もう一度、訪問看護を始めたくなる場所~訪問看護ステーションみのり 矢島さんにインタビュー~

高給与・高負荷の現場でスタッフの離職が続いた経験から、「人が安心して働ける職場を作りたい」と独立を決意した、理学療法士であり代表取締役の矢島さん。
訪問看護ステーションみのりは、「もう一度訪問看護に挑戦したい」と思っている看護師の方々に、心からおすすめできる場所です。
今回はその想いと、働きやすさのためにこだわった仕組みについて伺いました。
【千葉市花見川区】訪問時間を100時間(5件/日)上限☆スタッフに合わせた無理のないワークライフバランスを重視!
事業所名
雇用形態
給与
就業場所
高給与よりも、人を守る職場を作りたかった
-まずは矢島様のご経歴を教えてください。
「理学療法士として病院で10年以上勤務した後、訪問看護ステーションに転職しまして。そこで10年ほど、責任者としても5年以上、現場を見てきました」
矢島さんは、過去に複数の訪問看護ステーションを立ち上げ、いずれも収益面では成功を収めてきました。
しかし、同時に見えてきたのは、働く人が定着しないという現実でした。
「高給与の職場でしたが、その分訪問件数が多く、看護師さんのスケジュールが常にぎっしりで…。緊急対応が入ればさらに大変になりますし、土日勤務の代休も取れずに疲弊してしまう。その連鎖で離職が続いてしまって」
現場の変革を試みたものの、経営方針の根本には手が届かなかったと話します。
「これ以上この形では変えられない」と痛感し、矢島さんは独立を決意。約1年半の準備期間を経て、「訪問看護ステーションみのり」を立ち上げました。
「僕が本当にやりたかったのは、スタッフみんなで同じ目標を目指しながら、心地よく働ける職場をつくることなんです」

働きやすさの裏にある、仕組みと工夫
-制度面では、どのような工夫で「働きやすさ」を実現されているのでしょうか?
「まずは、安心して休めるようにというところですね。入職初日から“夏休み・冬休み”として2日間の休暇を設けていて、有休が出るまでの間でも1時間単位で使えるようにしています。お子さんの体調不良や学校の面談など、ちょっとした用事にも対応できるようにと」
「あと、インフルエンザやコロナにかかってしまったときも、主治医が指示する待機期間に応じて、最大5日まで会社負担で休みが取れるようにしています」
こうした「休みやすさ」だけでなく、「働き方の柔軟さ」にも工夫があります。
たとえば土日出勤の際には、「代休」か「高めのインセンティブ」を自分で選べる仕組みを用意。働く人それぞれの事情に合わせた選択ができるようになっています。
また、直行直帰を推奨しつつ、チームの一体感を保つ工夫も忘れません。
「毎朝5〜10分程度のオンラインミーティングをしています。ちょっとした連絡でも、“声を聞く”ことが安心につながると思うので」
オンコール対応についても、安心して出動できるよう、看護師間の密な情報共有と同行訪問の体制を整備。
「なるべく“ひとりじゃない”と感じてもらえるようにしています。あの緊張感を、一人で抱え込ませたくないんですよね」
こうした「一人にさせない」姿勢は、日々のコミュニケーション体制にも表れています。
「管理者には、月に1回以上は必ず面談の時間を取ってもらうようお願いしています。経験が違えば見える景色も違いますから、思いをくみ取る時間が必要だと思うんです」
多様なスタッフが混ざり合う“実り”のチーム
-スタッフの皆さんの雰囲気やチームの特長についても教えてください。
みのりには現在、20代から50代まで、さまざまな年齢や経験をもったスタッフが在籍しています。
「年齢もバックグラウンドもバラバラですが、それがむしろ強みですね。みんながそれぞれ、自分の“色”を出してくれていて。それがステーションの個性になっていますね」
最近では、小児の利用者さまへの対応にもチャレンジしています。
「小児に関わるのは、みんな初めてだったんです。でも保健師の資格を持つスタッフが、“やってみよう”って声を上げてくれて。そこから看護とリハビリスタッフで連携して、自然と取り組みが広がっていきました」
こうした挑戦の背景には、日頃から“学び”を大切にする風土があります。
「研修についても、自主的に取り組んでくれるスタッフが多くて。NsPaceさんの研修記事やeラーニングを使って、空き時間に学べるようにしています。研修係が全体をまとめてくれていて、うまく活用できてますね」
「最近では、ALSの研修もNsPaceさんで取り上げられていたので、スタッフが自主的に共有してくれていました。学びが少なすぎても十分なケアにつながらず、反対にやり込みすぎても負担が大きくなってしまう。その“ちょうどよいバランス”を、今まさにみんなで模索しているところです」
矢島さんは、そんな“実り”のあるチームづくりを目指して、このステーションに「みのり」と名付けました。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という座右の銘になぞらえ、技術も人間性も豊かに育ちながら、常に謙虚でありたいという思いが込められているそうです。
地域とともに育つステーションへ
-地域連携について、具体的にどんな活動をされていますか?
「ステーションがある千葉市花見川区の横戸台って、実は市内で高齢化率が2番目に高い地域なんです。住民の方々もそのことをよく感じていて。そういう背景もあって、営業の一環としてスタッフにも地域のイベントにどんどん参加してもらっています」
「地域包括支援センターや自治会の方からは、『訪問看護って何?』『どうやって使えるの?』といったテーマでの講話を依頼されることも多いです。ビアガーデンや秋祭りにも参加していて、少しずつ“手をつなぐように”関係性ができてきている気がしますね」
「来月は、地域包括支援センターと社会福祉協議会が主催する、認知症予防のウォーキングイベントがあるんですが、探検形式で“着ぐるみで参加してほしい”ってお願いされまして(笑)」
そんなやりとりにも、地域に溶け込むステーションの姿が自然とにじみ出ています。
また、千葉市役所内の在宅医療・介護連携支援センターとも連携し、都内や県外からの転入ケースにも対応可能な体制が整っています。
「結果的に利用者さんとのご縁が広がって、それがスタッフのやりがいや会社の運営基盤にもつながっていく。その循環を、みんなが自然と理解して、営業もがんばってくれているのがありがたいですね」

ステーションの入り口には、訪れる人をあたたかく迎えるチラシの掲示があります
もう一度、訪問看護に挑戦したい方へ
―訪問看護に興味を持っている方に、どんなメッセージを伝えたいですか?
「最初はちょっと抵抗があるかもしれませんが、訪問看護には病院とはまた違った魅力があります。利用者さんと近い距離で関われるぶん、より深く相手の生活に寄り添える仕事なので、楽しいと思います」
-今後、どのような方と一緒に働きたいですか?
「なかでも、楽しくても一度、訪問看護を諦めた人にこそ、来てほしいんです」
矢島さんは、環境が整っていなかったことで去っていった仲間を何人も見てきました。
だからこそ、「もう一度やりたい」と思っている人を、心から応援したいと言います。
「辛さや痛みを知っている人は、同じように悩んでいる仲間に寄り添えると思うんです。うちは、そんな人たちにとって“再挑戦できる場所”でありたい」
―最後に、今後の展望をお聞かせください
「まずは、スタッフの不安を一つずつ軽減して、それぞれの個性を受け止めながら、みんなで謙虚にやっていくことが大事だと思っています。
この仕事は人材集約型ですから、人を育てることがそのままステーションの力になる。
一人ひとりが“充実した業務”を経験できるように、一生懸命、訪問に向き合ってもらいたいんです」
「スタッフ同士で育てあって、少しずつ人が増えていって、その後、いずれ大きくなっていけばいいかなと。新しい色んなことを経営上でも考えていきたいなって。
でも何より、“一生懸命働いてくれるその人を大事にする”という原点を、絶対に忘れないでやっていきたいんです」
矢島さんの言葉には、形よりも人を優先する姿勢と、だからこそ未来をつくれるという静かな確信がにじんでいました。
インタビュアーより
インタビューの最後まで一貫して伝わってきたのは、矢島さんの“まっすぐさ”でした。
多忙さや制度の変化に振り回されがちな訪問看護の現場で、ひとつひとつ丁寧に「人を大切にする仕組み」を作り上げていく姿勢に、深い共感を覚えました。
この場所なら、きっと「もう一度やってみたい」と思えるはず。そう確信できる取材となりました。
事業所概要
・事業所名:訪問看護ステーションみのり
・住所:千葉県千葉市花見川区横戸台51-3
・事業所紹介ページ:https://ns-pace-career.com/facilities/14677
【千葉市花見川区】訪問時間を100時間(5件/日)上限☆スタッフに合わせた無理のないワークライフバランスを重視!
事業所名
雇用形態
給与
就業場所
NsPace Careerナビ 編集部 「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。
