看護師の転職は何年目がおすすめ?経験年数別に転職のメリットとデメリットを比較
看護師の方で転職したいと考えているものの「今のタイミングで良いのか」「早すぎるのではないか」などと転職時期に悩んでいる方はいらっしゃるではないでしょうか。
看護師の転職時期については、周囲からさまざまな意見を聞き、悩んでいるという方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、看護師の転職時期は何年目がおすすめなのか、経験年数別に転職におけるメリットとデメリットを比較していきます。
転職時期やおすすめのタイミングについて詳しく解説していきますので、参考になれば幸いです。
看護師は転職せずに3年は続けた方が良いって本当?
看護師の仕事では、しばしば「3年は続けた方が良い」という意見を耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
「3年は続けたほうがいい」という声は、いわゆる「お礼奉公」と呼ばれる奨学金制度の期限がおおむね3年間であることも影響しているかもしれません。
また、看護師がある程度ひとり立ちして業務ができるようになるまで、1~3年ほどかけて教育するプログラムを設置している病院もあります。
実際に3年続けた方が良いかどうかは、自分自身の今後のキャリアにもよります。3年続けられないから「看護師として成長していない」とは言い切れず、決して他人が推し量るものではないのです。
求人を選択するにあたっては、ある程度選択肢は狭まるものの、3年未満での転職においても、メリットとデメリットは存在します。もちろん看護師自体の仕事を続けることも可能で、キャリアがストップすることではありません。心身を追い込むほど無理に働くことは、自分自身にとって辛いことです。
のちほど、各経験年数で転職した際のメリット・デメリットを解説していくため、早期の退職を検討している看護師の方は、ぜひ参考にしてください。
看護師は実際にどのくらいの経験年数で転職している?平均勤続年数とは
期間や対象の看護師を限定したデータとはなりますが、看護師は実際にどのくらいの経験年数で転職しているのか、平均勤続年数からみていきましょう。
2022年10月~12月の間に日本医労連、全大教、自治労連の加盟組合にある医療機関や介護施設に勤務する看護師、准看護師、保健師、助産師35,933人を対象に調査した平均勤続年数の割合は、下記の通りです。
勤続年数 | 割合 |
1年未満 | 5.9% |
1~3年未満 | 14.6% |
3〜5年未満 | 12.3% |
5年未満 | 32.8% |
10年未満 | 52.2% |
15年以上 | 31.9% |
20年以上 | 21.3% |
全体で見ると平均勤続年数は12.4年となっており、10年未満が半分近くを占めていることがわかります。
また3年未満も20%を超えており、早期での離職は珍しいわけではないようです。。
参照:日本医療労働組合連合会「医療労働 臨時増刊 August 2023」
看護師の転職は何年目がおすすめ?経験年数別に転職のメリットとデメリットを紹介
「看護師の転職は何年目が最適な時期なのか分からない」という方も多いでしょう。
それぞれの経験年数別に、転職時期に関してメリットやデメリットがあるため、それぞれを比較しつながら紹介していきます。
主に下記の経験年数に分けて、それぞれ解説していきます。
- 1年目
- 2〜3年目
- 4〜5年目
- 6〜10年目
- 10年目以降
それぞれみていきましょう。
看護師1年目で転職するケース
まずは、新卒の看護師であり転職時には第二新卒として扱われる看護師1年目についてです。、看護師1年目で転職するケースについて、それぞれメリットとデメリットを解説していきます。
メリット
看護師1年目の段階で「自分の将来のキャリアプランと合わないかも」として、転職を考える方もいらっしゃいます。他には、どうしても夜勤のある生活に耐えられない方や、持病により体力的に現職を継続できない場合もあるでしょう。
転職市場からすると、若さという部分でポテンシャルを期待される傾向にあり、看護師1年目を採用することがメリットと捉えられる場合もあるでしょう。
さらに経験が少ないという面から、思考の柔軟さも期待される時期のため、0から教育しやすい人材として捉えられます。
看護師1年目の方は、その立場から先輩に相談や質問をしやすいため、分からないことは積極的に聞く姿勢が、職場で評価されるでしょう。
デメリット
一方で、看護師1年目というのは至って早期の転職と捉えられます。看護師としては、基礎教育が終わっておらず、アセスメントや手技が不十分である可能性が高いです。ただし、不十分である可能性があるからこそ、のびしろがある、と捉える採用担当者もいらっしゃいます。採用担当者によって、どのように考えるかは意見がわかれるものでしょう。
また、早期の転職であることから「再就職してもまた転職を繰り返すのでは」と考えられて採用自体が慎重になる場合もあります。転職する際に看護師1年目の方は、「長期的なキャリアを築くために働き続けたい」という意思を伝えていくことで、採用側の不安を解消しやすくなるでしょう。
看護師2〜3年目で転職するケース
看護師としては“若手”と捉えられることも多い看護師2〜3年目。
転職するケースについて、それぞれメリットとデメリットを解説していきます。
メリット
転職市場では、看護師2〜3年目の場合、看護師としての基本は学び終えていると捉えられていることもあり、“1年以上の臨床経験”を求めている求人への応募も可能となります。1年目での転職と比較すると、応募可能な求人数は増える傾向です。
また、看護師2〜3年目であれば、まだ体力面も期待されやすく、即戦力として採用されるケースもあります。
用担当者からすると、採用するメリットも高いと受け取られ、成長を期待される場合が多くあります。今まで培ってきた知識や経験を活かしながら、看護師としての基礎を固め、幅広い分野や専門分野へ興味をもって活躍されることが望まれます。
デメリット
デメリットとしては“臨床経験3年以上必須”を条件にしている求人には応募できない点です。
病院によって看護師2〜3年目でプリセプターやリーダー業務を任されることもありますが、転職することを理由に経験やチャンスを逃してしまう可能性もあるでしょう。
また、看護師2〜3年目の転職も、場合によっては早い時期での転職と捉えられることがあります。転職理由によっては「また同じ理由や不満を抱えて転職するのではないか」と採用担当者が受け取るかもしれません。対策としては、同じ理由で転職しないことを面接で伝えると、採用担当者も前向きに受け止めることができます。
看護師4〜5年目で転職するケース
「中堅」と呼ばれ始める時期でもある、看護師4〜5年目で転職するケースについて、それぞれメリットとデメリットを解説していきます。
メリット
看護師4〜5年目となると、職場内に後輩が入社されることで、先輩としての役割が出てきます。すなわち、“中堅看護師”という存在に変化していきます。
転職市場においては、看護師の基礎であるスキルや経験、アセスメント力などが身についており、即戦力として期待されることから、応募できる求人も増えていきます。
また、看護師4~5年目になる頃には、理想の看護師像やキャリアプランが明確になってきている看護師の方もいらっしゃいます。面接では、自分自身の今後の働き方や目標を、経験から振り返りアピールすることができるでしょう。採用担当者から、転職理由について理解が得やすく、転職には最適な時期といえるかもしれません。
デメリット
看護師4~5年目の方は、後輩が増えてきて、自分自身の立場や役割の変化を感じる時期です。
「看護の基礎教育は一通り終了している」と転職市場では考えられるため、
場合によっては「看護師経験があることで、逆に自分の経験で物事を捉えられてしまい、指導が難しい」と受け取られてしまうカースもあります。
看護における基本的経験があるからと、決しておごらずに、転職先の先輩の話を素直に聞き、謙虚な姿勢で努力をする必要があります。
看護師6〜10年目で転職するケース
看護師6~10年目は、教育者や責任者などを担うこともあります。重要な役割を担う時期に転職するケースについて、メリットとデメリットを解説していきます。
メリット
看護師6〜10年目の看護師の方は、今の職場で教育の現場に携わったり、リーダーや主任などの責任者の役割を担っている方もいらっしゃいます。採用担当者としては、現場の責任を担う立場として、リーダーシップを取れるのではないかと期待することが多く、転職市場では“責任ある役割をお願したい”として、評価されるでしょう。
デメリット
採用担当者からは責任者として期待される反面、教育しづらいと感じられるケースもあります。理由としては、継続して看護師を経験していることから、自分自身の看護観や方法にこだわりがでてくることがあるからです。そのような思考の柔軟性や年齢による体力面で不安を感じられる場合もあります。
もちろん、これまでの看護経験から業務に活かせる部分も多くあるでしょう。しかし、新しい転職先に合わせて思考を柔軟に合わせていく必要があります。あくまでも、自分は新人であるという認識で働くようにすると良いでしょう。
看護師10年目以降で転職するケース
最後に“ベテラン”とも呼ばれる、看護師10年目で転職するケースについて、それぞれメリットとデメリットを解説していきます。
メリット
10年目以降の看護師はベテランとも呼ばれる経験年数でもあり、職場では看護主任や副主任など重要な役割を担っていることも多いでしょう。
転職市場では、条件としている経験年数を問題なくクリアできる上、管理者への立候補も可能なケースがあります。
また、転職によっては昇給も期待できるため、高めの給料を条件として転職先を探すこともできます。
デメリット
看護師10年目以降となると、看護の現場でエキスパートとして業務をされる方や、責任ある役割を担う方など、様々な形で活躍される方がいらっしゃいます。どちらかというと、デメリットよりもメリットが勝る場合が多いです。
ただし、ご自身の過去の経験から判断して、知識や技術をアップデートできない方は「成長したいという気持ちがないのかな…」と採用担当者から受け取られかねません。
謙虚で誠実な姿勢が求められます。
また、場合によっては、採用担当者から健康面で不安を抱えられることがあります。もし、健康上の問題を抱えている場合は素直に話しつつ、自分にできることや今後学びたいことを伝えましょう。
看護師何年目か、経験年数を気にせずに転職した方が良いケース
ここまで、看護師の経験年数ごとに転職のメリットとデメリットを解説しましたが、看護師の経験年数を気にせずに、転職した方が良いケースもあります。
看護師の経験年数を気にせずに転職した方が良いケースについて、それぞれ理由とともに解説していきます。
ただし当てはまるからと、すぐに転職を決断するのではなく、今の職場で解決策を検討し、実践してみることも大切です。
過酷な勤務で心身ともに支障を来している場合
看護師の業務は、非常に多忙で残業が発生する場合もあることから、心身ともに負担を感じている方も少なくありません。
心身の負担については、経験年数問わずそれぞれの方が感じる心身の負担があるでしょう。
「まだ1年目だし、経験が浅いから心身ともに負担を感じるのは仕方がない」と考える新人看護師の方もいらっしゃいます。しかし、我慢によって心身の健康を壊してしまうことは、看護師としてのキャリアを歩むことや、社会人として働くことが難しくなる場合もあります。
もしも、継続して体調不良がが続いているときは、無理をせず受診したり、上司に相談したりしましょう。状況によっては、早めの転職を検討してみても良いでしょう。
適正な給与が支払われないなど労働基準法に違反する場合
先述した通り、看護師の現場は残業が発生する現場もありますが、残業に対して給与が支払われないという職場が残念ながら存在します。
2017年の厚生労働省の資料における「看護職員の月当たりの時間外労働時間」のデータから、病院で1ヶ月当たりの残業が0%としているのはわずか18.4%となっており、平均約10時間の残業が発生していることがわかります。中には20時間以上の残業が発生しているところもあり、残業時間については大きな差があることもわかるでしょう。
また、実際の残業申請に関しては、申請をしづらい状況にある職場も少なからず存在します。中には10時間残業しても、1〜2時間しか申請できないこともあるようです。
しかし、所定労働時間外に行った労働に対して、規定の割増賃金が支給されないということはは明確な法律違反となります。さらに、黙認した管理者も連帯責任を負う可能性があるでしょう。
適正な給与が支払われない、労働基準法に違反するような場合は、労働基準監督署や厚生労働省にある「総合労働センター」へ相談しましょう。
参照:厚生労働省「看護職員需給推計関係資料|2017年 看護職員の月当たりの時間外労働時間p22」
厚生労働省愛媛労働局「時間外、休日及び深夜の割増賃金(第37条)事業場外労働のみなし労働時間制(第38条の2)」
公益財団法人日本看護協会「労働に関するよくある質問」
総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
看護師の転職には4〜5年目がおすすめ!何年目でも転職した方が良いケースもある
本記事では看護師が何年目で転職することが望ましいのか、経験年数ごとのメリットとデメリットについて、また経験年数は関係なく転職した方が良いケースについても解説しました。
看護師の転職には4〜5年目がメリットとデメリットの割合から最適と考えられますが、何年目かは関係なく転職した方が良い場合もあります。
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