看護師が転職後1ヶ月で辞めるのは可能?辞める手順と辞めるべき5つの職場

公開日:2024/08/23 更新日:2024/08/23
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「転職して1ヶ月しか経たないけど退職できるの?」「転職後1ヶ月で辞めたほうが良い職場の特徴を知りたい!」

このように悩みを抱えている看護師の方もいらっしゃるでしょう。

看護師の方が転職して、1ヶ月という短い期間で退職することは珍しくありません。

ただし、勢いで退職すると後悔する恐れがあるため、離職すべきか慎重に考えることが大切です。

この記事では、転職した看護師が1ヶ月で辞められるのか、どのような職場は辞めるべきなのかなどを紹介します。転職の失敗を繰り返さないようにするコツも紹介するため、ぜひ参考にしてくださいね。

看護師が転職後1ヶ月で辞めるのは可能?

看護師の方が転職後1ヶ月で辞めることは可能です。

「転職しなければよかった…」「この職場から早く逃げ出したい…」など慣れない職場環境や思い描いていた仕事と違うと感じることは、一定数の看護師の方が経験することです。

民法627条によると法律上、退職を希望する日の2週間前に申し出ることで退職できます。これは正社員でもパートタイムでも同じです。

ただし、実際には職場の状況や業務の引き継ぎを考えて、退職を希望する2~3か月前くらいに申し出ましょう。

病院側も人員配置を調整しなければならなかったり、同じ病棟内の看護師が辞めた場合はその分の仕事量をカバーしたりしなければないからです。

また、病院の就業規則にも「退職を希望する場合は◯◯日前までに申し出ること」といった取り決めがある可能性があります。

たとえば、就業規則に「退職を希望する場合は3か月前に申し出ること」と規定されていると、希望日に退職できないケースもあります。

そのため、一度就業規則を確認して、自分のケースに当てはまるのかチェックしておきましょう。

看護師が転職後1ヶ月で辞めるまでの手順

転職後1ヶ月で辞める場合は、適切な手順を踏むことで円滑に退職できるでしょう。以下の手順を参考にしてください。

  1. 退職する理由を明らかにする
  2. 看護師長に報告する
  3. 人事部に報告する
  4. 退職の手続きをおこなう

できるだけ早めに直属の上司に口頭で退職の意思を伝えて、就業規則に沿って適切な手続きを進めましょう。

厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」の調査によると、看護師・准看護師の有効求人倍率は2.2倍であり、看護の現場は人手不足と言えます。

そのため、後任者への引き継ぎと業務や人員の調整にも配慮することを忘れないようにしましょう。

看護師が転職後1ヶ月で辞めるべき5つの職場

次に、看護師の方が転職後1か月で辞めるべき職場の特徴を紹介します。

  • 心身の体調を崩した
  • 職場でいじめにあった
  • 職場でパワハラやセクハラを受けた
  • 応募時の待遇に大きな違いがあった
  • スキルアップする機会がなかった

転職先がこの特徴に当てはまる場合は、退職を前向きに検討しましょう。

また、訪問看護業界に特化した転職サイトであるNsPace Career(ナースペースキャリア)が転職後に抱くギャップについて独自調査したレポートもあるので参考にしてみてください。

関連記事:訪問看護転職調査レポート:訪問看護師が職場環境に抱くギャップとは?

心身の体調を崩した

転職後1ヶ月で心身の体調を崩してしまった看護師の方は、その職場を辞めることを真剣に考えるべきです。

看護業務は高いストレスや重労働をともない体調不良や精神的な疲れが生じやすく、無理を続けることは、自分の健康をさらに悪化させるリスクが大きいからです。

厚生労働省の「精神障害に関する事案の労災補償状況」によると、令和5年度の精神障害の請求件数は保健師・助産師・看護師で224件(前年比+53件)とされています。

全職種のなかで2番目の多さであり、心の病気に悩む看護師の方は多いことが分かります。

とくに、転職直後は新しい環境に適応できず、精神的に不調をきたしやすい時期でもあります。

さらに、夜勤や時間外勤務などの長時間の勤務により、看護師の方は身体の不調も訴えやすいです。

そのため、体調管理に注意して、不調を感じた際には病院を受診して早めに対処しましょう。

職場に不調を訴えにくい場合は、病院で診断書をもらうことも一手です。

職場でいじめにあった

いじめが発生している職場は、看護師の方が転職後1ヶ月で辞めるべき特徴の一つです。

いじめは、職場での精神的な負担を増大させ、健康や仕事のパフォーマンスに深刻な影響を及ぼすからです。

実際に、いじめや人間関係で悩んでいるといった声は聞きます。とくに、新しい職場では、周囲のスタッフとの関係がまだ浅いため、孤立感が強くなることもあるかもしれません。

これがいじめによって悪化すると、日々の業務に支障をきたし、心身の健康を害される可能性が高くなります。

このような状況に直面した場合は、まずは上司や人事部門に相談することが重要です。

問題が解決されない場合は、自分の健康と安全を守るために早期の退職も検討しましょう。

職場でパワハラやセクハラを受けた

看護師の方が転職後1ヶ月で辞めるべき職場の一つに、パワハラやセクハラが横行している環境があります。

これらのハラスメントは、看護部門の上司や医師、同僚に加えて患者さまから受けるケースがあり、精神的なダメージを与え、職場全体の雰囲気を悪くするでしょう。

日本医療労働組合連合会「医療労働」によるハラスメントを受けた経験がある看護師の割合は、次のとおりです。

  • セクハラ:15.0%(よくある1.0%、ときどきある14.0%)
  • パワハラ:34.5%(よくある6.1%、ときどきある28.4%)

パワハラやセクハラは、決して許容されるものではありません。

もし職場でこれらの行為を受けた場合は、すぐに上司や人事部に相談し、対応を求めるべきです。

しかし、相談しても改善が見られない場合や逆に嫌がらせを受けるリスクがあるときは、退職を検討するのが賢明です。必要に応じて、労働基準監督署への相談も視野に入れて、自分の健康と安全を考えましょう。

応募時の待遇に大きな違いがあった

応募時に提示された待遇と実際の待遇に大きな違いがある場合は、転職後1か月で辞めるべき職場と言えます。

具体的には、以下のような条件が異なるケースがあります。

  • 給与
  • 労働時間
  • 休日の数
  • 福利厚生

これらの条件は、長期的に働くうえで重要な要素です。実際の待遇が異なる場合、信頼関係が損なわれ、働く意欲を大きく削ぐ原因となります。

このようなケースでは、まず上司や人事担当者に事実を確認し、改善を求めましょう。

しかし、対応が不十分だったり、改善の見込みがなかったりする場合は、早期に転職を検討することが重要です。

条件が違うまま働き続けることは、ストレスを増大させキャリアの妨げにもなりかねません。

スキルアップする機会がなかった

転職するとき、多くの看護師の方は新しい環境でのスキルアップを期待します。

ですが、入職後に教育制度が整っていなかったり、キャリアアップの機会が提供されなかったりする職場もあります。このような環境では、成長が見込めないばかりか「こんなはずではなかった…」「もっと成長できると思ったのに…」などとモチベーションの低下にもつながりかねません。

とくに、新しい技術や知識を学びたいと考えている看護師にとっては、スキルアップのチャンスがない職場は、大きなストレス源となるでしょう。

このような場合は、まず上司や人事担当者に相談し、スキルアップの機会が得られる方法を探ることが重要です。それでも改善が見られない場合、キャリア形成の観点からも、早期の転職を検討した方が良いでしょう。

看護師が転職後1ヶ月で辞めることを後悔するケース

ここでは、看護師の方が転職後1か月で辞めることを後悔するケースを紹介します。

  • 新しい仕事を覚えられない
  • 看護師とうまく馴染めないと感じる
  • やりがいを感じられない
  • 採用前の面接で聞いていた待遇と違うと感じる

転職後に退職せずに留まった方が良いケースもあるため、退職を検討している看護師の方はぜひ参考にしてください。

新しい仕事を覚えられない

新しい職場の仕事を覚えることに苦労し、1ヶ月で辞めたくなることは少なくありません。

しかし、この理由で退職すると後悔する可能性があります。

焦って辞める前に、もう少し時間をかけて慣れる努力をすることが大切です。仕事の内容が大きく変わった場合、戸惑うのは当然です。

自分が劣っているわけではなく、誰にでも起こりうることだと理解しましょう。

1ヶ月という短い期間では、まだ自分の適応力や可能性を十分に発揮できていないかもしれません。辞める決断を下す前に、まずは周囲の先輩や同僚に質問したり、マニュアルを見直したりするなどの具体的なサポートを積極的に活用しましょう。

これにより、後悔せずに新しい職場に適応できる可能性が高まります。

看護師とうまく馴染めないと感じる

転職後、同僚の看護師とうまく馴染めないと感じ、1ヶ月で辞めたくなることがあります。

しかし、職場での人間関係は時間とともに築かれるものであるため、退職は待った方が良いでしょう。

最初のうちはお互いの性格や仕事の進め方などに慣れていないため、孤立感を覚えることもあります。

まずは積極的にコミュニケーションを取り、相手を理解したうえで自分を理解してもらう努力をすることが重要です。

時間が経つにつれ信頼関係が築かれ、働きやすさも改善される可能性があります。

やりがいを感じられない

転職後、やりがいを感じられず退職を考えているときも、退職を控えた方が無難です。

やりがいはすぐに見つかるものではなく、新しい環境や業務に慣れてからようやく感じるものです。

たとえば、患者さまの笑顔を見たり回復を実感したりする瞬間、新しいスキルを習得する過程など、自分がやりがいを感じることを新しい職場で得られるかどうかを見極めることが重要です。

焦らず、少し時間をかけて職場や役割に馴染んでいくことで、新たなやりがいが見つかるかもしれません。

下記の記事では、転職を後悔する理由について詳しく解説しています。後悔しないようにするためのポイントもあるため、退職を決める前に読んでみてください。

関連記事:看護師が転職を後悔する理由7選!後悔しない転職実現のポイントを解説

看護師が転職後1ヶ月で辞める前にすべきこと

看護師の方が転職後1か月で辞めたいと感じたとき、トラブルなく退職するためにすべきことを紹介します。

  • 辞める前に次の職場を探す
  • 再就職の面接ではネガティブなことは言わない
  • 転職後慣れるまでに時間がかかることを知っておく
  • 退職後に再就職先がすぐに決まるとは限らないことを念頭に置く

これらのポイントをおさえて退職や次の職場への転職をスムーズに進めましょう。

辞める前に次の職場を探す

看護師が転職後1ヶ月で辞める決断をした場合、退職する前に次の職場を探すことは重要です。

というのも、次の職場が決まらないうちに退職すると、無職となり収入が途絶える恐れがあるからです。経済的な余裕がなくなることで焦ってしまい、希望に沿わない転職先を決めるかもしれません。

在職中であれば、生活できなくなるリスクがないため、気持ちの面でも余裕を持って転職活動を進められるでしょう。

再就職の面接ではネガティブなことは言わない

再就職の面接を受ける際には、前職のネガティブな情報を話すことは避けるべきです。

前職の職場環境や同僚の悪口を言うと、採用担当者があなたはプロ意識が低いと感じたり、問題解決能力がないと疑われたりする可能性があるからです。さらには、人間性にも疑問を持たれ、良い印象を与えられません。

代わりに、前職での経験から学んだことや、改善したい点をポジティブに伝えることが大切です。「前職で◯◯を学んだから、新しい職場でも活かしたい」「◯◯に取り組みたい」という前向きな姿勢を示すことで、次の職場でも評価されやすくなります。

関連記事では、面接に受かる人の特徴や不採用になる看護師の方との違いを解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

関連記事:看護師の面接に受かる人ってどんな人?受かる人の特徴や不採用になる看護師との違いも比較! 

転職後慣れるまでに時間がかかることを知っておく

転職先で慣れるまでに時間がかかることを理解しておくことが大切です。

新しい職場環境や仕事の進め方には、一定の適応期間が必要です。とくに、最初の1ヶ月はストレスや不安を感じることが多いかもしれませんが、これは新しい環境に慣れるための自然な過程と言えます。

職場に慣れる努力をすることで、徐々に仕事の効率も改善して良い結果を出せるかもしれません。

短期間で辞める決断をする前に、適応期間が必要であることを知っておくことが、後悔しない転職のカギです。

退職後に再就職先がすぐに決まるとは限らないことを念頭に置く

退職後に再就職先がすぐに決まるとは限らないことを念頭に置くことが不可欠です。

条件に合った求人がすぐに見つかるとは限らず、数週間から数ヶ月の期間が必要になることもあります。

このため、退職後の生活費や再就職までの時間を計画的に準備することが大切です。

関連記事:新人看護師は転職できるの?1年目で退職する理由5つと転職成功のコツ 

看護師が転職後1ヶ月で辞めることを繰り返さないようにする対策

ここでは、看護師が短期間での退職や転職を繰り返さないようにするための対策を紹介します。

  • 退職する理由を明らかにする
  • 転職先を決める際の優先順位を決める
  • 転職の面接で自分にできること・できないことを伝える
  • 求人サイトを活用する

それぞれの対策を知って、より良い転職を実現しましょう。

退職する理由を明らかにする

看護師が短期間での退職や転職を繰り返さないためには、退職する理由を明らかにすることが大事です。

まず、前職を辞めた理由と新しい職場での問題点を詳しく分析しましょう。

このとき、リストを作成すると考えが整理しやすくなります。

具体的には、職場環境の不満やキャリアアップの不足、業務内容の不一致などが挙げられます。

これらの理由を明らかにして、次の職場選びで同じ問題が起こらないようにすることで、長期的なキャリア形成が可能になります。また、自分の転職先への期待や要望を整理することで納得のいく選択ができるでしょう。

転職先を決める際の優先順位を決める

転職先選びの際に優先順位を明確にすることが重要です。

自分のキャリア目標や生活のニーズに合った職場を選ぶために、優先すべき条件をリストアップしましょう。

たとえば、以下のような条件が考えられます。

  • 勤務時間
  • 給与
  • キャリアアップの機会
  • 職場の雰囲気

リストアップした条件をもとに、それぞれの重要度を点数化したり、順位付けしたりして、自分にとって最も価値のある条件が何かを明らかにしてください。

このプロセスにより、選択肢が絞られ、転職先に対する期待と実際の環境とのギャップを最小限におさええられます。

また、事前に職場の雰囲気を把握するための情報収集をおこうことで、より納得のいく転職が実現できるでしょう。

転職の面接で自分にできること・できないことを伝える

転職の面接では、自分の得意分野と苦手分野を正直に伝えることが重要です。

自己紹介や質問に対する回答のなかで、自分のスキルや経験を具体的に説明し、自分がどのような業務に強みを持ち、どの分野で支援が必要かを明示することでミスマッチを防げるからです。

たとえば「急性期の看護に自信があるが、長期的な患者ケアが苦手」「清潔ケアは得意であるが、急変時にはうまく対応できない」といった具体的な情報を提供すると良いでしょう。これにより、職場が求めるスキルと自分の適性が一致しやすくなり、入職後の適応期間を短縮できます。

さらに、面接で「適している業務内容が何か」を再確認することで、期待と実際の業務内容にギャップが生まれるリスクを減らせるため、長期的な勤務が可能になるでしょう。

求人サイトを活用する

看護師が転職後1ヶ月で辞めることを繰り返さないためには、求人サイトの活用がカギです。

求人サイトを利用することで、職場の詳細な情報やレビューを確認できます。職場環境や待遇が自分の希望と合致しているかを事前にチェックすることが可能です。

求人サイトには、職場の特徴や求めるスキルなどが詳しく掲載されており、自分の適性に合った職場を見つけやすいです。

情報を集めて転職先を慎重に検討することで、転職の成功率を高めることができるでしょう。

まとめ

看護師の方は転職後1か月で退職できます。

法律上は問題ありませんが、病院側がスムーズに人員や業務の調整ができるように早めに申し出るようにしましょう。

退職する理由を明らかにしたり、転職先を決める際の優先順位を決めたりすることで、自己分析をすることができ短期間で転職を繰り返さなくて済みます。

この記事を参考にして、円満に退職して、次の転職を成功させましょう。

参考サイト・文献

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)第六百二十七条」|e-Gov法令検索

看護師等(看護職員)の確保を巡る状況|厚生労働省

精神障害の労災補償状況|厚生労働省

医療労働|日本医療労働組合連合会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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