異なっており、詳細は以下のとおりです。

【専門看護師・認定看護師資格手当の支給方法(複数回答)】

支給のタイミング割合平均額
毎月支払われる92.2%8,530円
賞与時に支払われる1.0%5万4,059円
資格取得時に一時金として0.3%23万8,125円
その他7.4%

参考:2022年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査|日本看護教会

92.2%が「毎月支払われる」としており、その平均支給額は「8,530円」です。計算すると年間の支給額は「102,360円」となります。

キャリアアップが期待できる

認定看護師の役割は、臨床現場でのケアの実践だけではなく、教育や指導などがふくまれています。

たとえば、看護職に向けたセミナーの開催や勉強会での最新医療の知識の共有、ケアの実践など教育をおこなっています。

病院や施設によってはクリニカルラダーや昇進制度に関係する可能性もあり、キャリアアップが期待できるでしょう。

さらに、病院によっては看護師教育プログラムの運営や教育機関での講師など医療機関のケアの質向上をはかる役割も果たします。こうした活動を通して今後のキャリアアップの道が開けることも考えられます。

周囲からの信頼が得られることで仕事へのモチベーションアップになる

認定看護師としての活動は周囲からの信頼につながり、仕事へのモチベーションのきっかけになるでしょう。

実際に「認定看護師の方は相談しやすくてケアの方法がわかるからありがたい」「相談すると、患者さまにより良いケアができるようになった」などの声が聞かれます。

認定看護師の活動の幅は広く、病院内外を問わずさまざま場所での活躍が期待されています。認定看護師の実績として認められる活動例は以下のとおりです。

  • 看護学生への講義
  • 院内教育・研修プログラムの担当、指導
  • 病院外での看護職や、一般市民への指導や社会活動

こうした活動は、普段の仕事では得られない刺激や、さまざまな人とつながる機会となります。結果として、周囲の信頼やモチベーションのきっかけになるでしょう

転職で有利になる可能性がある

認定看護師の資格を取得することは、転職活動において大きなアドバンテージとなります。以下は、認定看護師が転職で有利になる理由です。

●信頼性の向上

●キャリアの幅が広がる

●さまざまな医療機関での需要

高度な専門知識や技術を持つことが資格で証明されているため信頼性が高まり、さまざまな医療機関や福祉施設から求められることが考えられます。

また、専門分野でのケアの実践経験や教育の経験は、キャリアの選択肢にもつながります。

たとえば、教育機関での看護教育にたずさわる道や、管理職をはじめとしたマネジメントに関するポジションへ転職などです。資格を活かして、臨床現場だけでなく教育やマネジメントにも挑戦できる可能性があります。

近年では、専門分野に特化した訪問看護ステーションが注目されています。小児看護や精神科看護などに特化しており、専門的なケアを提供しています。

自分のスキルやキャリアアップに合った訪問看護ステーションを探したい看護師の方は、以下のサイトがおすすめです。ぜひ気軽に求人情報を確認してみてください。

関連記事:NsPaceCareer

日勤での仕事が増えて生活リズムが整いやすくなる

認定看護師は、専門的な知識と技術を活かして患者さまをサポートするだけでなく、教育や指導、チーム内でのリーダーシップを発揮することが求められます。

こうした役割は、日勤帯で行われることが多いため、夜勤が減ることが考えられます。日勤中心のスケジュールになることで規則正しい生活リズムを確立しやすくなるでしょう。

まとめ

認定看護師について「認定看護師になるメリット」や「認定看護師の種類」などを解説しました。

認定看護師は「特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する者」と認められた看護師です。

取得するためには、看護師として臨床経験が必要でありキャリアアップするために取得を考えている方も多いでしょう。

取得方法の詳細は、以下の記事で解説していますので気になる方はそちらをご覧ください。

 関連記事:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説

参考サイト・文献

認定看護師|日本看護協会

「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する 評価・処遇に関する調査」報告書|日本看護協会

認定看護師|日本資格取得支援 – Japan Qualifications Obtaining Support

第30回(令和4年)認定看護師認定審査結果について|北海道医療大学

認定看護師教育課程(B課程)|学校法人川崎学園

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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