社会人から看護師を目指すには?方法や注意点を解説

公開日:2024/04/24 更新日:2024/06/17
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看護師は国家資格であり、将来的にも収入や働き方が安定しているイメージをもたれやすい職種の一つです。

とはいえ「社会人から看護師を目指せるのか」「働きながら看護師になるには、どのような方法があるのか」と、気になる人も少なくないでしょう。

この記事では、社会人が働きながら目指せる看護職資格の種類や、看護師になるための方法を解説します。

社会人から看護師を目指すメリットや注意点も紹介するので、新たなキャリアを考えている方はぜひ参考にしてください。

社会人から看護師を目指せる?

看護師養成所では、社会人から看護師を目指せる環境が整えられています。

厚生労働省は、社会人などが看護師資格の取得を目指せるよう「看護師養成所における社会人経験者の受け入れ準備・支援のための指針」を出しています。

そのため、全国で試験の工夫や単位認定などが配慮されており、社会人として働きながらでも看護師養成所へ通いやすい状況だといえるでしょう。

参照元:厚生労働省|看護師養成所における大卒社会人経験者等の養成について看護師養成所における社会人経験者の受け入れ準備・支援のための指針

働きながら目指せる看護職資格の種類

社会人が最初に目指せる看護職の資格は、准看護師や看護師です。

どちらも患者さまの療養上の世話や医師が行なう診療の補助を担いますが、看護業務を実施するうえでの指示の必要性が異なります。

また、准看護師と看護師では、資格の取得方法も同じではありません。

准看護師と看護師について、それぞれ解説します。

准看護師

准看護師は都道府県知事により免許を交付される資格で、中学校を卒業している人が目指せます。

2年以上のカリキュラムを修了後、すべての都道府県で年2回開催される准看護師試験への合格が必要です。

准看護師試験の合格率は全国平均が97~98%で、難易度は低めだといえます。

参照元:一般社団法人日本准看護師連絡協議会

看護師との違いは、業務を行なうための指示が必要となる点です。

准看護師が業務を行なうためには、医師や歯科医師・看護師の指示がなければならず、自ら患者さまをアセスメントして看護計画を立案したり実践したりすることはできません。

看護師

看護師は厚生労働大臣により免許を交付される国家資格で、高校を卒業している人が目指せます。

以下のコースで3年以上のカリキュラムを修了後、12の都道府県で開催される看護師国家試験への合格が必要です。

入学要件看護師等養成所
高校卒業・看護大学4年 ・看護短期大学3年 ・看護専門学校3年
中学卒業5年一貫看護師養成課程校
参照元:日本看護協会|看護職になるには

また、准看護師を取得後に看護師を目指す方法もあり、その場合は2年課程の養成所で全日制と定時制が選択できます。もし、実務経験が7年以上あれば通信教育課程を利用することもきます。

参照元:日本看護協会|准看護師制度について

看護師国家試験の開催は准看護師と違い、年に1回のみです。

令和6年度の第113回看護師国家試験における合格率は87.8%でした。

参照元:厚生労働省|看護師国家試験の施行第113回看護師国家試験の合格発表

准看護師との違いは、看護師は自ら患者さまをアセスメントして、根拠に基づいて看護を計画的に実践できる点です。

参照元:日本看護協会|准看護師制度について

また、准看護師に比べて看護師の給与は高くなります。

令和5年度における「賃金構造基本統計調査」によると、准看護師の平均年収が403万2,600円であるのに対し、看護師は506万1,400円と、年収で100万円ほど差があります。

社会人から看護師になるための方法

社会人から看護師になるためには、以下2つの方法があります。

  • 最初から看護師免許を取得する
  • 准看護師資格を取ったあと、看護師免許を取得する

看護師になるための最短ルートは、最初から看護師免許を取得する方法です。

しかし、働きながら全日制の学校に通うことは難しいため、仕事を続けたい場合は准看護師から選択するのも一つの手でしょう。

それぞれの方法について解説します。

最初から看護師免許を取得する

最初から看護師免許を取得するためには、中卒・高卒それぞれでルートが異なります。

中学を卒業して看護師免許を取得する場合、5年一貫看護師養成課程校に通う必要があります。

一方、高校を卒業している場合の免許取得ルートは、以下3つです。

  • 3年制の専門学校
  • 3年制の短期大学
  • 4年制大学

なかには社会人入試を用意している看護師等養成所もあり、一般入試より受験科目が少なくなっています。

社会人入試の受験内容の一例は、以下のとおりです。

  • 書類審査
  • 面接
  • 国語(現代文)
  • 小論文など

参照元:一般社団法人日本看護学校協議会|社会人入試実施施設

入学後は座学や演習、実習などを経て必要なカリキュラムを修了後、看護師国家試験を受験します。

国家試験は毎年2月頃に行なわれ、合格すればその年の春から看護師として働けます。

合格できなかった場合は、翌年に。

参照元:厚生労働省|看護師国家試験の施行

准看護師資格を取ったあと看護師免許を取得する

社会人から看護師を目指すには、准看護師資格を取ったあと、看護師免許の取得を目指すのも一つの選択肢です。

准看護師養成所への入学試験は、国語・作文・数学・社会・理科・英語から2~3科目ほど出題される傾向にあります。

入学要件が中学卒業になっていることから、試験の難易度も中卒レベルです。

社会人入試が用意されている場合は、以下のような試験が行なわれます。

  • 一般常識問題
  • 作文
  • 面接

参照元:

入学後のカリキュラムはおもに、1年目が履修・2年目が実習です。

働きながら通える学校も多いため、社会人でも無理なく目指せるでしょう。

カリキュラム修了後に准看護師試験を受験し、合格すると准看護師の資格が取得できます。

参照元:一般社団法人日本准看護師連絡協議会

そこから看護師を目指す場合は、准看護師として必要な期間働いたのちに看護師学校養成所の2年課程を受講します。

准看護師の養成所には全日制・定時制・通信制があり、それぞれの条件は以下のとおりです。

通い方必要な実務経験教育年限
全日制中卒者は3年以上2年
定時制(昼間/夜間)中卒者は3年以上3年
通信制7年以上2年
参照元:日本看護協会

准看護師資格を取得後、最短ルートで看護師免許を取れるのは、全日制の看護師学校養成所2年課程への進学です。

いずれの方法でもカリキュラムを受けたあとに看護師国家試験に合格すれば、看護師として働けます。

社会人から看護師を目指すメリット

社会人から看護師を目指すメリットは、主に以下2つです。

  • 社会人経験が活かせる
  • 生涯役立つ免許を持てる

社会人が看護師を目指す強みをそれぞれ解説します。

社会人経験が活かせる

社会人が看護師として働き始めたとき、これまでの経験が活かせる場面が多く出てきます。

たとえば、基本的なマナーである挨拶や報告・連絡・相談は、社会人としては当たり前のことです。

しかし、新卒の看護師は社会人マナーが身に付いていない場合もあり、先輩とうまく連携が取れない可能性があります。

社会人経験があることで、先輩や医師、患者さまともコミュニケーションが取りやすく、よい関係性を構築しやすくなるでしょう。

生涯役立つ免許を持てる

国家資格である看護師は、生涯役立つ免許です。

厚生労働省によると、准看護師や看護師の有効求人倍率は2022年度で2.2倍であり、多くの現場で求められています。

以下のように、就職先の選択肢も広がります。

  • 病院、クリニック
  • 介護施設
  • 訪問看護ステーション
  • 保健所、事業所
  • 健診センター

参照元:厚生労働省|看護師等(看護職員)の確保を巡る状況

さらに、看護師の平均給与は他の仕事の全国平均と比べても高い傾向です。

国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、日本の平均給与は458万円です。

一方、令和5年度の看護師の平均給与は506万1,400円で、前職によっては生涯年収が上がる可能性もあります。

社会人から看護師を目指す場合の注意点

社会人から看護師を目指す場合には、以下の点に注意が必要です。

  • 看護師になるための学費がかかる
  • 看護学生は多忙である
  • 自分にあった学校を選ぶ

それぞれ解説します。

看護師になるための学費がかかる

看護師になるためには、学費が必要です。

社会人から看護師を目指す場合は、あらかじめ学費が生活費を圧迫しすぎないか、考えておかなければなりません。

社会人の場合は、学校に通うために仕事をセーブしたり退職したりすることで、収入が減ることもあるでしょう。

社会人が看護師を目指す場合、専門実践教育訓練給付金制度の利用がおすすめです。

制度名専門実践教育訓練給付金制度
概要厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練講座を自己負担で受講したとき、経費の一部を給付金として支給
対象・受講時点に在職中で雇用保険に加入している人か、離職してから1年以内の人 ・初めて:雇用保険の加入期間が2年以上 ・2回目以降:前回の受講開始日から雇用保険の加入期間が3年以上、前回の支給日から今回の受講開始日まで3年以上
支給額教育訓練経費の50%が6ヵ月ごとに支給(上限:年間40万円)

資格を取得して訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、年間16万円を上限として、受講費用の20%が追加で支給されます。

参照元:厚生労働省|教育訓練給付制度

また、学校や都道府県によっては、返済免除の奨学金制度や、

将来働く先で貸付制度もあるので、よく調べてみましょう。

看護学生は多忙である

看護学生は座学や実技、実習などのほか、テストや課題などで忙しいため、生活リズムの調整が必要です。

病院での実習は午前8時から午後5時までで、期間は3週間におよぶケースもあります。

実習期間中は帰宅後に看護計画を立案したり、患者さまの病気について調べたりしなければならず、状況によっては睡眠時間が短くなることもしばしばあります。

看護学生は、その多忙がゆえに学生同士の団結力も強まります。働いた後にも、「チーム医療」といわれるように、団結力は大切なので、みんなで支え合って乗り越えていくことも学びになります。

参照元:香川県看護協会

自分にあった学校を選ぶ

社会人が看護師になるにはさまざまなルートがあるため、自分にあった学校選びが大切です。

看護師を目指す場合、3年制の短期大学や専門学校を選ぶと、4年制大学と比べて1年早く看護師国家試験を受験できます。

4年制大学は、保健師や助産師などの資格を同時に取得できるカリキュラムがあります。

看護師以外の資格も同時に取得したい場合、検討してもよいでしょう。

社会人として働きながら目指したい場合には准看護師から選ぶ方法もありますが、看護師になるまでに期間がかかるため、学校選びは慎重に行ないましょう。

まとめ

社会人が最初に目指せる看護職には看護師と准看護師があり、資格取得のルートや給与面、業務を行なううえでの指示の有無などが異なります。

社会人から看護師を目指す場合、まずは看護師と准看護師の特徴を把握し、どちらが自分に適しているのかよく検討することが大切です。 そのうえで、社会人として働きながらでも通える学校選びや、利用できる奨学金・給付金制度などを事前に確認しておきましょう。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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