看護師の平均時給とは?看護師の時給をアップさせる方法も徹底解説!

看護師の業務は身体的かつ精神的にも厳しいものであるのに対して、給与が安いと感じる方もいるようです。実際に看護師の給与は他の業種と比較して低いのでしょうか?
今回の記事では、看護師の方の平均的な時給や、給与を上げる方法について詳しくまとめました。看護師の給与平均を知りたい・自分の給与を上げたいと考えているのなら、ぜひ参考にしてください。

看護師の平均時給とは?
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると看護師の平均年収はボーナスを含めて519万7,000円、月収は36万3,500円、ボーナスは83万5,000円です。ボーナスを含めた平均年収を平均労働時間(月155時間)で割り、時給に換算すると看護師の時給は平均して2,794円になります。
ただし、次の章で説明するように、この平均時給には看護師の方本人の年齢や勤務先の地域による違いが大きく影響を与えます。自分の給与と平均時給に差がある場合には、その理由は何か考えてみてください。
雇用形態別で見る看護師の時給
ここでは、雇用形態別の看護師の時給を紹介します。
- 正社員看護師
- 派遣看護師
- パート・アルバイト看護師
自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせて、最適な働き方を選択することが、看護師としての満足度を高めるために重要となります。それぞれの雇用形態の時給を詳しく見ていきましょう。
正社員看護師
正社員看護師の年収から時給に換算すると約2,794円になります。
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は519万7,000円です。これを、1か月あたりの平均労働時間(月155時間)で割ると、この時給額が算出されます。
しかし、正社員看護師は基本的に月給制であり、時給制で働くことはまれです。また、この平均時給は看護師の経験年数や勤務地、手当などにより大きく変わることを覚えておきましょう。
派遣看護師
派遣看護師の時給相場は、2,000円〜2,500円程度といわれています。
派遣看護師は、時給制で働くことが一般的であり、パートやアルバイト看護師よりも時給は高めに設定されていることが多い傾向です。
自分の希望する勤務地や勤務時間を選びやすく、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができる点が、派遣看護師という雇用形態の魅力です。
パート・アルバイト看護師
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、パート・アルバイト看護師の時給は、1,946円です。パート・アルバイト看護師の時給は、次の表のように性別によって差が見られます。
性別 | 時給 |
男性 | 3,328円 |
女性 | 1,914円 |
勤務時間や日数を自分で調整しやすいため、育児や介護と両立したい方、扶養内で働きたい方に選ばれている働き方です。
看護師の時給に影響を与える要素とは
看護師の給与は一人ひとり異なります。ここでは、看護師の給与に影響を与える要素についてまとめました。自分の状況が給与にどのような影響を与えているのか考えてみてください。
病院がある地域の給与水準
地域ごとに看護師の給与は大きく異なります。地域の給与水準が看護師の方の給与にも影響を与えているのです。
例えば、地方と比較して東京や大阪などの大都市の給与は看護師に限らず大半の業種が高くなります。
しかし、看護師不足が問題視されている地域では、地方であっても給与を高く設定している場合もあり、必ずしも都市部の給与が良いとは言い切れません。
看護師のスキルや経験
看護師の給与は個人のスキルや経験で変わります。まだ経験が浅い看護師よりも、経験豊富で高いスキルを持つ看護師の方が時給は上がるものです。
スキルが高く経験豊富な看護師の方は、臨機応変にさまざまな現場で活躍可能なことから、職場でも重宝されます。
時給で言えば数十円や数百円の違いでも、年収で考えると金額差は大きく開きます。
看護師個人の雇用形態
看護職には看護師と准看護師の2つの資格があります。両者は似た業務を行っているものの、准看護師には自分の判断で看護業務を実施することが許されていません。
そのため、大半の病院では准看護師よりも看護師の方が高い給与を設定されています。
また、同じ看護師でも、普段の業務と並行して管理業務も担当したり、リーダーとしてマネジメント業務も行なったりするポジションになれば、さらに時給が高くなります。
病院の規模や形態
看護師の給与は勤務先の病院の規模や形態により異なります。病院の規模が大きく病床数が増えるほど看護師の給与も増える傾向が高いのです。
また、国立や公立の病院と比較して、私立大学病院の方が給与は高いことが多いです。
つまり、大規模な私立大学病院なら、平均以上の時給が得られる可能性があると考えてください。
勤務時間帯
勤務時間帯も看護師の時給に大きく影響します。22:00~翌5:00までの時間帯は、深夜手当が支給されるからです。
これは、労働基準法第三十七条で定められた割増賃金の1つで、深夜の時間帯に働くと通常の賃金に25%以上の割増率を上乗せして支払われるものです。
たとえば、時給2,000円の看護師が22:00~翌5:00まで働いた場合、深夜手当は2,000円×0.25=500円となり、合計で2,500円支払われます。
これは、雇用形態にかかわらず、すべての看護師に適用されます。
役割・ポジション
役割やポジションも看護師の時給に影響します。
看護主任や看護師長といった管理職になると、役職手当が支給され給与水準が上がるからです。
また、専門看護師や認定看護師などの資格を取得し、専門性の高い業務を担い資格手当がつくことで時給の向上が期待できます。
看護師の時給は他の業種と比較して高いのか?
厚生労働省が発表した令和6年の地域別最適賃金申告状況を参考にすると、全国で最も平均時給が高額な都道府県は東京都の1,163円、低い県は秋田県の951円です。
これらの時給と看護師の平均時給である2,640円を単純に比較すると、看護師の給与は高額であると感じるかもしれません。
しかし、看護師は他の業種よりも精神的かつ身体的な負担が大きく、看護師免許を取得するための費用や学びの期間が必要な事実も知っておきましょう。
看護師が「給与が安い」と感じてしまう原因とは
看護師の方が「看護師は給与が安い」と感じてしまう原因には、次のようなものがあります。自分の給与に不満があるのなら、その原因を探ってみてください。
身体的・精神的な両方の負担が大きい
看護師の仕事は患者さまの命を預かることから、世の中に存在する仕事の中でも特に身体的・精神的な負担が大きいです。
一つのミスも許されない環境下で、患者さまと円滑なコミュニケーションをとりながら業務を進めなければいけません。
さらに、業務中は基本的に立ち仕事であり、患者さまの排泄や入浴介助などの重労働も業務に含まれます。看護師の給与が業務内容に見合っていないと感じる方がいるのは、仕方がないことだと言えます。
職場での拘束時間が長く勤務時間が変則的
勤務先によるものの、看護師の仕事は夜勤があることが多く、シフトに合わせて変則的な働き方をしなければいけません。
変則的な業務のせいで体調を崩したり、家族との時間を用意することが難しいと感じたりする方もいるようです。
さらに看護師の業務は拘束時間が長く、引き継ぎのための前残業・後残業が慢性的に発生する状態も珍しくありません。
患者さまの病状に急変があれば、長時間の残業でより長い拘束時間になってしまうのです。
常に学びを続けなければいけない
看護師の方は、医療の進歩に合わせて技術を磨く目的で、業務時間以外も常に勉強を続ける必要があります。
病院によっては独学での勉強のみでなく、勤務先で看護研修や勉強会が頻繁に開催されることも多いです。
そのため、多忙な看護師にとって勉強の継続は負担が重過ぎると感じる方もいます。
感染症に罹患するリスクを背負っている
看護師は常に感染症のリスクに晒されている職業だと言えます。看護師の方は、未知のウイルスが相手であっても、逃げずに患者さまのケアを続けなければいけないのです。
看護師が医療現場で感染した場合、労災が認められることもあるため自身の職場に確認してみましょう。
看護師が時給を上げるためにできること
ここでは、看護師の方が自分の時給を上げるためにできることをまとめました。自分の給与を良くしたいと考えているのなら、ぜひ参考にしてください。
現在准看護師なら看護師を目指す
現在准看護師の方は、看護師を目指すことをおすすめします。
准看護師から看護師になるためには、看護師学校養成所で所定の単位を収めた上で看護師国家試験に合格する必要があります。
看護師学校養成所は2年過程であることから一定の時間はかかるものの、看護師になれば給与が上がるのみでなく、業務の範囲も広がります。
夜勤の回数を増やす
夜勤には夜勤手当があるため、単純に夜勤の回数を増やせば給与を上げられます。
夜勤は最も手軽に給与を上げる方法ではあるものの、昼の勤務と夜の勤務を繰り返すことで生活リズムが崩れる可能性も考えられます。
元から夜勤を増やすと体調が悪くなると感じている方は、無理に夜勤を増やすべきではありません。
給与の良い病院に転職する
現在の職場の給与が全体的に低いのであれば、給与や待遇が良い病院に転職するという手もあります。
先ほどもお伝えしたように、大規模な私立大学病院は比較的高い給与設定である場合が多いです。
また、地域の給与水準も考え、思い切って給与水準の良い場所に引っ越しを考えるのもおすすめです。
ただし、転職先を選ぶ時には給与面や待遇面のみでなく、病院へのアクセスや看護師の定着率なども調べておくと良いでしょう。
給料の良い病院探しにあたっては以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:看護師の給料が高い病院の特徴とは?看護師が収入をアップさせるための方法と注意点について
現在パートなら正社員を目指す
現在パートで看護師の仕事をしているのなら、正社員を目指すという手段もあります。
正社員になればパートやアルバイトの時よりも給与が上がるのみでなく、待遇も良くなるのです。また、賞与や退職金も受け取れます。
すぐに正社員での雇用先が見つからない場合は、将来的に正社員雇用が可能なパート・アルバイト採用を探してみてください。
休日に副業を始める
お休みの日を利用して副業をすれば、毎月の総収入を増やせます。
ただし、職場で副業が禁止されていないことを確認し、副業のせいで本業に支障が出ないように十分注意してください。
看護師の副業には、夜勤パートやイベントナースなどさまざまなものがあります。
自分のスケジュールに適しており、体の負担が少ない副業を探すべきです。
副業について詳しく知りたい場合は以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:看護師も副業できる?おすすめの副業8選と副業をする際の注意点を解説
関連記事:看護師の方の副業がバレた時の対応や、副業をバレないようにする方法とは?
専門的な資格を取得する
現在の看護師資格とは別に、専門的な資格を取得すると、資格手当が得られる可能性があり、看護師としての活躍の場が広がります。
看護師の方が目指す代表的な資格は以下の通りです。
資格名 | 内容 |
専門看護師 | 特定の専門看護分野において患者に質の高いケアを提供する |
認定看護師 | 特定の専門看護分野において複雑な看護問題を抱える患者や家族に対してより質の高い看護ケアを効率良く提供する 関連記事:認定看護師になるには?条件や取得までの流れ、資格取得によるメリットも解説 |
認定看護管理者 | 看護水準を維持及び向上に力を入れ、地域の保育医療福祉の発展に貢献する |
ただしこのような資格は取得難易度も高く、忙しい中でも十分な量の勉強をしなければいけません。
管理職を目指す
看護師としてのスキルアップを続けて管理職になれば、転職をしなくても今の職場で自身の給与を増やせます。
管理職に求められる基準は勤務先により異なるため、上司に相談した上で自分に適したキャリアプランを立ててみてください。
訪問看護師になる
訪問看護師は病院で患者さまをケアするのではなく、看護師が利用者さまの自宅を訪れて必要なケアを実施します。
訪問看護は現在需要が高まっている分野であるものの、まだまだ訪問看護師が不足しているため、比較的高い時給を提示している訪問看護ステーションもあります。
また、病院やクリニックでの勤務よりもシフトの自由度が高く、子育て中や介護中の方でも働きやすいため、精神的な負担を軽くすることが可能です。
給料に対する不満は往々にして仕事の負担と関連することが多いので、精神的な負担を下げる観点でも一つの選択肢となるでしょう。
高時給が期待できる看護師の仕事内容の例
看護師として高時給を目指す場合、特定の分野や働き方を選ぶことが有効です。ここでは、高時給が期待できる仕事内容の一例をご紹介します。
- 夜勤専従
- 訪問看護
- 美容クリニック
- 健診業務
- イベントナース、ツアーナース
- 治験コーディネーター(CRC)
それぞれの職種の仕事内容を確認して、自分に合った働き方を選びましょう。
夜勤専従
夜勤専従は、看護師が高時給を狙う方法の1つです。その理由は、深夜帯の勤務に対して法律で定められた割増賃金(深夜手当)が支給されるためです。
日勤のみの場合と比較して、夜勤専従では時給が25%以上アップするため、同じ時間働いても収入の増加が見込めます。体力的な負担は大きくなりがちですが、短期間で集中的に稼ぎたい方にとっては、魅力的な働き方といえるでしょう。
訪問看護(緊急対応ありなど)
訪問看護、とくに緊急対応が含まれる場合は、利用者さま宅という限られた環境での判断力や対応力が求められ、専門性が評価されるため、好条件が期待できます。
休日の急な体調変化への対応や、夜間のオンコール待機など、基本時給が高めに設定されています。オンコール手当が加算されることで、全体の収入が上がる傾向です。
美容クリニック(自由診療)
美容クリニック、とくに自由診療を扱う施設では、保険診療に比べて収益性が高く、看護師の施術スキルや接客能力が売上につながるため、高時給が期待できます。
インセンティブがつくクリニックもあり、個人の頑張りが給与に反映されやすいのが特徴です。美容医療に関心があり、患者さまとのコミュニケーションを重視したい方におすすめです。
健診業務(期間限定・繁忙期)
期間限定や繁忙期の健診業務は、時給アップが見込めます。
特定の時期に健診の需要が高まるため、通常の業務よりも高い報酬で人材を確保しようとする傾向があるからです。
具体的には、企業や学校での健康診断シーズンには、短期集中で稼ぎたい看護師向けの高時給の募集が増えます。日勤のみの業務が多く、体力的な負担も少ないため、ワークライフバランスを重視しながら収入アップを図りたい方に適しています。
イベントナース、ツアーナース
イベントナースやツアーナースも、単発や短期間の業務が多く、高時給が期待できる働き方の1つです。
たとえば、コンサート会場での救護業務や修学旅行、スポーツ大会への帯同など、病院勤務とは異なる場所で働くことになります。さまざまな場所で働きながら経験を積みたい看護師に人気の働き方です。
治験コーディネーター(CRC)
治験コーディネーター(CRC)は、看護師の知識と経験を活かせ、高時給が期待できる職種です。
治験において、被験者と医療機関、製薬会社の間に入り、スムーズな治験進行をサポートする役割を担うため、その専門性が高く評価されます。医療の発展に貢献しながら高収入を目指したい方に適しています。
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看護師の時給を確認して自分に合った職場を見つけよう
看護師の平均時給は他の業種と比較して高額ではありますが、業務の身体的・肉体的負担が大きいことを考えると十分ではないと感じる方も多いようです。
時給を高くしたいと考えている方は、資格取得・転職・副業をする・訪問看護の仕事にチャレンジするなどの方法を考えてみてください。
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<参考サイト・文献>

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。