看護師のキャリアアップのためにやるべきこととは?おすすめの資格や転職先、キャリアプランの例を紹介

公開日:2023/12/28 更新日:2023/12/31
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看護師といえば、病院で働くというのが一般的なイメージかもしれません。しかし一般企業のキャリアアップとは異なり、看護師のキャリアアップというと、どのようなものなのかあまり知らないという人もいるでしょう。

今回は看護師のキャリアアップのためにやるべきことや、キャリアアップにおすすめの資格や転職先、おすすめのキャリアプランの例も交えながら解説していきます。

看護師のキャリアアップとは?

一般企業でキャリアアップというと、部長などへ昇格することや、雇用形態が非正規雇用から正規雇用に変わることを指し、比較的イメージがしやすいでしょう。しかし看護師のキャリアアップについてはあまり知らない人も多く、イメージしにくいのではないでしょうか。

そもそもキャリアアップとは、現状よりもさらに貢献度が高く、影響力の大きい仕事へステップアップすることを指します。

キャリアアップは、看護師として長期的なキャリアプランを計画している方にとって必要なステップと言えるでしょう。

また、看護師の方の中には、出産や育児などで一度看護師としてのキャリアをストップしている方もいます。そのような看護師の方に向けて、各都道府県のナースセンターがスキルアップ研修も含めた復職支援を行っているため、キャリア復帰はもちろんキャリアアップもしやすくなってきています。

このように、ナースセンターを活用するといったキャリアアップの方法を知っておくのは、看護師としてのキャリアプランを立てて働いていく中で非常に重要です。

参照:厚生労働省「看護職員確保に向けた施策の柱」

参照:内閣府男女共同参画局「新たな生活様式・働き方を全ての人の活躍につなげるために|~職業観・家庭観が大きく変化する中、「令和モデル」の実現に向けて~」

看護師としてキャリアアップする方法

看護師としてキャリアアップするには主に3つの道があります。

まずこの3つの内、どの道を目指すのか明確にすることが大切です。

  • 専門性を極めたスペシャリスト
  • 現場で重宝されやすいジェネラリスト
  • 現場の管理を行う管理職

それぞれ解説していきます。

専門性を極めたスペシャリスト

看護師としての専門性を極めたいという人は「スペシャリスト」の道が良いでしょう。

スペシャリストは日本看護協会によって下記のように定義されています。

“スペシャリストとは、特定分野や知識体系に精通している者である。”

引用:社団法人日本看護協会「2023年11月改定版看護にかかわる主要な用語の解説|看護職におけるジェネラリストとスペシャリストp21」

看護の中でも小児看護がやりたい、がん看護がやりたい、など具体的に看護師としてやりたい分野や極めたい看護が固まってきている方におすすめです。

また、内容の詳細については後述しますが、「専門看護師」や「認定看護師」のような資格を取得したり認定を得たりすることで、できる仕事の幅が広がる場合もあります。

スペシャリストとして知識を磨くだけでなく、看護師としての活躍の幅を広げるためにも、資格や認定の取得が推奨されます。

現場で重宝されやすいジェネラリスト

ジェネラリストは日本看護協会によって下記のように定義されています。

“看護職におけるジェネラリストとは、特定の専門あるいは看護分野にかかわらず、どのような

人々に対しても経験と継続教育によって習得した多くの看護の知に基づき、その場に応じ

た知識・技術・能力を発揮できる者をいう。”

引用:社団法人日本看護協会「2023年11月改定版看護にかかわる主要な用語の解説|専門看護師及び認定看護師資格認定制度の発足 p20-21」

専門性を極めるスペシャリストとは異なり、ジェネラリストは特定の分野に絞って活躍するものではありません。看護の教育や医療職の中での看護師としての役割の確立、クリニカルラダーのような教育水準をまとめるなど、いわゆる「看護師」のプロとしての道を指します。

スペシャリストとジェネラリストはどちらも欠けてはならず、看護の質を高めるためにはどちらの存在も重要とされています。

現場の管理を行う管理職

病院や訪問看護、クリニックなど、さまざまな医療現場の中には看護部長や看護師長、副師長のような管理職の存在が不可欠です。

臨床現場で患者さまと関わる場面が減る場合もありますが、管理職の視点で現場をまとめる立場に立つのもキャリアアップの道の1つです。

ただ管理者になるためには資格取得が必要な場合や、臨床経験年数に制限がある場合もあります。管理職になる要件は医療機関によって異なるため、気になっている方はまずは人事部などに確認してみると良いでしょう。

看護師がキャリアアップのためにやるべきこと

看護師がキャリアアップのためにやるべきことは主に3つあります。

  • 自分のキャリアプランを明確にする
  • キャリアアップに重要な資格を取得する
  • 研修やセミナーを受講する

まずは自分のキャリアプランを明確にしていきます。その中で必要な勉強や臨床経験、資格や研修を受講する必要はあるのかなど、情報を集めます。

自分のやるべきことがわかったら、あとは必要な資格取得のために臨床経験を積みながら勉強したり、研修やセミナー受講の日程を立てたりして日々自己研鑽をしていきましょう。

看護師のキャリアアップに役立つ資格4選

次に看護師のキャリアアップに役立つ資格を4つ解説していきます。主に役立つ資格は下記の4つです。

  • 専門看護師
  • 認定看護師
  • ケアマネジャー(介護支援専門員)
  • 保健師

それぞれ解説していきます。

専門看護師

専門看護師(Certified Nurse Specialist)は、特定の分野の看護知識・技術を極めた看護師を指します。

日本看護協会が日本看護系大学協議会と連携して運営している認定制度で、日本看護協会は専門看護分野の特定、認定審査・認定更新審査を行い、日本看護系大学協議会は教育課程の特定、教育課程の認定・認定更新を行っています。

2022年12月時点で専門看護分野として特定されているのは、がん看護や地域看護、老人看護など14分野です。

専門看護師になるには看護師免許を有している、かつ下記の2つの要件に当てはまっている必要があります。

“1.看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること

2.実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること”

引用:日本看護協会「専門看護師になるには|専門看護師への道」

書類審査や筆記試験に合格すると認定証の交付がされますが、5年ごとの更新が必要です。

専門性を極めることで、患者さまからご家族まで含めた、総合的な看護の質も向上するだけでなく、看護師教育の立場に立ちたいという方にも役立つ認定資格です。

参照:日本看護協会「専門看護師ってどんな看護師?」

認定看護師

認定看護師(Certified Nurse)は、定められた分野に対して熟練した看護知識や看護技術がある看護師であることを認める認定制度です。

専門看護師との違いがわからないと感じる方もいるかもしれませんが、専門看護師よりも認定看護師の方がより限定的です。

例えば専門看護師はがん看護や老人看護など、幅広い分野であるのに対し、認定看護師は下記のような分野に分けられます。

・クリティカルケア

・緩和ケア

・がん薬物療法看護

・在宅看護

・生殖看護

・小児プライマリケア など

A課程認定看護師から、いくつかの分野が統合されたB課程認定看護師へ移行段階の制度であるため、制度要件は少しややこしくなっています。

詳しくは看護協会サイト内の「認定看護師」のページにてご確認ください。

医療現場でさらに活躍するために極めたケアを学びたいという方や、現場の最前線に立ちたいという方は認定看護師の方が向いている場合もあります。ただやりたい看護や学びたい内容によっても異なるので、周囲に相談しながらよく検討すると良いでしょう。

ケアマネジャー(介護支援専門員)

ケアマネジャーいわゆる介護支援専門員も、看護師のキャリアを広げる、かつキャリアアップに役立つとして注目される資格の一つです。

ケアマネジャーは、要介護や要支援などの認定を受けた方の相談を受けたり、適切に訪問介護などの社会資源が受けられるようにケアプランを立案する業務を担っています。

地域看護や高齢者、認知症の方への看護を極めたい方や、業務の幅を広げたい人にはおすすめの資格といえるでしょう。

また働く場も居宅介護支援事業所や地域包括支援センターや、介護老人福祉施設や介護老人保健施設のような介護施設もあるため、一般的な看護師の就労先とは異なった職場でも、働けるようになるのも特徴の一つです。

ケアマネジャーになるには、保健医療福祉分野での医師、看護師、社会福祉士、介護福祉士等としての実務経験が5年以上必要で、介護支援専門員実務研修受講試験に合格しなければなりません。

合格後は介護支援専門員実務研修の課程を修了して、介護支援専門員証の交付を受けることでケアマネジャーとして活躍できるようになります。

参照:厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー) 」

保健師

保健師は4年生の看護大学を卒業している場合、すでに保有している看護師の方もいるのではないでしょうか。

ただ専門学校や短大などを卒業した看護師の方は、看護師の資格のみであるケースが多いです。そのため、もし産業保健や予防看護の観点でのキャリアアップを目指すなら、保健師の資格取得を目指すのもおすすめです。

保健師免許は看護師として勤務しながら取得することが可能で、国に指定された保健師養成学校や保健師養成所で1年間学び、保健師国家試験を受験し合格すると保健師の資格を得られます。

参照:厚生労働省「保健師国家試験の施行」

看護師がキャリアアップするためにおすすめの転職先3選

看護師の中には1つの職場だけではなく、他の現場でも臨床経験を積んで、さらに学びを深めたいと考えている方もいるのではないでしょうか。

最後に看護師がキャリアアップするためにおすすめの転職先を3選紹介します。

1.訪問看護

患者さまやご家族が地域で生活する姿を見られるのは、訪問看護特有の良さでもあり、地域看護の面白さでもあります。

中には訪問看護の現場で経験を積み、在宅ケア認定看護師として認定資格を取得するキャリアプランの方もいるでしょう。

また疼痛緩和やがん治療などを行っていきたい、小児看護や精神看護に携わりたいという方にも、在宅における支援の方法を学べるためおすすめです。

在宅移行が進む今、自宅療養する多くの患者さまへ関わっていける訪問看護の現場は、注目度の高い転職先の一つとなっています。

2.看護学校

看護師のスペシャリストの項目には、実は下記のような文章も続いて記載されています。

“特定分野で卓越した実践能力を有し、継続的に研鑽を積み重ね、その職務を果たし、その影響が患者個人に留まらず、他の看護職や医療従事者にも及ぶ存在であり、特定分野における専門性を発揮し、成果を出している者である。”

引用:社団法人日本看護協会「2023年11月改定版看護にかかわる主要な用語の解説|看護職におけるジェネラリストとスペシャリストp21」

そのため自分の知識や知見を活かして、看護学校で専門分野を生徒に教えていくのも良いでしょう。

もちろん看護学校への転職は、スペシャリストだけではなく、ジェネラリストにもおすすめの道です。

ただ看護学校での勤務には、勤務先によって臨床経験年数にある程度の定めがあるケースが多いため、気になっている看護教員の募集があれば、まずは条件をチェックしてみましょう。

3.保健所

もし保健師の資格を保有していれば、保健所も勤務先としておすすめです。

保健所は、病院内での勤務では見えてこなかった地域で暮らす人々の課題を知り、予防看護の観点で知見が学べる職場です。

健康相談や家庭訪問などを行う保健所も多いため、病棟とは異なった予防の視点での関わり方を実践的に学べるほか、メンタルヘルスやメタボリックシンドロームなどのような社会規模の問題解決のためにできることを考えていく場合もあります。

看護師がキャリアアップするにはキャリアプランを明確にすることが大切!まずは情報収集から始めよう

ここまで、看護師のキャリアアップのためにやるべきことや、キャリアアップにおすすめの資格や転職先を、おすすめのキャリアプランの例も交えながら解説しました。

やるべきことの章でも解説したように、まずキャリアアップのためには自分のキャリアプランを明確にすることが大切です。

おすすめの資格や転職先を紹介する中でキャリアプランの例を交えて解説しましたが、読んだ内容を参考にしながら、まずはこれまでの自分のキャリアを振り返り、キャリアプランを考えてみましょう。

キャリアプランを考えたら次は情報収集をして、さらに現実味のあるキャリアプランを考えていくことがキャリアアップのためにも重要です。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

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