主婦が看護師になるには?学校ごとの特徴や費用、目指すためのポイントを解説
家事や育児がある主婦が看護師になるには、家庭と両立できるように環境を整えたうえで、自分に合う条件の学校へ通う必要があります。
この記事では、主婦が看護師になるための方法や費用、目指すためのポイントを解説します。
自分や家族の将来のために、ぜひ参考にしてください。
主婦が看護師になるには看護師資格がおすすめ
看護師には看護師と准看護師があり、主婦がこれから目指す場合は看護師資格の取得がおすすめです。
准看護師は戦後に女性の高校進学率が低いなか、急激な病院増設で看護師の需要が大きくなったことで発足した資格です。
看護師を補助する役割として発足した資格であるため自分の判断では業務をおこなえず、条件として医師や看護師の指示が必要になります。
日本最大の看護職能団体である「日本看護協会」も准看護師養成の停止に取り組んでおり、社会需要の大きさからも看護師を目指す方がよいでしょう。
看護師と准看護師の違い
看護師と准看護師には以下の違いがあります。
看護師の種類 | 看護師 | 准看護師 |
必要な能力 | 根拠に基づき、看護を計画的に実践する | 看護師の立案した看護計画を基に、看護を実践する |
免許の交付 | 厚生労働大臣 | 都道府県知事 |
入学要件 | 高校卒業 | 中学卒業 |
必要年数 | 3年以上 | 2年以上 |
准看護師は都道府県知事による免許交付で、国家資格ではありません。
中学卒業と2年ほどのカリキュラムにより受験資格を得られるため、最短で看護の道へ進めます。
しかし、准看護師が業務をおこなうためには、医師・歯科医師または看護師の指示が必要であり、注意が必要です。
一方、看護師は高校卒業後に3年以上指定のカリキュラムを受講すると、看護師国家試験の受験資格が得られます。
合格後には厚生労働大臣により看護師免許証が交付され、自ら患者さんの状態をアセスメントしてチームと協働しながら看護を実践することが可能です。
また、看護師と准看護師は給料面でも異なります。
厚生労働省による令和4年賃金構造基本統計調査によると、看護師の月収が約35万円なのに対し、准看護師は約30万円です。
長い目で見ても、主婦がこれから目指すなら看護師がよいといえます。
短期間で看護師になるには看護師のカリキュラムを学ぶ
なるべく早く看護師になるには、はじめから看護師のカリキュラムを学ぶことがおすすめです。
准看護師になってから看護師になる方法もありますが、看護師学校養成所に入り直さなければならず通信制を選択した場合には最長で11年かかるでしょう。
高校を卒業している場合には、准看護師になったあとすぐに看護師学校養成所に入ることもできます。
しかし、その場合でもトータルで4年間かかるため、主婦が目指すときははじめから看護師学校養成所に入学したほうが効率的に看護師資格を取得できます。
看護師を目指す主婦が通える学校の種類や費用
主婦が看護師になるためには、以下3つのうちいずれかの学校に入学して看護師資格の取得に必要なカリキュラムを修了し、看護師国家試験に合格する必要があります。
- 専門学校
- 短期大学
- 4年制大学
それぞれの特徴や費用を解説します。
専門学校
看護専門学校は看護大学よりも費用を抑えられる傾向にあり、子持ちの主婦におすすめの選択肢です。
一般的に看護専門学校は3年制で、初年度納入金の目安は約70万円~160万円です。
初年度納入金が100万円をきる専門学校も多くあり、3年間の費用目安は約200万円~450万円になります。
費用面では、専門学校は子育てしながらでも看護師を目指しやすいといえるでしょう。
また、看護専門学校は大学より1年短く、座学より実習が多い特徴があります。
看護技術を習得しやすく、臨床でスムーズに活かすことが可能です。
短期大学
看護短期大学は専門学校における専門性の高い授業と、大学における充実した学習環境、両方の特徴をもった看護師養成所です。
専門学校と同様の3年制であり、早く看護師として活躍したい主婦におすすめです。
カリキュラムは専門学校と同じような内容のほか、一般科目の授業時間が多く設定されています。
一般教養も身に付くため、患者さんとのコミュニケーション能力や社会人としての教養・マナーを学べます。
費用の目安は学校により異なりますが、極端に専門学校より高くなるわけではありません。
初年度納入金の目安は約110万~165万円、3年間で約300万~500万円です。
しかし、令和5年度時点で文部科学大臣が指定する看護短期大学は約12校しかなく、全国的にも大学へ移行したり閉校したりと縮小傾向です。
近隣に開校していて学費が予算内の短期大学があれば、検討してみてもよいでしょう。
4年制大学
4年制大学は看護の知識・技術のほかに関連分野のスキルも習得でき、一般教養もあるため幅広く学習できます。
また、大卒の看護師は、専門学校や短大卒より給料が高く設定されている病院も多くあるため、将来的に高い収入を得たい主婦におすすめの選択肢です。
4年制大学には運営元の違う私立・国立・公立があり、費用の目安が以下のように異なります。
4年制大学の種類 | 運営元 | 4年間の費用目安 |
私立 | 企業や学校法人などの個人 | 約400万円~700万円 |
国立 | 国立大学法人 | 約240万円~約300万円 |
公立 | 公立大学法人 | 約230万円~300万円 ※県内在住でさらに安くなるケースあり |
4年制大学のなかでは、公立がもっとも費用を抑えられる可能性があります。
県内在住によりさらに授業料などが安く設定される大学もあるため、近隣にある場合は募集要項を確認してみましょう。
ただし、費用が抑えられる国公立大学は入学試験の難易度も高い傾向にあります。
現在の学力や入学試験までの時間を考え、学校を選択してください。
主婦が看護師になるためのスケジュール例
あらかじめ、看護学生や看護師になったときの1日の流れを把握しておくと、看護師を目指すために現在の生活をどのように改善すればよいか、イメージしやすくなるでしょう。
以下に、看護学生や看護師になったときのスケジュール例を紹介します。
主婦が看護学生になったときのスケジュール例
子どもを保育園に預けた場合のスケジュール例を紹介します。
学校での授業 | 実習あり |
6:00 起床後、家事・育児 8:00 保育園へ送る 8:30 学校に到着 9:00 授業 12:00 昼休み 13:00 授業 16:00 授業終了 16:30 保育園お迎え 17:00 帰宅後、家事・育児 21:00 勉強後、就寝 | 5:00 起床後、家事・育児 7:00 保育園へ送る 8:00 実習先に到着 8:30 午前実習 12:30 昼休み 13:30 午後実習 15:00 振り返り 16:30 実習終了 17:30 保育園お迎え 18:00 帰宅後、家事・育児 22:00 実習課題 |
実習中は病院までの距離により、送迎時間が変わります。
あらかじめ保育時間を相談したり、家族へサポートをお願いしたりして、家庭と学校生活を両立できるよう工夫しましょう。
主婦が看護師になったときのスケジュール例
子どもが小学生だと仮定した際、主婦が看護師になったあとは以下のスケジュールが想定されます。
日勤スケジュール例 |
6:00 起床後、家事・育児 8:00 子ども送り出し、出発 8:30 病棟にて申し送り、仕事開始 16:30 申し送り 17:00 終業、学童お迎え 18:00 帰宅後、家事・育児 21:00 必要時、自己学習 |
看護師の仕事に慣れない間は、残業が発生する可能性もあります。
家族の予定も把握しながら、必要時はサポートを依頼しましょう。
主婦が看護師を目指すためのポイント
主婦は家庭をもっているため、看護師を目指すときには事前の準備が大切です。
あらかじめ以下のポイントを押さえ、看護師になる目標に向かって踏み出しましょう。
- 家族のサポートを得る
- 学費を準備しておく
- 勉強の時間を確保する
- 看護師になりたい動機をしっかり持つ
それぞれのポイントを解説します。
家族のサポートを得る
主婦が看護師になるには、家族の協力が必要不可欠です。
看護師養成所では座学のほか、課題や実習などがあり、家事や育児を含めすべてを1人で両立させるのは難しいでしょう。
特に、子育てしながら看護師を目指す場合は、パートナーや親族、友人などの協力を得られる状況が理想的です。
あらかじめ自分の熱意を伝え協力体制を整えておくと、看護師になるために集中して勉強を進められます。
学費を準備しておく
看護師になるには必ず養成所に入らなければならず、費用を抑えられる専門学校でも3年間で約200万円~400万円かかります。
子育てしながら看護学生をする主婦の場合、子どもにかかる費用も必要です。
金銭面で困難が生じないよう、あらかじめ家族と相談し学費を準備しておきましょう。
学費の負担を軽減するために、奨学金や助成金なども活用できます。
詳しくは以下のサイトをチェックしてください。
勉強の時間を確保する
主婦が勉強をするためには、時間をどう使うかが大切なポイントです。
家事や育児をしながら、看護師を目指して課題や試験勉強をするのは容易ではありません。
家族にサポートを依頼し、自分の時間をうまく作ったりスキマ時間で勉強したりしましょう。
最近では、講義動画などの配信もあるため、家事をしながら少しでも知識をつけられるよう工夫してみてください。
看護師になりたい動機をしっかり持つ
主婦が看護師になるには家庭とのバランスも考えなければならず、動機をしっかり持っておくことが大切です。
在学中に子どもの体調不良やパートナーの繁忙期が重なる可能性もあり、強い動機がなければ心が折れてしまうかもしれません。
また、看護師になったあとも、夜勤や残業などの不規則な勤務になる職場も多くあります。
目標を見失わないために「なぜ看護師になりたいのか」を明確にしておきましょう。
まとめ
主婦がこれから看護師になるには、国家資格である看護師がおすすめです。
そのためには、3年以上かけて看護師養成所に通う必要があり、家事や育児とのバランスをどのようにとっていくかが攻略のポイントになります。
費用を抑えて短期間で看護師になれるのは、専門学校や短期大学です。
4年制大学は費用がかかるものの、将来的な収入は高くなる可能性があります。
とはいえ、専門学校や短期大学を卒業したとしても、管理職や専門・認定看護師などの選択肢があり、キャリアアップが望めます。
主婦が入学を検討する際には、家庭と両立できるよう家族のサポートや学費面の調整、勉強時間の確保などの準備をしておくと看護師を目指しやすくなるでしょう。
ぜひご家族と話し合って検討してください。
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