訪問看護の質を高める教育とは~ゆい訪問看護ステーション 布川さんにインタビュー~

公開日:2026/09/01 更新日:2026/09/01
訪問看護の質を高める教育とは~ゆい訪問看護ステーション 布川さんにインタビュー~

東京都文京区本郷にある「ゆい訪問看護ステーション」を運営する結美株式会社。代表兼管理者の布川さんは、手術室や麻酔科で幅広い臨床経験を積み、現在は訪問看護の現場と人材育成の双方に携わっています。毎朝のカンファレンスや月1回の勉強会、入職後のこまめな面談などを通じて、スタッフ一人ひとりが学び続けながら、利用者さんに質の高い看護を届けられる環境づくりを大切にしています。訪問看護における教育への考え方、採用で重視する「礼節と人間性」、利用者さんとの印象的なエピソード、これから目指す組織について伺いました。

【※本記事はナスキャリが事業所向けに提供している「特集記事掲載サービス」によるものです。取材・撮影・編集はナスキャリが担当しました。】

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事業所名

ゆい訪問看護ステーション

雇用形態

常勤

給与

月給 370,000円 ~ 450,000円

就業場所

〒113-0033 東京都文京区本郷3-34-4本郷JKHビル3階
有給取得率ほぼ100% 土日祝に休日あり 駅チカ
詳細を見る

幅広い臨床経験を在宅医療の力に

-まずは、布川さんが看護師を目指されたきっかけから教えてください。

「医療従事者になりたいという気持ちは、結構幼いころから持っていました。医師とか看護師とか、そのあたりになれたらいいなと思っていて、その流れでまず看護師になりました」

最初に勤務したのは、病院の手術室でした。

約4年間勤務し、さまざまな診療科の手術に関わる中で、次第に麻酔そのものへの関心が深まっていったといいます。

「手術って、麻酔が必要になる場面が多いですよね。手術室で学んでいくうちに、麻酔というものをもっと学びたいなと思うようになりました」

その後、大学病院の麻酔科に所属。研究生として学びながら、教育に関する仕事やプロダクト関連の業務なども経験しました。

「学びもやりたいし、仕事もやりたいし、というのはずっと両立してきましたね」

中でも携わっていたのが、心臓血管領域の麻酔でした。

心臓血管手術では、原疾患だけでなく、その方が抱えるさまざまな疾患や全身状態を踏まえて判断することが求められます。

「麻酔科は、いろいろな科を見るんですよね。麻酔をかける際には、その方の原疾患だけではなく、ほかにどんな病気を持っているのかも見ないといけない。そういう横断的な知識が身についていました」

こうして培った、『1つの領域に限らずその人全体を見る視点』は、現在の訪問看護にもつながっているそうです。

「実際に訪問看護をやってみて、手術室から始まって麻酔科にいたからこそ、ある程度パッと状態を捉えられたり、アセスメントできたりする場面が多いなと感じました。今になって、スタートが手術室だったのはよかったなと思いますね」

では、長く麻酔科の世界で経験を積んだ布川さんが、なぜ在宅医療へと進んだのでしょうか。

きっかけの1つには、「看護師として自分の力をどこで生かせるだろう」という問いがあったそうです。

米国では、高度な専門性を持つ麻酔看護師が活躍しています。一方で、日本では制度や役割が異なります。

そうした環境の違いも踏まえながら自身のキャリアを考えたとき、布川さんが注目したのが在宅医療でした。

「2016年ころだったと思います。当時は、これからさらに高齢化していく一方で、訪問看護ステーションもまだ足りないと言われていました。それなら、自分の経歴や知識を生かして在宅医療をやってみようかなと。そこから大きくシフトしました」

病院の中で培ってきた知識を、今度は利用者さんが暮らす場所へ。

布川さんにとって訪問看護への転身は、それまでの経験を手放す選択ではなく、むしろ積み重ねてきたものを別の場所で活かす選択だったのかもしれません。

毎日の学びで守る看護の質

ゆい訪問看護ステーションの大きな特徴の一つが、日々の学びを大切にしていることです。

現在も布川さんは、診療看護師(NP)を養成する大学院で非常勤講師を務めています。

「もう10年以上になるのかな。教育する立場にいることで、自分自身もどんどんアップデートしていきたいと思っています」

その姿勢は、法人が運営する2つのステーションの教育にも反映されています。

疾患に関する新しい知識や、スタッフ全体で共有しておいたほうがよい内容があったときには、ほぼ毎日行っているカンファレンスなどを通じて、2つのステーションのスタッフに伝えているそうです。

さらに月に1回、スタッフが担当する勉強会も実施しています。

「月に1回、担当者を決めて勉強会をやってもらっています。私がその指導をすることもありますし、セミナーや研修に参加したい人がいれば、できる範囲で参加してもらっています」

希望するスタッフには、学会などへの参加を支援したこともあるといいます。

側弯症の難しい症例をケーススタディとしてまとめ、海外の学術誌で発表した経験もあります。

ただし、全員に同じ学び方を求めているわけではありません。

「自分のペースでそれぞれに学んでいけるとよいですよね。どんどんやりたいというスタッフもいるので、そこは適材適所でやってもらうようにしています」

学びたい人には、さらに一歩踏み込める環境を。一方で、それぞれの経験や興味に合わせながら成長できるようにする。

教育を一方的に与えるのではなく、一人ひとりの意欲や得意分野を見ながら機会をつくっていることが伝わってきます。

そして、ゆい訪問看護ステーションで特に大切にしているのが、毎朝のカンファレンスです。

-毎朝、カンファレンスを行っているそうですね。

「はい。毎朝やります。その日に訪問する利用者さんについて全員で確認して、大体20分から30分ですね」

訪問看護は、一人で利用者さん宅へ向かう仕事です。だからこそ、訪問する前の情報共有を大切にしています。

「人によってサービスの質が変わってしまうのは良くないと思っています。なので、ステーション内での連携は必ずするようにしています」

「特に入職して間もない方にとっては、朝のカンファレンスがあることで、いろいろ聞けるんですよね。今日必要なことを抜け漏れなく実施できるので、「安心して働くことができる」という声を聞きます」

直行直帰を中心とする訪問看護ステーションもありますが、ゆい訪問看護ステーションでは、利用者さんの状態や提供する看護の内容を考え、顔を合わせて情報共有する時間を重視しています。

それは、単に「会議を毎日している」ということではありません。

経験のある看護師も、新しく入った看護師も、同じ情報を持ったうえで利用者さんを支える。

布川さんが話す「人によってサービスの質が変わらないようにする」という考えを、日々の仕組みに落とし込んでいるのです。

入職後のフォローも、こまめに行っています。

「入職したばかりのころは、少し多めに話す時間を取っています。まず1週間ぐらいで話を聞いて、そのあとも1か月ぐらいは1週間ごとに様子を聞いたりします」

その後も時期に応じて面談を行い、夏と冬には全スタッフを対象とした会社としての面談も実施しています。

新人だから一律に何かを課すというより、その人が今どこで困っているのかを確認しながら支えていくスタイルです。

訪問看護では、技術的な不安だけでなく、「この利用者さんとは少しコミュニケーションが難しい」と感じることもあります。

そうした相談も、布川さんは否定的に捉えません。

「合う、合わないって、利用者さんとの間でも結構あると思うんです。でも、誰かが難しいと言う利用者さんでも、別の人は『全然問題ないよ』ということもあります」

だからこそ、無理に一人で抱え込ませるのではなく、必要に応じて担当を調整します。

「うまく調整して、ストレスがあまりかからないように組めるといいのかなと思っています」

毎朝のカンファレンスや日々の情報共有を通じて、スタッフ同士で学び合う環境を大切にしています。写真左は布川さん

礼節と人間性を育てる職場

現在、本郷のステーションには看護師6名、理学療法士4名が在籍しています。

職場の雰囲気について尋ねると、布川さんは少し考えながら、こう表現しました。

「みんな結構真面目な感じです。休憩時間はしゃべったりしますけど、それ以外の時間はそれぞれやることがあるので、仕事がはかどる雰囲気かなと思います。かといって仲が悪いとかは全然なくて、ちょっとまったりして、優しい感じです」

集中するときは仕事に向き合い、休憩時間には自然に言葉を交わす。

そんな距離感が、本郷のステーションにはあるようです。

組織づくりでは、特定の一人に仕事や責任が集中しすぎないことも意識しています。

「誰か一人が一つの業務を全部負担するより、マネジメントを担う人も2、3人いる体制にして、誰かが抜けても補える状況をつくっています」

現在、専任の事務職は置かず、一部の事務作業も看護師を含めたスタッフで分担しています。

独り立ちしたスタッフには、ケアマネジャーや医療機関との連絡、各種カンファレンス、書類作成などにも積極的に関わってもらうそうです。

だからこそ、布川さんが採用時に大切にしているポイントも明確です。

-採用では、どんなところを見ていますか。

「一番見るのは、人間性ですね。あとは、ちゃんと対外的にお話ができるか、礼節を持って接することができるかというところを最初に見ます。技術とか知識は、入職後にも学ぶことができるので」

そのため採用時には、経験年数や臨床技術だけではなく、人と向き合う姿勢を重視しています。

「事業所にかかってくる電話も、外部との大事な接点なんですよね。電話対応が良くなかったら、新規の依頼にもつながらない。そこはしっかりやってもらっています」

訪問看護では、利用者さんの生活の場に入ります。玄関での挨拶から始まり、ご家族との会話、ケアマネジャーや主治医への連絡まで、一つひとつのやり取りが信頼関係につながっています。

布川さんが「礼儀」「挨拶」「気遣い」を繰り返し口にする背景には、訪問看護が人と人とのつながりによって成り立つ仕事だという実感があります。

だから、教育するのは医療知識だけではありません。看護師として、そして一人の社会人として、相手にどう向き合うか。ゆい訪問看護ステーションでは、こうした人との向き合い方も「看護の質」の一つとして大切にしています。

利用者さんと向き合える看護

ゆい訪問看護ステーションでは、1日5〜6件程度、利用者さん宅を訪問しています。訪問先はステーションから比較的近く、自転車で平均5分ほど。近いエリアを続けて回れるよう、訪問ルートも調整しています。

勤務は8時30分から17時30分。業務が終わっていれば定時で帰ることが定着しており、シフトも可能な範囲でスタッフの希望を聞きながら組んでいるそうです。電子カルテの活用に加え、夏場にはファン付きのウェアを試すなど、働く環境を整えています。

そして、こうした環境づくりの先にあるのは、やはり利用者さんへの看護です。

もともと布川さんが緩和ケアやターミナルケアを得意としていたこともあり、ゆい訪問看護ステーションには、看取りや頻回に訪問する必要があるケースの依頼も多く寄せられています。難病や緊急時の対応にも力を入れてきたことから、重症度や医療依存度の高い利用者さんを受け入れる機会も多くあります。

一方で、文京区の利用者さんについては、「今はコミュニケーションが難しくて、介入そのものが大きなストレスになるような方は、ほとんどいないかなと思います」と布川さん。穏やかに関係を築きやすい方が多い印象だと話します。

-布川さんが感じる、訪問看護の一番の魅力は何でしょうか。

「やっぱり利用者さんと近くで関われるところですよね。病院と違うところでいうと、その人のために時間をフルで使える。手厚いケアがしっかりできるというところに尽きるのかなと思います」

訪問看護では、利用者さんのご自宅に滞在している間、目の前の利用者さんと向き合います。

その時間を積み重ねることで、初めは見えなかったことが少しずつ見えてくると布川さんは話します。

「最初は気難しい方でも、どんどん打ち解けてくださって、意外にいろいろな問題点が見えてきて。それを一緒に解決していけるのは、訪問看護ならではと思いますね」

-印象に残っている利用者さんについて教えてください。

「糖尿病や循環不全を背景に足の手術を受け、退院された方が印象に残っています」

退院前のカンファレンスでは「自分でできるから、看護師さんの訪問はいらない」と話していたそうです。

しかし、実際に自宅へ戻ると、病院とは環境が異なります。一人で移動してシャワーを浴び、着替えをすることにも負担がありました。

訪問看護が入り始めると、利用者さんの気持ちにも少しずつ変化が生まれました。

「最初は『大丈夫、大丈夫』っておっしゃっていた方が、介入して1日ぐらいしたら、『毎日来てね』って、私たちが入ることで安心してくださって。受け入れがすごく良く変わっていくのを見ると、介入してよかったなと思いました」

もう一人、布川さんの記憶に残っている利用者さんがいます。

80代で一人暮らしを続けていた男性です。

糖尿病や心疾患があり、一度は訪問中に倒れて救急搬送されたものの、治療後は再びご自宅へ戻ってきました。

ご本人の希望は、施設へ入ることではなく、自宅で暮らし続けることでした。

訪問看護、訪問診療、ヘルパーなどが連携しながら、その生活を支えていきました。

ゆい訪問看護ステーションとの関わりは約5年。

「看護師や理学療法士が行くと、『また明日ね、待ってるね』っておっしゃる方でした。年末年始も、できれば来てねって」

ある日、ヘルパーから「呼吸状態が変わってきている」と連絡がありました。

布川さんが訪問すると、状態は大きく変化していました。

そのとき、看護師だけではなく、ヘルパーやケアマネジャーも集まりました。

「最期に息を引き取るところには3人がいて。一人じゃなかったんですよね。

みんながいて、しゃべりながら息を引き取っていった。それが印象に残っていますね」

本人の思いに寄り添いながら、多職種でその人らしい生活を支える。

こうした関わりも、ゆい訪問看護ステーションが大切にしている看護の1つです。

「利用者さんから『待ってるよ』って言われると、また行きますね、ってなりますよね」

そう話す布川さんの柔らかな笑顔からは、知識や技術だけでは表せない、訪問看護の温かさが伝わってきました。

利用者さん一人ひとりと向き合う訪問看護を支える、ゆい訪問看護ステーションのユニフォーム

看護の質を守りながら広げる未来

そして今、布川さんは、こうした看護をより多くの地域へ届けていきたいと考えています。

一方で、事業を広げるほど、同じ質を保つ難しさもあります。

そのため、拠点を増やすことと同時に、看護の質をどう保つかも大切にしています。

「できる限り質をちゃんと担保しながら、会社の理念に沿った行動ができる看護師を集めて、教育して、少しずつ拡大していきたいと思っています」

布川さんが学生を指導するとき、迷っている学生に伝える言葉があります。

「その利用者さんが、『自分のおばあちゃんだったら』と考えたらどうですか、って聞くんです」

そう問いかけると、学生さんも自分なりの答えを見つけやすくなるそうです。

「自分の家族とか親戚の誰かだと考えたら、少なくとも間違ったことはしないと思うんです。そういう考え方を持った人が集まる事業所を増やして、質を全体的に上げていけるといいなと思っています」

知識を学ぶこと。

技術を磨くこと。

礼節を持って人と接すること。

そして、目の前の利用者さんを「自分の大切な人だったら」と考えること。

布川さんが考える看護の質は、そのどれか1つだけでは成り立たないようです。

最後に、ゆい訪問看護ステーションへの転職を考えている看護師さんへメッセージを伺いました。

「看護師として働く場所や業務について、ある程度イメージが固定されている方もいると思うんです。でも、うちの場合は訪問看護だけでなく、企業としてほかの事業もやっています」

そのため、訪問看護という仕事を経験するだけではなく、これまでとは異なる視点や仕事に触れる機会もあります。

「今までやってきたことのない業務だったり、視点だったり、見える世界が変わると思います。社会を見ながら看護や仕事ができる。そして自分をどんどん成長させていける環境じゃないかなと思っています。

挑戦したい方には、役割を広げていける機会があると思います。違う世界が見えてくると思うので、人としても成長していけるといいですよね」

「もっと人として成長したい」「利用者さん一人ひとりと向き合う看護がしたい」。

そんな思いを持つ方にとって、ゆい訪問看護ステーションは、新しい看護の世界を知る選択肢の一つといえそうです。

インタビュアーより

お話を伺う中で印象的だったのは、布川さんが「質の高い看護」を決して知識や技術だけで語らなかったことです。毎朝のカンファレンスや勉強会など、学び続ける仕組みを整える一方で、「礼節」「気遣い」「自分の家族だったらどうするか」といった、人として利用者さんに向き合う姿勢も同じくらい大切にされていました。専門的な話では1つひとつ考えを明確に言葉にしながら、利用者さんとのエピソードでは「待ってるねと言われると、また行きますねってなりますよね」と柔らかい笑顔で振り返る布川さん。その両方が、ゆい訪問看護ステーションの看護につながっているのだと感じました。

事業所概要

【文京区・常勤】年収448万円以上!訪問看護未経験歓迎◎土日祝休み・残業ほぼなし・訪問は自転車10分圏内

事業所名

ゆい訪問看護ステーション

雇用形態

常勤

給与

月給 370,000円 ~ 450,000円

就業場所

〒113-0033 東京都文京区本郷3-34-4本郷JKHビル3階
有給取得率ほぼ100% 土日祝に休日あり 駅チカ
詳細を見る

【文京区・非常勤】時給2,200円~2,500円◎週1日からOK!訪問看護未経験歓迎・残業ほぼなし・訪問エリア3km以内

事業所名

ゆい訪問看護ステーション

雇用形態

非常勤

給与

時給 2,200円 ~ 2,500円

就業場所

〒113-0033 東京都文京区本郷3-34-4本郷JKHビル3階
有給取得率ほぼ100% 残業ほぼなし
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記事投稿者プロフィール画像 ナスキャリナビ 編集部

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