看護師が再就職手当をもらうには?条件や手続きの解説
看護師が失業保険の受給中、新たな職場に就職すると、「再就職手当」を受け取ることができます。制度を上手に活用すれば、新たなキャリアをスタートする際の大きな支援となることでしょう。しかし、実際には再就職手当とはどんな条件で受けられるのか、どういった手続きがあるのか知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、看護師が再就職手当をもらうためにクリアすべき条件や、手当を受け取れる額がどのように計算されるのか、手続きの手順などを解説しています。再就職を考えている看護師の方は、ぜひ参考にしてみてください。
再就職手当とは
再就職手当は、失業保険を受給している方が、早い段階で就職先を決めた場合に支給される手当です。より早期の再就職を促すための制度です。受けとるためにはいくつかの条件がありますが、それさえ満たしていれば、誰でも受け取ることができます。手当の額は、再就職のタイミングや退職理由、失業保険受給の残りの日数などによって変動します。新たに仕事を始める時期が早いほど、手当額がより高くなる仕組みになっています。
看護師の場合、人材不足の観点から退職後早い段階で就職できる可能性が高く、再就職手当を受け取りやすい傾向にあるといえるでしょう。
看護師が再就職手当を受給する条件とは
看護師が再就職手当を受け取るには、以下の8つの要件を満たす必要があります。「8つ」と聞くと、手当の受け取りが難しいように感じるかもしれません。しかし実際には、雇用保険の被保険者にさえなっていれば、多くの方が受給できます。
- 雇用保険の被保険者である
- 求職者登録(受給手続き)が完了している
- 待期期間満了後に就職、または事業が開始する
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
- 再就職先が前職の事業主と無関係である
- 再就職先で1年以上勤務することが決まっている
- 過去3年以内の就職で各種手当を受けていない
- 自己都合による退職で給付制限がある場合、待期期間が満了後の1ヶ月間はハローワークなどの紹介を受けて再就職する
これら全ての要件を満たすと、再就職手当が受け取れます。ここからは、それぞれの要件について具体的に解説していきます。
雇用保険の被保険者である
再就職手当を受給するには、「雇用保険」への加入が原則となっています。
雇用保険は、労働者を支援するための制度です。すべての事業者が、条件を満たす労働者に対して雇用保険への加入を義務付けているため、意識せずとも自動的に加入している場合が多いでしょう。病院や介護福祉施設で働く看護師も同様です。
雇用保険に加入する際の条件は下記の2点です。
- 1ヶ月以上働く見込みがある
- 週の所定労働時間が20時間以上
なお、学生は雇用保険の加入条件に当てはまりません。
求職者登録(受給手続き)が完了している
再就職手当を受け取るには、ハローワークで求職者登録が完了していなければなりません。なお、求職者登録は、失業保険の受給資格を得るためにも必要な手続きです。すでに失業保険を受給している方は、新たな登録の必要はありません。離職後、失業保険や再就職手当を受け取りたい場合は、すみやかに最寄りのハローワークの窓口で登録を済ませておきましょう。
待期期間満了後に就職、または事業が開始する
失業保険の受給資格決定日から7日間は、「待期期間」と設定されています。この期間には、仕事を行うことができません。もし待機期間の7日間のうちに再就職が決まると、再就職手当を受給できなくなってしまいます。
つまり、再就職手当を受け取りたいなら、失業保険の受給手続きから8日目以降に再就職しなければならないのです。退職後、早い段階から就職活動を行いたい方は注意しましょう。
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
基本手当とはいわゆる失業保険のことです。基本手当の支給残日数が全体の3分の1以上残っていることも、再就職手当を受け取るための要件のひとつです。
たとえば給付日数全体が90日であるなら、残り30日以上残っていなければなりません。なお、基本手当の残りの日数により、再就職手当の支給率が変わります。残日数が全体の3分の2以上残っていると、受給額がさらに多くなるのです。
再就職先が前職の事業主と無関係である
離職した前の事業主に、再び就職していないことも支給の要件です。また、離職した前の事業主と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業主に就職することが必要です。たとえば、以前働いていた病院や、同じグループの病院や介護福祉施設などに再就職が決まった場合、手当の対象外となる可能性があります。再就職手当を受け取りたい方は、就職先を選ぶ際にこの点にも注意しましょう。
再就職先で1年以上勤務することが決まっている
再就職手当を受け取るには、新たな職場で1年以上勤務することが確実でなければなりません。つまり、1年未満の契約で更新のない派遣看護師や、雇用期間の更新に何らかの条件が定められているケースなどは、手当の対象外となる可能性があるのです。
なお、更新制の働き方で再就職した場合であっても、契約が更新され1年を超える勤務になることが確実であれば、再就職手当が受け取れます。
過去3年以内の就職で各種手当を受けていない
過去に各種手当を受けていないことも条件のひとつです。具体的には、再就職する日から3年前より後に「再就職手当」または「常用就職支度手当」を受け取っている場合、今回分の再就職手当は受けられません。
なお、常用就職支度手当とは、雇用保険における支援制度のひとつです。障害のある人や、45歳以上など、一般的に再就職の難易度が高いと考えられる方が、安定所の紹介により1年以上雇用されることが確実である場合に受け取れます。
自己都合による退職で給付制限がある場合、待期期間が満了後の1カ月間はハローワークなどの紹介を受けて再就職する
離職理由が自己都合などで給付制限がある方は、再就職の経路に規定があります。7日間の待期期間を終えたあと、1ヶ月以内に、「ハローワーク」、または「ハローワークに届け出をした職業紹介事業者」からの紹介によって新たに就職した場合にだけ、再就職手当が受けられます。
つまり、看護師が自主的に職場を退職したケースでは、失業保険の受給手続き後8日目以降の1ヶ月間は、再就職の経路に注意する必要があるのです。
なお、倒産や解雇など、会社都合で離職を余儀なくされた方に対しては、就職の時期や経路を問われずに再就職手当が支給されます。
看護師の再就職手当で受け取れる金額
受け取る再就職手当の額はそれぞれ異なり、次の計算式で算出されます。
「支給金額 = 基本手当日額 × 所定給付日数の支給残日数 × 支給率(60%または70%)」
ここからは、再就職手当額の計算に使用する項目や、計算例について詳しく解説していきます。
基本手当日額の計算
基本手当日額は、1日あたりに受給できる失業保険の金額のことです。具体的には、「離職前の6か月間の給与の合計を180日で割った金額の45~80%の範囲」で設定されます。
この「45~80%」というのは、「給付率」と呼ばれ、離職時の年齢や、離職前に受け取っていた日額の賃金により数値が変化します。
支給残日数の計算
支給残日数は、失業保険の基本手当が受け取れる最大日数(所定給付日数)から、今までに受給した日数を引いた数です。
所定給付日数は、年齢や雇用保険の加入期間、離職の理由などを参考に、それぞれ90日~360日の間で決められます。退職理由が自己都合か、会社都合かによって所定給付日数の決定方法が異なります。
支給率
再就職手当の支給率は、所定給付日数からどの程度の支給日数を残したかによって変化します。具体的には、次のように設定されています。
- 所定給付日数の3分の1以上を残して就職した場合:60%
- 所定給付日数の3分の2以上を残して就職した場合:70%
すなわち、早いうちに再就職したほうが、より高額な手当を受給できます。この仕組みの背景には、早期の再就職をすすめ、失業期間を短くするという目的があります。再就職手当を最大限受け取りたい方は、残りの所定給付日数を意識して再就職を目指すとよいでしょう。
再就職手当額の例
具体的に、再就職手当がいくら受け取れるのか、計算の例を見ていきましょう。
以下のような看護師が、再就職手当を受け取るケースを考えてみます。
(ある看護師の事例)
- 年齢:28歳
- 就業期間:4年
- 離職理由:自己都合
- 給与:6か月間1,500,000円
- 基本的手当の定められた給付日数:90日
- 基本手当日額:5,587円
退職後、基本手当の受給を開始し、30日後に再就職が決まったとします。
支給残日数は90日 – 30日 = 60日となり、支給残日数が定められた支給日数3分2(60日)以上なので、支給率は70%です。
この場合の計算式は、以下のようになります。
5,587円(基本当日額)× 60日(支給残日数)× 70%(支給率)= 234,654円
つまり、このケースでは再就職手当として234,654円受け取れることになるのです。
看護師が再就職手当を受け取れるタイミング
再就職手当は、再就職先が決定してからすぐに支給されるものではありません。再就職決定後、ハローワークが新たな職場に在籍確認を行ったり、さまざまな手続きを終えたりしたあとに支給されるのです。
手続きに要する時間によって支給日は前後しますが、おおむね再就職した日から5~8週間ほどで受け取れることが多いでしょう。
看護師が再就職手当をもらう場合の手続き方法
再就職手当を受け取るためには、次の手順を踏む必要があります。
- 採用証明書の提出
- 再就職手当支給申請書の受領
- 再就職手当支給申請書を再就職先に提出
- 再就職手当支給申請書と雇用保険受給資格証を提出
スムーズに手続きが行えるよう、書類のやり取りの流れを知っておきましょう。なお、再就職手当の申請は、就職した日の次の日から1ヶ月の間におこないましょう。
採用証明書の提出
再就職が決まったら、就職先に採用証明の記載を依頼しましょう。採用証明は、ハローワークで発行される受給資格者のしおりの中に同封されているものか、ホームページからダウンロードしたものを使います。
再就職手当支給申請書の受領
採用証明を出す際には、一緒に雇用保険受給資格者証や失業認定申告書も提出します。郵送または持ち込みで上記を提出し、ハローワークでの確認が終わると、「再就職手当支給申請書」が発行されます。
再就職手当支給申請書を再就職先に提出
受け取った再就職手当支給申請書を、職場に提出します。前職との繋がりがないことを証明する書類にも、記入が必要とされています。必要事項の記入を依頼しましょう。
再就職手当支給申請書と雇用保険受給資格者証を提出
最後にもう一度ハローワークへと出向き、次の2つの書類を提出します。
- 再就職手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
以上で申請の手続きは完了します。提出された書類をもとに審査がおこなわれ、再就職手当が支給されるのです。
まとめ
再就職手当は、8つの条件さえ満たせば誰もが受け取れる、再就職を支援する制度です。看護師を辞めて失業手当を受け取っている方や、これから退職しようと考えている方にとって、この制度は心強いことでしょう。制度を上手に活用しながら、理想のキャリアにむけて挑戦してみてください。
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