看護師が再就職するには?就職しやすい職場や準備することまとめ
看護師としてのブランクがあると、再就職で「仕事に対応できないのではないか」「最新の医療についていけるか心配」など、さまざまな不安を感じることでしょう。
しかし、ブランクのある看護師でも応募可能な求人は多く、再就職しやすい職場は少なくありません。
この記事では、ブランクがある看護師は再就職が難しいのか、よく感じる不安やおすすめの職場を紹介します。
準備しておいたほうがよいことや使える制度も確認して、再就職時に活かしてください。
看護師はブランクがあっても再就職できる?
看護師は社会的にも需要が高く、ブランクがあっても再就職することは可能です。
厚生労働省の調査によると、2022年度の看護師の有効求人倍率は2.2倍で、ほかの職業(有効求人倍率1.1倍)に比べて人手不足の傾向にあります。また、日本は「看護師等の人材確保の促進に関する法律」で、再就職を促すための施設の設置や活動内容を定めています。
参照元:看護師等の人材確保の促進に関する法律、看護師等(看護職員)の確保を巡る状況
そのため、ブランクが何年までなら就職できるかという制限はなく、どの段階でも再就職しやすい環境にあるといえるでしょう。
「新たな看護職員の働き方等に対応した看護職員需給推計への影響要因とエビデンスの検証についての研究」によると、令和2年度における潜在看護師は全体で28.37%、51万8,153人です。
対象 | 潜在看護師の割合 |
30〜34歳 | 25.84% |
35~39歳 | 34.15% |
40〜44歳 | 22.24% |
全体 | 28.37% |
最も割合が高い年代は35〜39歳で、40〜44歳になると22.24%に下がります。
このことから、看護師を一旦辞めても子育てが落ち着いてから再就職する人が多いことがわかります。
ブランクのある看護師が感じる不安
看護師が看護の現場から離れると、再就職を検討したときに以下のような不安を感じる方は少なくありません。
- 最新の医療についていけるか
- 知識や技術が衰えていないか
- 家事や育児と仕事を両立できるか
多くの潜在看護師が復帰するときに抱える悩みと、それを乗り越えるためのコツを紹介します。
最新の医療についていけるか
ブランクがある看護師は再就職したとき、医療の進歩についていけるか不安に感じやすくなります。
薬や医療機器、治療法など、医療は日々進歩しており、以前はよいとされていた処置方法が現在ではタブーになっている可能性もあります。また、現場ではIT化やAIの導入なども進んでおり、就職先によってはそのようなシステムに慣れる必要もあるでしょう。
最新の医療についていけるか不安な看護師は「ブランクOK」「未経験者OK」などの求人情報を探してみるのも1つの方法です。このような表記のある求人先は、マニュアルや研修などの教育体制が整えられている可能性があります。
知識や技術が衰えていないか
看護師としてのブランクが長い場合、知識や技術が衰えていないか不安になることもあります。
解剖生理学や病態生理学、看護技術などの専門知識や技術の多い看護師は、仕事から離れる期間が長いほど不安も大きくなります。
基本的な知識はあらかじめ復習し、再就職先は研修などが用意されているところを検討してみるのもよいでしょう。再就職で必要となる診療科目の知識や技術は、実際に患者さんに対応する前に再確認しておくことが大切です。
家事や育児と仕事を両立できるか
プライベートと仕事の両立ができるかも、ブランクがある看護師が不安になるポイントです。
子育てが一段落してから再就職を検討する人が多いとはいえ、時期によっては子どもの受験や家族の体調不良が重なることもあるでしょう。加えて家事をこなす必要もあるため、1人では対応しきれず悩みが増える可能性があります。
不安な方はフルタイムではなく短時間での働き方を検討してみたり、家族に協力を得られるようにしておいたりするのもおすすめです。
看護師が再就職しやすい職場
ここでは、ブランクがある看護師でも再就職しやすい、おすすめの職場を5つ紹介します。
- クリニック
- 健診センター
- 保育園
- デイサービス
- 慢性期病棟
再就職するときには、特に「ブランクOK」と記載がある求人に応募するのがおすすめです。それぞれの特徴を確認して、自分に合う職場を見つける参考にしてください。
クリニック
クリニックは病院より規模が小さく夜勤もないところが多いため、ブランクがある看護師でも再就職しやすい職場です。
土日祝休みのクリニックも多く、久しぶりの看護師仕事でも無理なく働けるでしょう。
クリニックは診療科目ごとに分かれていますが、基本的には一般的な看護業務ができれば問題ありません。
看護師同士の距離感も近くアットホームな雰囲気のクリニックも多いため、何かあれば相談しやすい環境といえます。
「看護師1人体制」のクリニックだと、相談できる人が身近にいない環境になってしまうため、複数の看護師が勤務している規模のクリニックや診療所がおすすめです。
健診センター
健康診断や人間ドックを行なう健診センターでは、基本的には健康な人を対象とするため、ブランクのある看護師でも再就職のハードルが低い職場です。
看護師はおもに、身体測定や視力・聴力検査、採血などを担当し、業務はルーティン化しています。また、健診センターは夜勤がなく土日祝休みであるため、ワークライフバランスを整えながら無理なく働けるでしょう。
保育園
子どもの健康管理を行なう保育園は医療行為が少ないため、ブランクのある看護師でも再就職しやすい職場です。子育て経験がある人や子どもが好きな人、小児科経験がある人は活躍しやすいでしょう。
ただし、保育園は看護師の数が少ないため、急な欠勤時などに対応してもらえるか、事前に確認しておく必要があります。
デイサービス
デイサービスは、主に要介護の人が通所して、入浴支援や食事の提供、リハビリテーションを受けることができる施設です。
デイサービスでは、利用者さまの健康管理や軟膏塗布、インスリン注射、介護士のサポートなどが、看護師の主な業務となります。複雑な医療処置はほとんどないため、ブランクがあっても対応しやすいでしょう。また、デイサービスは夜勤がなく退勤時間も早いためワークライフバランスも取りやすく、再就職にはおすすめの職場といえます。
ただし、基本的には看護師1人体制のため、急変時の対応は、看護師を中心に対応する必要があります。
慢性期病棟
慢性期病棟は容体が安定している患者さまのケアが中心で、急変対応も比較的少ないため、ブランクのある看護師が再就職しやすい職場です。実際に入院している患者さまと関わりながら、看護師としての感覚を取り戻していきたい人に、おすすめの選択肢といえます。
ただし、慢性期病棟は24時間体制で患者さまをみるため、夜勤が必要となります。再就職を考える場合には、条件をよく確認しましょう。
看護師が再就職するために準備しておくこと
看護師が再就職を成功させるためには、以下2点を準備しておくのがおすすめです。
- 看護技術・知識の復習
- 家族への相談
それぞれ解説するので、再就職前にクリアしておきましょう。
看護技術・知識の復習
再就職で困らないためには、基本的な看護技術や知識を復習しておくとよいでしょう。これまでの経験で身に付いている知識やスキルは、数回復習することですぐに思い出せます。
また、最新の医療や看護情報についていけるよう、以下の方法を活用するのも有効です。
- インターネットや動画で学習する
- 書籍を読む
- 研修やセミナー、講習会に参加する
活用するときには必ず信頼できる情報か、出典先や開催元を確認することが大切です。
家族への相談
看護師として再就職するときには、あらかじめ協力を得られるよう、家族に相談しておくとよいでしょう。
働き始めると、これまで家のことに使っていた時間が取れなくなります。特に、フルタイムでの再就職を希望する場合には、家族に相談して同意を得ておくことが大切です。
看護師の復職支援制度とは
看護師の復職支援制度には、各施設が実施する研修や「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に基づき設置されたナースセンターなどがあります。
また、都道府県ナースセンターは都道府県看護協会による施設です。すべての都道府県に必ず1つは設置されており、看護職の確保や離職防止、潜在化予防のための就業相談などを行なっています。
都道府県ナースセンターで行なう看護師の復職支援制度の活動は、以下のとおりです。
- 再就職相談と無料の職業相談
- 再就職支援研修
- 交流会(交流カフェ)
研修では最新の医療や看護について学べるうえ、医療機器を使用した技術演習を受けることも可能です。
交流会では子育て中や定年退職後の看護職が集まるため、情報共有もできます。ブランクが長いと再就職が不安になりがちですが、同じ境遇の人たちと交流することで心強さを感じやすくなります。
また、無料の職業相談はインターネットでも利用可能です。ブランクのある看護師の再就職時に利用してみるのもよいでしょう。
その他、復職支援制度を行なっている医療機関もあり、看護技術演習のほかにも病院看護師としてのマナーなどが学べます。活用することによりスムーズに復帰しやすくなるでしょう。
まとめ
看護師は社会的にも需要が高く、再就職は難しくはありません。実際に潜在看護師を経て復帰しているケースも多くあります。
しかし、ブランクが長いほど「最新の医療についていけるか」「知識や技術が衰えていないか」「家事や育児と両立できるか」など、不安が大きくなります。再就職するときには基本的な看護技術や知識を復習し、家族に相談したうえで働きやすい職場を検討してください。
ワークライフバランスを重視したい人はクリニックや健診センター、デイサービスなどが比較的働きやすい職場です。入院患者さんに触れて早く感覚を戻したい人は、慢性期病棟が無理なく再就職できるでしょう。
それぞれの職場の特徴から自分の希望に合う条件で検討すると、スムーズに復帰しやすくなります。
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