看護師にキャリアプランは必要?ない場合はどうする?

公開日:2024/07/17 更新日:2024/07/17
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看護師としてのキャリアプランを考える際には、理想とする看護師像を明確にし、それに近づくための具体的な行動計画を立てることが重要です。

目標に向けて必要なアクションを明確化すると、意欲的かつ効率的にキャリアを積めます。

この記事では、看護師におけるキャリアプランの例や、キャリアプランがない場合の対処法を紹介します。

キャリアプランとは

キャリアプランとは、将来的な目標に向けて、具体的に作成する中長期的な計画です。

「どのような看護師になりたいか」「どのような経験をどこで積みたいか」など、目標や行動を明確化すると、理想のキャリアを実現しやすくなるでしょう。

キャリアプランは具体的に、以下の内容を考えます。

  • 5年後や10年後に携わりたい仕事内容
  • そのために取るべき行動や時期
  • プライベートと両立するための選択肢

看護師がキャリアプランを考える際には、結婚や出産、子育てなどのライフイベントも考慮する必要があります。

看護師の主なキャリアプラン

看護師のキャリアプランには、さまざまな選択肢があります。

主な選択肢を、それぞれ紹介します。

マネジメント

マネジメントとは、看護部長や師長・主任など、管理職としてのキャリアプランです。

スタッフやさまざまな部署に働きかけ、人員配置・業務管理・安全管理・新人看護師の教育などの役割を担います。

日本看護協会の資格である認定看護管理者は、マネジメントを目指す方法のひとつです。

認定看護管理者になるには、5年以上の実務経験(うち3年以上は看護師長相当以上の看護管理の経験)が必要です。

参照元:日本看護協会|認定看護管理者 認定看護管理者への道

ジェネラリスト

ジェネラリストとは、幅広い分野に対応できる、一定レベル以上の知識・スキルをもつ看護師のことです。

医療や介護の介入方法や時期を見極めたり、患者さま・ご家族・医療従事者の調整役をしたりする役割を担い、どの症例でも臨機応変に適切な看護を提供します。

ジェネラリストになるために決められた方法や資格はありませんが、さまざまな患者さまや疾患に対応する経験を積むキャリアの構築が必要です。

スペシャリスト

スペシャリストとは、特定の分野に関する知識・スキル・経験を豊富にもつ看護師のことです。

以下のような資格が該当し、特定の分野のスキルや経験を高めてキャリアを磨いていきます。

  • 認定看護師
  • 専門看護師
  • 診療看護師
  • 特定看護師

スペシャリストは、1つの病棟に所属せず病院内全体で活躍したり、チーム医療推進の調整役に徹したりする働き方もあります。

いずれの資格においても、5年ほどの実務経験が必要です。

参照元:日本看護協会|認定看護師 認定看護師になるには専門看護師への道さくら総合病院|診療看護師(NP)の紹介厚生労働省|特定行為に係る指定研修における教育内容 p2

教育者・研究者

教育者とは、施設内における継続教育の責任者や、大学や専門学校などの看護教員のキャリアプランのひとつです。

看護の実践能力のほか、理論や根拠に基づき、看護学を体系的に教えるスキルが求められます。

看護教員になるためには、まずは5年以上の実務経験が必要です。

参照元:日本看護学校協議会|看護師等養成所の教員への道

一方、研究者とは、大学や病院附属の研究所や企業などで研究する看護師のことです。

大学院への入学が必要で、修士課程で2年、博士課程で3年かかります。

企業看護師

企業看護師は、予防医療の観点から、一般企業で社員の健康管理や働き方改革を推進する看護師です。

健康診断の企画や健康指導、メンタルヘルスケアのカウンセリングなどをします。

なお、企業看護師になるために必要な資格はありません。

看護資格を活かして一般企業でキャリアプランを考える場合、製薬会社などの治験コーディネーター(CRC)や臨床開発モニター(CRA)などの働き方もあります。

訪問看護師

訪問看護師は、在宅で療養している利用者さまのご自宅に訪問し、病状観察や医療的ケアを行う看護師のキャリアプランのひとつです。

子どもから高齢の方まで幅広く対応し、1人ひとりに柔軟なケアができます。

病院での実務経験を求める就業先もありますが、なかには新卒で就職できるところもあります。

看護師のキャリアプランがないときの対処法

看護師のキャリアプランがない場合、以下のポイントを押さえて考えてみましょう。

  • 自己分析をする
  • 先輩に話を聞く
  • キャリアのモデルを見つける
  • 資格を取ってみる
  • 勉強会やセミナーに参加する
  • 理想の働き方を考える
  • 将来どうなりたいかを考える

具体的に解説します。

自己分析をする

看護師のキャリアプランがない場合、まず自己分析を行いましょう。

自己分析により、自分の特徴や長所・短所、価値観、強みが明確になり、自分に合ったキャリアパスを見つけやすくなります。

また、看護師を志したきっかけを振り返り、以下の内容を整理すると、将来の目標や目指したい方向性が見えてきます。

  • 経験・スキル・実績
  • 強み・弱み・アピールポイント
  • 理想の看護師像・実現したいこと
  • 価値観・看護観
  • 理想の働き方・待遇

自己分析を行うことで転職時のミスマッチを防ぎ、理想のキャリアを目指して効果的に行動できます。

先輩に話を聞く

キャリアプランがない場合、先輩看護師に話を聞くのもおすすめです。

多くの先輩に聞けば、さまざまなキャリアにおける生の声を把握できます。

働きがいや実際の業務内容、職場環境や給与など、就業しなければ把握できない細かな内容も理解できるでしょう。

併せて、自分と同じ年齢のときにどのような行動を起こしていたか、現在の職場で働き始めたきっかけなども聞くと、参考にできます。

キャリアのモデルを見つける

看護師のキャリアプランが考えられないときは「こうなりたい」と感じられるモデルを見つけるとよいでしょう。

先輩看護師のほか、母校や実習で出会った講師、企業に就職した同期などに話を聞いてみたり、体験談やインタビュー記事などを参考にしたりするのも役立ちます。

多様な働き方を把握すると、キャリアの選択肢が広がります。

まずは、理想となるモデルを見つけられるよう、機会を作ってください。

資格を取ってみる

看護師のキャリアプランが見えないときは、資格を取るのもひとつの方法です。

所属する病棟での長い経験が自信につながっている場合や、気になる職種がある場合は、関連する資格について調べてみましょう。

たとえば、以下のような資格を取得すると、キャリアを展開する近道につながります。

  • 専門看護師
  • 認定看護師
  • 認定看護管理者
  • ケアマネージャー
  • 臨床心理士
  • 保健師
  • 助産師
  • NST(栄養サポートチーム)専門療法士

まずは、受験資格を満たしているかどうかを確認してください。

勉強会やセミナーに参加する

キャリアプランがない場合は、興味のある分野の勉強会やセミナーに積極的に参加しましょう。

自分で応募するセミナーでは、興味のある分野のスペシャリストから直接指導を受けられるメリットがあります。

最新の看護知識や技術、専門知識を深められるものも多く、参加により新たな興味・関心につながる可能性があります。

オンラインで気軽に参加できるセミナーもあるため、積極的に活用するのがおすすめです。

理想の働き方を考える

看護師の働き方は多岐にわたるため、キャリアプランがない場合は自分の理想の働き方を考えてみましょう。

看護師には、以下のようにさまざまな就業先があります。

  • 病院
  • 診療所やクリニック
  • 訪問看護ステーション
  • 介護保険施設
  • 保健所・保健センター
  • 健診センター
  • 企業
  • 保育園

雇用形態にも、日勤のみ・夜勤専従などの選択肢があります。

また、イベントナースやトラベルナースなど、一定の場所にとらわれずに働く方法もあります。

将来どうなりたいかを考える

看護師のキャリアプランがないときには「将来どうなりたいか」を考えてみましょう。

資格を活かしつつ、看護師以外の別の職種で働く選択肢もあります。

たとえば、医療関連では以下のような職種があります。

  • 病児保育士
  • ケアマネージャー
  • 治験コーディネーター(CRC)
  • メディカル系コールセンターのスタッフ
  • 医療系ライター

気になる職種があれば、具体的な仕事内容や平均年収、求められるスキルなどを確認するとよいでしょう。

看護師のキャリアプランの重要性

看護師として働くうえで、キャリアプランはモチベーションやスキル向上につながり、転職時に好印象を与えやすいなどのメリットがあります。

キャリアプランの重要性を、それぞれ解説します。

仕事のモチベーションが上がる

キャリアプランには、仕事のモチベーションを上げる効果があります。

理想の看護師になるために、取るべき行動の道筋が明確になると、動機付けにもなります。

ゴールを目指して行動しやすくなり、将来の不透明さで起こる不安も生じにくくなるでしょう。

スキルが上がる

看護師がキャリアプランを立てると、スキルの向上につながります。

必要な資格や研修の取捨選択により、効率的かつ意欲的にスキルアップを図れるでしょう。

身に付けた知識や技術は、昇進や昇給につながる可能性があります。

転職で好印象を与えやすい

看護師のキャリアプランが明確に立てられていると、転職時に好印象を残しやすくなります。転職活動では、キャリアビジョンやキャリア設計を問われる場面も少なくありません。

キャリアプランがあると、迷いなく明確な転職理由を伝えられ、説得力が増します。「積極的に学び、知識やスキルを身に付ける意欲がある」と評価される可能性もあるでしょう。

また、転職先の候補を見つける際にも目的をもって探せるため、ミスマッチが起こりにくくなります。

転職でのキャリアプランの答え方については以下の記事も参考にしてみてください。

参考記事:看護師のキャリアプランの答え方とは?転職面接での伝え方や例文も紹介

まとめ

看護師のキャリアプランとは、理想のキャリア実現に向けて、中長期で立てる目標のことです。

具体的に立てておくと、資格取得や転職など、効率的に必要な選択ができます。

キャリアプランがない場合、まずは自己分析を行い、価値観や強みなどを把握して理想の働き方を考えるところから始めましょう。

そのうえで、モデルを探したり、セミナーに参加してみたり積極的に行動すると、自分が目指したいキャリアを見つけられやすくなります。

ぜひ今回の記事を、キャリアプラン作成に役立ててください。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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