皮膚・排泄ケア認定看護師になるには?学校の入学要件や3つの仕事内容を紹介

公開日:2024/07/09 更新日:2024/07/09
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「皮膚・排泄ケア認定看護師ってどんな資格なのか知りたい」「資格の取得にどのくらいの費用がかかるか知りたい」

看護師を続けていく中で、スキンケアや褥瘡の改善、ストーマの管理などに興味を持ち、皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC)になりたいと思う方もいるでしょう。

この記事では、皮膚・排泄ケア認定看護師の資格取得や仕事内容に興味がある方のために、資格の内容を詳しく解説します。講習を受ける学校や必要な費用についてもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC)になるには?|資格を取るまでの4ステップ

高齢化が進む日本では、褥瘡(床ずれ)やストーマ、排泄などのケアの需要が高まっています。それらの専門家である皮膚・排泄ケア認定看護師は注目されている資格のひとつです。

  • 皮膚・排泄ケア認定看護師の学校の入学要件を満たす
  • 皮膚・排泄ケア認定看護師の学校に入学する
  • 皮膚・排泄ケア認定看護師の認定審査を受ける
  • 皮膚・排泄ケア認定看護師の登録をする

資格を取るまでの手順をそれぞれ解説します。

1.皮膚・排泄ケア認定看護師の学校の入学要件を満たす

資格取得には、日本看護師協会が認定した教育機関の「皮膚排泄ケア学科」のカリキュラムを修了し、認定審査に合格しなければなりません。

カリキュラムはA課程とB課程にわかれており、共通する入学要件は以下のとおりです。

  • 国内の看護師免許を有している
  • 実務研修が通算5年以上であること
  • 実務研修のうち3年以上は特定の分野であること

A課程、B課程それぞれの入学要件は以下の表を参考にしてください。

課程 入学要件
A課程

・通算で3年以上の外科系領域またはストーマケアをおこなう臨床現場での看護実績があること

・ストーマ造設患者の看護1例以上、および創傷または失禁ケア領域の看護4例以上を担当した実績があること

・ストーマ・創傷・失禁ケアをおこなう領域で、現在も勤務していることが望ましい

B課程

・通算3年以上の膚排泄ケア領域における看護実績があること

・皮膚・排泄ケア領域の看護5例以上、うち創傷・ストーマ

・排泄管理の実績が各1例以上の実績があること ・皮膚排泄ケア領域の看護ケアをおこなう臨床現場で、現在も勤務していることが望ましい

出典元:認定看護師教育機関認定要項 A課程認定看護師教育機関認定要項 B課程をもとに作成

A課程とB課程、それぞれで症例数や看護師としての実績の要件が異なります。

上記の内容を出願書類として提出するため、資格取得を考えている方は、日頃の業務から実績や症例をまとめておくとスムーズに書類を準備できるでしょう。

定期的に教育機関で説明会を開いているため、気になる看護師の方は学校の雰囲気やカリキュラムを知ることができますよ。

2.皮膚・排泄ケア認定看護師の学校に入学する

資格を取得するには学校に入学して、日本看護協会が定めた認定看護師教育基準カリキュラムを受講しなければなりません。教育基準カリキュラムの詳細は、以下の表のとおりです。

課程 共通科目 専門科目 演習 臨地実習 総受講時間
A課程 120時間 (選択科目追加290時間) 285時間 60時間 180時間 645時間 (選択科目追加290時間)
B課程 380時間 263時間 15時間 150時間 808時間

出典元:認定看護師教育基準カリキュラム A課程|日本看護協会、認定看護師教育基準カリキュラム B課程|日本看護協会をもとに作成

共通科目は、eラーニングでの受講もあるため登校せずに学習できます。

ただし、登校日がある場合もあるので詳しくはホームページを確認してください。

eラーニングの学習期間中は仕事を続けられますが、教育機関での講義や実習が始まると休職や退職をしなければならない恐れがあります。

そのため、上司や人事課に相談したうえで申し込みましょう。

3.皮膚・排泄ケア認定看護師の認定審査を受ける

カリキュラムを修了後、認定看護師の認定審査を受けます。認定審査の詳細は以下の表のとおりです。

  対象 審査日程 審査費用 審査方法
認定審査 カリキュラムを修了し新規に資格取得する方 1年に1度 51,700円(税込) マークシート方式40問/150点

出典元:認定看護師  看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会

合否の発表は「資格認定制度 審査・申請システム」を使ってオンラインでおこなわれ、新しく認定された方は認定審査の終了後2週間くらいから日本看護協会のホームページで公表されます。

4.皮膚・排泄ケア認定看護師の登録をする

審査に合格した場合は、認定料を支払い、資格の登録をおこないます。

なお、認定手続きが完了する前に、所属施設のホームページや学会、研修会の資料などに資格の名称を記載してはいけないので注意してくださいね。

皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC)の教育機関と費用

皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC)の教育機関に入学するためには、日本看護協会が定めた入学要件を満たしたいうえで、教育機関ごとの入学試験に合格しなければなりません。

皮膚・排泄ケア認定看護師の教育課程を開講している教育機関に入学する

教育課程を開講する教育機関は、新たに認定されたり休講したりする場合があります。

日本看護協会のホームページで教育機関の開講の状況を確認しましょう。

皮膚・排泄ケア認定看護師の教育機関に入学するためにかかる費用

教育機関に入学する際に必要な費用は、それぞれ異なります。

一例として、B課程である日本看護協会看護研修学校の費用(会員価格)をみてみましょう。

  • 入学検定料:50,000円
  • 入学金:50,000円
  • 授業料:1,017,000円(うち特定行為研修の受講料を含む)

看護協会の会員であれば、福岡看護協会と日本看護協会看護研修学校などは会員価格が設定されています。詳しくはホームページを確認してください。

教育機関ごとに費用が異なるため、教育機関を選ぶときの参考にしてください。

皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC)の役割と主な3つの仕事内容

皮膚・排泄ケア認定看護師の役割と主な仕事を以下に3つご紹介します。

  • Wound:創傷
  • Ostomy:ストーマ
  • Continence:排泄

それぞれを詳しく解説します。

Wound:創傷

WOCの「W」は「Wound:創傷」を指し、傷や床ずれ(褥瘡)、テープかぶれなどを中心とした皮膚トラブルのケアや予防をおこないます。

たとえば、テープかぶれや皮膚の乾燥に対して保湿剤や洗浄剤、保護剤などで肌を保護したり皮膚トラブルを予防したりします。

また、褥瘡に対しては医師の指示のもとで創部のケアや特殊なマットレスを活用するケースもあります。

Ostomy:ストーマ

WOCの「O」は「Ostomy:ストーマ」を指し、人工肛門や人工膀胱へのケアと管理のほかに、ストーマ造設を予定している方への情報提供をおこないます。

たとえば、ストーマの管理方法や生活上の注意点などを説明して、ストーマを造る予定の患者さまの不安を取り除くように努めます。

さらに、ストーマからの尿や便の漏れに対応できるように相談を受けることも役割のひとつです。

Continence:排泄

WOCの「C」は「Continence:排泄」を指し加齢や術後、病気の影響などによる失禁の改善を目指したり、失禁によるかぶれの予防をおこなったりします。

たとえば、失禁予防の体操や便秘の対策、適切な用品の選び方などを紹介します。

失禁によって皮膚トラブルがおこるデメリットを知ってもらうことで、予防の大切さを説明することも重要な役割です。

皮膚・排泄ケア認定看護師の主な就職先

皮膚・排泄ケア認定看護師の資格があれば、皮膚トラブルや排泄ケア、ストーマの管理に関わる臨床現場で専門的に働くことができるでしょう。主な就職先を以下に4つご紹介します。

  • 病院
  • クリニック
  • 訪問看護ステーション
  • 介護施設

近年では、訪問看護における褥瘡の予防や褥瘡以外の創傷部の処置、人工肛門・人工膀胱の管理の件数が増加しているため、皮膚・排泄ケア認定看護師も需要が高まっています。例えばNsPace Career(ナースペースキャリア)のような訪問看護に特化した求人サイトを活用することで認定看護師としての知識を活かした就職ができるかもしれません。

皮膚・排泄ケア認定看護師になるメリット

資格取得のためには、費用と時間が必要です。それらに見合うようなメリットがないとモチベーションにつながらない方もいるでしょう。メリットを以下に3つご紹介します。

  • スキルアップできる
  • 収入アップが見込める
  • 転職するときに有利になる

それぞれをみていきましょう。

スキルアップできる

認定看護師の資格を取得できると、専門分野である創傷・ストーマ・排泄において知識と技術を習得したと、勤務先で認識されます。

臨床現場でスキルを活かし、ほかの看護師に指導すると、その分野での第一人者になれるので職場から評価されやすいです。

また、勤務先の病院で褥瘡対策チームを立ち上げ、患者さまの褥瘡管理の指導や症例検討をおこなえば、職場全体で褥瘡ケアのスキルアップにつながるでしょう。

収入アップが見込める

認定看護師の知識や技術を職場に還元できるため、収入アップが期待できます。日本看護師協会によると、皮膚・排泄ケア認定看護師の平均総月収は以下のとおりです。

認定看護師全体429,892円
A課程428,545円
B課程427,995円

出典元:「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する 評価・処遇に関する調査」報告書|日本看護協会

勤務先によっては、資格手当や基本給アップなどを実施しているところもあります。

ただし、日本看護協会の調査によると、資格手当が出るのは41.2%と過半数をこえていません。

そのため、認定看護師の取得したあとの待遇については、勤務先に確認してみてください。

転職するときに有利になる

皮膚・排泄ケア認定看護師の資格を取得していると、転職するときに有利に働きます。

なぜなら、資格取得する際に得た知識とスキルが、日本看護師協会に認められているためです。

資格の取得後に資格手当への不満や、さらなる活躍を考え転職を希望する方は、自身の転職を有利に運べるでしょう。

転職をきっかけに収入アップできる可能性もあるため、検討してみてください。

皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC)以外で褥瘡に関する主な資格

褥瘡について専門的な知識や技術の取得を証明できる看護師の資格があります。以下に2つご紹介します。

  • 褥瘡認定師
  • 臨床スキンケア看護師

それぞれの資格を取得することで、スキルアップの機会となるでしょう。

褥瘡認定師

褥瘡認定師は、一般社団法人日本褥瘡学会が認定する「褥瘡の予防」「褥瘡医療の水準向上」をして、福祉に貢献することが目的の資格です。

認定審査を受けるための資格の一部を紹介します。

  • 看護師免許を取得し4年以上である
  • 日本褥瘡学会の正会員に4年以上なっているもの
  • 日本褥瘡学会の地方会が主催する教育セミナーの受講証明書を取得する

臨床スキンケア看護師

臨床スキンケア看護師は、創傷・オストミー・失禁管理学会(JWOCM:Japanese Society of Wound,Ostomy&Continence Management)が認定する資格です。皮膚トラブルを抱えるであろう方に対して、専門職として予防的ケアを提供することを目的としています。

認定審査を受けるための資格の一部は以下のとおりです。

  • 講習会を受講(8時間)する
  • 皮膚・排泄ケア認定看護師による臨床研修(8時間)を受ける

まとめ

皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC)になるには、日本看護師協会が認めた教育機関でカリキュラムを受講し、認定審査を受ける必要があります。

皮膚・排泄ケア認定看護師の資格を取得すると、勤務先で専門的なケアを実践できるだけではなく、収入アップできたり転職する際に有利に働いたりします。

看護師としてスキルアップした方は資格取得を目指してみませんか。

参考サイト・文献

統計からみた我が国の高齢者|総務省

特定看護分野の実務研修内容の基準 |日本看護協会

特定看護分野の実務研修内容の基準|日本看護協会   

認定看護師になるには|日本看護協会   

2024年度認定看護師教育課程 特定行為研修を組み込んでいる教育課程(B課程教育機関)募集要項|公益社団法人日本看護協会 看護研修学校  

「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書|日本看護協会

日本褥瘡学会認定師制度規則 |一般社団法人 日本褥瘡学会 臨床スキンケア看護師|一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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