看護師の病院選びの決め手15選!病院選びで失敗しないコツも詳しく紹介

公開日:2024/08/21 更新日:2024/08/21
記事サムネイル画像

看護師の方にとって職場選びは、とても重要です。

ただし、数ある病院や施設のなかから、転職先を選ぶことに悩んでいる看護師の方は多いでしょう。

この記事では、転職するときに自分に合った職場を選ぶポイントや失敗しないコツを詳しく紹介します。転職するときの病院選びで悩むあなたの不安を解消するきっかけになれれば幸いです。

看護師の病院選びの決め手15選

まずは、看護師の方の病院選びの決め手を15個紹介します。

  1. 運営母体
  2. 病院の種類や機能
  3. 看護師の配属先
  4. 看護師の教育体制
  5. 看護師の勤務形態
  6. 看護師の給料
  7. 看護師の休暇
  8. 看護師の福利厚生
  9. 看護提供方式
  10. 看護師の離職率
  11. 病棟の雰囲気や人間関係
  12. 復職への支援体制
  13. 勤務地やアクセス
  14. 居住地域
  15. 患者さまからの評判や口コミ

キャリアアップや興味がある分野の業務などによって病院を選ぶ基準は異なります。病院の求人情報で確認すべきポイントがわからない看護師の方は、この15個のポイントをチェックしてみてくださいね。

1.運営母体

転職を検討している看護師の方にとって、運営母体を知っておくことは重要です。国立や公立、医療法人など運営母体によって、病院の特徴が異なるからです。

病院の特徴は、以下の表を参考にしてください。

運営母体 特徴
国立病院 ・国立病院機構の病院ネットワークを活かした医療の提供 ・豊富な症例数を活かした臨床研究や治験 ・看護師の多くは国家公務員や準公務員として勤務
公立病院 ・民間病院の立地が難しいへき地での医療の提供 ・救急や小児、周産期など不採算な部門の医療の提供 ・看護師の多くは地方公務員として勤務
大学病院 ・将来の医療を担う医療スタッフの育成 ・地域における中核病院として質の高い医療の提供 ・新しい医療技術の研究や開発
公的病院 ・厚生労働省が定めた公的な団体が運営している病院(日本赤十字社や国家公務員共済組合連合会など) ・医療だけではなく保健や予防、医療スタッフの育成の役割
一般病院 ・医療法人や社会福祉法人などが運営 ・病床数は20床以上と定義

病院の運営母体によって規模や対応できる診療科が違います。おこなっている医療やケアなどが異なるため、それぞれの特徴を理解しておくことは大事です。

2.病院の種類や機能

病院の種類や機能によっても、どのような医療を提供しているのか、どのような役割があるのかなど異なります。

病院の機能 特徴
一般病院 クリニックでは対応できない検査や治療を担う
特定機能病院 ・高度な医療の提供や医療技術の開発、医療に関する研修を実施 ・ほかの病院や診療所から紹介された患者さまに対して医療を提供 ・病床数は400床以上
地域医療支援病院 ・都道府県知事がそれぞれ承認 ・かかりつけ医や歯科医を支援 ・地域の医療スタッフに対する研修を実施

参考元: 医療施設の類型|厚生労働省特定機能病院について|厚生労働省地域医療支援病院について|厚生労働省をもとに作成。

病院の機能によって、看護師の方の役割も変わります。専門性の高い領域や急性期の医療を学びたい看護師の方は、特定機能病院への転職を検討しましょう。

一方で、患者さま一人ひとりとじっくり向き合いたい看護師の方は、一般病院を選ぶと良いかもしれません。

また、救急指定の分類により、患者さまの重症度や緊急性、提供する医療などで違いがあります。救急医療への転職を検討している看護師の方は、以下の表を参照してください。

救命救急医療の区分 特徴
第一次救急医療 ・地方自治体が整備する急患センターで休日や夜間、軽症の救急患者を受け入れ ・「休日夜間急患センター」「在宅当番医制」などの方法で対応
第二次救急医療 ・入院治療を必要とする重症の救急患者を受け入れ ・「病院群輪番制」「共同利用型病院」などの方法で対応
第三次救急医療 ・救急医療のなかで最も重篤な救急患者を24時間体制で受け入れ ・「救命救急センター」「高度救命救急センター」などの方法で対応

参考:救急医療について|厚生労働省

救命救急センターと一言で言っても、救命救急医療の区分により患者さまの重症度に差があります。

広範囲の熱傷や指肢切断、急性中毒などの症例を学びたい、もしくはドクターヘリで経験を積みたい看護師の方は第三次救急医療の病院を選びましょう。

3.看護師の配属先

看護師の方の配属先は、本人の希望や適正、職場の事情などをもとに人事部と看護部が話し合ったうえで決まります。

そのため、配属先の希望が通らないこともあります。

配属先は看護師の方の長期的なキャリア形成にも影響するため、インターンシップに参加して希望する配属先を複数考えておくと良いでしょう。

4.看護師の教育体制

転職を検討している看護師の方にとって、病院の教育体制は重要な決め手の一つです。

看護師としての成長を支える環境がある病院は、長期的に見て安心して働ける場所となるからです。

教育体制が整っている病院には、次のような教育体制があります。

  • 新人看護師向けのオリエンテーションプログラム
  • プリセプター制度
  • 継続教育プログラム

こういったプログラムや教育制度が充実していれば、キャリアアップやスキル向上の機会が豊富に提供されていると言えます。

また、専門看護師や認定看護師を目指すための支援体制が整っている病院も魅力的です。

5.看護師の勤務形態

自分のライフスタイルや家庭の状況に合った勤務形態の病院を選ぶことが大切です。看護師の方の勤務形態は以下のようにさまざまです。

  • 日勤のみ
  • 2交代制、3交代制
  • 夜勤専従
  • シフト制

看護師の方の働きやすさを重視する病院では、ワークライフバランスを尊重し、長時間労働の防止や職場のサポート体制が整っています。

これにより、心身の健康を維持しながら働くことが可能です。転職先を選ぶ際には、実際の勤務状況や看護師の方の意見を参考にして、自分に最適な勤務形態を提供する病院を見つけましょう。

6.看護師の給料

転職を考える看護師の方にとって、安定した生活を送ったり仕事へのモチベーションを維持したりするために給料は必須と言えます。

基本給だけでなく、夜勤手当や残業手当などの各種手当やボーナスなども含めた給与体系の確認が必要です。

さらに、昇給のタイミングや昇給率も大切です。

病院によっては、スキルアップや資格取得による昇給制度が整っている場合もあります。

実際の給与形態はホームページをチェックしたり、面接のときに確認したりしましょう。看護師の方の給料が高い病院の特徴は、下記の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。

関連記事:看護師の給料が高い病院の特徴とは?看護師が収入をアップさせるための方法と注意点について

7.看護師の休暇

転職を検討している看護師にとって、休暇制度や産休育休制度など待遇の良さは選択基準の一つです。

2019年における調査によると、年次有給休暇の取得率は全職業が56.3%であるのに対して、看護師は60.5%とやや高くなっています。

ただし、働いている病院によって取得率にはバラつきがあるため、年次有給休暇の取得率や年間休日数を確認し、しっかり休める環境かどうかを見極めてください。

また、看護師は女性が多い仕事ですので、産休・育休制度の充実度や取得率も確認しておくと良いでしょう。

男性看護師の方は、育休取得が可能か確認しておきましょう。

8.福利厚生

福利厚生は、働きやすさに影響を与えます。

近年では、福利厚生を外注して様々なサービスが受けられるような契約をしているところもあります。

たとえば、以下のようなサービスが受けられます。

  • 宿泊補助費を年間5000円支給
  • 映画や施設入館料を20%割引
  • リラクゼーションやレジャー費を10%割引
  • 結婚、出産祝い金をそれぞれ3万円支給

そのほか、職員食堂や図書館の有無も快適な職場環境の一部です。これらの待遇が整っている病院は、働きやすさを感じられ長く勤められるでしょう。

9.看護提供方式

看護提供方式には、以下の対応があり看護師の方によって合う・合わないがあります。

  • チームナーシング
  • プライマリーナーシング
  • 機能別看護

それぞれの方式にはメリットとデメリットがあるため、自分に合った方式を選ぶことが大切です。

たとえば、チームナーシングではチーム全体で患者さまをケアするため、協力体制が整っています。

一方、プライマリーナーシングは個々の看護師の方が患者さまのケアを担当するため、患者さまとの関係が深まりやすいです。また、機能別看護は専門的なスキルを活かせる場面が多く、特定の業務に集中できる利点があります。

看護提供方式が自分の働き方やキャリアプランに合っているかどうかを確認することで、働きやすい環境を選べるでしょう。

可能であれば、職場見学をして先輩看護師の方に話を聞いてみるのも良いでしょう。

10.看護師の離職率

転職を検討している看護師にとって、病院の離職率は重要な指標です。

一般的に、離職率が低い病院は職場環境が良く働きやすいことが多く、離職率が高い病院は何らかの問題がある可能性が高いです。

日本看護協会の「「2023 年 病院看護実態調査」 結果」調査によると、2022年度の正規雇用の看護職員の離職率は11.8%でした。

この数値を基準として、病院の離職率を判断すると良いでしょう。

また、離職率だけでなく、離職の理由も大切です。

たとえば、職場の人間関係や労働条件による離職が多い場合は、慎重に検討しなければなりません。

看護師の方は交代で患者さまをケアするため、あらゆる場面でコミュニケーションが必要であり、良好な人間関係は欠かせない条件の一つです。

転職先を選ぶ際には、離職率とその背景をしっかりと確認して、自分にとって働きやすい環境を選びましょう。

11.病棟の雰囲気や人間関係

職場の雰囲気が良好でスタッフ同士のコミュニケーションがスムーズな病院は、仕事のストレスが少なく、長く働き続けられるでしょう。

逆に、スタッフ間の対立やコミュニケーション不足があると、精神的な負担が増え離職の原因になるかもしれません。

病棟の雰囲気を知るためには、病院の説明会や面接の際に現場のスタッフと話すことが効果的です。

12.復職への支援体制

復職への支援体制が整っている病院は、転職先を探す看護師の方にとって魅力的です。

出産や育児、介護などで一度職場を離れた後、スムーズに復職できる環境は看護師としてのキャリアを継続するために重要視すべきポイントです。

復職支援が充実している病院では、以下のプログラムや体制が整っています。

  • 復職プログラム
  • リフレッシュ研修
  • フォローアップ体制

最新の医療知識やスキルを学び直す機会があるため、安心して職場に戻れるでしょう。

さらに、復職にともなう勤務時間の調整や育児支援制度も欠かせないポイントです。

これらの支援体制が整っている病院は、看護師の方が長期的に働き続けるためのサポートが充実しているため、ホームページや求人情報をチェックしてみましょう。

13.勤務地やアクセス

転職を検討している看護師の方にとって、勤務地やアクセスの良さは大事な要素です。

通勤時間が長ければ、ストレスや疲れが溜まるため仕事のパフォーマンスにも影響を及ぼします。そのため、勤務地が自宅から近いことや交通の便が良いことは大きな利点です。

公共交通機関の利用が便利であるか、自家用車での通勤が可能か、駐車場はあるかなどを確認しましょう。また、急なシフト変更や夜勤がある場合でも、アクセスが良ければ通勤の負担が軽減されます。

14.居住地域

自分のライフスタイルや生活条件に合った地域を選ぶことで、仕事と生活のバランスが取りやすくなります。

実際に、居住地域を選ぶときには治安の良さや交通の便、生活のコストなどを考慮することが大切です。

さらに、病院の近くに生活に必要な以下の施設やサービスが整っていると、日常生活がスムーズに送れるでしょう。

  • スーパーマーケット
  • 保育施設や学校
  • 銀行や役所

これらの点を踏まえ、自分の生活スタイルに合った勤務地やアクセス条件の病院を選ぶことが、快適な職場環境の確保につながります。

15. 患者さまからの評判や口コミ

病院の評判は、スタッフの対応や医療の質を反映している可能性があり、職場の環境を知る手助けになります。

患者さまの口コミサイトやレビューを確認することで、病院の良い点や悪い点を把握できるため、働く環境をイメージしやすくなります。

とくに、医療サービスの質やスタッフの親身な対応が高く評価されている病院は、職場としても働きやすいかもしれません。

ただし、患者さまからの評判や口コミは、情報の信ぴょう性が乏しく、実際の状況とかけ離れているケースもあります。

そのため、インターンシップや病院見学に参加して、働いている看護師の方の声を聞いてみるのも一つの手です。

看護師が病院選びで失敗しないためのコツ

ここでは、看護師の方が病院選びで失敗しないようにするコツを紹介します。

  • 待遇だけで病院を選ばない
  • 求人の情報をしっかり把握する
  • インターンシップや病院見学会に参加する

それぞれのコツを知って、転職を成功させましょう。

待遇だけで病院を選ばない

高待遇は魅力的に見えるかもしれませんが、待遇だけで病院を選ぶのは避けるべきです。

高い給料や豊富な福利厚生だけでが、働きやすい環境を保証するものではないからです。

たとえば、以下のような問題がある職場であると、高待遇でも長続きしない可能性があります。

  • 職場の人間関係が悪い
  • 業務量が過剰
  • 休暇が取りにくい

看護師の方が満足して働くためには、教育体制や病院の理念、価値観なども大事な要素です。

転職先を選ぶ際には、病院見学を通じて現場の雰囲気を確認し、実際に働いている看護師の方の意見を参考にすることが大切です。

また、面接のときに具体的に質問することで、より詳細な情報を得られるでしょう。

求人の情報をしっかり把握する

病院選びの際には、具体的な業務内容や勤務条件、福利厚生などを理解する必要があります。

とくに、募集要項に記載されている情報が自分の希望や条件に合っているかを確認することが大事です。

最初から一つの病院に絞らず、複数の病院を比較しながら選んでいくと良いでしょう。

インターンシップや病院見学会に参加する

転職を検討している看護師にとって、インターンシップや病院見学会に参加することは、病院選びで失敗しないための有効な手段です。

実際の職場環境やスタッフの雰囲気を実感することで、求人情報だけではわからない実態を確認できます。

職場体験やインターンシップでは、業務を1日もしくは数日間体験できるため、病院の教育体制や業務の流れを把握しやすいです。

また、病院見学会では、施設の設備や患者さまの雰囲気、スタッフの対応などを観察できます。

現役の看護師の方や人事担当者と話す機会があると、今後病院で働いていくなかでの疑問点や不安な点を採用が決まる前に解消できますよ。

下記の記事では、看護師の方が転職を後悔する理由を紹介しているため、事前に知っておくと転職後に後悔しなくて済むでしょう。

関連記事:看護師が転職を後悔する理由7選!後悔しない転職実現のポイントを解説 

看護師の病院選びで自分に合うところが見つからないときの対処法

病院を選ぶときに、自分に合うところが見つからないケースもあるでしょう。以下の4つのポイントで一度考えてみてください。

  • 自己分析
  • キャリアプランと希望条件を明確にする
  • 病院のホームページや求人情報をチェックする
  • 求人サイトを利用する

関連記事では、さらに詳しく自己分析について解説しています。病院選びに悩んでいる看護師の方は、下記の記事を参考にしてみましょう。

関連記事:看護師の転職に自己分析が有効な理由と具体的な手順7ステップ 

看護師の病院選びでよくある質問

最後に、看護師の方の病院選びでよくある質問に回答します。病院選びの不安を解消し、転職活動をスムーズに進めましょう。

Q1:新卒看護師が就職先を選ぶコツは?

新卒看護師の方が就職先を選ぶコツは、転職先に求める条件を決めたり、求人サイトを活用したりすることです。

さらに、就職先を選ぶコツは下記の記事で詳しく解説しているため、一読したうえで転職活動を進めてくださいね。

関連記事:新人看護師は転職できるの?1年目で退職する理由5つと転職成功のコツ 

Q2:看護師が病院選びでホワイトな病院を探すコツは?

看護師の方がホワイトな病院を探すコツは以下のとおりです。

  • 人間関係が良好である
  • 離職率が低い
  • 教育体制が整っている
  • 年次有給休暇の取得率が高い
  • 福利厚生が充実している

こういったポイントで転職先を探すことで、ホワイトな病院で働くことができ早期の離職を避けられるでしょう。

まとめ

病院選びに悩む看護師の方は「どのような職場で働きたいのか」「病院に何を求めるのか」などを踏まえたうえで、転職活動を進めることが大事です。

病院によって提供している医療やケア、機能、教育体制などあらゆることが異なります。所属する病院によって、今後のキャリア形成に影響を与えます。

そのため、事前にホームページで調べたり、インターンシップに参加したりして病院についてよく調べてから応募しましょう。

参考サイト・文献

全国の病院に占める公立病院の役割|総務省 

国立大学附属病院の制度と取り巻く情勢|文部科学省

公的医療機関等について|地方財務協会

医療施設の類型|厚生労働省

医療施設の類型|厚生労働省 

特定機能病院について|厚生労働省 

地域医療支援病院について|厚生労働省 

救急医療について|厚生労働省

全国救命救急センター設置状況|一般社団法人 日本救急医学会 

2020 年度 年度評価|厚生労働省

2020 年 病院看護実態調査 報告書|日本看護協会 

「2023 年 病院看護実態調査」 結果|日本看護協会

SNSシェア

  • LINEアイコン
  • facebookアイコン
  • Xアイコン
記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

関連する記事

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像左 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左

NsPaceCareerとは

訪問看護・在宅看護に特化した
求人情報検索・応募のほか、
現役の訪問看護師や在宅経験者への無料相談や、
事業所への事前見学申し込みが可能です。

NsPaceCareerとは-PCイメージ画像右 NsPaceCareerとは-SPイメージ画像左