看護師は30代でも転職できる?失敗しないポイントなどを解説
30代の看護師の方は結婚や出産、育児などのライフイベントが重なり、転職を考える人が多い年代です。
転職を成功させるためのタイミングやポイントが気になる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、30代看護師の転職事情や転職成功のためのポイントを解説します。
おすすめの就業先も紹介するので、転職を検討する際の参考になれば幸いです。
看護師は30代でも転職できる?
さまざまな知識や経験を積み重ね、中堅的な役割を担ってきた30代の看護師の方は、転職しやすい年代です。
厚生労働省によると、看護職は1人の求職者に対し2カ所以上の求人があるという、人材不足の状況にあります。そのため、即戦力となる30代の看護師の方の需要は高いといえます。
参照元:厚生労働省|看護師等(看護職員)の確保を巡る状況p10
これまで培ってきたキャリアをうまくアピールできると、転職の成功率はさらに上がるでしょう。
30代看護師の就職率
都道府県看護協会が運営する無料職業紹介事業「eナースセンター」によると、施設に応募した30代看護師の就職率は、48.4~48.9%でした。
年代 | 応募者全体の応募就職率 |
20代以下 | 43.7~49.3% |
30代 | 48.4~48.9% |
40代 | 49.8~53.3% |
50代 | 38.6~49.5% |
60代以上 | 72.2% |
参照元:eナースセンター|応募・就職状況
eナースセンターを利用した30代の看護師は、約2人に1人の割合で施設に転職できています。
なお、施設の種類は病院や診療所のほか、介護老人保健施設・デイサービス・訪問看護ステーションなど、多岐に渡ります。
30代の看護師は、マネジメント業務や後輩・学生の指導など、さまざまな経験をもっているケースも少なくありません。
そのため、こうしたスキルが、さまざまな職場で求められるでしょう。
30代の看護師が転職を考える理由とは?
30代の看護師の方が転職を考えるときは、ライフステージの変化やキャリアアップ、人間関係のトラブルなどさまざまな要因があります。
主な理由をそれぞれ解説していきます。
新たなチャレンジがしたい
「新たな分野に挑戦したい」と思い、転職を決意する30代の看護師の方は少なくありません。
30代になると、看護師としての経験も増えてきて、業務を遂行する余裕が出てくるため、自分の置かれた状況を客観的に見ることができるでしょう。
その結果、現在の環境でやりがいが感じられない場合、新たな分野に挑戦したい意欲につながる可能性もあります。
これまで病院勤務のみだった場合、訪問看護や施設での看護に興味を抱く人もいるでしょう。
ライフステージが変わった
30代看護師の方は、ライフステージの変化に伴い、転職を検討するケースが多く見られます。
厚生労働省の調査によると、看護師の主な退職理由は「出産・育児のため」が22.1%と最も多く、次いで「結婚のため」が17.7%でした。
30代では、結婚や出産、育児を経て「家庭内との両立を図りたい」「子どもが小さいうちは、しっかり向き合いたい」と考え、転職を選択する人が多くいます。
キャリアアップをしたい
キャリアアップを目指して転職を検討する30代の看護師の方もいます。
看護師は経験を積み重ねるなかで、自然と自分の得意分野や苦手分野を把握できるようになります。
これまでの経験が自信となり、将来性のある環境で現在のスキルを活かしたいと考える人もいるでしょう。
専門性を極めたキャリア展開を考えた結果、転職に至るケースもあります。
職場での人間関係
職場での人間関係も、30代看護師の方の転職理由のひとつです。
30代の看護師の方は新人とベテランの調整役として、中堅的な立場になりやすい年代であるため、板挟みの状態にストレスを感じやすくなるでしょう。
働きやすさは一緒に働く人との相性でも変わります。
就業先でやりがいを感じていても、人間関係に問題がある場合は転職を考える原因になります。
30代の看護師が転職する際の強み
30代看護師の方の転職活動では、実績・経験やこれからの活躍をアピールすると効果的です。
転職で強みになるポイントを、それぞれ解説します。
実績と経験をアピールできる
30代看護師の方はさまざまな経験を積み重ねてきており、その実績を強みとしてアピールすることができます。
特に、若手の教育やチームのマネジメント経験などがある場合は、即戦力になると判断されやすくなります。
リーダーシップやマネジメントスキルを求める職場は多いため、これらの能力をうまくアピールできると、転職活動が有利になるでしょう。
これからのポテンシャルも期待できる
30代看護師の方が転職する際には、これからのポテンシャルが期待できることを伝えましょう。
まだ管理職の経験がない場合は、これまで新人教育してきた内容を挙げることもおすすめです。
また、病院で担当していた係や委員会などの活動と、それらに伴う結果を伝えることも効果的です。
「即戦力になるスキル」「将来性」をうまく伝えられると、採用で有利になりやすいでしょう。
転職が成功しやすい30代看護師の特徴とは
転職が成功しやすい30代看護師の方は、豊富な経験と実績をもち、転職先でも活躍できると判断される人材です。
その特徴を、それぞれ解説します。
管理職の経験がある
看護主任など管理職の経験がある30代看護師の方は、高い即戦力をもつ人材として評価され、転職が成功する可能性が高まります。
看護主任は、一般看護師より一段階上にあたる中間管理職であり、患者さまのケアに加え、スタッフの管理とサポートも行う立場です。
このような経験を持つ看護師の方は、転職後にもスタッフをまとめるスキルがあると判断されやすくなるでしょう。
さまざまな科を経験している
さまざまな診療科目での経験がある30代看護師の方も、転職時に即戦力として評価されやすくなります。
評価のポイントには、以下のような点が挙げられます。
- 新たに教える必要性がない
- すぐに豊富な症例に対応できる
- 幅広い知識やスキルを習得している
- 柔軟性がある
一方で、美容外科や形成外科など特殊な診療科目のみ経験している場合は、他科への転職が難しい場合もあります。
30代では、スキルや技術が伴っている看護師の方が転職しやすいといえるでしょう。
夜勤ができる
夜勤ができる30代看護師の方は、転職が成功しやすいといえます。
夜勤は年代が上がるにつれ、体力面の問題から避ける看護師が増える傾向にあります。
その一方で、夜勤は人材配置が少なく、経験や実績が豊富な30代看護師の方が勤務できると安心感をもたらします。
30代看護師の方は、夜勤に対応できると頼りにされる可能性があります。
長期間勤務ができる
長く働けることをうまくアピールできると、転職が成功しやすくなります。
人材不足が深刻な医療現場で求められることは、長期的に働ける看護師です。
しかし、採用担当者は30代が結婚や出産、育児などのライフイベントが多い年代であり、その影響を懸念する場合があります。
転職を成功させるためには、ライフイベントによる影響も踏まえて、長く働きたい意欲を伝えるとよいでしょう。
一方で、短期間での転職を繰り返している30代看護師の方は、転職が難しくなる可能性があります。
30代の看護師の平均年収
厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、30代における平均年収は以下のとおりです。
給与平均額 | 30~34歳 | 35~39歳 | 全体 |
月収 | 33万7,600円 | 33万6,700円 | 35万2,100円 |
ボーナス | 82万300円 | 81万2,700円 | 85万6,500円 |
年収 | 487万1,500円 | 485万3,100円 | 508万1,700円 |
参照元:厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 看護師 企業規模計(10人以上)
30代看護師の方は、家庭と両立するために転職することが多いため、全体の平均年収よりも21万~23万円ほど低い傾向があります。
年収が低くなる場合でも、その分夜勤の数や家庭との両立のしやすさが増すような働き方をしているケースもあるため、一概にどちらの方がよいと評価をすることは難しいです。
また、就業先によって給与は異なります。
経験を加味してくれる職場では、現在の就業先で時短勤務制度を利用するよりも高い給与を得られる場合があります。
30代の看護師の方におすすめの転職先
看護師の就業先には医療機関や施設など、さまざまな種類があります。
30代看護師の方が働きやすいといわれる、おすすめの転職先を紹介します。
総合病院
総合病院は福利厚生が充実しているところも多く、子育て中の30代看護師の方でも働きやすい転職先です。
なかには、託児所付きの就業先もあります。
さまざまな診療科目があるため、これまでの知識や技術を活かせる配属先を選べます。
また、ポジションに応じた研修などの教育体制が整っている病院も多く、スキルアップやキャリアアップも可能です。
訪問看護
訪問看護は家庭やプライベートと両立しながら、利用者さまとも丁寧に関わりたい30代看護師の方におすすめの転職先です。
土日が多く、夜勤もないため、無理せずに家庭と両立できます。
また、訪問看護は基本的に、利用者様と1対1なので、じっくり深くかかわることができるため、やりがいをもって働けるでしょう。
診療所・クリニック
世間の休日と合わせてスケジュールが組める診療所やクリニックは、子どもの予定に合わせて働きたい30代看護師の方におすすめの転職先です。
日勤のみで夜勤がなく(一部の有床クリニックは除く)、シンプルな処置が多く急変もないため、身体的・精神的負担も抑えられるでしょう。
ただし、診療所やクリニックは看護師の数が病院より少ない環境です。
人間関係のほか、子どもの熱など急な欠勤が必要になったときの対応を確認しておく必要があります。
介護施設
入居者さまの生活に寄り添いながら関われる介護施設は、これまでの知識やスキルを活かせる、30代看護師の方におすすめの転職先です。
介護施設は医師が不在なところもあり、看護師の的確なアセスメント力や迅速な判断力が重要です。
病院と異なり生活が中心の場なので、医療処置は少ない傾向です。訪問看護のように、じっくり深く入居者さまとかかわることができ、お看取りまで対応することから、知識やスキルのある30代看護師の方は、今までの経験を活かすことができるでしょう。
まとめ
30代看護師の方は、さまざまな経験や実績をもち、中堅的な役割を担ってきた方が多くいらっしゃいます。
転職でうまくアピールすると、即戦力として評価されるでしょう。
転職活動では、これまでの実績や経験、これからのポテンシャルについてアピールすることをおすすめします。
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