クリニック看護師のメリット・デメリットとは?どんな人が向いている?
クリニックでの勤務に魅力を感じている反面、どんなデメリットがあるのか知りたい看護師もいるでしょう。
この記事では、クリニック看護師の具体的な仕事内容や病院勤務との相違点、メリット・デメリットについて解説します。
クリニック看護師に向いている人の特徴も紹介するので、キャリア選択の参考になれば幸いです。
クリニック看護師の仕事内容
クリニックに通院する患者さまは、ご自宅で療養できる状態であるため、クリニック看護師の仕事内容には、病院ほど複雑な医療処置は含まれません。
クリニックでは、主に以下のような業務を行います。
- 問診
- バイタルサインの測定
- 医師の指示のもとで行う処置(検査や点滴など)
- 来院受付や電話対応、予約管理
- 医療器具の洗浄
- 物品発注
- 施設の清掃など
クリニックはスタッフの人数も限られているため、看護師は外来業務を中心に、裏方として雑用を行うケースも多いでしょう。
クリニック看護師のメリット
クリニックで働く看護師には、以下4つのメリットがあります。
- ワークライフバランスが取りやすい
- 自宅の近くで職場を探しやすい
- 業務負荷が比較的低い
- 日勤のみで働ける
それぞれ詳しくお伝えします。
ワークライフバランスが取りやすい
クリニックの看護師は、病院勤務と比べてワークライフバランスを取りやすい環境にあります。
その理由には、規則的な勤務形態や残業の少なさなどが挙げられます。
多くの場合、クリニックは診療時間が決まっています。夜間診療は全体の数と比較して少ないです。
勤務時間が安定しているため、生活リズムが整えやすくなります。
完全週休2日制を導入しているクリニックもあり、休みも取りやすいでしょう。
また、クリニックは病院と比較して緊急性の高い患者さまの対応が少ないため、想定外の残業が発生しにくい傾向にあります。
カルテの記入量も比較的少なく、勤務時間内に仕事を終えられる可能性が高くなります。
自宅の近くで職場を探しやすい
クリニックで働く看護師は、自宅の近くで職場を見つけやすいという特徴があります。
クリニックは、地域医療の拠点として住宅地や駅前などにも多く存在しています。
働ける環境が自宅から近いことで生じるメリットは、以下のとおりです。
- 通勤時間が短縮する
- 家庭と仕事の両立がしやすくなる
- 地域の医療に貢献できる
通勤時間が短縮される分、家事や育児、睡眠などの時間が確保しやすくなります。
子どもがいる場合、子どもの世話に時間をかけられ、余裕をもって過ごせるでしょう。
また、クリニック看護師は地元の患者さまとの関係性を築きやすく、「地域貢献」という点でもやりがいを感じられる機会が多くなります。
業務負荷が比較的低い
病院と比べ、クリニックは看護師1人当たりの業務負荷が軽減される傾向にあります。
病院では、急変や緊急入院が生じる場合もありますが、クリニックに来院する患者さまは、軽症者や慢性疾患をもつ方が多く、入院施設のある病院よりも看護師が対応する業務量が少なくなります。
身体的・精神的な負担は抑えられるかもしれません。
日勤のみで働ける
クリニック看護師の大きなメリットとして、日勤のみで働けるという点が挙げられます。
日勤のみの働き方は、規則正しい生活リズムを維持しやすく、ワークライフバランスを重視する看護師にとって魅力的です。
病院勤務では、2交代制勤務や3交代制勤務が基本となるため、夜勤が発生します。
不規則な生活リズムになりがちな夜勤は、身体的な負担も大きく、体調管理が難しくなるうえに、家族や友人と過ごす時間が減ってしまいます。
一方で、クリニックは多くの場合、日中に診療を行うため、日勤のみの勤務体制が主流です。
仕事後の時間を趣味や自己啓発など、自分のために使えるため、生活の質の向上につながるでしょう。
クリニック看護師のデメリット
クリニック看護師にはメリットがある一方で、以下5つのデメリットが存在します。
- 専門性を活かしづらい
- 少人数体制による悩みを生じる
- 雑用が多い
- 給与水準が比較的低い
- キャリアアップの機会が制限されやすい
それぞれ解説します。
専門性を活かしづらい
クリニック看護師として働く場合、病院勤務で求められるような専門的な知識やスキルを活かす機会は限られてしまう可能性があります。
大規模な病院では、救急医療や高度な手術、専門的な治療が行われ、看護師には高い専門知識やスキルが求められます。
一方、小規模なクリニックでは入院患者さまに対する継続的なケアや、手術の介助などを行う機会はほぼありません。(日帰り手術をしているクリニックは除く)
クリニックでの業務は、一般的な診察や健康診断、簡単な処置などに限られるケースが多いでしょう。
ただし、クリニックの種類によっては、専門性を活かせる場合もあります。
たとえば、美容クリニックや不妊治療専門クリニックなど、専門性の高い領域の場合、その分野に特化した知識やスキルが求められます。
少人数体制による悩みを生じる
クリニックは病院と比べて少人数体制で業務を回しているケースが多く、以下のような悩みが生じやすくなります。
- 人間関係
- 業務負担
- 休みづらさ
少人数で働いていると人間関係が固定化しやすく、一度関係が悪化すると修復が難しくなる場合があります。
また、急な病欠や退職などが発生した場合、1人当たりの業務負担が増加し、残ったスタッフに大きな負担がかかることも少なくありません。
さらに、周りに迷惑をかけたくないという思いから、休みづらさを感じる人もいます。
ただし、これらの悩みは、クリニックの規模や職種、職場環境によって異なるため、一概にはいえません。
なかには、医師やほかの看護師とコミュニケーションが密接で、風通しの良い職場環境のクリニックもあります。
また、残業を減らすための体制が整っていたり、有給休暇を取得しやすい雰囲気だったりする職場もあるでしょう。
クリニック看護師の仕事を探すときには、職場見学や面接を通して、職場の雰囲気や人間関係、労働条件などを事前に確認することが大切です。
雑用が多い
クリニック看護師の業務には、医師の診療補助や患者さまの対応以外にも、さまざまな業務があります。
クリニックの規模や診療科目によって、以下のような業務内容が含まれます。
- 電話対応:問い合わせや予約の受付、ほかの医療機関からの連絡対応など
- 受付業務:患者さまの受付や会計、カルテの準備など
- 清掃:診療室や待合室の清掃、医療器具の洗浄など
- 院内環境の整備:備品の補充や整理整頓など
- 医療事務の補助:レセプト請求業務の補助、書類作成など
これらは、患者さまに直接関わる業務ではありませんが、クリニックの運営を円滑に進めるためには欠かせないものです。
クリニック看護師は、看護師としての専門知識やスキルだけでなく、幅広い業務に対応できる柔軟性や臨機応変さも求められます。
給与水準が比較的低い
クリニック看護師のデメリットの一つとして、給与水準の低さが挙げられます。
日本看護協会の「2021年看護職員実態調査」によると、フルタイム勤務している看護師の病院とクリニックの給与は以下のとおりです。
就業先 | 平均基本給額 | 平均税込給与総額 |
病院 | 27万7,696円 | 38万6,046円 |
クリニック | 25万9,062円 | 35万4,563円 |
クリニック看護師の給与が病院と比較して低い理由には、手当のつきにくさや経営規模が関わっています。
クリニックは、病院と比較して夜勤や残業が少ないため、手当がつきにくくなります。
また、経営規模が小さい分、ボーナスの支給額も少ない傾向があるでしょう。
ただし、クリニック看護師の給与は、勤務するクリニックの規模や待遇、勤務地などによっても異なります。
転職を検討する際には、あらかじめ手当やボーナスも含めて給与の確認が必要です。
キャリアアップの機会が限定されやすいクリニック看護師は、キャリアアップの機会が限定されやすい傾向があります。
病院と比較して規模が小さいクリニックでは、専門的な医療を提供できないケースも多く、研修などの教育体制もあまりありません。
また、特定の診療科目に特化しているクリニックの場合、他科の経験も難しく、キャリアパスが限定的になってしまいます。
クリニック看護師は、以下のようなキャリアアップに苦労しやすくなるでしょう。
- 専門看護師や認定看護師などの資格取得
- 管理職への昇進
- 新しい医療技術や知識の習得
ただし、クリニックによっては、看護師のキャリアアップを支援する制度を設けているところもあります。
キャリアアップを目指したい看護師は、クリニック勤務のデメリットを理解したうえで、転職時に教育体制やキャリアアップの可能性を検討する必要があります。
クリニック看護師に向いている人
クリニック看護師の仕事は、プライベートも充実させたい人や夜勤が難しい人、地域で働きたい人に向いています。
向いている人の特徴を、それぞれ解説します。
プライベートも充実させたい人
クリニック看護師の仕事は、プライベートも充実させたい人に適しています。
一般的に、クリニックは日勤メインで、土日祝日は休診のところが多いため、規則正しい生活リズムで働けます。
そのため、趣味や家族との時間などプライベートの予定を立てやすく、充実した時間を過ごしやすくなるでしょう。
夜勤が難しい人
クリニックは、多くが日勤のみの勤務となるため「体力的な負担を軽減したい」「小さな子どもがいる」など、夜勤が難しいという看護師に向いている職場です。
夜勤なしの働き方は規則正しい生活を送りやすく、身体的・精神的にも余裕が出やすくなります。
ただし、クリニックによっては夜勤が発生するケースもあるため、転職活動の際には、勤務形態をしっかり確認しておくとよいでしょう。
地域で働きたい人
地域に貢献したいと考える看護師は、地域密着型のクリニックが向いています。
近隣に住む患者さまとしっかりコミュニケーションを取り、長く関係を築きながら働けるため、地域医療に貢献しているといったやりがいを感じられるでしょう。
まとめ
クリニック看護師は、日勤のみや残業が少ないなど、ワークライフバランスを重視したい方にとって魅力的な働き方です。
規則正しい生活リズムを保ちやすく、プライベートの時間を大切にできるでしょう。
しかし、クリニック看護師には専門的なスキルを活かす機会が少ない、給与水準が低い、少人数体制であるが故の悩みが発生しやすいなど、いくつかのデメリットも存在します。
そのため、転職を検討する際には、メリットだけでなくデメリットも十分に考慮したうえで、本当に自分に合った働き方かどうかを見極めることが大切です。
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