アメリカの看護師の年収はいくら?日本の看護師より高い5つの理由を紹介
「アメリカの看護師の年収ってどのくらい?」「日本よりもアメリカの看護師のほうが年収は高いの?」
多くの看護理論が作り上げられているアメリカ。アメリカで働きたいと考えているものの、看護師の年収事情に疑問を感じている方もいるでしょう。
この記事では、アメリカの看護師の年収や日本の看護師よりも年収が高い理由を詳しく解説します。アメリカの看護師の年収事情がわからず悩んでいるあなたの助けになれば幸いです。
アメリカの看護師の年収は82,750ドル(約1,290万円)
アメリカの看護師の年収が高い、もしくは低い州をそれぞれみていきましょう。アメリカで働く際の参考にしてくださいね。
アメリカの看護師で年収が高いところはカリフォルニア州
アメリカ合衆国労働統計局の2021年のデータによると、アメリカの看護師の給料は平均で82,750ドル、日本円で1,290万2,380円(2024年5月2日:1ドル155.92円で以下も換算)です。アメリカの看護師で最も年収が高いところは、カリフォルニア州であり平均で124,000ドル、日本円で1,933万4,080円です。
というのも、アメリカのカリフォルニア州を含む一部の州では看護師の需要が高く、それに伴って年収も高い傾向にあるためです。
一般的にアメリカの看護師の年収は高い水準にあると言えるでしょう。
アメリカの看護師で年収が低いところはサウスダコタ州
アメリカの看護師で最も年収が低いところは、サウスダコタ州で60,540ドルであり日本円で943万9,3978円です。
カリフォルニア州と比べると、63,460ドル低いです。アメリカの看護師の年収は、州によって大きく異なります。
そのため、アメリカで働くときに高収入を得たい看護師の方は、州ごとの求人を確認してみてください。
アメリカの看護師の年収を日本と比較
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計」によると日本の看護師の平均年収は508万1,700円とされています。
先述したように、アメリカの看護師の平均年収は82,750ドル、日本円で1,290万2,380円であるため、日本よりもアメリカの看護師のほうが年収は高い傾向です。
その背景には、アメリカの医療費の高さや看護師の地位の違いが挙げられます。次の章で詳しく解説します。
アメリカの看護師の年収が日本の看護師よりも高い5つの理由
アメリカの看護師の年収が日本の看護師よりも高い理由は以下の5つです。
- アメリカの看護師は地位が高い
- 資格を習得するのが難しい
- 仕事が細分化されており看護の業務に集中できる
- 医療費が高い
- 看護師が不足している
それぞれの理由を知って、アメリカで働く際には高年収を実現しましょう。
アメリカの看護師は地位が高い
アメリカの看護師は地位が高いため、年収も高くなりやすいです。
アメリカの看護師は医師と対等の立場にあり、医師と積極的な意見交換ができるほどの高いレベルでの知識や技術を持っています。また、多様な人種の暮らす国であることから、様々なケースに対応できることや看護の専門性も非常に高いです。
一方で、日本の看護師は医師と対等の立場と認識している方は少ないのが現状です。
日本では、医師からの指示をもとに看護師が処置やケアをするのが一般的であり、看護師自身が薬を処方する、処置の指示を行うなどが原則的にはできないからです。(特定行為研修を受けた看護師を除く)
このアメリカと日本での地位の差が、年収の差につながっている要因のひとつといえます。
資格を習得するのが難しい
アメリカ看護師国家試験(NCLEX-RN)の2023年の合格率は、全国看護委員会評議会によると約68%と示されています。
試験を受けるまでにも大学で厳しい学科過程を経て、定期試験で点数が取れなければ試験の受験資格さえ得られません。
そのため、この試験に合格した看護師は、高度な知識とスキルを持つ人材と評価されます。さらに、病院やクリニック、施設は質の高いサービスを提供できる看護師を確保するため、高い給料が得られるでしょう。
仕事が細分化されており看護の業務に集中できる
アメリカでは職種が細分化されているため、看護師は患者さまのケアや診療の補助に集中しやすいと考えられます。
日本の看護師がおこなっている看護業務の一部は、アメリカではほかのスタッフが担っています。具体的には以下のとおりです。
- 患者さまの移送や病棟の清掃:用務員
- 食事の配膳:食堂のスタッフ
- 採血:採血専門のスタッフ
- 人工呼吸を装着している患者のケア:呼吸療法士
- 排せつの介助やヵルテの管理:看護補助者
こういった業務をほかのスタッフが担うケースが多いため、アメリカの看護師は患者さまへのケアに集中できる環境と言えます。
さらに、アメリカではトラベルナース(日本では応援ナースと呼ばれる)として働ける環境が整っています。業務が細分化されているため、業務内容がわかりやすく、一時的な就労もしやすいでしょう。
医療費が高い
米国保健福祉省によると、2020年のアメリカの医療費は、国内総生産(GDP)の19.7%であり先進国で最も高い水準です。
というのも、救急車が有料であったり、自由診療が採用されたりしているからです。
そのため、病院は看護師に限らず医療スタッフに高い給与を払うことで、優秀な人材を確保して質の高い医療を提供しようとしています。
看護師が不足している
厚生労働省の「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」によると、2022年度において日本の全職業の有効求人倍率が1.19倍であるのに対して、日本の看護師の有効求人倍率は2.20倍です。
日本と同じようにアメリカでも看護師の人手不足は問題となっており、2020年時点でも100万人以上の看護師が必要と予測されていました。
看護師の人手が足りないと、医療ケアの際、十分に注意できなかったり確認が足りなかったりなどしてインシデントにつながる恐れがあります。さらには、患者さまの声にしっかりと耳を傾けられず、ケアが行き届かない可能性があります。
そのため、さらに人手不足とならないように看護師の給与を上げて対応しているところもあり、看護師の給料が高くなっている一因と言えるでしょう。
労働組合の影響が強い
全米看護師連合(National Nurses United)といった労働組合の影響力が看護師の処遇改善に関わっています。
実際に、2022年に米中西部ミネソタ州で約1万5000人の看護師が人員不足や低賃金に抗議し、ミネソタ看護師連盟が3日間のストライキを組織した事例もあります。こういったストライキを起こす事例は日本では珍しいです。
この労働組合の交渉が繰り返しおこなわれることが、結果として看護師の給料を上げていると考えられます。
アメリカの看護師になるには
日本の看護師の免許だけでは、アメリカでは働けません。これは、アメリカに限ったことではなく、海外で働くためにはその国々での資格要件を満たす必要があります。
ここでは、日本の看護師の免許を持っている場合、持っていない場合の2つのパターンでアメリカの看護師として働く方法を紹介します。
h3:アメリカの看護師になるには|日本の看護師の免許を持っている場合
アメリカで看護師として働くためには、まずはCGFNS (Commission on Graduates of Foreign Nursing Schools)の審査に合格しなければなりません。
その後で、NCLEX-RN (National Council Licensure EXamination-Registered Nurse)、看護師の資格試験を受験し合格する必要があります。
この2つの審査と資格について下記の表にまとめました。アメリカの看護師を志すときの参考にしてくださいね。
受験の要件 | 注意点 | |
CGFNS | ・看護学校において2年以上の課程を修了し、看護師の免許を取得 ・以下のいずれかを修得(内科・外科・小児科・精神科・看護理論・産婦人科・臨床実習) | ・マークシート形式でのテスト |
NCLEX-RN | ・CGFNSに合格 ・TOEIC725点+TOEFL iBT 76点以上 ・アメリカの短大の看護学部、もしくは大学の看護学部課程を修了 | 5択の問題形式で72%の正解率が必要 |
さらに、アメリカでこの看護師の免許を取ったあとに、ナースプラクティショナー(略称:NP)を習得すると、さらに専門性が増し年収アップが期待できます。
ナースプラクティショナーとは、いわゆる診療看護師のことであり、大学院のナースプラクティショナーのコースを受講し必要な学位を取得して国家試験を合格しなければなりません。
医師がいなくても診察や診断のオーダーができるため、アメリカで高収入を得たい方はぜひ検討してみてください。
アメリカの看護師になるには|日本の看護師の免許を持っていない場合
日本で看護師の資格を持っていない場合は、日本の大学や専門学校で免許を取ってCGFNSやNCLEX-RNを受けることで、アメリカで看護師として働けます。
もしくは、アメリカの短大や大学で看護学を学んだうえでNCLEX-RNを受験して合格するコースもあります。
アメリカの短大や大学で学ぶ場合は、州によって試験の難しさや費用の高さなど異なるため、事前にホームページ等で確認しましょう。
ビザスクリーンが必要
ビザスクリーン(VisaScreen Certificate)とはアメリカで労働やグリーンカードを取得したい場合に必要になる審査のことです。
NCLEX-RNの試験合格は前提で、TOEFLやIELTSなどの英語力の証明、日本の大学での成績証明書などの提出が必要です。
アメリカで看護師として勤務するうえで必要な英語力があるかどうかを判定されます。
アメリカで看護師として働くためには、看護技術や臨床での経験だけではなく高い英語力が必要であると言えるでしょう。
まとめ
日本の看護師よりも、アメリカの看護師のほうが年収は高い傾向です。
アメリカの看護師は、地位が高かったり業務が細分化さているため看護業務に専念できたりするためです。
ただし、州によって年収は大きく異なるため事前に確認してください。さらに、日本の看護師がアメリカで働くためには、CGFNSやCLEX-RNといったテストを合格し、就労に必要な審査をパスすることが必要であり、資金も欠かせません。
そのため、まずは日本で資金をためて準備することが大切です。その際には、ぜひ「NsPaceCareer」にご相談ください。訪問看護業界に特化した求人サイトであり、全国から高収入の求人を見つけられるかもしれません。
参考サイト・文献
Highest Paying States for Registered Nurses in 2024
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2020年の米医療費は前年比9.7%増、新型コロナ対応で政府支出かさむ
世界に広がる医療現場の人手不足、その解消に向けた5つの対策|世界経済フォーラム
The Commission on Graduates of Foreign Nursing School(外国看護学校卒業生審議会)
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