看護師1年目で転職できる?離職理由や転職成功のポイントを解説
看護師は1年目で転職できるのか、成功させるためのポイントはどういったものがあるのか、気になる方は多いのではないでしょうか。
看護師は1年目でも転職できます。とはいえ、転職を成功させるためにはいくつかポイントを押さえておくことが大切です。
この記事では、看護師1年目で転職できるのか、主な離職理由や転職を成功させるポイント・注意点を解説します。転職を成功させ、自分らしく働きたい方はぜひ参考にしてください。
看護師1年目で転職できる?
看護師は、1年目でも十分に転職できます。
病院やクリニック・訪問看護ステーションなど、看護師の就職先は幅広く、1年目でも転職しやすい傾向にあるといえるでしょう。また、高齢化が進む日本では、在宅医療が推進されています。今後、病院だけでなく訪問看護ステーションや介護施設などでも、看護師のニーズは高まると想定されます。
では、看護師1年目の離職率はどの程度なのでしょうか。
日本看護協会の「2022年病院看護・助産実態調査」によると、2021年度の新卒看護師の離職率は10.3%でした。
設置主体別でみると「個人」が13.8%「社会福祉法人」が13.4%となっています。なお、病床規模別では「99床以下」が13.9%「100〜199床」12.7%「300〜399床」11.8%の順となっています。
上記の結果では、中小規模の病院で働く看護師1年目の離職率が高い傾向にあるのが分かります。
看護師を1年で辞める人の主な転職理由
看護師を1年で辞める人の主な転職理由には、以下の6つが挙げられます。
- 業務量が多い
- 研修や勉強会が多い
- 給料が低い
- 人間関係がうまくいかない
- 責任が重すぎる
- イメージしていた仕事と違った
それぞれ解説します。
業務量が多い
看護師が1年目で辞めたいと思う理由の1つに、業務量の多さがあります。
看護師の仕事は、入院患者のバイタルサインチェックや身体介助などに加えて、職場によっては緊急入院や急変対応などが必要です。
1年目の看護師は入職したばかりで、慣れない処置や業務に時間がかかる傾向にあります。人手不足や教育体制が整っていない病院では、就業時間内に仕事が終わらず、残業するケースも少なくありません。
一般的に、病院では1年目に夜勤が始まります。日勤に比べて少ない人数での勤務となるため「仕事が忙しくてつらい」と転職を考える人もいます。
研修や勉強会が多い
看護師は、研修や勉強会に参加する機会が多くあります。
院内での研修は、勤務時間外に行われることも少なくありません。患者の健康や命をあずかる看護師にとって、研修や勉強会は必要不可欠です。とはいえ、プライベートの時間を費やすことに抵抗を感じる1年目の看護師も多いでしょう。
給料が低い
給料が低いという理由で、転職を検討する1年目の看護師も少なくありません。
日本看護協会の調査によると、新卒看護師の平均基本給額(初任給)は、高卒+3年課程が約20万円、大卒が約26万円でした。業務量の多さや責任の重さに対し、給料が見合っていないと感じる1年目の看護師は多くいます。
看護師は、運営母体や施設規模によって、支給される基本給や手当なども異なります。そのため、収入アップを目的に転職を考える1年目の看護師は少なくありません。
人間関係がうまくいかない
チーム医療の一員として働く看護師は、医師や医療スタッフ、同僚や上司との人間関係に悩むケースが多いといえます。
人の命に関わる医療現場では、医師や上司から厳しい言葉をかけられる場面は少なくありません。人手不足の職場では業務量が多く、丁寧に指導する余裕がないケースもあるでしょう。
親切なスタッフがいる一方で厳しい先輩がいる職場もあり、1年目の看護師はストレスを抱えて辞めたいと思う人もいます。
責任が重すぎる
看護師の仕事は患者の命に直結するため、責任の重さにプレッシャーを感じ、転職を検討する人もいます。
看護師として働き始めると、1年目とはいえ、プロとしての対応を求められます。例えば、重症患者の多い病棟やICUなどでは、患者のバイタルサインや症状をチェックし、医師に報告が必要か判断しなければなりません。
「自分の判断が命に直結する」とプレッシャーを感じ、精神的なストレスを抱える人も多くいます。
イメージしていた仕事と違った
「理想と現実ではイメージが違った」と辞めたくなる人もいます。
看護師の中には、受け持ち患者と時間をかけてコミュニケーションを図り、信頼関係を築くことを大切にしている人が多くいます。
しかし、流れ作業のように業務をこなさなければ仕事が終わらない職場は少なくありません。現実に直面し、自分が理想としていた看護ができない、と悩む1年目の看護師もいるでしょう。
1年目看護師が転職を成功させるポイント
1年目の看護師が転職を成功させる5つのポイントを、それぞれ解説します。
まずは周りに相談する
まずは、周りの人たちに相談してみましょう。
話しやすい友人や家族などに、現在悩んでいることや転職を検討していることを打ち明けてみるのがおすすめです。自分とは違った視点からアドバイスをもらえる可能性もあり、転職を思いとどまるきっかけになります。
可能であれば、看護師の先輩に話を聞いてもらうのも良いでしょう。1年目の看護師に比べて、先輩看護師は経験を重ねているため、転職を見据えた方向性が見つかりやすくなるでしょう。
退職理由を明確にしておく
1年目の転職は、志望先の面接で「なぜ1年目で辞めたのか」と聞かれることが多いため、退職理由を明確にしておきましょう。
1年目で辞める理由を明確にしておかなければ、採用担当者から「うちで働いてもすぐに辞めてしまうかもしれない」という印象を持たれやすくなってしまいます。
とはいえ「給料が安かった」「人間関係がよくなかった」など、ネガティブな理由では、マイナスイメージにつながります。退職理由は、できるだけ前向きな表現に言い換えるようにしましょう。
長く働く意志を示す
1年目で転職する場合、採用担当者は「すぐに辞めてしまうかも」と考える傾向にあるため、長く働く意志表示が大切です。
例えば、業務が忙しい病院から転職する場合、「前職では急性期の病棟で働いており、多くの知識やスキルを身につけられました。ただ、患者様との信頼関係を築くための時間を確保するのが難しい状況でした。」など、マイナス面だけでなく、プラスの要素も取り入れるのがおすすめです。前向きな表現で伝えると、好印象を持ってもらいやすくなります。
複数の病院を比較して検討する
転職では複数の病院を比較し、自分に適した条件の職場に応募するようにしましょう。
1年目は経験が浅いため、条件だけでは自分に合っているか判断しづらいかもしれません。可能であれば、実際に足を運び、自分の目で雰囲気を確認するのがおすすめです。
見学に行った際、廊下ですれ違うスタッフの表情や人柄、きちんと挨拶してくれるか確かめられます。いくつか候補をピックアップし、比較検討しましょう。
希望条件を明確にする
1年目で転職する場合、自分はどういった条件の職場を希望しているのか明確にしておくと良いでしょう。
転職する際の希望条件は、以下のようなものがあります。
- 日勤のみ
- 夜勤少なめ
- 2交代制・3交代制
- 残業少なめ
- 年間の休日数
- 希望の病棟
- 給与・ボーナス支給額
- 夜勤手当の金額
- 立地条件
- 託児所付き
看護師として長く働きたいのであれば、給与や勤務形態だけでなく、育休の長さや託児所の有無など、福利厚生にも注目すると良いでしょう。
1年目看護師が転職する場合の注意点
1年目の看護師が転職する際、以下の点に注意しましょう。
本当に辞めなければいけないか、じっくり考える
1年目の看護師が転職を検討する場合、本当に辞めなければいけないのかじっくり考えてみましょう。
例えば「人間関係が理由で辞めたい」と思っている場合、転職しても根本的な原因解決にはつながりません。転職先でも、同じように人間関係が原因で再離職してしまう可能性があります。
苦手な先輩と一緒に働くのがつらいのであれば、師長に相談して勤務を調整してもらうのも1つの改善策です。「業務量が多すぎる」「人間関係がうまくいかない」「責任が大きすぎる」といった理由は、病院内で部署変更を希望するのも有効です。
まずは現在の職場で対策を講じて、どうしても改善されない場合に転職を検討すると良いでしょう。
本当に看護師がやりたいのか、考える
看護師1年目では、上司や医師から厳しい言葉をかけられ、自信を失うことも少なくありません。また、同期の看護師が患者に優しく接している姿を見て「自分はあんなに優しくできない」「看護師に向いてないかも」と感じるケースもあるでしょう。
看護師としての自信を失ったり、辞めたいと思ったりする場合、本当に看護師がやりたいのか初心に返って考えてみましょう。
衝動的に辞めない
同僚や先輩の退職が続いたり、精神的に滅入っていたりすると、退職したい気持ちが強くなり、衝動的に辞めてしまうケースもあります。
しかし、2年目以降は後輩指導やリーダー業務など、リーダーシップを身につける段階に入ります。長い看護師人生を考えると、中堅クラスの看護師になるまでの辛抱の時期とも言えるのです。
転職では衝動的に辞めるのではなく、「現状よりスキルアップできるか」「自身の成長につながるか」といった視点を持つことが大切です。
妥協して転職先を決めない
看護師1年目の転職は、妥協して就職先を決めないことが重要です。
辞めたい気持ちが強いと「早く転職先を決めたい」と妥協してしまいがちです。とはいえ、条件などをしっかり確認せずに決めると「こんなはずではなかった」と離職につながる可能性が高まります。
転職先の候補はなるべく多めに集めておき、余裕を持って検討しましょう。
まとめ
今回は、看護師1年目で転職できるのか、主な離職理由や転職を成功させるポイント・注意点を解説しました。
看護師1年目では、業務量や給料、人間関係などの理由によって離職する傾向にあります。看護師1年目でも転職は可能ですが、採用担当者に対し、前向きな表現でアピールしなければ成功につながりにくくなるでしょう。
また、自分なりの希望条件を明確にし、複数の病院を比較検討することが大切です。辞めたいからと妥協せず、自分らしく働ける職場を見つけましょう。
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