認定看護師を取得するデメリットとは?不要と言われる理由や実際に活躍する場面も解説
看護師としてのキャリアを歩む中で、キャリアアップとして資格取得を検討している看護師の方もいるのではないでしょうか。
資格の中でも注目度の高い認定看護師ですが、「認定看護師の資格は不要という声を聞いたことがあり取得を悩んでいる」「メリットだけではなくデメリットも気になっている」という方もいるかもしれません。
今回は認定看護師を取得するデメリットや不要と言われる理由、実際に活躍する現場や場面についても紹介していきます。
認定看護師のメリットだけではなくデメリットも知っておきたい方は、ぜひ参考にしてください。
認定看護師を取得するのはおすすめ?
そもそも認定看護師を取得するのがおすすめと言えるのかは、個々のキャリアプランによって異なるため、一概には言えません。
キャリアプランを明確に持っている看護師の方の中で、キャリアアップの選択肢として認定看護師の取得を視野に入れており、さらに資格を取得した上でやりたいことや進みたい道が明確なのであれば、取得することをおすすめします。
特に認定看護師は、日本看護協会による認定資格のため医療機関の認知度が非常に高く、評価の対象とされやすいため、知名度の点からもおすすめの資格です。
ただし「周りに進められたから」「なんとなく資格が欲しい」というような曖昧な気持ちでの資格取得としては難易度が高い資格のため、おすすめできません。
認定看護師を取得するデメリットとは?不要と言われる理由
認定看護師を取得するデメリットや資格が不要と言われる理由を解説していきます。
認定看護師を取得するデメリットは、下記のものがあると考えられています。
- 資格取得に時間と費用がかかる
- 研修を受ける負担が大きい
- 環境によっては資格による恩恵が受けられない
- 資格を保有し続けるには自己研鑽し続ける必要がある
それぞれ理由をみていきましょう。
資格取得に時間と費用がかかる
認定看護師の取得には、多くの時間と費用が必要です。
資格取得には、看護師資格を保有しており、実務研修が通算5年以上かつその中で3年は認定看護分野での経験であることが前提条件です。
その後は、認定看護師教育機関へ入学し修了したのち、認定看護師認定審査を受験します。
合格後、認定看護師認定証を交付され登録すると、認定看護師として名乗れるようになります。
ここまでの流れの中で、受験までに最低5年は臨床経験を積まなければならない点や、認定看護師教育機関で800時間の授業受講しなければならない点から、多くの時間がかかるのがわかるでしょう。
また、現行の認定看護師の取得のみできる制度(A課程)は、2026年度をもって教育を終了し、以降は特定行為研修を受けることが必要(B課程)になります。
さらに認定看護師教育機関での費用も、授業料や実習費を考えると約100万円程度は必要と想定され、さらに受験料や合格後の登録費用にもそれぞれ51,700円(税込)支払わなければなりません。
そして次の項目で解説しますが、研修の受講にあたって引っ越しをしなければならない遠方の方の場合は、さらに費用がかかると想定されるでしょう。
研修を受ける負担が大きい
認定看護師になるには研修を受講する必要があり、その研修には2020年から特定行為研修も含まれるようになりました。
特定行為研修では、豊富な知識や高い判断力や理解力を求められるため、以前にも増して認定看護師になるための研修の負担が増えたことがわかるでしょう。
また、現在19分野の認定看護分野がありますが、全国どこでも19分野の研修が受けられるわけではなく、決められた場所の研修センターへ行く必要があります。もし遠方へ住んでいる場合、受講したい分野の研修が近隣で実施していなければ、引っ越しも余儀なくされるでしょう。
環境によっては資格による恩恵が受けられない
もし、時間や費用をかけて認定看護師の資格を取得したとしても、職場の環境によっては資格による恩恵が受けられないケースもあります。
たとえば資格手当や昇給などがなかったり、資格を活かして働けなかったりする場合もあるでしょう。
ただし、転職など職場環境を変えることで恩恵を受けられる可能性はあるため、資格取得後、予想していた待遇が受けられなかったという看護師の方は転職も視野に入れると良いかもしれません。
資格を保有し続けるには自己研鑽し続ける必要がある
認定看護師の資格は、取得したら終わりではありません。認定看護師の資格の有効期限は5年とされており、5年ごとに審査を受けなければなりません。
さらにその審査では、2,000時間以上の看護実践の実績と、下記の資料に記載のある学会・研修会の参加や実習指導などの自己研鑽実績が50点以上必要とされています。
参考資料:公益社団法人日本看護協会「認定看護師認定更新・再認定審査における研修実績及び研究業績等申告表」
また再審査を受ける際にも30,800円の費用が必要であり、再認定の合格時も20,900円の費用が必要です。
資格を保有し続けるには自己研鑽のための費用はもちろんのこと、更新のためにも費用がかかる点も想定しておかなければならないでしょう。
認定看護師が活躍する現場を紹介
ここまで認定看護師の資格取得に関するデメリットを解説してきました。
認定看護師は、その役割である『実践・指導・相談』を果たすためにさまざまな現場で活躍しています。
つぎに、認定看護師の資格が活躍する場面について解説していきます。
病院
認定看護師の資格取得におけるデメリットの中で、環境によって資格取得の恩恵が受けられない場合があると解説しました。やはり認定看護師の資格を活かせる現場は、病院が多いのが実情です。
実際に2022年の日本看護協会による「専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」では、認定看護師4,462人中、89.9%の看護師が現在病院で勤務していると回答しています。
さらに、資格更新の要件である看護実践時間を積むためにも、臨床現場で看護に携わっている必要があるため、資格取得後働いている勤務先としても病院が多いと考えられます。
また、病院で認定看護分野を保有していると、それぞれの病棟やチームでリーダーシップを取り、研修を開く、実習指導をするといった教育の現場にも携われるため、該当の分野の医療の質向上が期待できるでしょう。
認定看護師を取得した看護師の方の中には、自身の自己研鑽だけでなく、該当の分野における医療の質の向上も行っていきたいと考えている方も少なくありません。
このように病院で資格取得をした認定看護分野のプロとして、周囲を引っ張って活躍している認定看護師も多く存在します。
参照:日本看護協会「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査 報告書」
介護保険施設
特定行為研修の受講が必須となった認定看護師の中には、特定行為の実践はもちろん、特定行為研修の実施や指導に携わっている看護師の方もいます。
また、特別養護老人ホームや介護施設のような高齢者施設で働き特定行為を実践したり、周囲の看護師へ指導したりする看護師の方もいます。
介護施設のような医療資格者が少ない現場でも、高齢化に伴い医療的なケアの需要が高まっていく傾向が予想されるため、認定看護師のような存在がいることは非常に心強いでしょう。
そのため介護保険施設において、今後認定看護師の需要は高くなっていくのではないでしょうか。
参照:公益社団法人日本看護協会「特定行為研修を修了した認定看護師の実践事例」
訪問看護ステーション
在宅への医療の移行が進む中で、在宅ケアの認定看護分野を保有している看護師や、認知症看護、皮膚・排泄ケアなど、さまざまな認定看護分野の資格を取得している認定看護師の活躍が広がってきています。
高齢化に伴い需要は高まる一方であり、その中で在宅ケアはもちろん、各専門分野のプロである認定看護師に働いてもらえることは、訪問看護ステーションにとって心強いと感じるのではないでしょうか。
もちろん、認定看護師が在籍することでステーションが提供する看護の質の向上も可能です。さらに、特定行為研修を修了している看護師は、特定行為の実施も可能となるため、幅広い看護の提供もできるようになっていくでしょう。
実施できるサービスの幅が広がることは、看護師たちのやりがいにも繋がり、訪問看護ステーションや看護を受ける利用者さまとしても大きなメリットになるでしょう。
認定看護師の取得はデメリットもメリットもある
ここまで、認定看護師の資格取得のデメリットに加えて、実際に活躍している現場についても紹介しました。
認定看護師の取得はデメリットもありますが、取得におけるメリットも多く存在します。
認定看護師として認められて、リーダーシップを取れる場面が増えて周囲から信頼されたり、医療機関から認められて昇給や資格手当をもらえたりなど、やりがいを感じ働きやすさと直結する場面もあるのではないでしょうか。
そのため、認定看護師の取得はデメリットもありますが、自分自身のキャリアプランやなりたい看護師像について考えて、メリットと合わせて比較した上で取得を検討する必要があります。
認定看護師になるメリットや詳しい流れについては、下記の記事も参照ください。
関連記事:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説
また、キャリアプランについて悩んでいるという方は、下記の記事も参考にしてください。
関連記事:看護師のキャリアプランの答え方とは?転職面接での伝え方や例文も紹介
認定看護師のメリットとデメリットを知って慎重に検討しよう
ここまで、認定看護師を取得するデメリットや不要と言われる理由、実際に活躍する現場や場面についても解説しました。
認定看護師を取得するのがおすすめかどうかは、看護師としてどのようなキャリアプランを持っているかによって異なるため一概には言えません。
ただし、認定看護師になる条件や課程は難しく、覚悟を決めて目指す必要があります。
メリットとデメリットを知った上で、資格取得について慎重に検討するようにしましょう。
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