大学病院の看護師の年収は?年収アップの方法や転職するメリットを解説

公開日:2024/01/11 更新日:2024/11/15
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「大学病院は年収が高そうだから転職したい」「大学病院では高度な看護を学べそうだから働いてみたい」など、大学病院への転職を検討している方も多いでしょう。

大学病院への転職を検討するときに気になるのは年収ではないでしょうか。大学病院は、規模が大きく、一般的に高収入を得やすいです。

この記事では、大学病院の看護師の年収や年収アップの方法、転職のメリットを解説します。大学病院への転職を検討している方や、転職する際に注意するポイントを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

大学病院の看護師の年収は?

設置主体別によって、大学病院の看護師の年収は異なります。ここでは、以下の3つにわけて、具体的な年収を解説します。

  • 国立大学
  • 公立大学
  • 私立大学

いずれの年収も、勤続10年、非管理職、2交代の夜勤月4回、ボーナス年3ヶ月分の条件で計算した場合の金額です。それぞれの看護師の年収をみていきましょう。

国立大学の年収|約501万円

日本看護協会が公開した「2021 年 病院看護・外来看護実態調査」によると、国立大学の看護師の年収は約501万円です。

国税庁による調査では、一般の会社員の平均年収は約467万円とされています。そのため、国立大学の看護師は、比較的高収入を得られると考えられます。

公立大学の年収|約507万円

先述した資料によると、公立大学の看護師の年収は約507万円です。

厚生労働省の調査によると、国立大学の病院数は45施設である一方で、公立大学の病院数は12施設と少ない状況です。

公立の大学病院数が少ないため、募集人数も少なくなります。さらに、居住地によっては、近くに公立の大学病院がないケースもあるでしょう。

そのため、国立の大学病院と比較して、公立の大学病院への転職は難しいかもしれません。しっかりと対策をしたうえで転職活動に臨みましょう。

私立大学の年収|約542万円

先述した資料によると、私立大学の年収は約542万円です。

私立大学の病院数は106施設です。全国に点在しているものの、都心部に多い傾向であるため、地方在住の看護師の方は転職の選択肢が狭まるかもしれません。

一般の会社員と比較すると、いずれの大学病院も高い年収を得られる可能性があります。私立大学の病院であると、約75万円高い傾向です。

ただし、配属先や勤続年数などのさまざまな条件により、看護師の方の年収は異なります。そのため、あくまでも目安としてください。

年収について詳細な情報が知りたい方は、各大学病院のホームページを見たり、面接のときに尋ねたりしてみましょう。

大学病院と一般病院の違い|看護師の業務内容と役割

大学病院と一般病院の違いは、病院が担う役割の違いです。大学病院の主な役割は、以下の通りです。

  • 高度な医療・先端医療の提供
  • 疾患や治療法の研究
  • 医療者の育成

一方で、一般病院の役割は、地域医療を担うことです。

81の大学病院のうち78病院が特定機能病院です。重症度が高い方や高度な医療を必要とする方を受け入れることが大学病院の役割のひとつです。そのため、大学病院の看護師は、高度な医療に対応するために、より専門的なスキルが求められます。

さらに、看護師の人材育成をおこなうために、大学病院は大学や周辺の専門学校から実習生を受け入れます。一般病院の中には実習生の受け入れをおこなっているところもあります。ただし、大学病院は実習生を受け入れることが使命とされており避けられません。

実習生を受け入れる際の具体的な業務は、看護ケアや看護プロセスの指導をはじめ、カンファレンスでの情報共有などがあり、看護師の業務内容は多岐にわたるのが特徴です。

大学病院と一般病院では役割が異なるため、看護師の業務内容や役割が異なります。

大学病院の看護師が年収アップを目指す方法

次に、大学病院の看護師が年収アップを目指す方法を解説します。

  • 勤続年数を重ねる
  • 資格取得を目指す
  • 夜勤業務に多く入る
  • 役職に就く
  • 転職を検討する

大学病院に転職したあと、5つの方法を実践すると年収アップにつながるかもしれません。それぞれの方法を理解しておきましょう。

勤続年数を重ねる

勤続年数を重ねると、年収アップを目指せます。

多くの病院では勤続年数を重ねることで昇給できます。大学病院でも同様です。そのため、大学病院に転職したあと、長く勤めることが大切です。

ただし、ただ長く勤めても、昇給の幅が小さく大幅な年収アップは望めません。業務に意欲的に取り組み、病院に貢献したうえで、高い評価を得られると年収アップしやすくなるでしょう。

資格取得を目指す

資格取得を目指すと年収アップを期待できます。

具体的には、専門看護師や認定看護師、特定行為看護師などの資格取得がおすすめです。大学病院によっては、資格取得を支援するプログラムがあります。

ただし、資格取得を希望したからといって、全員が資格取得を目指せるわけではありません。

資格取得は5年の臨床経験を要件としており、この要件に加え、多くの大学病院では資格取得できる要件を設けているためです。

たとえば、以下のような要件があります。

  • ラダー研修が修了
  • 看護師長の推薦
  • 人事評価〇点以上

これらの要件を満たすためには「専門看護師になりたい」とアピールするだけではなく、院内研修の修了が必須といえます。さらに、同じ資格取得を目指す方がいた場合は、選考に勝ち抜かなければなりません。

周囲に認められてはじめて、資格取得に挑戦できます。

夜勤業務に多く入る

夜勤業務に多く入ると、年収アップできます。

大学病院の看護師の給与が、一般の会社員よりも高い要因のひとつに手当の充実があります。大学病院によりますが、夜勤に1回入ると数千円~数万円の夜勤手当が得られます。

国立大学や公立大学よりも、夜勤手当は私立大学の方が充実しているケースが多いです。

ただし、夜勤に入ると生活リズムが不規則となり、体調を崩すケースがあるため注意してください。年収アップばかりを目指して、体調を崩していては、今後働けなくなる恐れがあります。

長期間、仕事を休むと年収のダウンは避けられません。夜勤の回数は、自身の体調とよく相談したうえで決めましょう。

役職に就く

役職に就くことも、年収アップにつながります。基本給が増えるだけではなく、ボーナスの増額が見込めるためです。

ただし、役職に就ける看護師は限られています。資格取得の場合と同様に、日ごろの業務に積極的に取り組み、病院に貢献することが大切です。

さらに、大学病院によっては役職に就くことで年収が下がるケースがあります。

というのも、役職に就くと夜勤に入らなくなるケースもあるためです。特に、勤続年数の長い方が役職に就いたケースでは「主任になったら月収が5万円下がった」「役職に就いて仕事が増えたのに、年収が下がった」という話を聞いたことがある方もいるでしょう。

自身にキャリアプランと照らし合わせて、年収アップを目指すのか、役職を目指すのかなど決めましょう。

転職を検討する

大学病院に転職し、ある程度経験を積んだあとに、さらに転職すると年収アップできる可能性があります。

その理由は、大学病院でしか得られない経験も多く、この経験を必要とする病院は少なくないためです。

ただし、大学病院での勤続年数が短いケースや転職を検討するときの年齢によっては、転職できないケースもあるため注意してください。

大学病院に転職する6つのメリット

ここでは、大学病院に転職するメリットを6つ解説します。

  • 高度・先端医療を学べる
  • しっかりとした教育を受けられる
  • 研究活動に取り組みやすい
  • 緊張感のある職場で勤務できる
  • 福利厚生が充実している
  • 年収アップを目指せる

それぞれのメリットを具体的にみていきましょう。

高度・先端医療を学べる

大学病院のほとんどは特定機能病院として承認されています。そのため、一般病院よりも先に新しい治療法や医療機器などが導入されやすく、高度な医療や先端医療を学びやすいです。

実際に、専門的なスキルの向上を求めて、大学病院に転職する看護師の方は多い傾向です。

ただし、新しい治療法の導入時は、慣れない業務に戸惑い、慣れない機器のトラブルにうまく対処できないことがあるかもしれません。

さらに、大学病院では専門的な治療を提供できるように診療科目が細かくわけられているため学びが深くなります。

大学病院は、一般病院では得られない経験を積めて、スキルアップできることがメリットといえます。

しっかりとした教育を受けられる

大学病院は、教育プログラムが構築され、研修内容が充実しているところが多い傾向です。

とくに、新人看護師の方が入職したばかりの頃は、毎日のように研修が組まれているところも少なくありません。さらに、病棟には新人に1人ずつ指導者がつきます。しっかりと教育を受けたうえで、実践に取り組める環境が整っているのです。

大学病院から訪問看護ステーションや施設に転職する場合でも、適応できるスキルや経験を身につけられるでしょう。

ほかにも、月に何回か勉強会が開催されたり、研修の場で実績を発表したりする機会もあります。

また、近年では、各部署の勤務体制や残業時間を把握し改善に取り組んだり、メンタルヘルス対策にも力を入れたりなど、看護師をフォローする体制が整えられているのが特徴です。

研究活動に取り組みやすい

大学病院によっては、研究活動を支援する委員会があり、研究の進め方に困ったときや、データの扱い方がわからなかったときに相談しやすい環境です。

さらに「看護研究をしたい」と志を持っている看護師の方も多いです。協力して研究に取り組むと、スムーズに進み、質の高い成果を得られるかもしれません。研究内容が大学病院に認められると、研究費を使って研究できる場合もあります。

そのため、大学病院は、研究活動に取り組みやすい環境であるといえます。

緊張感のある職場で勤務できる

大学病院に入院している方は、重症な場合が多く、日々の変化が著しいです。また、原因不明の難病を抱える方も多いため、緊張感のある職場で勤務できます。

刺激を受けながら働くことは、看護師の成長にプラスになるでしょう。

福利厚生が充実している

大学病院は福利厚生が充実している傾向です。具体的に以下のようなことがあげられます。

  • 給与やボーナス、退職金が充実している
  • 看護師寮がある
  • 職員食堂がある
  • 院内に保育園がある
  • 時短制度を活用できる
  • スポーツジムに通える

大学病院によって活用できる福利厚生は異なります。なかには、バースデー休暇や予防接種費用の補助など変わった福利厚生を導入しているところもあります。

福利厚生に注目して転職活動するのも、選択肢のひとつです。

年収アップを目指せる

多くの看護師の方が、年収アップできない要因のひとつが離職です。

というのも、看護業界は女性の割合が高く、出産や育児による離職でキャリアが一度途切れやすいためです。元の職場での条件以上で復帰するのが難しく、年収が下がるケースが少なくありません。

大学病院は産休・育休制度が整えられており、この制度を利用すると元の職場に復帰できます。そのため、スムーズにキャリアを再開させられ、年収が下がるのを避けられます。

ほかにも、資格の取得や昇格など、大学病院では年収アップを狙える機会があります。ただし、これらを狙うには狭き門を突破しなければなりません。

勤務態度や周囲からの信頼などが大切となるため、日ごろから積極的に取り組みましょう。

大学病院に転職する際に注意すべきポイント

最後に、大学病院に転職する際に注意すべきポイントを解説します。

  • 業務が煩雑になりやすい
  • 採血や点滴をする機会が少ない
  • プライベートな時間を確保しにくい
  • 実習生が多い

それぞれ4つの注意すべきポイントをみていきましょう。

業務が煩雑になりやすい

大学病院では、業務が煩雑になりやすい傾向にあります。

というのも、大学病院では毎日多くの手術をおこなったり、救急の受け入れをしたりするため、業務が煩雑になりやすいです。重症な方が多いと、それだけ看護ケアや状態の観察などに時間をかけなければなりません。

ほかにも、急変する方も多く、業務に手が回らなくなる恐れがあります。

採血や点滴をする機会が少ない

大学病院では、採血や点滴は研修医がおこなうケースがあります。そのため、知識は得られるものの、スキルがなかなか身につかないこともあります。

さらに、一般病院では看護師が実施する業務を、大学病院では医師や研修医がおこなうケースもあります。具体的には、以下のような業務です。

  • 胃管の挿入
  • 抗がん剤の投与
  • Aライン挿入中の方の採血

看護師の業務量が少なくなるメリットはありますが、経験できる機会が減ります。実際に、大学病院から一般病院に転職したときに、これらのスキルがなくて悩むケースは少なくありません。

胃管の挿入といった業務の機会を逃さないために、事前学習をおこなったり、マニュアルを確認したりして、いつでも取り組める準備をしておきましょう。

プライベートな時間を確保しにくい

大学病院では、研修や勉強会などが多く開催されます。

しかも、勤務終わりの時間や土日に開催されたり、休日に参加を求められたりする場合もあります。仕事ばかりに時間を取られ、プライベートな時間を確保しにくいかもしれません。

さらに、ある程度の経験年数を積んだ看護師の方には、看護研究の課題が割り振られる可能性があります。看護研究は自己研鑽であり、勤務終わりや休日に進めなければなりません。

仕事とプライベートの両立の問題は、大学病院に限らず看護師の方が抱えやすい問題のひとつであるといえます。中には、日々の業務に疲れてしまい、休日は寝て過ごす方も一定数いるようです。

近年、働き方改革が進められ、時間内に研修や勉強会を実施する取り組みがされているところもあります。

大学病院への転職を検討するときは、勉強会や研修の実施状況を確認し、プライベートな時間を確保できるか考えましょう。

実習生が多い

実習生が多いと指導する看護師が必要です。看護師1人ですべての実習生に指導する場合や、看護師1人に1人の実習生がつく場合があります。

いすれの場合でも、実習生に指導する時間が必要となります。通常の業務をこなしながら、実習生に指導することは思いのほか負担です。

さらに、看護業界は人手不足です。実際に、厚生労働省が公開した「職業別有効求人倍率」では、看護師・准看護師の有効求人倍率は2.20倍とされています。つまり、1人の看護師の方に対して、2つ以上の施設が募集している状況です。

全職種の有効求人倍率が1.21倍であるため、ほかの職種に比べて人手不足が深刻化していることがわかります。

そのため、実習の場を「丁寧に対応し就職してもらう機会」として取り組むところもあるため、実習生の受け入れがプレッシャーとなる恐れがあります。

大学病院の看護師の年収は高水準!メリットやデメリットを把握し転職しよう

大学病院の看護師の年収は、設置主体にかかわらず500万円を超えています。一般の会社員の平均年収は約467万円であるため、大学病院の看護師の年収は高水準です。

さらに、大学病院では、高度な医療や最先端の技術を学べたり、充実した教育プログラムでキャリアプランを形成できたり、などのメリットがあります。

一方で、業務が煩雑であり、プライベートな時間を確保しにくいなどのデメリットもあります。

そのため、メリットとデメリット、両方を把握したうえで、自身のキャリアプランに合った大学病院へ転職しましょう。

参考サイト・文献

2021 年 病院看護・外来看護実態調査|日本看護協会

1.平均給与|国税庁 

大学医学部・附属病院の状況|厚生労働省

大学病院の現状について|日本医師会

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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